

しんざき
システムエンジニア、PM、ケーナ奏者、三児の父。南米民族音楽の演奏が趣味。仕事・育児・演奏活動の傍ら、レトロゲーム雑記ブログ「不倒城」を20年程運営している。
こんにちは、しんざきです。あっという間にお花見の季節も過ぎてしまいましたね。
今回、私は何も口出ししていないのですが、娘の話を聞いていたら面白いなーと思ったので書かせてください。この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。

以上です。よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。
次女が中学校で苦戦した「誰も意見をゆずらない」グループワーク
長女次女は中学生なのですが、授業以外の活動についても重視している学校らしく、毎年様々なイベントが開催されます。
先日は発表コンクールのようなものがありました。班ごとに発表テーマと内容を決めて、その内容に基づいた資料をつくってプレゼンを行うというイベントらしく、「色々やるもんだなあ」と思ったんですが、そこで次女の班が手こずっていました。
なんでも、「何を決めるにも意見が分かれて、話が全然まとまらない」らしいのです。
次女「とにかくみんな全然譲らないの。例えばグループ名決めるんだけど、『私はグループ名なんて何でもいい』って思うのに、みんな『これがいい、そっちはいやだ』って」
私「こだわり強い人が多いんだね」
次女「そー。次、なんか決める方法考えようってなってるけど、そっちもこじれて大変になりそう……」
私が中高生の頃は、正直学校のイベントなんて適当に流してしまっていた記憶があるんですよね。ですが、今になって考えるともったいないことをしたという気もしていて、やる気とこだわりがあるのはとても良いなーと思いました。
この時は、愚痴ってはいたものの、次女もそこまで悩んでいる様子ではなかったので、私も特にアドバイスはしませんでした。子ども同士で解決法を見つける経験も大事だし、次女は本当に困ったら大体私に頼ってくれるので、心配することもなかろうと思いました。
アイデアはボードゲームから。「こだわりポイント」制で解決
それからしばらくして、「そういえば発表の話ってまとまったの?」と聞いてみました。すると、「色々決まったよ!」と教えてくれました。
その時のやり取りでちょっと驚きました。次女がこのように言ったんです。
「“こだわりポイント”っていう点をつくって、多く出した人の意見が通るルールにしたの。『宝石の煌めき』みたいにしようと思って」
次女が言った『宝石の煌めき』というのは、別名スプレンダーという超面白いボードゲームです。手元にある宝石トークンを使って買い物をしていくゲームで、今回のルールもそこからの発想。6点の持ち点も『宝石の煌めき』のトークンを流用したらしいです(真珠・黄金が3点、青が2点、赤が1点)。
※詳しいルールはこちら:「【ルール紹介】 宝石の煌き (Splendor)」
次女から教えてもらった内容について、簡単に説明します。
まず、次女の班がつくったルールは、以下のようなものだったそうです。
- 各メンバーが、3点+2点+1点の、合計6点のポイントを持つ
- 意見が分かれた時、自分が持っている点を場に提示する
- 同点の場合はじゃんけんで決める
- 多くの点を出した人の意見が通る
- 意見が通った人の点は戻ってこない(使い切り制)
- 誰も点を出さなかったら鉛筆を転がして決める(無投票はランダム)
以下の段落は余談です。
私はボードゲーマーで、子どもたちともちょくちょくボードゲームを遊ぶので、当然『宝石の煌めき』は自宅にありました。なのでてっきり次女が提案したのだと思ったのですが、なんでも最初に言い出したのは別の子で、その子の家で『宝石の煌めき』を遊んだ友人もおり、クラスで局所的に流行っているとのこと。いるな……これは、クラスの保護者の中に、私以外にもボードゲーマーがいる……。
次女たちが自力でたどり着いた「加重投票」のシステム
それはそうと。
この話を聞いて、私は結構びっくりしたんですよね。「これ、加重投票じゃん」って。
次女たちは意見が分かれた時、単純に多数決という方法を取らなかったし、無理に全会一致にしようともしなかった。その代わりに、「よりこだわりが強い人が、こだわりがある部分について自分の意見を通せる(しかもゲーム的に面白い)」方法を考えた。
これ、以下のような点で、単純に優れた方法だと思うんですよ。
- 議論が停滞しない
- 意見が強い人(そのテーマについて深い/強い考えを持っている人)の意見が通りやすい
- かといって、声が大きい人の意見が常に通るわけではない
- 「今ポイントを使うか、あとにとっておくか」という選択肢があることによって、自分にとってどの問題の優先度が高いのかを自然と考えることになる
さらに、「どの論点が対立しているのか」を自然と整理することにつながっているのが、わりとすごい。
加重投票(Weighted Voting)って、ビジネスの世界でも使われることがあるやり方ですよね。要は、限られたポイントを配分して意思の強さを表現する方法です。
「手間がかかる」「論点整理が大変」といった問題はあり、実際の会議や話し合いで使われることは少ないですが、例えば部署別の要件デザインの重要性決定とかで、私も似たようなことをした経験があります。これと同じような仕組みを、中学生たちだけで考えたのは結構すごい。
「いつも上の人が決める」ビジネス現場では、思考が止まっているかもしれない
その後、次女とはこんな会話をしました。
私「すごいなー。よくそれ自分たちで考えたね」
ところが次女はちょっと残念そうだったんです。
次女「うーんとね、最初、もっと『宝石の煌めき』っぽくしようと思ったの。意見に値段を付けて、お買い物っぽくして。でも、点数決めとか大変で、もっと簡単になった」
私「いや、でもすごい。パパも会社で似たようなことしたけど、自分で考えたわけじゃないし。いつもはもっとざっくり決めちゃう」
次女「どんな風に決めるの?」
私「色んなやり方があるけど、エスカレーションといって、論点だけ整理して上の人に投げちゃうのがほとんどかな。あとは条件付きで合意したり、一旦保留して他のこと進めたり、会社のルールで『こういう場合はどう決める』ってのが最初から決まってたりとか」
次女「多数決じゃないんだ」
私「多数決はあんまりないかな。重要なことを分かってるのは一部の人だけ、ってことが多いし。エスカレーションが一番多い」
次女「多数決で決めるのかと思った。いつも上の人が決めるんだとちょっとつまんないね」
この「つまんない」ってのは結構示唆的だと思いました。
実際、ビジネスの場面ではスピードが重要です。上の立場の人が意思決定者となって、責任を持って物事を決めるのは正しいんです。
とはいえ、「最終的には上の人が決める」と軽く考えていると、現場の担当が真剣に考えを尽くせないことにもなりがちだし、貴重な意見や観点を見逃してしまうこともありそうだなあ、と。
例えば、次女が考えた「こだわりポイント」のルールを現場の会議で小さく試してみる、とか。時には、多少手間がかかっても、それぞれの立ち位置の現場の人間が自分たちの「こだわり」を持って意思決定に関わることも必要かもな、と考えた次第なのです。
「全会一致」でなくても意見調整して物事を進められる、という強み
それとは別の問題として、「全会一致」でなくても物事を進められる、というのは、様々な場面で非常に重要になる考え方です。物事を進める上での色んなプロセスの中でも、「意見調整」ほど面倒くさいプロセスはそうそうないですし、他人の意見を変えるのは極めて難しいことです。
そんな中、ある程度スピード感と納得感を兼ね備えたやり方で物事を進められる、そういうやり方を知っている、というのは、この先の人生でめちゃくちゃ重要になるだろうなーと。
そんな経験ができたことについては、次女は非常に良い機会に恵まれたなーと思っていて、この辺の話は引き続き、家庭内でも展開していきたいと思う次第なのです。
今日書きたいことはそれくらいです。


