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最終更新日:2024年11月8日

エンジニアが足りないのはなぜ?原因や人材不足を解消する方法を解説

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「エンジニアが足りないのはなぜ?」と考える方は多いのではないでしょうか。日本ではIT市場の拡大に伴いエンジニアの不足が課題となっています。

この記事では、IT人材市場の動向を公的機関の資料や独自の調査をもとに解説します。また、待遇の改善や採用手法の多様化など、エンジニアの採用にあたって考えられる手段もまとめたのでぜひご覧ください。

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エンジニアが足りないのは本当?

「エンジニアが足りないのは本当?」という声もありますが、国が公表しているデータによるとエンジニアの人材不足は明らかです。ここでは、エンジニアの需給ギャップや特に不足している人材の種類を解説します。

今後の採用競争についても触れているので、内容を確認しエンジニア不足の現状を知っていきましょう。

経済産業省によると最大79万人のエンジニアが不足

経済産業省が公開している「IT人材需給に関する調査」では、2030年におけるIT人材の需給ギャップを、低位シナリオ(需要の伸び1%)で約16万人、中位シナリオ(需要の伸び約5~2%)で約45万人、高位シナリオ(需要の伸び約9~3%)で約79万人と試算しており、いずれも人材の不足が示されています。

IT人材需給に関する調査

引用元:経済産業省「IT人材需給に関する調査

特に先端IT人材が不足している

「IT人材需給に関する調査」には、先端IT人材(先端 IT 技術等に関連する市場を担う IT人材)と従来型IT人材(従来からのIT需要に対応するIT人材)の不足数に関する試算結果も掲載されています。

試算(2018〜2030年)※によると、従来型IT人材に関しては2018年から2023年までは不足が見られるものの、2024年からは余剰が出始めることが分かります。一方、先端IT人材は2018年から2030年まで一貫して不足しており、不足数も毎年増加する見込みです。2018年で20,138人だった先端IT人材の不足数は、2030年では383,903人まで増加する想定になっています。

※IT 需要の伸び「低位」、生産性上昇率「0.7%」だった場合

この試算から、IT人材の中でも「先端IT人材」がより一層不足することが分かります。では、具体的に不足している職種を確認していきましょう。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「DX白書2021」の「デジタル事業に対応する人材の「量」の確保状況」のアンケート回答の一部を掲載します。

デジタル事業に対応する人材の量の確保状況

引用元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021

この結果を見ると、IT人材の中でもプロダクトマネージャーやビジネスデザイナー、データサイエンティストといった職種が特に不足していることが分かります。

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今後も不足が予想される職種

DX白書2021」で不足が指摘されている職種も含めて、次の職種は企業からのニーズが高く今後も人材不足が続くと考えられます。

セキュリティエンジニア

不正アクセスやサイバー攻撃から企業の情報資産を守るセキュリティエンジニアは、情報セキュリティ意識が高まる中で需要が伸びています。ネットワークや暗号化、認証技術に関する知識に加え、日々変化するサイバー攻撃に対応する日常的なスキルのアップデートが必要な仕事です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、ビッグデータの活用が注目される中で需要が高まっている職種です。数学やAIなどを駆使して膨大なデータを分析し、ビジネスに役立つ活用法の提案を行います。ただデータを解析するのではなく、事業戦略や企業の課題に沿ってデータを抽出し、データに基づく改善策を提案するのが特徴です。

プロジェクトマネージャー(PM)

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを円滑に進めるための管理を行う職種です。予算管理や品質管理のほか、メンバーのマネジメントも行います。開発の初期から実際の運用まで一連の工程に関わるので、高いITスキルとマネジメント能力が求められます。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアは、次のようなパブリッククラウドサービスを活用した開発を行うエンジニアです。

・AWS(Amazon Web Services)
・GCP(Google Cloud Platform)
・Microsoft Azure

総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、国内企業におけるクラウドサービスの利用状況は2018年から2022年の間に伸び続けています。今後もクラウドを活用する企業が増えれば、クラウドエンジニアの需要も伸びていくでしょう。

IoTエンジニア

IoTエンジニアは、家電や車などのモノとインターネットをつなぎ、遠隔操作を可能にするエンジニアです。ソフトウェアとハードウェア両方の知識が必要とされ、通常は工程や分野によって担当を分けて作業に取り組みます。IoTエンジニアは比較的新しい職種でまだ人口が少ないため、希少性が高い存在です。

採用競争は激しい状況が続く

レバテック株式会社が運営するITエンジニア・クリエイター専門エージェント「レバテック」の調査によると、2023年12月のITエンジニア・クリエイターの求人倍率は12.0倍でした。この数字は、厚生労働省が公表している「一般職業紹介(令和4年12月)」の有効求人倍率1.35倍と比べると非常に高く、IT人材の採用難易度の高さが分かります。

参考記事:IT人材の転職市場が活発化、転職希望者数は前年同月比173%で過去最高

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エンジニアが不足する5つの理由

エンジニアが不足する理由としては、主に以下の5つが考えられます。

1.IT市場の拡大

近年、IT技術の発達によりさまざまな業界や企業がITを活用するようになり、IT市場は拡大しています。スマートフォンやIoT家電などITを活用した製品は生活に身近なものとなり、ITなしでは成り立たないサービスや商品も増えています。その結果、IT人材を求める企業が増加し技術者の不足につながっているといえるでしょう。

また、最近はデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革したり、新しいサービスを生み出すDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する企業が増加しており、DX推進の担い手となるIT人材の需要も高まっています。

2.技術の変化が激しい

ITの世界は技術の変化が目まぐるしく、近年はAIやビッグデータ、クラウドなどさまざまな新しい技術が誕生しています。エンジニアをはじめとするIT人材は常に新しい技術をキャッチアップすることが求められますが、変化についていけない人材も一定数存在します。

その結果、先端技術を扱える人材を求める企業のニーズが満たされず、人手不足につながっているでしょう。

3.エンジニアの高齢化と雇用者数の減少

もともとIT業界で活躍していた人材が高齢化し退職することも人材不足の要因の一つです。「IT人材需給に関する調査」によると、2015年ではIT人材全体の17.6%を占めていた50~64歳のIT人材は、2025年で26.1%、2030年で27%に増加することが示されており、今後も人材の高齢化が進むと予想されます。

IT人材受給に関する調査

引用元:経済産業省「IT人材需給に関する調査

また、経済産業省が公表している「ICTの経済分析に関する調査報告書」によると、日本の情報通信産業の実質GDPは2000年から2019年にかけて約33兆円から約52兆に増加しているのに対し、雇用者数は4,862,000人から4,058,000人に減少していることも分かります。

4.専門性が高く育成に時間がかかる

エンジニアは専門性が高く即戦力になるまで時間がかかることも、人材不足に拍車がかかる要因です。エンジニアとして一人前になるには、スクールに通ったり実務経験を通して学んだりする必要があります。

とはいえ、個人でスクールに通うのは費用面でのハードルがあり、誰でも気軽に学べるわけではありません。また、エンジニアの育成に時間と手間をかけられる企業が少ないことも、エンジニアが増えない理由の一つと考えられます。

5.IT業界に対するイメージ

「IT業界は残業が多い」というイメージを持たれがちです。確かに、システム開発においては納期前に残業が発生することもあるでしょう。しかし、実際の働き方は企業によるところが大きく、最近は働き方改革の影響でエンジニア全体の働き方が改善されつつあります。

ただ、事業をよく知らないためにいまだにIT業界にネガティブなイメージを持つ人は多く、敬遠されていることが考えられます。

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エンジニア不足に対する政府の対策

政府はIT人材の不足に対して、各種の対策を講じています。

エンジニア不足に対する政策

国は若手人材の発掘や育成を支援するとともに、外国人人材の活用を視野に入れた取り組みを行っています。

エンジニアが足りないことで起こる問題

エンジニアが足りないと、社内で働くエンジニアの負担が増えたり、システムがレガシー化したりする懸念があります。エンジニア不足が引き起こす具体的な問題を確認しましょう。

在籍中のエンジニアの負担増

社内のエンジニア不足が進むと、在籍しているエンジニア一人あたりの業務量が増えてしまいます。長時間労働が当たり前となって労働環境が悪化すると、今いるエンジニアが離職するリスクも出てくるでしょう。

離職者が出ると残ったエンジニアの負担がさらに増え、より多くの退職につながる悪循環に陥ってしまいます。

既存システムのレガシー化

システムをバージョンアップする人手が足りなくなると、古いシステムを使わざるを得なくなります。システムがレガシー化するとセキュリティ上のリスクが生じるうえに、新しいサービスや仕組みをつくるのに支障をきたします。社内のDXを進めるにあたっても、技術のレガシー化は足かせとなるでしょう。

企業競争力の低下

エンジニア不足によってIT技術を使ったサービスの開発が困難になると、企業としての競争力が低下します。競合企業との技術力に差がつき十分なサービスを提供できない状態になれば、顧客の満足度も低くなってしまうでしょう。技術力不足で新規の開発ができなければ、社会や市場の変化への対応も困難になってしまいます。

関連記事:【DX事例】国内企業の成功事例とDXを失敗させる5つのケースとは

エンジニアの平均年収

エンジニアが足りない中で採用を成功させるには、適正な給与水準を設定したり、待遇を改善したりすることが必要です。そのために、まずはエンジニアの給与を確認していきましょう。

厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」をもとに、各エンジニアの平均年収を紹介します。

エンジニアの平均年収

関連記事:エンジニアの採用単価は?|相場やコスト削減できる採用方法を解説

関連記事:人件費高騰の理由は?労働人口や最低賃金の状況とコスト削減方法も紹介

エンジニアが足りない状況を解消する方法

企業がエンジニア不足を解消するにはどのような方法があるのでしょうか。具体例を紹介します。

活用する人材の幅を広げる

エンジニア採用がうまくいかない場合は、海外人材や在宅・時短勤務の人材などターゲットとする人材の幅を広げることも検討しましょう。

また、即戦力となるエンジニアをすぐに確保したい場合や、一時的に人材が欲しい場合は、フリーランスの活用がおすすめです。個人で活動するフリーランスはハイスキルな人材が多く、教育の手間を省いて業務を任せることができます。長期的な案件だけではなく、短期間・小規模な業務を依頼できるのもフリーランスを活用するメリットの一つです。

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採用や選考の方法を見直す

エンジニア採用がうまくいかないときは、採用や選考の方法に問題がある可能性があります。求める人物像が理想的になり過ぎていないか、エンジニアの視点で自社の魅力を伝えられているか、改めて考え直していきましょう。

採用基準を上げ過ぎない

即戦力となるエンジニアが見つからない場合、ポテンシャル採用も視野に入れましょう。新卒や未経験者、他業種からの転職者などにターゲットを広げれば、人材を確保できる可能性が高まります。

未経験者を採用する際は社内の教育体制を整え、資格取得支援制度やスクールに通う際の補助制度を充実させるのがポイントです。社内でエンジニアを育成する体制を構築できれば、安定的に人材を確保できます。社内に教育のノウハウを持った社員がいない場合は、外部の研修サービスを利用しても良いでしょう。

現場のエンジニアを採用の協力をしてもらう

求人票に記載するスキルを定義したり、自社の魅力を洗い出したりするにあたっては、社内のエンジニアの視点を取り入れましょう。スキルに関しては、専門知識がない人事担当者でも評価ができるように、質問項目や評価基準の設定を手伝ってもらうのがおすすめです。さらに、エンジニアにとって自社の魅力は何かをヒアリングすることで、エンジニアに響く求人を作成できます。

できれば書類選考や面接にも参加してもらい、エンジニアの視点から人材を評価してもらいましょう。

採用チャネルを増やす

一つの採用方法でうまくいかない場合は、採用チャネルを増やしましょう。エンジニアの採用方法には、次のやり方があります。

・人材紹介
・SNS採用
・ダイレクトリクルーティング
・求人サイト
・リファラル採用(社員に知り合いを紹介してもらう)
・アルムナイ採用(退職者を再雇用する)

これまでのやり方にとらわれず、柔軟に手法を検討しましょう。

労働環境や待遇を改善する

優秀なエンジニアを採用するには、労働環境や待遇を改善することが大切です。リモートワークやフレックスタイムを導入するなど、自由度の高い働き方を実現し、エンジニアにとって魅力のある環境を構築していきましょう。

また、実績やスキルが給与に反映される仕組みをつくることも、エンジニアのモチベーションを維持するために欠かせません。

ペルソナを踏まえたアピールをする

採用におけるペルソナとは、企業が採用したい具体的な人物像です。ペルソナは、年齢や経歴、前職の年収、スキル、性格などから設計します。設計後は、ペルソナが重視しそうな条件を踏まえて自社の魅力をアピールしましょう。たとえば、向上心が高い人材には、技術を伸ばせる環境があると伝えるのが効果的です。

関連記事:採用に使えるペルソナ設計術|必要な項目や採用活動での活用法とは

オフショア開発を行う

国内全体でエンジニアが足りない状況を考えると、オフショア開発も選択肢となります。オフショア開発とは、システムやソフトウェアの開発を海外の開発会社に依頼することを指します。

海外の優秀な人材を活用できるとともに、地域によっては国内より人件費が下がるのがメリットです。ただし、海外とコミュニケーションをとる手間がかかるので、導入は慎重に検討する必要があります。

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エンジニアが足りないことに関するよくある質問

エンジニアが足りないのは、IT業界の市場拡大や国内の人口減少が原因といわれています。エンジニア不足の詳しい背景や、エンジニア採用を取り巻く実際の状況を説明します。エンジニア人材を確保する方法もまとめたので、採用にお困りの方はチェックしましょう。

Q.エンジニアが足りないのはなぜ?

A.エンジニアが足りないのは、IT市場が拡大し、エンジニアの需要が急激に高まったことが原因の一つです。また、もともとIT業界で働いていたエンジニアの高齢化や、専門性が高い職種の特性上、人材が育つまでに時間がかかることも人手不足につながっています。

Q.エンジニア不足が嘘といわれるのはなぜ?

A.エンジニアの中でも、従来からのIT需要に対応する「従来型IT人材」は、近い将来余剰が出るとされています。そのため、「エンジニア不足は嘘」と噂されているのでしょう。ただ、先端技術に対応する「先端IT人材」は将来的にも不足が続く見込みです。

Q.エンジニア不足を解消する方法は?

A.採用ターゲット層を未経験者や外国人、時短勤務の人材などに拡大する方法があります。また、社内の労働環境や待遇を見直し、エンジニアにとって魅力的な環境を構築することも重要です。現在の手法で採用が難航している場合は、採用手法の見直しも行いましょう。

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