進化を続けるシステムをともに作り上げよう 組織の多様性を重視するメルカリが評価するエンジニアの経験値とは

2022年5月30日

株式会社メルカリ Talent Acquisition Teamマネジャー

橋本 真帆

2018年11月にメルカリへ入社。コーポレート、エンジニアの採用担当を経て、Talent Acquisitionチームマネジャーに就任。現在はDiversity & Inclusionの推進イベントの企画運営も進めている。

株式会社メルカリ Backend Teamエンジニアリングマネジャー 

モハン バットカル

インド出身。楽天を経て、2019年4月にBackend Teamエンジニアリングマネジャーとしてメルカリに入社。データドリブンの意思決定に裏打ちされたメルカリグループ全体のインシデント管理プロセス改善に従事。2022年6月設立予定の技術開発拠点「Mercari Software Technologies India Private Limited (仮称)」の取締役 Head of Engineeringに就任。

エンジニアの採用担当者に選考のポイントや求める人物像について尋ね、現場のリアルな声を届ける「採用担当者の本音」シリーズ。第5回は、株式会社メルカリでエンジニア採用に携わるお2人、Backend Teamエンジニアリングマネジャーのモハン バットカルさんとTalent Acquisition Teamマネジャーの橋本真帆さんに登場していただきます。

月間利用者数2000万人を突破した(2021年9月時点)CtoCマーケットプレイス『メルカリ』を中心に事業を展開し、立ち止まることなく進化し続ける同社は、どんなエンジニアを求めているのでしょうか。

優秀なエンジニアが集まる多国籍な組織 技術基盤強化に注力

Q1. メルカリのエンジニア組織について教えてください。

橋本:メルカリのエンジニア組織の特徴は、世界各国から優秀なエンジニアが集まっていることです。東京のオフィスでは、エンジニア社員の約半数が外国籍となっています

モハン:メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げていますから、日本人も含め、グローバルな人材は不可欠です。ダイバーシティがあり、各自が意見やモチベーションをキープしながら会社のミッションにコミットするエンジニア組織だと思います。

Q2. メルカリにいるエンジニアはどんな人が多いですか?

橋本:最新の技術をキャッチアップしたいという熱意を持っている方が多いですね。皆さんカンファレンスなどへも積極的に参加しています。

モハン:皆さんサービスへの貢献を意識しながら、自身の成長にもコミットしている印象が強いので、入社後もフットワーク軽く、社内に無数ある最新の情報をキャッチアップし続ける人が多いですね。

Q3. 今求めているエンジニアはどんな方でしょうか?

橋本:エンジニア組織全体で募集していますが、なかでもシニアのバックエンドエンジニアの採用には力を入れていますね。とくに2021年11月に立ち上げた技術基盤強化のプロジェクト「Robust Foundation for Speed(以下、RFS)」で活躍できる人材を求めています。 

モハン:「RFS」の背景について少しご紹介します。メルカリは2013年に創業し、来年には10周年を迎えようとしています。ビジネスの成長とともに、いろいろと付け足しながらシステムをつくってきて、機能もどんどん複雑になってきたのです。そのため、2017年からシステムのマイクロサービス化に取り組んでいますが、今でもお客さま対応のシステムなど一部のシステムは創業当初のPHPベースのモノリシックのままです。

そこで、お客様にさらなる価値提供を行っていくために、抜本的な技術基盤の強化に取り組むことにしました。ビジネス成長の基盤強化はバックエンドに関わる領域が多いため、現在は会社全体でバックエンドエンジニアの採用の優先度を上げています。

また、「グローバルテックカンパニー」の実現に向けて、6月にインド共和国のベンガルール市に技術開発拠点「Mercari Software Technologies India Private Limited (仮称)」を設立する予定です。インドの開発拠点では、ソフトウェアエンジニアをはじめとした技術系人材を中心に、メルカリの日本国内事業とメルカリUS事業の開発に携わっていきます。私はHead of Engineeringとして、こちらの採用も強化していきます。

その経験はメルカリで再現性があるかを問う

Q4. 採用はどのように行われていますか? そのプロセスを教えてください。

橋本:選考プロセスは技術領域によって異なりますが、書類選考・スキルテスト・面接を実施しています。フローとしてはまず書類選考とコーディングテストを実施し、エンジニアやエンジニアリングマネジャーによるテクニカル面接を受けていただきます。その後、ディレクター・VPとの面接を経て最終決定となります。

また、リファラル採用も多く取り入れており、会社としても定期的に面接官を増やし、より多くの社員が当事者意識を持てるように働きかけています。直接採用プロセスに携わっていないエンジニアも、SNSやMeetyで積極的に技術情報を発信しています。そこから採用につながるケースは他社より多いのではないかと思います。

参考情報:メルカリ-採用と選考

Q5:メルカリが採用の際に高く評価するエンジニアの条件はなんでしょうか?

橋本: これはエンジニアに限りませんが、メルカリの採用ではカルチャーフィットの部分を重要視しています。具体的にはメルカリのバリューである「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」を体現できる経験があると高く評価させていただくことが多いです。これまでに大胆にチャレンジした経験があるか、成功のためにどのように努力したのか、そしてそれがメルカリにおいて再現性のある経験なのかを確認します。

モハン:バリューが意味するところは職種によって異なりますが、エンジニアの場合、成長段階ごとに期待される具体的な行動を「Engineering Ladder」として明文化しました。抽象的なバリューを噛み砕き、エンジニアのグレードに合わせて求められるオーナーシップやチームワーク、専門性などを細かく定義しています。面接では候補者のコンピテンシーやポテンシャルがどのグレードの期待値にフィットしているかを確認・判断します。

また、スキル面にフォーカスしていうと、メルカリは月間2000万人以上のアクティブユーザーを抱えているアプリケーションですから、同等規模のシステムを開発・運用・改善した経験はプラスに働きます。技術的チャレンジをした、短時間で大きいシステムをさらにスケールアップしたといった経験も大事ですね。

もちろん、小規模システムの経験しかないエンジニアは採用しない、ということではありません。スタートアップの小さなシステムでも、技術を駆使して大きなインパクトを出すことはできます。そもそもメルカリも小規模なシステムから始まりました。むしろ小さなシステムから大きなシステムへスケールさせた経験がある方のほうが、メルカリのシステムの背景や現状の課題も理解しやすいのではないかと思います。

Q6. エンジニアのスキルテストはどのように行われていますか

モハン:スキルテストに関しては職種ごとに専用のテストを用意しています。たとえば、「RFS」では、PHPでつくられたシステムを扱うので、PHPの関数を使えるか、API作成ができるかなどテストを通して確認しています。

最近は「Hacker Rank」など外部のスキルチェックツールも利用するようになりました。職種によってはライブコーディングインタビューも導入しています。

Q7. 「いいエンジニア」をどうやって面接で見極めていますか?

モハン:メルカリの面接では、「STAR(Situation<状況>、Task<課題>、Action<行動>、Result<結果>)」と呼ばれる、Googleなどでも取り入れられている面接の手法を活用しています。つまり、これまでどんな状況下で、どういった課題があって、どう行動して結果を出したか。そこを掘り下げて聞きます。

過去失敗したときにはどんなアクションを取り、その失敗からどんな学びを得たか。あるいは、チーム内で意見の衝突があったとき、どのように解決したか、そのような問題解決に関わる部分も大事です。メルカリでは「disagree and commit(同意はしないけれどコミット)」という言葉をよく使いますが、全員が同意していないときにどういうアクションを取り、他人を巻き込むかが非常に重要だと考えています。

また、メルカリはデータドリブンな組織なので、面接では具体的な数値を交えて話していただきたいですね。たとえば、「メトリクスを改善しました」だけではなく、なぜそのメトリクスを選び、どこまで改善し、その改善によってビジネスにどれほどのインパクトを出したのかまで話してほしいです。

Q8. 採用プロセスのなかで気をつけているポイントは何ですか?

橋本:候補者体験を大事にしています。「Time to Hire」、すなわち応募から採用までのリードタイムが長くなりすぎないよう心がけています。たとえば、以前は技術のスキルテストにGitHubを使って課題に取り組んでいただき、候補者の方のお時間をかなりいただいていたこともありますが、ライブコーディングインタビューなら短縮できます。採用プロセスはチームによってベストな方法を模索しながら、日々改善を続けているところです。 

柔軟にキャリアをつくれる風土

Q9. エンジニアの方に「メルカリに来るべき」とおすすめする理由は?

橋本:エンジニアをスカウトしたときによくあるのが、「すでに完成されたシステムのメンテナンスでしょう?」という声です。しかし、メルカリはビジネスのスケール規模に対して、システムのスケールが追いつききれていません。今は良くも悪くも「カオス」な状態なので、自分の手でプロジェクトをつくり上げたいエンジニアにとっては、うってつけの環境だと思います。

また、メルカリグループ内にはソウゾウやメルロジ、メルコインなど新しい事業も次々と立ち上がっており、メルカリにいながらスタートアップ的なゼロイチのフェーズに携わることができます。職種としてプレイヤーとマネジャーを行き来する人もいますし、柔軟にキャリアをつくっていける文化があります。 

モハン:現在会社として注力している「RFS」はとくに変化が激しく、成長や学びのチャンスが多いチャレンジングな環境です。自分の成長が会社の成長にもつながっていきますし、単に変化に適応するだけではなく、これまでの経験をもとに「この状況ならこうしたほうがいいのでは?」と提案もできます。さらに、エンジニアの国籍もさまざまですし、英語を使う機会も多い。多様性に富んだ環境で新しい挑戦をしたい人にはとてもおすすめの会社です。

Q10. メルカリを希望するエンジニアに、今からしてほしい準備は何ですか。

橋本:日本とアメリカにいる方は、ぜひメルカリやメルペイのアプリを使ってみてください。入社後は日々向き合っていくものですし、面接や面談でアプリの機能改善についてディスカッションでさせていただくこともあります。またグループ会社を含めメルカリでは日々新しいことに取り組んでいますので、オウンドメディア「メルカン」や「エンジニアリングブログなどを読んで理解を深めていただけたら嬉しいです。

モハン:あとは、エンジニアの採用ページも読んでいただきたいですね。メルカリのエンジニアリング組織で現在力を入れていることや、チャレンジしているエンジニアのストーリーがわかります。面接の場でも、候補者がやりたいことと実際にできることにギャップがないかを確認しますが、採用プロセスに入る前にこうした資料へ目を通していただくと、ご自身で描くキャリアがメルカリで実現できるかを判断しやすいでしょう。メルカリに入社してからやりたいことも、より明確になるのではないかなと思います。

取材・執筆:古屋江美子
撮影:Qiuyu Jin

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