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「ニアショア開発」は、都市部の企業が地方の企業にシステム開発などを委託することを指しています。似た言葉である「オフショア開発」は、日本企業が中国などの海外企業に業務を委託することを指しています。これらの開発手法がとられる主な目的は、人件費などのコストを削減すること。ただ、オフショア開発には開発チームとの距離感や言葉の壁といった課題が挙げられます。本記事で、ニアショア・オフショア開発のメリット・デメリットを確認していきましょう。
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目次
「ニアショア開発」とは、システムやソフトウェアなどの開発業務を国内の離れた地域にある事業所に委託することを指しています。東京や大阪といった都市部の企業が、九州や東北といった地方の企業に開発を依頼するイメージです。
ニアショア開発を行う主な理由は、開発にかかるコストの削減。首都圏より人件費が安価な地方に業務を委託することで、開発や運用にかかるコストを抑えるのが目的です。
関連記事 : ニアショアの意味とは
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「オフショア開発」は、開発業務を海外の企業に依頼することを指しています。「オフショア(offshore)」が持つのは、「国外の」という意味。委託先として代表的なのは、中国やインド、ベトナム、フィリピンなどアジア圏の国々です。
オフショア開発の主な目的もニアショア開発と同じく、人件費の削減にあります。
関連記事 : ニアショアとは?
ニアショア開発は人件費を抑えられるのがメリットですが、ほかにどんな利点があるのでしょうか?また、ニアショア開発で予想されるデメリットについても確認していきましょう。
先述のとおり、ニアショア開発では地方に業務を委託することでコスト削減をはかっています。どれくらいの人件費削減になるかをイメージするには、都道府県別の最低賃金を考えると良いでしょう。令和元年10月に改定された最低賃金は、最も高い東京都で1,013円。最も低い地域(青森、岩手、秋田、山形、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)で790円となっています。
仮に最低賃金で22日間フルタイムで働くとすると、ひと月の賃金は東京で178,288円、790円の地域で139,040円という計算です。これはあくまでも最低賃金を基準とした単純計算ですが、1人につき最大4万円近い差が出ることが分かるでしょう。
参照元:地域別最低賃金の全国一覧
また、ニアショア開発には、首都圏のエンジニア不足をカバーできる利点もあります。近年、首都圏ではマイナンバーに関わるシステム開発などでエンジニアが不足している現状があります。その中で、地方のIT人材は貴重な存在になるでしょう。たとえば、北海道は工学部や情報通信学部のある教育機関が多く、優秀なIT人材が多い地域として注目されています。
ニアショア開発はオフショア開発と違い、日本人同士でやり取りできるもメリットです。求める品質レベルの認識に差異が出にくく、細かな提案をやりとりできる良さがあります。加えて、国内で完結するニアショア開発は対面での打ち合わせが容易で、密なやり取りが可能です。
コスト削減がメリットのニアショア開発ですが、優秀な人材は給与が高く、思ったよりも人件費の削減効果がないことがあります。また、オフショア開発に比べて対面での打ち合わせが容易な反面、交通費がかさむ恐れがあるでしょう。大幅なコスト減を見込んでいると、「期待したほど効果がなかった」と感じることがあるかもしれません。
関連記事 : システム開発で人件費を削減するには
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続いて、オフショア開発のメリットとデメリットを確認していきましょう。
日本より物価が低い地域に開発を委託すれば、人件費を大幅に削減できます。また、人件費が安価な分、多くのエンジニアを集めて納期までの時間を短縮することが可能です。エンジニアの数を増やせば、大規模な開発にも対応しやすいでしょう。
オフショア開発でデメリットとなるのが、開発チームとの距離感。基本的にはインターネット電話などでやり取りするため、ニアショア開発に比べて対面で会う頻度は少なくなります。加えて、外国人エンジニアとの間には言葉や文化の壁があり、細かなニュアンスを伝えるのが難しい場面も。仕事に対する姿勢の違いから、「成果物が求めるレベルに達していない」というトラブルも起こりがちです。地域によっては時差があり、スムーズにコミュニケーションがとれないと感じることもあるでしょう。
オフショア開発では、委託する地域の経済状況や為替の変動リスクも加味する必要があります。該当地域の物価が上昇すれば現地の賃金も挙がりますし、円安が進めば人件費の支払い額が増えてしまいます。加えてオフショア開発は、委託先となる国の政治や社会情勢の変化によって損害を被る「カントリーリスク」の危険もはらんでいます。
※本記事は2020年9月時点の情報を基に執筆しております。
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