2022年2月3日
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
加藤 大樹
NTTデータの自社サービス「CAFIS」のインフラエンジニアとしてキャリアをスタートし、新規サービスの企画・開発、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャーを経験。その後、コーポレートスタッフとしてNTTデータグループ全体の人財開発に関わり、デジタル時代に対応した社内認定制度へのアップデートを実施した。現在は、テクノロジーデザイン統括部にて、技術者を束ねる組織全体のマネジメント・戦略策定に関わりつつ、デジタルペイメント開発室で「Digital CAFIS」における人財育成施策を主導する。
エンジニアの採用担当者に選考のポイントや求める人物像について尋ね、現場のリアルな声を届ける「採用担当者の本音」シリーズ。第2回目は、株式会社NTTデータのITサービス・ペイメント事業本部 デジタルパートナー事業部 テクノロジーデザイン統括部 部長、加藤大樹さんに登場していただきます。
言わずと知れた日本最大手のSIerであるNTTデータ。その中でもテクノロジーデザイン統括部にフォーカスして、求めるエンジニア像について伺いました。
ITサービス・ペイメント事業本部に属する組織で、事業本部のお客さまを中心に、インフラ案件や技術的な支援を行っている技術者集団です。約80名のメンバーで、誰もが知る大手流通系企業や世界的なアパレル企業、交通・旅行観光・広告・教育・公営競技など、幅広いお客さまの対応をしています。
組織自体は昔からありますが、2019年に「テクノロジーデザイン統括部」という今の名称に変わりました。請け負う案件は基盤開発が中心ですが、開発が始まる前の上流のタイミングから入って、お客さまに提案を仕掛けたり、どの技術が最適なのか検証したりしているんです。「もっと案件の上流から関わっていく」という意思を込めて「デザイン」というキーワードを入れています。
この組織には、忙しいながらも「技術の力でお互いを助け合おう」というマインドを持った人が多いかなと思います。コロナ禍で勉強会など情報共有の機会は減ってしまいましたが、最近また積極的にやっていこうとしているところです。技術的なテーマで盛り上がることは多いですね。
一番求めているのは基盤系の技術者です。今さまざまなポジションで求人を出していて、率直に言えばどのような方でもウェルカムですね。基盤系の技術者は採用マーケットでは引く手あまたですから。
中でも特に求めているのは、何かしら得意技を持っている人ですね。働き方を刷新するための統合OA環境の仕組み設計や、データ分析を下支えする基盤開発、従来のインフラ開発、クラウドネイティブな開発など、テクノロジーデザイン統括部が扱っている技術領域は非常に幅広い。入社後はまず得意技を生かせる案件に入っていただくことを想定しています。
その後は本人のキャリア志向に合わせて、「アーキテクト」と「スペシャリスト」の大きく2つのキャリアパスを用意しています。技術の幅を出すような「アーキテクト」と、特有領域を深堀する「スペシャリスト」の双方がこの組織には必要なので、本人と相談しながら、柔軟に考えていきたいと思っています。
ビジネスの大きさや社会的影響力の強さに惹かれる人と、「自分の技術力を生かしてお客さまに貢献するために、より技術力を磨きたい」というモチベーションの人がいますね。特にSIerから応募してくる方だと「より大きな規模の案件にチャレンジしたい」という人がほとんどです。
一方で事業会社から応募される方は、「より広いフィールドに出て、自社ビジネス以外の案件にも関わりたい」という方が多いですね。「自社プロダクトに携わる中で、IT業界そのものへの意欲が増した」といった理由で当社を志望していただくこともあります。
最も重視しているのは「人となり」です。もちろん技術力も評価します。とはいえ技術力は入社後に伸ばせても、思考やマインドは変えられないものです。
NTTデータが求めているのは、グレーゾーンをつくらない人。基盤系の技術者には、自分の仕事を「線引き」したがる人が比較的多い気がします。大きなプロジェクトになればなるほどセクショナリズムが強くなり、基盤以外の改善点に気づいてもあやふやにしておいて積極的に働きかけない、という考え方になりがちです。
その考え方自体間違ってはいませんが、もう少し高い視座を持ってほしいなと私は思います。エンジニアという領域を超えて、お客さま視点でプロダクト全体、サービス全体を俯瞰してからやるべきことを考えたほうが、より高い価値が出せるはずです。そういう全体最適の視点を持って手を動かせる人がいると、案件はスムーズに動きます。
一方で私個人が考える良いエンジニアとは、自らトラブルに飛び込んでいける方です。基盤開発にはトラブルがつきものですから、そういうときに最前線へ出て行って、解決しようというマインドを持っている人は良いなと思います。仕事をする際のポリシーをきちんと持ち合わせている人は好印象ですね。
皆さん過去の案件や技術スタック、チーム内の役割やポジションを職務経歴書に書いてくださっているので、それを元に確認をしています。例えば、技術的なキーワードとともに具体的な仕事の内容がわかるように書いている人は、扱っている技術をしっかり理解した上で仕事をしているのかなと想像できます。技術的なキーワードが羅列されているだけではスキルの証明にはならないですけどね。
また、応募者の年齢が上がるほど、技術力とマネジメントスタイルの双方を確認するようにしています。マネジメントとスペシャリストのどちらのキャリアパスが合いそうか想像した上で、面接を通して本人の志向を確認しています。
応募者のご経歴やスキル感に合わせて質問設計を行っているため、必ずする質問はとくにありません。ただ、私がよく聞いているのは、これまで携わった案件の中で、一番大変だったプロジェクトの話です。本人が一番アピールしたい経歴から、ある程度レベル感が見えてきます。
採用プロセスとしては、基本書類選考から始まり、適性検査および2回の面接を経て、採用条件のすり合わせを行います。テクノロジーデザイン統括部では選考の場以外にも、お互いの理解をより深めるためにカジュアル面談を多く行っています。
当社への志望度が低い方や転職自体に迷いがある方もいるので、カジュアル面談を通じていかに当社への興味を上げてもらうかを意識しています。具体的には本人の希望や状況、今後目指したいキャリア像などを伺いながら、それに対して当社が何をできるのか、どのような活躍の場を提供できるのかをお伝えすることが多いですね。
面談では組織にいる人の魅力も多く語るようにしています。優秀なエンジニアほど、同じように優秀なエンジニアと一緒に仕事をすることで切磋琢磨し、お互いに成長できる環境に身を置きたいと望むもの。だからこそ相手の望む案件やポジション、キャリアの近い社員の例を伝えることで、当社への気持ちを高めていただけるよう心がけています。
「全体最適で動けるか」「前向きに対処しているか」「グレーゾーンやトラブルに対して自発的に動けるか」を意識しながら、過去の案件や仕事の仕方について聞いています。特にトラブルに遭ったときに技術でどう解決したのか、あるいはチームやお客さまに対してどういう働きかけをしたのかを聞くことが多いですね。
また、コミュニケーション力も重視して見ています。われわれは技術力だけを追い求める部署ではなく、お客さまと一緒に事業を成長させていく部署ですから、会話が噛み合わない人は難しいかなと思います。
あとは、人となりやストレス耐性を知るために、その人のバックグラウンドについて触れることもあります。開発現場はストレスがかかるので、息抜きの仕方を持っているか、仕事以外のコミュニティーがあるかなどを可能な限り確認するようにしています。面接で見極めるのは難しいですが、ある程度のストレス耐性があった方がいいとは思います。
基本的に新しくジョインしたエンジニア全員にメンターをつけています。経験の浅い人であれば仕事に慣れるまで丁寧に伴走しますが、年次が上の人の場合は何度か転職経験のある人も多いので、わからないことをサポートするくらいですね。そこは個々人に合わせて対応しています。
また、最初のうちは個人ではなくチームでサポートできるような形で現場に入れるようにし、フォローができる体制を整えるように心掛けています。他にも1on1で状況を確認したり、意識的に話しかけたりするようにもしています。
とにかく案件の幅が広いこと。それが一番の特徴だと思います。最新技術に敏感な多様なお客さまがいて、さまざまな技術を磨ける環境がある。オファーを出した方から、仕事内容が理由で辞退されたことはほとんどありません。希望にマッチした案件を提示できると思います。
当社のエンジニアはどちらかというとアーキテクト寄りの人が多く、ずっと同じ仕事をする人の方が少ないんです。1年程度のサイクルで案件が変わるパターンが主流で、必ずしも希望通りにアサインできるわけではありませんが、「ここで技術の幅出しをしましょう」など、アサインの意図は説明するようにしています。
「どういう人になりたいか」「何がしたいか」など、未来をポジティブに描き、ご自身の希望を明確にしていただけると良いですね。
実は私は当部署に異動する前はコーポレートで人事をやっていました。そのときの経験から、人は仕事を通じて成長するのだと実感しています。個々人の成長に資する仕事とマッチングすることも採用担当の仕事です。みなさんのやりたいことをぜひ教えていただきたいですね。当社の強みは多様な案件があることですから、できる限りかなえられるように尽力したいと思います。
取材・執筆:天野夏海
撮影:若子jet
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