周囲のWi-Fiを電気刺激で感じ取れるシステム「Wi-Fi Twinge」 信号強度に応じて手がピクピク【研究紹介】

2024年2月16日

山下 裕毅

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オーストラリアのモナシュ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Exploring Superpower Design Through Wi-Fi Twinge」は、目に見えないWi-Fi信号を検知すると体に電気を流すシステムを提案した研究報告である。このシステムは「Wi-Fi Twinge」と呼ばれ、強いWi-Fi信号のもとでユーザーの手がピクピクと動くように電気筋肉刺激(EMS)を使用。人間が周囲のWi-Fi信号を感じ取られる、身体的な感覚を提供する

▲Wi-Fi Twingeは周囲のWi-Fi信号を拾い、EMSによって身体に刺激を与える

研究内容

Wi-Fi Twingeの構成は、2つの主要な部品から成る。1つ目はRaspberry Piで、これは周囲のWi-Fi信号の強さを継続的に監視する役割を持つ。2つ目はEMSデバイスで、2つの粘着性の電極パッドを備えている。

▲Wi-Fi Twingeのコンポーネント

システムは2.4GHzと5GHzのWi-Fi信号を検出。2秒間にわたる信号強度の平均値を取得し、平滑化したうえで、5秒ごとのエポックにて分類システムに送る。このシステムは信号強度の総デシベル(dBm)を測定し、対数スケールを適用して最大値を制限している。信号強度は5つのレベルに分類され、それぞれに応じた刺激を引き起こす。検知したWi-Fi信号の強さに応じて、前腕に取り付けた2つの電極パッドから刺激を行う。負の電極は指の屈筋と手首の屈筋の間に、正の電極は前腕の腱部分に配置される。刺激により、指や手首の屈曲、さらには親指の内転が起こる。

▲EMSの電極配置と指の屈曲

研究結果

Wi-Fi Twingeの評価をするために実施した実験では、参加者12人が連続5日間、毎日30〜40分このシステムを装着し、体験をした。体験後のインタビューの結果、参加者はWi-Fi Twingeのコンセプトや体験について「魅力的」、「驚き」、「興味深い」と回答。またEMSの刺激により日常の活動への影響や集中力への干渉を受けたり、社会的相互作用で恥ずかしさを感じたりすることもあった。

同時に、一部の参加者は、日常生活の中でWi-Fi信号がどれだけ広範囲にわたって存在しているかに気づき、Wi-Fi信号が自分の健康にどのような影響を与え得るかについて意識するようになった。

▲Wi-Fi Twingeシステムを装着した参加者の日常動作

Source and Image Credits: Siyi Liu, Nathan Semertzidis, Gun A. Lee, Florian ‘Floyd’ Mueller, and Barrett Ens. 2024. Exploring Superpower Design Through Wi-Fi Twinge. In Proceedings of the Eighteenth International Conference on Tangible, Embedded, and Embodied Interaction (TEI ’24). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 4, 1–16. https://doi.org/10.1145/3623509.3633352

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