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派遣会社から派遣される「エンジニア派遣」の市場規模はどのくらいなのでしょうか。令和元年6月1日時点で、派遣労働者数は約157万人。そのうち、エンジニア派遣が含まれているとされる「情報処理・通信技術者」の派遣労働者数は、約14万人と算出されています(「労働者派遣事業の令和元年6月1日現在の状況」より)。
このコラムでは、エンジニア派遣の市場規模や現状、これからについて解説します。現在、エンジニアの採用を考えている企業の方は、ぜひご参考にしてください。
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目次
まず、そもそもの「派遣」についての説明と、エンジニア派遣の特徴や種類について確認しておきましょう。
「派遣」とは、派遣会社に登録した人材が、派遣された企業で働く雇用形態です。派遣先の企業は、人材とは直接雇用契約を結ばず、人材の所属する派遣会社と「労働者派遣契約」を結びます。
派遣社員には、主に「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」という2種類の働き方があります。下記で、各特徴を見ていきましょう。
有期雇用派遣は、派遣会社から派遣案件ごとに雇用契約を結ぶ形態です。有期雇用派遣の場合、相談次第で、契約期間終了後に契約更新して社員を留まらせることも可能とされています。ただし、契約更新期間には上限があるため、更新の際は注意が必要です。また、社員が別の企業で働きたいという意思を示せば、契約は更新されず満了となります。
無期雇用派遣は、派遣会社と契約し、仮に派遣先の企業が見つかっていない「待機期間」の場合でも報酬の一部を得ることができる雇用形態です。しかし、一つの派遣先企業で雇用期間が終了すると、すぐ次の派遣先企業を紹介されるのが一般的です。
エンジニア派遣は、「派遣」という雇用形態のなかで、主にIT分野の業務を担う社員を指します。
先ほど、派遣の区分として「無期雇用派遣」と「有期雇用派遣」をご紹介しました。エンジニア派遣では、その2つの形態を「登録型派遣」と「常用型派遣」と表現することがあります(※他職種の派遣でも同様に「登録型派遣」「常用型派遣」の呼称が用いられる場合もあります)。大枠は説明したとおりですが、エンジニアの派遣の特徴として、双方の違いを見ていきましょう。
登録型派遣は、派遣されたエンジニアと契約期間の終了まで雇用契約を結びます。雇用する期間が定められているため、先述した「有期雇用派遣」にあたります。
登録型派遣に登録しているエンジニアのなかには、フリーランスとして独立することを見据えている人も多くいるようです。そのため登録型派遣は、スキルアップのため多くの現場で経験を積み、貪欲に新しい技術・知識を吸収しているエンジニアが多い傾向にあるといえるでしょう。
常用型派遣は、派遣会社が「正社員」または「契約社員」として常時雇用するエンジニアを派遣先企業へ派遣する形態です。こちらは、「無期雇用派遣」にあたります。企業は、派遣会社と労働者派遣契約を結び、自社に必要なエンジニアを派遣してもらいます。
登録型派遣と違い常用型派遣のエンジニアは、企業で契約が終了したあとも、登録している派遣会社で雇用が継続されます。
参考:厚生労働省-労働者派遣事業関係業務取扱要領 第7 労働者派遣契約
関連記事 : エンジニア派遣のメリット・デメリット
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ここからは、エンジニア派遣の市場規模を、厚生労働省の「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」と「労働者派遣事業の令和元年6月1日現在の状況(速報)」のデータを用いて説明していきます。
「労働者派遣法第23条」に基づき、派遣会社は「当該事業所の事業年度ごと」「6月1日現在」の事業報告を厚生労働大臣に提出する義務があります。厚生労働省は毎年、事業報告に基づいた結果を「労働者派遣事業報告書の集計結果」にまとめて発表しています。
下記では、「労働者派遣事業報告の集計結果」を用いて、派遣市場の主なデータをご紹介します。
令和元年年6月1日現在で、派遣労働者数は約157万人(前年比:17.3%増)と算出されています。そのうち、無期雇用派遣労働者は550,625人。有期雇用派遣労働者は1,015,174人です。
また、エンジニア派遣が含まれていると予想される「情報処理・通信技術者」の派遣労働者数は、全体で141,107人。うち、無期雇用派遣労働者が116,257人。有期雇用派遣労働者が24,850人です。
この結果から、無期雇用派遣で働くエンジニアの数が、有期雇用派遣に比べ圧倒的に多いことが分かります。
「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、派遣市場全体の年間売上高は6兆3,816億円。
また、エンジニアが含まれるとされる「情報処理・通信技術者」の8時間換算の平均賃金は、18,930円(2018年度)です。うち、無期雇用派遣労働者の平均が19,354円。有期雇用派遣労働者の平均が17,658円となりました。
無期雇用派遣のほうが、有期雇用派遣に比べ、平均賃金が若干高いことが分かります。
参考:厚生労働省-「平成30年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」
参考:厚生労働省-「労働者派遣事業の令和元年6月1日現在の状況(速報)」
参考:労働者派遣法第23条
関連記事 : 技術者派遣の市場規模は?現状や今後の展望をわかりやすく解説
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現在、AIやIotなどのIT分野で投資の拡大が続くなか、IT人材不足の顕著化が問題になっています。
経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年には約45万人のIT人材が不足すると予想されています。
そんな、目まぐるしくIT需要が変わる近年。専門的知識を有するエンジニアを活用できる「エンジニア派遣」は、IT人材を確保する手段として、あらゆる企業で認められはじめています。
また、フリーランス特化型エージェントといった、案件単位でマッチングを行える各種サービスが充実してきたこともあり、フリーランスとして働くエンジニアも増えてきました。働き方の多様化に伴い、エンジニアが働くための選択肢も広がっていることが伺えます。そのため企業側も、多様化するエンジニアの獲得方法に順応していく必要があるでしょう。
急速に発展し、変わり続けるトレンドのなかで、都度自社ニーズに合致したエンジニアを確保するために必要なことは、「人材要件」を明確にすることといえます。
多様化・細分化していくIT技術の中から自社に必要な能力を見極め、現場とのミスマッチを減らしていく努力が大切です。そのため、現場だけではなく、採用担当者もエンジニアの現状やスキルをよく理解しておきましょう。
参考:経済産業省-「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
関連記事 : エンジニア派遣業界の特徴とは
※本記事は2020年5月時点の情報を基に執筆しております。
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