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最終更新日:2024年9月12日

派遣契約の禁止事項とは?企業が理解すべき10の注意点を解説

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「派遣契約における禁止事項を知りたい」

このような疑問をお持ちの方に向け、ここでは派遣契約で禁止されている10の項目をそれぞれ解説します。これらの違反行為が発覚した場合は、違反した法令に応じて罰則が課される可能性があります。
このコラムでは、違法行為発覚時の罰則内容や派遣サービス活用のポイントを解説します。派遣契約の利用を検討している方や現在活用中の方は参考にしてください。

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派遣契約における10の禁止事項とは?

派遣契約とは、厚生労働大臣から派遣事業の運営許可を得た派遣元企業が、自社の雇用する労働者を他の企業に派遣し、その企業の指揮命令下で働かせる際に結ぶ契約です。派遣契約は急に人員が必要になった際や人件費の効率化などの観点で役立ちますが、注意すべき点も多々あります。派遣契約の活用を検討している場合は、派遣契約の禁止事項も理解しておきましょう。

なお、派遣契約の禁止事項は次の通りです。それぞれ解説します。

  • ・労働者派遣が禁止されている業務への従事
  • ・日雇いでの労働者派遣
  • ・派遣社員の事前面接
  • ・派遣契約で定められていない業務
  • ・契約書に記載がない部署での業務や異動
  • ・派遣会社の三六協定を超えた業務時間の指示
  • ・同一組織で3年以上の業務
  • ・契約にない接待や出張の指示
  • ・二重派遣
  • ・急な派遣契約の中途解除

1.労働者派遣が禁止されている業務への従事

労働者派遣法では、一部業務の労働者派遣が禁止されています。具体的には下記業務は「適用除外業務」といい、派遣を行うことはできません(労働者派遣法第4条)。

厚生労働省「第2 適用除外業務等」を参考に当社で作成

依頼する業務が上記に該当しないように注意し、もし判断に迷う場合は、自身で判断せずにまずは派遣会社に相談しましょう。

2.日雇いでの労働者派遣

派遣契約では、一部の例外業務を除き日雇い派遣は原則禁止されています(労働者派遣法第35条の4)。ここでの日雇いとは、「1日単位での雇用」または「30日以内の業務」です。

なお、日雇派遣が可能な条件は下記の通りです。

  • ・60歳以上の者
  • ・雇用保険の適用を受けない学生
  • ・副業として従事する者(世帯年収が500万円以上の者に限る)
  • ・主たる整形者以外の者(世帯年収が500万円以上の者に限る)
  • ・日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務(日雇派遣の例外
  • 業務)

このうち、「日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務」に関して、例えば下記の業務などが該当します。

参考:厚生労働省「日雇派遣の原則禁止について

上記の条件以外では日雇い派遣はできないため、派遣の利用を検討する場合は注意しましょう。

3.派遣社員の事前面接

派遣契約では、派遣先企業による派遣労働者の選定は禁止されています。派遣先企業が派遣労働者を指名することはもちろん、派遣契約の開始前に派遣先企業が面接を行うこと、派遣先企業に履歴書を送付させることなどは原則できません。

顔合わせの形での事前面談は可能ですが、選考要素のある面接を行い派遣労働者を選定することは認められていません。

ただし、正社員登用を前提とした派遣契約である紹介予定派遣であれば、契約前の面接が可能です。

4.派遣契約で定められていない業務

派遣契約では、派遣契約書に記載のない業務に派遣労働者を従事させることはできません。通常、派遣契約時は派遣元企業と派遣先企業の間で、派遣労働者が担当する業務内容を派遣契約書に明記します。

派遣契約の締結後、この契約書に記載のない業務に従事させることはできません。そのため、派遣労働者に依頼する可能性がある業務は契約時に明記しておきましょう。詳細な契約内容を知らない現場社員から派遣労働者へ契約外の業務指示が行われていないかも、定期的にチェックする必要があります。

5.契約書に記載がない部署での業務や異動

派遣契約書に記載の無い部署への異動はできません。派遣契約では、あらかじめ派遣先での業務内容や就労場所、部署を取り決める必要があります。そのため、契約書に記載の無い部署で業務に従事させることは契約違反となります。

特定の部署で急遽欠員が発生し、そちらの業務を派遣社員に手伝ってもらいたい場合も、派遣契約書に記載の無い業務に従事させることはできません。

部署を異動して他の業務を担当してもらいたい場合や、今後その可能性がある場合は、必ず事前に派遣会社に相談をしましょう。

6.派遣会社の三六協定を超えた業務時間の指示

派遣契約では、派遣契約書に記載の無い残業はさせることはできません。労働基準法に関する責任は基本的に派遣元企業が負いますが、派遣社員の労働時間管理は派遣先企業が責任を持つ必要があります。

また、契約書に残業の記載があっても、派遣元企業の三六協定を超えた業務時間の指示はできないと理解しておきましょう。例えば、派遣元企業が雇用する派遣労働者との間で「残業は2時間まで」「休日労働はなし」などの協定を結んでいる場合、派遣先企業はこの範囲を超えた労働の指揮命令はできません。

7.同一組織で3年以上の業務

派遣契約では、一部の例外を除き、同じ事業所で3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れることは原則できません。同じ派遣労働者との派遣契約を同じ事業所で継続する場合は、派遣先事業所の過半数労働組合から意見を聴くことで、3年を上限として派遣期間の延長が可能です。

ただし、事業所単位で派遣期間を延長した場合でも、派遣先の課やグループは変更する必要があります。つまり、同一の課やグループなどの組織単位では、同じ派遣労働者と3年以上の派遣契約はできません。

関連記事:派遣契約は最長どれくらい?派遣を利用する企業が知るべき3年ルールとは

8.契約にない接待や出張の指示

就業後の接待を強制したり、契約書に記載の無い出張を指示することも、派遣契約では禁止されています。やむを得ずどうしても必要な場合は、事前に派遣会社に相談したうえで派遣会社と派遣労働者双方から同意を得ておきましょう。

9.二重派遣

派遣会社から派遣された労働者を、さらに別の企業に再派遣することは二重派遣に該当します。二重派遣は労働者供給に該当し、職業安定法違反になる可能性があります。

二重派遣は、派遣契約の労働条件が守られなくなったり、責任の所在が不明瞭になったり、関わる企業の増加により中間マージンが増え、結果的に派遣労働者の賃金が低くなったりする可能性があることから禁止されています。

二重派遣にならないよう、契約時の指揮命令系統の確認や定期的な実態調査などを行うなどしましょう。

10.急な派遣契約の中途解除

派遣先企業からの急な派遣契約の中途解除はできないため注意が必要です。仮に派遣先企業の意向で派遣契約を解除する場合は、派遣元の合意はもちろん、事前に相当な猶予をもって契約解除の申し入れを派遣会社にする必要があります。

なお、派遣先企業の都合で派遣契約の中途解除を行う場合、「新たな就労機会(派遣先)の確保

」が求められます。確保できない場合、中途解除によって生じた派遣会社の損失への損害賠償が必要になる可能性もあります。

参考:厚生労働省「派遣先の事業主の皆さまへ 労働者派遣契約の安易な中途解除はしないでください

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禁止行為が発覚した際のペナルティ

派遣契約における禁止事項に抵触した場合、どの法令に違反したかによってペナルティは異なります。ペナルティの例として、行政からの業務改善命令や助言、社名の公表、罰金や懲役などが課される可能性があります。これらのペナルティをうけることになれば、事業運営にも多大な影響があるため、派遣サービスの利用時は契約内容をよく理解して細心の注意を払いましょう。

派遣契約のメリットとデメリット

派遣契約を利用する際は、そのメリットとデメリット双方を理解し、自社が達成したい目的に合っているか、派遣社員をうけいれる体制があるかなど複合的な側面から検討しましょう。

メリット

派遣契約のメリットは、「スピーディーな人材調達の実現」「指示を出しながら業務を進められる」の2つです。

例えば、急遽欠員が発生し人員の補充が必要になった場合、すぐにマッチする人材を見つけるのは簡単ではありません。また、仮に人材が見つかったとしても、中途採用の場合は内定から入社までの間に数ヶ月かかることが一般的です。一方、派遣であれば比較的スピーディーに必要な人員を確保できるでしょう。

また、派遣先企業に派遣労働者への指揮命令権があることも派遣契約のメリットです。業務委託契約では、クライアントに指揮命令権は認められておらず、フリーランスに対して業務や勤怠に関する指示を出すことはできません。しかし派遣契約であれば、派遣先企業から派遣労働者に指示を出しながら柔軟に業務を進めてもらうことができます。

スピーディーな人材確保が必要で、指示をしながら業務を進めてもらう必要がある場合は派遣契約が適しているでしょう。

デメリット

派遣契約のデメリットは、場合によっては派遣社員に研修が必要で即戦力になりえない場合があること、また派遣先企業への帰属意識が薄くなりがちな点です。

派遣の場合、業務委託と比較するとハイスキル人材ばかりというわけではないため、必ずしも依頼したい業務に関する経験や知識を保有しているわけではありません。その場合は、最初は派遣社員に対して教育期間が必要なことを理解しておきましょう。

また、派遣社員は案件ごとに様々な企業に常駐します。そのため、派遣先企業への帰属意識はどうしても弱くなりがちです。従業員と同等のモチベーションを持ってもらうことは難しいことも理解しておきましょう。

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派遣サービス活用の3つのポイント

派遣サービスをうまく活用するためには3つのポイントを抑える必要があります。それぞれ理解しておきましょう。

任せる業務範囲を明確にする

派遣サービスを利用する前に、何を任せたいのか明確にすることが非常に重要です。どれくらいの範囲のどんな業務を任せたいのか具体的に考えておきましょう。この定義が曖昧だと、派遣社員のパフォーマンスが最大化されなかったり、そもそも契約外の業務をさせてしまい契約違反になったりする可能性もあります。

事前に依頼する可能性がある業務は洗い出し、違法行為につながるリスクを潰し込んでおきましょう。

業務の手順や社内ルールのインプットを疎かにしない

派遣社員のパフォーマンスを最大限引き出すには、できるだけはやく業務の手順やルールを正確に理解してもらう必要があります。しかし、派遣社員は一定期間で入れ替わる可能性があり、特定の派遣社員のみを派遣し続けてもらうことはできません。

そのため、派遣社員が入れ替わったとしても効率的に業務のインプットを行うために、あらかじめマニュアルを作成しておくと良いでしょう。

派遣社員と正社員で扱いを変えない

派遣社員と正社員で扱いを区別したり、接する態度を変えたりすることは避けましょう。対応を変えることで派遣社員が疎外感を感じてしまい、業務の遂行に支障が出たり、パフォーマンスに悪影響が生じたりする可能性もあります。

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