最終更新日:2025年9月12日

2030年問題とは?企業が直面する課題と今から始めるべき対策を解説

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「2030年問題」という言葉を聞いたことがあるものの、具体的にどのような問題なのか、自社にどう影響するのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、2030年問題の概要と企業・社会への影響を解説します。また、2030年問題の影響が特に懸念されている業界の例や対策方法もまとめました。今から準備を始めることで、この避けられない課題に効果的に対応し、自社の持続的成長を実現しましょう。

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2030年問題とは?

2030年問題とは、少子高齢化による労働人口の減少が深刻化し、顕在化すると想定されている社会問題の総称です。主に、人材獲得競争の激化や社会保障費の増大、経済の縮小といった課題が顕在化すると懸念されています。

パーソル総合研究所が発表した労働需給予測によると、2030年には625万人もの労働力不足が見込まれています。2035年になると労働力不足は761万人にのぼると考えられており、より人手不足は深刻化する想定です。

労働市場の未来推計

引用元:労働市場の未来推計2035|パーソル総合研究所

また、2030年問題に関連する社会課題として、2025年問題、2040年問題、2054年問題が挙げられます。これらの問題はそれぞれ性質が異なりますが、パーソル総合研究所が発表した2030年から2035年の労働市場の未来推計のように、時間の経過とともに社会への影響が深刻化していくという共通点があります。

それぞれの概要は以下の通りです。

  • 2025年問題:団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に達し始める時期
  • 2040年問題:団塊ジュニア世代が65歳以上に達し始める時期
  • 2054年問題:後期高齢者割合が全人口の約25%に達し「超々高齢社会」になる時期

2030年問題が企業経営に与える3つの影響

2030年問題が顕在化した場合、企業にはどのような影響があるのでしょうか。対策を検討するためにも、まずは具体的な影響を確認しておきましょう。

1. 人材獲得の競争が激化し採用が困難になる

労働人口の減少により、企業間での人材獲得競争が激しくなります。

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」によると、職業計の新規求人倍率(常用、除パート)は2.17倍です。
就業地別で見ると有効求人倍率が1倍を下回る地域はなく、福井県が1.89倍、富山県が1.69倍、香川県が1.63倍と高い倍率であることが分かります(令和7年7月時点)。

地域によって人材獲得競争の激しさに差はあるものの、既に2025年時点で労働力不足の影響が現れており、2030年にはそれがさらに顕著化すると予想されます。

2. 人件費が高騰し企業収益を圧迫する

労働人口が不足すると、人件費が高騰し企業収益を圧迫することも考えられます。労働力の需要と供給のバランスが崩れることで、人材確保のための人件費が上昇し、企業の利益率低下につながるからです。

人件費高騰の要因として、労働力不足により求職者の交渉力が強まることが挙げられます。転職市場が売り手市場となるため、企業には人材を確保するために給与水準の引き上げや福利厚生の充実を図ることが求められるでしょう。

3. 労働力不足により事業の縮小や停滞を招く

必要な人材を確保できない企業は、事業規模の縮小や新規事業への参入断念を余儀なくされ、成長の機会を失います。労働力が不足していると、生産性低下や顧客対応の質の悪化を招くからです。これらの要因により顧客評価が下がることで経営状態が悪化し、事業縮小につながります。また、既存事業の維持が困難な企業では、事業の拡大まで手が回りません。

さらに、労働力が不足すると従業員一人あたりの業務負担が増えます。この負担増により優秀な人材が転職を決断し、結果として、事業成長の低迷という悪循環を招く可能性があります。

特に、エンジニアをはじめとする専門スキルが必要な職種は、企業にとって大変貴重な人材です。そのため、多くの企業が魅力的な待遇を用意し、優秀な人材の確保に力を入れています。この状況は、専門職の方にとって転職しやすい一方、企業にとっては人材確保の難易度を高め、深刻な人材不足につながる可能性があります。
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2030年問題が社会全体に与える影響

2030年問題が社会全体に与える影響として、労働力不足による経済成長の鈍化や一部職業の雇用機会の減少、現役世代の社会保険料負担の増加などが予想されます。

労働力人口の減少は、企業の生産性低下や競争力の衰退を招き、GDP成長率の低下につながる可能性があるでしょう。
この労働力不足の問題は、経済成長の鈍化にとどまらない深刻な課題です。労働力不足の解決策として、DXが進められる可能性がありますが、DX推進は雇用機会の喪失につながる可能性も孕んでいるからです。
DXとは、デジタル技術を活用して業務プロセスを変革し、生産性向上や新たな価値創造を実現する取り組みです。人手不足の解消や業務効率化といった効果が期待されています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025」によると、2024年度の日本において「DXに取り組んでいる」と回答したのは合計で77.8%にのぼりました。

DXの取組状況

引用元:DX動向2025|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

AIやIoTなどの技術導入により、事務作業や単純労働が機械に置き換えられることで、これらの業務に従事していた労働者の雇用機会が減少するおそれがあります。

また、高齢者人口の増加に伴い、年金や医療費などの社会保障費が急増する一方で、それを支える現役世代の負担は増加します。生活が苦しいと感じる現役世代は増大すると考えられるでしょう。

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特に2030年問題の影響が懸念される業界

2030年問題はすべての業界に影響しますが、特に人材確保が難しい業界では深刻な打撃を受ける可能性があります。ここでは、特に影響が大きいと予想される業界を確認していきましょう。

IT・情報通信業界

2030年問題の影響を受ける可能性が高い業界として、IT・情報通信業界が挙げられます。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

IT需給状況

引用元:IT人材需給に関する調査|経済産業省

また、エンジニア採用においては、2025年時点で採用目標に対して影響が出ていることが明らかになっています。
レバテックの「IT人材白書2025」によると、2025年卒エンジニアの採用目標達成状況について「エントリー目標は上回ったが、採用人数を下回った(14.4%)」「エントリー目標も下回る予定で、採用人数も下回る予定だ(10.4%)」と回答した企業が全体の約4分の1を占めているのです。

採用目標の達成状況

この結果から、内定式の時期を過ぎても採用目標を達成できていない企業が一定数存在することが分かりました。
労働人口不足が採用目標未達成のすべての原因とはいえないものの、その一端は担っていると考えられるでしょう。

エンジニア不足が深刻化している背景や具体的な人材不足の解消策については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
エンジニアが足りないのはなぜ?原因と人材不足解消に必要な対策を解説

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建設・物流業界

建設業と物流業も、2030年問題に悩まされる業界とされています。

まず、一般社団法人日本建設業連合会の「建設業デジタルハンドブック」によると、建設業の就業者数は1997年の約685万人をピークに減少傾向が続いています。2024年の就業者数は約477万人とピーク時の69.6%にまで減少しており、2030年にはさらに就業者数の減少が深刻化していると予測できるでしょう。

建設業就業者数の推移

引用元:建設業デジタルハンドブック|一般社団法人日本建設業連合会

物流業界においても、人手不足が顕著です。経済産業省・国土交通省・農林水産省の「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、道路貨物運送業の運転従事者数の推移として、1995年から2015年までの20年間で約21.3万人が減少しています。2015年から2030年までの15年間では、約24.8万人が減少する見込みです。さらに、2028年度には約27.8万人ものドライバー不足が予測されています。

医療・介護業界

医療・介護業界も、高齢化の進行によりサービスの需要が高まる一方、労働人口の減少によってサービス提供者が不足するという深刻な問題に直面するでしょう。

厚生労働省の「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、看護職員の就業者数は増加を続け、2020年には約173.4万人となりました。しかし、2022年度の看護職員の有効求人倍率は約2.20倍と、全職業平均の約1.19倍に比べ約1.85倍高く、深刻な人材不足が続いています

看護職員就業者数の推移

引用元:看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

看護職員の有効求人倍率

引用元:看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

同資料によると、看護職員の需給バランスは地域や看護領域によって異なります。とはいえ、2030年時点ですべての地域・看護領域において看護職員が充足されるとは考えにくい状況です。

また、厚生労働省の「介護人材確保の現状について」によると、2025年3月の全職業の有効求人倍率は全国平均で約1.16倍である一方、介護関係職種では約3.97倍と約3.4倍の高さを示しています。看護職員と同様に地域による有効求人倍率の差はあるものの、全国的に人材不足が深刻な状況です。

介護分野の有効求人倍率

引用元:介護人材確保の現状について|厚生労働省

サービス・観光業界

飲食店や小売業、観光といったサービス業界も2030年問題の影響を受けると予測されています。

最近はインバウンド需要が高まっており、海外からの観光客は増加傾向にあります。国土交通省観光庁の「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」によると、2024年の訪日外国人旅行者数は3,687万人でした。

訪日外国人旅行者数の推移

引用元:訪日外国人旅行者数・出国日本人数|国土交通省観光庁

サービス業界では、以前から不規則なシフト勤務や休暇取得の困難さ、低賃金、過度な接客要求などが課題として指摘されてきました。近年は、これらの課題対応に加えて外国語対応や異文化理解といったスキルが求められるようになり、従事へのハードルはさらに高まっています。
2030年に向けた就業希望者の増加を見据えると、これらの課題解決が急務といえるでしょう。

2030年問題に対して企業ができる対策4選

2030年問題は避けられませんが、今から対策を講じればその影響は軽減できます。ここでは、企業が取るべき具体的な対策を紹介します。

1.柔軟な働き方ができるように整備する

2030年問題に対応するためには、柔軟な働き方の整備が必要です。人材が働きやすい環境を作ることで、子育てや介護との両立、自己啓発、余暇の充実など、求職者の多様なニーズに応えることができるため、求人に対する応募の増加が期待できます。

具体的には、リモートワーク制度やフレックスタイム制度、短時間勤務制度などの導入が効果的です。

レバテックの「リモートワークに関する実態調査」によると、現在リモートワークをしていない人のうち「今後リモートで働きたいか」と回答した人は42.2%を占めていました。

リモートワークの希望割合

また、コロナ禍を機にリモートワークを実施しはじめた従業員のうち、43.7%が出社回帰が「同じ職種での転職を検討するきっかけになる」と回答しています。

出社回帰がキャリアに与える可能性

これらの結果から、リモートワークは、人材の確保につながる可能性を示唆しているといえるでしょう。

2.リスキリングを推進して社内の人材価値を高める

2030年問題への対策として、社内人材のリスキリング推進も欠かせません。リスキリングとは、新しい職務や役割、業務に対応できるよう、従業員の能力を再開発することを指します。技術の進歩や業務の変化に対応できる人材を社内で育成することで、採用や業務委託といった手段による人材確保に依存せずに競争力を維持できるようになるでしょう。

効果的なリスキリング施策としては、eラーニングシステムの導入や外部研修への参加支援、社内メンター制度の確立などが挙げられます。

3.DXを推進して生産性を向上させる

2030年問題に備えるには、DXの推進も重要です。労働力人口の減少が見込まれる中、少ない人員でも高い生産性を維持するには、デジタル技術の活用が不可欠だからです。業務プロセスを根本から見直し、デジタル化することで業務効率が飛躍的に向上します。

DX推進の具体策としては、定型業務の自動化や顧客接点のデジタル化による効率向上などが挙げられるでしょう。

ただし、DX推進は無計画で行うと失敗しやすく、期待した成果を得られないことがあります。DXの進め方を確認したい方は、以下の記事を参考にしてください。
【簡単に解説】DXとは?企業が推進すべき理由と実際の進め方

また、DX人材を確保する方法を知りたい方は、以下の資料をダウンロードしてください。

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4.従業員エンゲージメントを高めて人材の定着を図る

2030年問題対策として、従業員エンゲージメントの向上も極めて重要です。既存の人材に長く活躍してもらえれば、新規採用の負担軽減のみならず、組織の知識やノウハウの蓄積を維持でき、競争力の強化にもつながるからです。

従業員のエンゲージメント向上の具体的な方法には、明確なキャリアパスの提示や公正な評価制度の構築、職場環境の改善などがあります。また、従業員の意見を積極的に聞き入れる仕組みづくりや、チームワークを重視した組織運営も効果的です。

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2030年問題に関するよくある質問

ここでは、2030年問題に関するよくある質問に回答します。

Q. 2030年問題とは何?

2030年問題とは、日本の少子高齢化に伴い深刻化が予想される複合的な社会問題の総称です。労働力不足や社会保障費の増大などが主な課題として挙げられます。
たとえば、企業は人材確保が困難となり、生産性の低下や事業規模の縮小を余儀なくされる可能性が高まるでしょう。
社会的には、高齢者の年金や医療費などの社会保障費増大によって現役世代の負担が増加し、生活苦に陥る可能性が高まると懸念されています。

Q. 企業が2030年問題に備えてできることは?

2030年問題への対策として、企業にとっては従業員の確保・定着を図るための取り組みが重要になります。具体的には、柔軟な働き方の導入やリスキリングによる人材の育成、DX推進による生産性向上、従業員のエンゲージメント向上などが有効です。

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