最終更新日:2026年10月21日

人件費率とは?計算方法や業種別の適正目安、削減方法などを解説

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人件費率とは?計算方法や業種別の適正目安、削減方法などを解説

人件費率とは、売上高に対する人件費の割合を示す指標です。数値が高すぎると収益を圧迫し、低すぎると離職リスクを招くため、自社の適正水準を把握する必要があります。

この記事では、人件費率の計算方法を紹介します。適正な数値を判断する参考になるよう、最新の公的データに基づく業種別の平均もまとめました。さらに、人件費率が高い場合の改善策もお伝えします。

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人件費率とは

人件費率(売上高人件費率)とは、売上高に対し、どの程度人件費がかかっているのか表す指標です。企業の人件費を管理し、コスト削減を考えるうえで必要不可欠なデータだといえるでしょう。

人件費率は、以下のように高すぎても低すぎても問題が起こるため、自社の人件費率を把握し適正な数値になっているかを確認する必要があります。

  • 高すぎる場合:収益が圧迫され、事業投資や設備投資に回す資金が不足している可能性がある
  • 低すぎる場合:従業員への還元不足による離職率の上昇や採用難につながる可能性がある

人件費率を適正に保ちながら優秀な人材を確保するには、市場における最新の採用トレンドや人材が求める給与水準を把握しておくことが欠かせません。特に、採用競争が激しくコストコントロールが難しいIT・エンジニア領域においては、他社の動向を知ることが人件費管理の第一歩となります。

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人件費率の計算方法

人件費率は、人件費の合計を売上で割ると算出できます。具体的な計算式は以下のとおりです。

人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上 × 100

式を見てわかるとおり、人件費率は売上に対する比率のため「売上高人件費率」とも呼ばれています。売上高人件費率についての詳細は、以下の記事もご参照ください。
売上高人件費率とは?計算式や削減方法、業種別の適正目安などを紹介

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人件費に含まれる費用

人件費率を割り出すには、人件費としてかかった数値の把握が必要です。人件費に該当する項目には以下のものがあります。適切な計算ができるよう、ここでは正社員を対象とした場合の主な人件費を確認しておきましょう。

人件費に含まれる費用

給与手当

給与手当とは、雇用契約に基づいて支払う従業員の労働への対価です。給与手当には、以下の内容が含まれます。

  • 基本給
  • 歩合給
  • 賞与
  • 残業手当
  • 休日出勤手当
  • 職務手当
  • 扶養家族手当
  • 通勤手当
  • 住宅手当

アルバイトやパートなどの非正規従業員に発生する時給も、基本的には給与手当です。

法定福利費

法定福利費とは、福利厚生に関する保険料のなかでも法律によって支払いを義務付けられている費用の会社負担分を指します。法定福利費に該当する保険料は、以下のとおりです。

健康保険料

健康保険とは、従業員やその家族が傷病・死亡した場合や、出産の際などの出費に備える医療保険制度です。保険料は事業主である会社と従業員で半分ずつ負担します。

厚生年金保険

厚生年金とは、会社などに所属する人が加入する公的年金です。将来、国民年金に上乗せして給付されます。保険料は企業と従業員が半分ずつ負担します。

介護保険

介護が必要になった際、適切なサービスを受けられるよう費用の一部が給付される制度です。40歳になると支払い義務が生じ、企業と従業員が半分ずつ負担します。

労災保険

通勤を含む業務上で起こった事故や災害によって傷病・死亡が発生した場合、従業員または遺族に保険金が給付される制度です。企業は原則加入しなければならず、保険料は全額企業が負担します。

雇用保険

従業員が失業した際、一定期間給付金を受け取れる制度です。保険料は、従業員より会社側が多く負担します。

福利厚生費

福利厚生費は、従業員への慰安・健康促進・モチベーションアップなどを目的に、給与以外で用意する報酬・サービスに対し支払う費用を指します。法定福利費は法律で各種保険への加入・支払いが義務付けられていますが、福利厚生費は企業が任意で用意する報酬であるのが違いです。

たとえば、従業員旅行費、健康診断の受診費用、忘年会・新年会費などが該当します。ただし、福利厚生費として計上する際、下記の条件を満たさなければなりません。

  • 全従業員を対象としている
  • 常識的に考えて妥当な金額である
  • 現物支給ではない

基本的に上記のすべてを満たしていない場合、福利厚生費として計上できないとされているので、注意しましょう。

退職金

退職金は、従業員が退職する際、過去の労働に対する慰労金・対価として支払われるものです。退職金の支払い方法には、退職時に一括支払いする「退職一時金」と、年金方式で支払う「退職年金」があります。

従業員一人あたりの人件費の目安を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
従業員一人当たりの人件費はいくら?平均や賢い削減方法を解説

雇用形態別に見た人件費の扱い

上記で紹介した人件費の対象は、正社員でした。ここでは、パートやアルバイト、契約従業員、派遣、フリーランスの場合の人件費について紹介します。

パート・アルバイト・契約従業員

パート・アルバイト・契約従業員に関しては、人件費の対象範囲は正社員と同じです。雇用形態が違っても、給与をはじめ各種手当てや福利厚生費、教育費用などすべて人件費に含まれます。

派遣社員

派遣社員へ支払う費用(派遣料)は、派遣会社との契約に基づき支払うため、会計上の勘定科目は人件費(給与手当)ではなく「外注費」や「人材派遣費」として処理するのが一般的です。

常勤で正社員と同様の業務を行っている派遣社員が多い場合、計算上は派遣料を人件費として集計し、人件費率を算出するケースも見られます。

フリーランス

フリーランスへ支払う報酬は、自社と雇用関係を結ばないため、勘定科目としては人件費ではなく「外注費」や「業務委託費」として計上します。

外部のエンジニアやクリエイターなどのフリーランスを多く活用する企業では、実質的な人材コスト(人件費+外注費)として一括管理し、事業の人件費率を算出するケースもあります。

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人件費率の適正目安

人件費率の目安は業種によって異なるため、中小企業実態基本調査(中小企業庁)などの資料をもとに確認すると良いでしょう。以下は、同調査のデータをもとにした業種別の人件費率の目安です。

業種 人件費率
建設業 約18.0%
製造業 約19.4%
情報通信業 約31.2%
運輸業,郵便業 約29.0%
卸売業 約5.6%
小売業 約12.1%
不動産業,物品賃貸業 約11.7%
宿泊業,飲食サービス業 約28.8%
生活関連サービス業,娯楽業 約14.7%

出典:中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)/「3.売上高及び営業費用(2)産業中分類別表 1)法人企業」のデータをもとにレバテックが作成

※本表の数値は、売上原価の「労務費」と、販売費及び一般管理費の「人件費」を合算した数字を売上高で割って算出しています

※上記は各業種の大分類における人件費率です。同じ業種内でも、細かな事業形態(例:建設業における「総合工事業」と「設備工事業」の違いなど)やビジネスモデルによって人件費率は変動するため、大まかな目安として参考にしてください

人件費率が高いときの改善策

割り出した自社の人件費率が高すぎると感じたら、売上向上や採用人数の調整などの手段で対処しましょう。以下では、具体的な改善策を紹介します。

自社の課題を把握し売上を伸ばす手法を検討する

自社の売上を伸ばすことで、人件費率を下げられます。売上を上げる方法としては、新規顧客の獲得や既存顧客からのリピート率アップなどがあります。

まずは自社の課題を洗い出し、売上を上げるための最善策を見つけましょう。たとえば、自社の展開している商品やサービスが適正価格になっているか見直しをします。商品・サービスの説明が不十分だったり、展開方法がターゲットとマッチしていなかったりして売上が伸び悩んでいる可能性にも目を向けましょう。

ただ、売上が伸び悩んでいるのが市場環境によるものなどであれば、自社の対策だけではすぐに結果が出ないこともあります。そのような場合、自社で売上が減少している分野の改善を試みるよりも、売上が増加傾向にある分野の事業拡大・進出などを考えた方が効果的な場合もあります。

採用数を減らす

人件費削減の効果的な方法として、採用人数の削減が挙げられます。

仮に月収30万円の正社員を雇った場合、年間でみた人件費は500万円以上かかるといわれています。さらに退職金・備品費といった経費の増加を考えると、従業員を新たに雇うことでのコスト負担は大きいといえるでしょう。採用人数を減らせば、人件費の大幅な削減が見込めます。

採用数を抑えながら成果を維持するには、既存メンバーで仕事が回る仕組みを作ることが不可欠です。後述する工数管理や業務効率向上のポイントを意識し、生産性を向上させましょう。

人件費計算を時間単位で行う

人件費の計算を月単位や日単位で計算している場合は、「時間単位」での計算に切り替え細かな工数管理を行うことで人件費の無駄を省きましょう。

まずはプロジェクトや業務ごとに「人件費単価×作業時間」を算出し、どの業務にどれだけのコストが発生しているかを明確にします。業務ごとのコストを可視化することで、長引きがちな会議や過剰なクオリティ追求、非効率な作業フローに気づけるでしょう。

さらに、工数管理ツールなどを活用して想定以上に時間がかかっているタスクを抽出すれば、業務手順の自動化(RPAの導入など)といった具体的な改善策を打ち出しやすくなります。

業務効率を上げられるよう社内環境を整備する

社内の設備やITシステムを整えて作業効率を高めることが、結果として無駄な工数や残業を減らし、人件費率を下げることにつながります。パソコンが旧型のものだったり、導入しているシステムの操作性が悪かったりすると、作業効率が低下し、結果的に人件費がかさむ可能性があります。

PCの買い替えや操作性の高いツールの導入、業務自動化(RPAやAIの活用など)を進め、従業員がスムーズかつ短時間で成果を出せる環境を構築しましょう。

人事評価制度を見直す

人件費を適正値にするには、人事評価制度を見直すのも効果的です。なぜなら、人件費率が高くなっている場合、個々の成果に対して報酬額が過大になっている可能性があるからです。

成果を適切に給与・賞与に反映する評価制度を構築することで、固定費化しやすい人件費の適正管理が可能になります。また、正当な評価による報酬額の決定は、多くの従業員の労働意欲・生産性向上にもつながるでしょう。

人件費を削減するさらに詳しい方法については、以下の記事を参考にしてください。
人件費を抑える方法とは?具体的な方法やメリット・デメリットを解説

フリーランスを活用する

自社で正社員を雇用するだけでなく、フリーランスといった外部の人材を活用することも人件費率を適正化する手段です。

正社員の雇用には、各種社会保険料や福利厚生費、退職金積立などの固定費が発生します。一方、フリーランスのような業務委託にかかる費用は、必要な期間・プロジェクトに応じて調整できる「変動費」として管理できます。

特に、ITエンジニアやデザイナー、マーケターなど専門性の高い領域では、採用難やミスマッチによる採用コスト高騰のリスクを抑えつつ、即戦力人材の確保が可能です。レバテックフリーランスでは、予算や求めるスキルに合ったフリーランス人材をご提案いたします。無料での個別相談も行っているので、具体的な料金や他社の活用事例を知りたい場合は、ぜひお気軽にご予約ください。

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人件費率とともに見るべき指標

会社の利益は、人件費率だけで求められるものではありません。経営状況を調べる際は、人件費率以外のコストに関しても確認していく必要があります。主にどのような点に注目すべきか、代表例を紹介します。

労働分配率

労働分配率とは、粗利(売上総利益)に占める人件費の割合であり、「売上総利益人件費率」と呼ばれることもあります。

労働分配率は、人件費が適正な数値となっているか確かめる際に役立ちます。労働分配率が高いと人件費の割合が大きいといえ、従業員満足度は高い反面、数値によっては経営を圧迫している状態といえるでしょう。

労働分配率の計算式は以下のとおりです。

労働分配率(%)= 人件費 ÷ 粗利 × 100

必ずしも人件費率・労働分配率が低ければ良いというわけではありません。低すぎると、従業員へ十分な給料を支給できていない可能性があります。人件費を下げると従業員のモチベーション低下や、それに伴う辞職での人手不足、経営悪化などを招く恐れもあるので、施策を打つ際は十分に注意しましょう。

また、労働分配率は業種によって比率が大きく変わるため、業種ごとの比率を参考にすると良いでしょう。企業活動基本調査 2025年調査(経済産業省)には、業種別に2024年度の労働分配率が示されています。

  • 製造業:45.9%
  • 卸売業:43.7%
  • 小売業:46.7%

労働生産性

労働生産性とは、従業員一人あたりまたは1時間の労働あたりで得られる成果を算出した数値です。労働生産性が高いと、効率的に成果をあげられていることになります。

労働生産性の計算方法は以下のとおりです。

労働生産性=成果÷労働量(従業員数もしくは従業員数×労働時間)

人時生産性

人時生産性とは、従業員一人あたりが労働1時間のうちでどれくらいの粗利益を生み出せているかを図る指標です。人時生産性が高ければ、生産性も高いことになります。

以下の計算式で求められます。

人時生産性=売上総利益(粗利)÷総労働時間(従業員数×労働時間)

一人あたりの売上高

一人あたり売上高とは、売上高を従業員数で平均化した数値です。一人あたり売上高が高かったとしても、利益が生み出せているとは限りません。原価の上昇など従業員の生産性以外のコストが上昇していれば、純利益が減少することがあります。

計算方法は以下のとおりです。

1人あたり売上高=売上高÷従業員数

一人あたりの経常利益

一人あたり経常利益とは、経常利益を従業員数で平均化した指標です。事業全体の利益の平均値を指します。

計算式は以下のとおりです。

1人あたり経常利益=経常利益÷従業員数

一人あたりの付加価値(伸び率)

前期と比べて従業員がどれくらい成長しているかを測る指標です。算出した数値がプラスであれば、各従業員が成長していると判断できます。

計算式は以下のとおりです。

1人あたり伸び率=1人あたりの売上高(当期)÷1人あたりの売上高(前期)×100

一人あたりの人件費

従業員一人に対して、どれくらいの人件費をかけているかが分かる数値です。数値が高ければ、従業員一人あたりの待遇が良いと考えられます。

以下の計算方法で求められます。

一人当たり人件費=人件費÷従業員数

原価率

原価率は、売上高のうち原価にかかった割合を示す数値です。原価率が高いと得られる利益が少なくなります。人件費率が高くても、原価率を抑えられていれば利益を得ていけることもあります。経営状況について考えるときは、人件費率と原価は合わせて計算していくべきといえるでしょう。

原価率の計算方法は以下のとおりです。

原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 × 100

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人件費率に関するよくある質問

ここでは、人件費率に関してよくある疑問を解消します。

Q.人件費率の求め方を教えてください

人件費率は「人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上 × 100」の計算式で求められます。なお、経営状況を把握するには、人件費率以外にも労働分配率や一人あたりの売上高、原価率なども参考にしましょう。

Q.人件費率の目安を教えてください

人件費率の目安は業種や会社の規模により異なるため、中小企業実態基本調査(中小企業庁)などの資料をもとに目安を把握すると良いでしょう。同調査のデータをもとにレバテックが計算した結果では、製造業は約19.4%、小売業は約12.1%、情報通信業は約31.2%、宿泊業,飲食サービス業は約28.8%という数値でした。

Q.人件費率が高いとどうなりますか?

人件費率が高いと経営利益が少なくなります。すぐに事業に影響はなくても、徐々に経営を圧迫していく可能性があるでしょう。ただし、人件費率を低くしすぎると従業員のパフォーマンスに悪影響が出るリスクも発生します。人件費率の目安を知り、適正な水準を保つべきといえるでしょう。

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