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最終更新日:2024年11月8日

人件費率の適正は?計算方法や改善策もわかりやすく解説

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人件費率は、会社の利益を計算する際に必要な数字です。人件費の管理やコスト削減の施策を立てるうえで重要な指標になるので、経営者の方や企業で働いている方は知っておいて損はないでしょう。本記事では、人件費率の計算方法や種類、人件費率が高くなっている場合の対処法などをまとめています。ぜひご参考にしてください。

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人件費率の概要と計算方法

人件費率(売上高人件費率)とは、売上高に対し、どの程度人件費がかかっているのか表す指標です。会社の利益を計算する際に重要な数字となります。人件費率は、企業の人件費を管理し、コスト削減を考えるうえでも必要不可欠なデータといえるでしょう。

人件費率の計算方法

先述のとおり、人件費率(売上高人件費率)は「売上高のうち人件費が占めている金額」を表す数字です。計算式は以下のようになります。

人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上 × 100

人件費の合計を売上で割った数字が人件費率となります。

原価率の計算方法

ちなみに、上記の式の「人件費」を「原価」に変換すると、原価率を割り出せます。

原価率 = 原価 ÷ 売上 × 100

会社の利益を調べる際は、人件費率とセットで原価率も割り出しましょう。人件費率が高かったとしても、その分原価率を抑えられている場合、経営に問題がないという可能性もあるからです。

人件費率で経営分析する方法

人件費率を割り出すことで、主に「会社の人件費の負担」と「従業員への還元が適切なのか」が分かります。売上に対し人件費率が高すぎるときは、給料や外注費などを下げるなど適切な対処をする必要があるでしょう。

労働分配比率の計算方法

人件費の効果性を確かめる際に、「労働分配率」が使われることもあります。労働分配率とは、粗利(売上総利益)に占める人件費の割合で、計算式は以下になります。

労働分配率(%) = 人件費 ÷ 粗利 × 100

ただし、必ずしも人件費率・労働分配率が低ければ良いというわけではないでしょう。特に人件費率が低すぎる場合、社員へ十分な給料を支給できていない可能性もあります。人件費を下げてしまうことで、社員のモチベーション低下や、それに伴う辞職での人手不足、経営悪化などを招いてしまう恐れもあるので、施策を打つ際は十分に注意しましょう。

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人件費の種類

人件費率を割り出す際に必要な人件費ですが、具体的にどのような費用が人件費に含まれるのがご存じでしょうか。下記で、人件費の主な種類を確認しておきましょう。

給与手当

給与手当とは、従業員の労働への対価になるもので、基本給のほかに「歩合給」や「賞与」
「残業手当」なども含まれます。ほかにも、「扶養家族手当」や「通勤手当」などといったものも給与手当となります。

アルバイトやパートなどの非正規社員に発生する時給も、基本的には給与手当です。こうした給与は「損金(経費)」と呼ばれ、収益から差し引くことができるとされています。

法定福利費

法定福利費とは「福利厚生に関する保険料」で、従業員の社会保険料の会社負担分を指します。企業は、法律により法定福利費の支払いを義務付けられています。基本的に「販売費及び一般管理費」として損益計算書に計上します。

会社が加入する社会保険料の主な種類については、以下をご参考にしてください。

健康保険料

従業員やその家族が傷病・死亡した場合や、出産の際などの医療費を一部負担してもらえる保険制度。基本的には事業主の会社と従業員で半分ずつ負担。

厚生年金保険

国民年金に上乗せして給付される年金。対象者は主に会社員・サラリーマン。基本的には企業と従業員が半分ずつ負担。

介護保険

介護サービスが必要になった際、費用の一部を負担してもらえる制度(介護給付や予防給付のサービスを利用するには要介護(要支援)認定を受ける必要があります。)。40歳になると支払い義務が生じる。基本的には企業と従業員が半分ずつ負担。

労災保険(労働保険)

通勤を含む業務上で起こった事故や災害によって傷病・死亡が発生した場合、従業員に支払われる制度。企業は原則強制加入で、保険料は全額企業が負担。

雇用保険

従業員が失業した際、一定期間給付金を受け取れる制度。基本的には従業員より会社側が多く負担する仕組みとなっている。

社会保険料の会社負担は、給与の約15%~16%といわれています。負担割合は保険の種類によっても異なるので、よく確認しておきましょう。

福利厚生費

福利厚生費は、従業員への慰安・冠婚葬祭などの福利厚生を目的とする任意費用を指します。たとえば、社員旅行費、健康診断の受診費用、忘年会・新年会費など。ただし、福利厚生費として計上する際、下記の条件を満たす必要があります。

  • ・全従業員を対象としている
  • ・常識的に考えて妥当な金額である
  • ・現物支給ではない

基本的に上記のすべてを満たしていない場合、福利厚生費として計上できないとされているので、注意しましょう。

役員報酬・役員賞与

役員に支払われる役員報酬・役員賞与も、基本的には人件費に入ります。これらの費用は、一般従業員の報酬・賞与とは別です。役員報酬は、明らかに高すぎる場合を除き損金として扱えますが、役員賞与の場合、損金として計上できません。基本的に「所得税」「住民税」「法人税」がかかるとされています。

退職金

退職金は、従業員が退職する際、過去の労働に対する慰労金・対価として支払われるものです。退職金も、基本的に人件費として計上されます。退職金の支払い方法には、退職時に一括支払いされる「退職一時金」と、年金方式で支払われる「退職年金」があります。どちらの支払い方法だとしても、人件費として企業が負担するのが原則です。

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人件費率が高いときの改善策

割り出した自社の人件費率が高すぎると感じたら、以下の改善方法を試してみましょう。

売上を伸ばす

自社の売上を伸ばすことで、人件費率を下げることができます。売上を上げる方法としては、商品価値の見直し、新規顧客の獲得、既存顧客維持などがあります。

しかし売上が伸び悩んでいるのが市場環境によるものなどであれば、自社の対策だけですぐに結果ができないこともあるでしょう。そのような場合、自社で売上が減少している分野の改善を試みるよりも、売上が増加傾向にある分野に集中して施策を考えた方が効果的な場合もあります。

まずは経営上の自社の課題を洗い出し、売上を上げるための最善の策を見つけましょう。

人件費計算を時間単位で行う

人件費の計算を月単位や日単位で計算している場合は、「時間単位」で行い、工数管理を細かくすることで人件費の無駄を省くことができます。時間単位で工数管理を行えば、早いサイクルで業務改善を行うことができ、収益性・生産性の向上にもつながるでしょう。

社員数を減らす

人件費削減の効果的な方法として、「社員数の削減」が挙げられます。仮に月収30万円の正社員を雇った場合、年間でみた人件費は500万円以上かかるといわれています。

さらに退職金の積み立て・備品費といった経費の増加を考えると、従業員を新たに雇うことでのコスト負担は大きいといえるでしょう。そのため、その年の採用人数を減らすことで、人件費の大幅な削減が見込めます。

また、現在働いている社員を解雇することに関しては、あくまで経営が立ち行かなくなったときの最終手段と考えましょう。これまで会社に貢献してきた従業員のことを考えても最善の方法とはいえませんし、場合によっては取引先との関係や今後の採用活動においてマイナスに働く恐れもあります。

人件費削減のため整備する

社内の整備やシステム上の不備によって人件費がかさむことも多くあります。たとえば、パソコンが旧型のものだったり、導入しているシステムの操作性が悪かったりと、作業効率が低下していることも考えられます。そのため、従業員がスムーズに業務を進められるよう社内の設備やシステムを整えてみるのも人件費を下げる1つの手段といえるでしょう。

人事評価制度を見直す

人件費が高い場合、従業員に支払う報酬額が成果に見合っていない可能性も考えられます。そのため、従業員の成果に見合った報酬にするため人事評価制度を見直すのも効果的です。正当な評価により報酬が支払われることは、多くの従業員の労働意欲・生産性向上にもつながります。ただし先に述べたとおり、給与を下げすぎてしまうことで従業員のモチベーション低下といったリスクが生じることもあるので、報酬の見直しは慎重に行いましょう。

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