戦略提案からプロダクトづくりに携わる。PwCを支える技術者集団「Digital Factory」の責任者が語る、コンサルティングファームで働くエンジニアの魅力

2022年9月6日

PwCコンサルティング合同会社 テクノロジー&デジタルコンサルティング ディレクター

吉田 壮夫

2001年に新卒入社したSIerが始まりで、当時はSAPを始めとするERPが日本でも流行し始めた頃であり、SEとしてSAPのアドオン開発やBasis領域を担当。その後はコンサルティング会社に転職し、ITコンサルタントとしてIT戦略やIT構想を主に担当しつつ、引き続きSAP導入プロジェクトにも関与。PwCコンサルティングには2017年4月に入社し、社内のエンジニアチーム立ち上げを企画し、その後はチームマネージメントを担当。

エンジニアの採用担当者に選考のポイントや求める人物像について尋ね、現場のリアルな声を届ける「採用担当者の本音」シリーズ。第9回は、PwCコンサルティング合同会社からテクノロジー&デジタルコンサルティングディレクターを務める吉田壮夫さんに登場していただきます。

世界4大監査法人グループの1つに数えられるPwCのメンバーファーム、PwCコンサルティング合同会社の技術者集団「Digital Factory」を率いる責任者に、同社でエンジニアとして働く面白さについて伺いました。

プロダクトづくりの全フェーズで社会課題の解決に挑む

Q1. PwCコンサルティングのエンジニア組織について教えてください。

PwCでは、新たな経営ビジョンである「The New Equation」を2021年6月に発表しました。その中で、「Trust=持続的成長の礎となる信頼の構築」と、「Sustained Outcomes=競争や破壊的なイノベーションのもたらすリスクがいっそう激しさを増し、社会からの期待がこれまでにないほど高まる状況においても、確固たる成果を生み出し続けていくこと」、という2つの面においてクライアントや社会への貢献を表明しています。

PwCコンサルティングのエンジニアが所属するDigital Factoryチームは、当社のテクノロジー&デジタルコンサルティングのチームの1つです。2018年にその前身となるチームが新設され、2022年7月に現在の所属に異動しました。

先述したPwCの経営ビジョンのもと、先端デジタル技術を融合・活用し、当社のパーパスである「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことにつながるサービスづくりを強く意識しています。チームには約35名のエンジニア(全員中途採用)が在籍しており、現在は50名を目標として採用活動を実施中です。

チームの役割は大きく3つあります。

1つ目は、クライアント案件に参画し、PoC(概念実証)における開発を行うことです。PwCでは、BXTというアプローチでクライアントの課題解決に取り組んでいます。BXTにおいてDigital Factoryメンバーの主な役割は、クライアントやコンサルタントと共創し、モックアップやMVPを開発することです。そのため、クラウドのサービス設計・構築、アプリケーション(フロントエンド・バックエンド)開発を、短期間で1人でこなすことが求められます。
※BXT:「Business eXperience Technology」の略称であり、PwC独自のアプローチ。ビジネスとテクノロジーの2軸に、エクスペリエンスという軸を加え、クライアントのビジネス、顧客や社員の体験、それを可能にするテクノロジーを三位一体にしてコンサルティングを行う。

2つ目は、自社サービス(Digital Products)の開発を行うことです。具体的には、「データを収集・分析し示唆を加えて提供する」というコンサルティング本来のサービス内容をプロダクト化することで、生産性向上・クライアントへのさらなる価値提供(≒SaaS)を図っています。Digital Productsは、PwC今後のビジネス支柱の1つで、その機能開発から運用・保守までをEnd to Endで担うのが、Digital Factoryチームの役割です。

PwCのDigital Productsの特徴の1つとして、業種非依存のものもあれば、業種ごとに特有のものもあります。エンジニアは多種多様なプロダクトに携われるので、様々な経験を積むことができます。さらに、Digital Products の開発はPwCのグローバルのオフショアチームと連携して行われることもあるため、グローバル人材との交流の機会を持つことができるのです。

そして3つ目が、PwC自身のDX推進における様々なアプリケーション開発を行うことです。PwCでは業務効率やガバナンス向上を目的に自社のDXを推進しており、Digital Factoryはその各施策に必要なアプリケーション開発を担っています。

私たちは、社内向けに開発したシステムを最終的にはクライアントへ提供することを視野に入れています。言い換えると、DX推進が叫ばれる今の時代にPwC自身がこうやって変わりました、と示すために行っている開発になります。

Q2. 今求めているエンジニアはどんな方でしょうか?

PwCの年度の始まりは7月なのですが、2022年6月末までは50名体制を支えられるマネージメント層の確立を目的に、マネージャー以上の層の採用に力を入れてきました。この点はレバテックのサポートも得て整ってきましたので、現在はシニアアソシエイト、アソシエイト層の人材を積極的に募集しています。

具体的な技術領域としては、従来力を入れているWebアプリ開発におけるフルスタックエンジニア志向の方に加えて、空間ID/メタバース領域の経験を持ったエンジニアの方とはぜひともお話してみたいです。

Q3. 採用はどういうふうに行われていますか? そのプロセスを教えてください。

選考は基本的に書類審査と面接(2次まで)があります。私が書類審査と1次面接を行い、2次面接をDigital Factoryチームのパートナーが行います。アプリ開発を担当してきたものの、開発に関する経験年数が短期間だったり、実績が少なかったりする応募者の方には、コーディングテストを受けていただいています。

Q4. PwCコンサルティングに応募するエンジニアはどんな人が多いですか?

現職でマネージメントの役割が大きくなってきたが、引き続き現場で手を動かしていきたいという方は多いです。また、コンサルティング会社のエンジニアチームということで、業種・業界横断で様々な経験が積めるという点に魅力を感じる方や、PwCというブランドに魅力を感じてくださる方もいます。

エンジニアチームは社内の下請けではなく、コンサルタントと対等な関係で建設的な会話をしながら仕事を進めますので、戦略提案のフェーズからプロジェクトに参画できることに魅力を感じる方も多いです。

エンジニアとしてのこだわりが高いパフォーマンスにつながる

Q5. PwCコンサルティングが採用の際に高く評価するエンジニアの条件はなんでしょうか?

PwCコンサルティングのエンジニアは内向きの仕事(いわゆる設計や開発などの没頭できる作業)もありますが、外向き(クライアントやコンサルタントとの会話)も同じぐらいの割合であります。そのため、論理的思考に基づくコミュニケーション力や、会話の相手がどういう意図で発言しているのかを理解できる傾聴力を持っている方は高く評価しています。

また、コンサルティングというのはある種答えのない世界に答えをつくることであるので、0か1かではなく、どうすれば物事を前に進めることができるかを柔軟に考えられる方も評価が高いですね。

技術面については、入社後にもスキルを伸ばすチャンスがありますが、既にフルスタックエンジニアとしての経験をお持ちの方は高く評価しています。

Q6. エンジニアのスキルチェックはどういうふうに行われていますか?

先述のように、開発に関する経験年数が短期間の方や実績が少ない方には、面接とは別にコーディングテストを受けていただきます。

ただ、テストの点数だけで合否を判断することはありません。その後の面接で伺った内容と合わせて、応募者の得意分野を確認しながら、入社後どのように成長をサポートすべきか、参考にするイメージです。そのため、テストの結果に手応えがなくても、そんなに心配しないでいただけると幸いです(笑)。

Q7. 面接で必ずする質問はありますか?

私は面接の中で必ず8つの質問をするようにしています。転職理由やPwCへの志望動機といった一般的な質問もありますが、これまでどういう経験・経験からの学びをされてきたのか、今後どういったことを行っていきたいのかの質問もしています。

当社は「やさしい、コンサル」を実現できる組織づくりを大事にしています。高圧的な環境ではなく、あたたかいチームの関係性が高いパフォーマンスにつながるのです。エンジニアチームにも、自身の役割に対して主張すべきことは主張しながら、コンサルタントとスクラムを組み、同じ方向に向かって仕事に取り組んでいただきたいです。

Q8. 「いいエンジニア」をどうやって面接で見極めていますか?

先述した8つの質問を通じて、Digital Factoryチームが求める価値観・方向性と合うかどうかを見ています。また、コンサルタントと働くことは必須になるので、傾聴力や会話を論理的に組み立てることができるかといった点を見ています。

他には「これまでの経験から何を学んだか」も見ていますね。面接なので成功談を話さないといけないと思う方が多いように感じますが、成功からも失敗からも学びを得ることができる方が、PwCで仕事をするのに向いていると考えています。

Q9. 採用プロセスの中で気をつけているポイントは何ですか?

Digital Factoryチームではいわゆる「手を動かせる」という点を重視していますので、特に若手の方に関しては技術がしっかりと身についているかを確認しています。

また自分の場合、できるだけ速く選考を進められるよう心がけていますね。担当する書類選考と一次面接の結果は翌日に応募者にお返しできるようにしています。

業界の垣根を越えて時代の最先端を走れる環境

Q10. オンボーディングではどんなことをやっていますか?

職種問わず全ての入職者に「Core Consulting Skills Academy」という研修を1カ月受けていただきます。コンサルティング会社で仕事をする上で必要な基礎を学ぶと同時に、コンサルタントとのネットワーキングの機会にもしていただきたいです。同時期に入社した人同士のつながりをつくり、中途でチームにジョインしたメンバーが孤独にならないよう、会社としてフォローしています。

また、Digital Factoryチームには困っている人を見れば自ら手を差し伸べる人が多く、わからないことがあったらいつでも質問できる雰囲気があります。社内チャットで誰かが質問を投げたときに、わからなかったとしても「ごめんなさい、知らないです」「ここに情報があるかも」など、みんな意識的にリアクションしています。

Q11. エンジニアの方に「なぜ来るべきか」を訴求する決め手はどこですか?

常に未来を見据えて活動できるところはPwCの強みではないでしょうか。グローバルのナレッジを活用し、世の中の最先端の技術を使って未来をつくることに私たちのチームの価値があるのです。そこに関われるのは、シンプルに面白いと思います。自分で未来を想像し、新しいことを学びながら成長したい人にとっては最高の場です。

また、コンサルティングの仕事は多様な業界・業種を横断的に見ることができます。その分、各分野のノウハウが有機的につながりやすく、課題に対して仮説を立て、型にはまらない新たなアイディアが生まれるのです。さらに、PwCはグローバルに拠点があり、日本に身を置きながら海外の最新事例に触れられます。このネットワークの力も当社ならではの強みです。

技術面において、Digital Factoryチームはクラウドサービスを全面的に活用し、クラウドネイティブのアプリケーション開発をしています。さらに、先端技術を応用して産学の発展に貢献する「Technology Laboratory」と連携し、AIで潜在アライアンス企業の事業性と技術評価を自動的に行うツール「Intelligent Business Analytics」などの開発も行っています。

Q12. PwCコンサルティングを希望するエンジニアに、今からしてほしい準備は何ですか?

技術への好奇心を強く持ってほしいですね。市場は常に変化しています。眼の前にいるクライアントのニーズに応えることに満足するのではなく、常に最先端を意識してスキルレベルを高めていただきたいです。もちろん何もかも吸収すれば良いというわけではありません。未来のニーズを予測しながら身につけるべきことを取捨選択するべきでしょう。

あとは、意識して傾聴力を鍛えていただきたいです。コンサルティング会社のエンジニアは、クライアントや社内のコンサルタントと会話する機会が多くあります。相手の話の背景や本当の目的を理解する力が求められるので、日常生活や今の仕事現場で意識していただけるといいと思います。

取材・執筆:天野夏海
撮影:若子jet

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