【スマートドライブ】移動データで街を変えて、ミライを変える。モビリティデータコンサルタントというデータのプロとは?

2021年8月4日

株式会社スマートドライブ モビリティデータサイエンティスト

石川信太朗

大阪大学大学院理学研究科数学専攻修了後、人材系ベンチャー企業にてキャリアをスタート。CRM、MA、DMP、BIなどの最新のテクノロジーの導入利活用を推進。2019年夏にスマートドライブに入社し、モビリティデータサイエンティストとしての仕事をスタート。Marketing Technology of The Year 2019受賞。Tableau Data Saberプログラム修了。Looker Certified LookML Developer。

株式会社スマートドライブ モビリティデータコンサルタント

山本剛央

新卒でソフトバンクのグループ企業に入社。営業、カスタマーサポートを経て、中古車輸出関連の事業部でWebマーケティングを担当。約30ヶ国を対象としたサイト改善や広告運用を経験後、人材系ベンチャー企業に転職。アフィリエイト広告運用とCRMを担当。2020年にスマートドライブに入社。

株式会社スマートドライブ モビリティデータコンサルタント

西澤祐介

新卒で大手SIerにて大手物流企業向けのインフラエンジニアを経験後、BI基盤構築プロジェクトのPMOとして活躍。2016年4月にデータアナリストとして大手人材企業にジョインし、DX推進室にて全社向けのデータ利活用基盤の構築を推進。2020年4月よりスマートドライブに入社。社外ではTableau DataSaberプログラムのメンターとして、約20名のTableau人材の育成に携わる。Looker Certified LookML Developer。

株式会社スマートドライブ モビリティデータコンサルタント

臼井遼介

慶應義塾大学経済学部在学中の2019年4月に、インターンとしてスマートドライブにジョイン。インサイドセールスとしての経験を積み、2020年4月にモビリティデータコンサルタントのチームへ。2021年4月、新卒で正式入社。

「移動の進化を後押しする」というビジョンを掲げる株式会社スマートドライブ。そこには、社会に眠る移動データを活用して、地域の活性化や企業のパフォーマンス改善に取り組むスペシャリストの姿がある。

これまでにない「モビリティデータコンサルタント」という職種を名乗る彼らはどんな人たちなのか。チームメンバーの4人に、データの力で事業を動かす仕事の醍醐味や、描いている今後のビジョンを尋ね、この新職種の謎を紐解きたい。

「移動データの新しい価値を見出す」モビリティデータコンサルタント

——そもそも「モビリティデータコンサルタント」ってどのようなお仕事なのですか?

西澤
西澤
聞き慣れない職種名ですよね。一般的なデータサイエンティストやデータエンジニアとはちょっと違うんです。自動車などの移動体から収集したデータをもとにクライアントの課題を解決し、ビジネスをスケールさせる役割です。具体的には、事故削減や業務効率化などの課題をお持ちの企業様に移動データを使って運転状況や車での移動効率を明らかにし、施策実行支援まで行っていきます。クライアントの懐に深く入っていくことが重要です。
私は主に設立50年以上のエンタープライズ企業を対象に、データを利活用したDX支援を行っています。エンタープライズ企業の多くは、社内に膨大なデータを抱えながらも、処理する環境もなければ適切に扱える人材もいない、という共通の悩みを抱えています。そうした企業に眠っている紙やPDFなどのデータを、当社の持つ車やバスから得られた膨大な走行データや乗降データと掛け合わせ、業務に最適化するような形に仕上げて課題解決を実現しています。
社内にはデータサイエンティストの専門チームもありますが、僕たちとは役割が違います。データサイエンティストは、移動データを用いて本格的なアルゴリズムや機械学習モデルをつくるチームです。一方、僕たちは自分の仕事を「新しい移動データの価値を見つける専門家」だと思っています。担当案件はR&Dや事業開発、アライアンス案件が中心で、クライアントの事業を進める上で必要な新しいソリューションを提案し、実施することが多いです。最近の例を挙げると、「LINE WORKS」とのAPI連携で、チャットツールを活用して車両の位置確認ができる機能開発に参加しています。
石川
石川
山本
山本
私の場合、地域課題の解決に取り組むことが多いです。直近では静岡県静岡市の静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト(「しずおかMaaS」プロジェクト)に参画して、自家用車移動データ、交通ICカードの利用データ、バスの移動データなどを活用して、地域公共交通システムの改善に取り組んでいます。
僕が主に担当しているのは「スモールビジネス」と呼ばれる比較的規模の小さい企業です。データ分析パッケージの導入サポートや、分析テンプレートのデータ作成を行うなどしています。
臼井
臼井

 

▲静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト「しずおかMaaS」

——データサイエンティストとは違うんですね。

石川
石川
そうですね。データサイエンティストだと、一般的にRやPythonなどを活用して機械学習のアルゴリズムをつくるスキルが必要です。一方我々は「先進技術事業開発部」に所属しており、顧客の課題を解決できるなら、必ずしも機械学習の知見は必要ない。BIツールを用いた簡単な集計ロジックで解決できるならそれに越したことはありません。
逆にいえば、顧客の課題解決につながることならなんでもする。データ集計や集計ロジックの設計からテストを回して機能をローンチするところまで、チームで完結させることもあります。

BIをプロダクトへ押し上げたい。移動データのGoogle Analyticsを目指して

——みなさんがモビリティデータコンサルタントになろうと思ったきっかけはなんですか?

西澤
西澤
私は新卒で大手SIerのインフラエンジニアとして働いていたんです。当時業務で「Hadoop」の導入に関わり、大規模データを扱うことが面白いなと思っていました。その後データアナリストとしてHRテック企業でTableauのエバンジェリズム活動を行っている最中、石川に出会いました。そのとき石川に「モビリティデータ専用のBIツールをプロダクトとして提供したい」と言われて、その世界観が素晴らしいと思ったし、やりがいのあることだと思ったんですね。移動データのGoogle Analyticsをつくりたいと誘われて、その言葉に惹かれました。自動車業界というと、データ利活用に関してレガシーな企業が多い印象で、解決されていない課題がまだまだたくさんある。希少価値の高いキャリアを築けるかもしれないと思ってこの仕事に就きました。
僕はもともとデータサイエンティストやアナリストになりたいとは思っていなかったんです。入社したときの名刺には「事業開発」と書かれていたくらいですし(笑)。でもだんだん、モビリティデータの分析を通してクライアントの課題を解決し、そこで得た知見で自社プロダクトをより良くする仕事に熱中するように。モビリティデータの利活用が自分の基礎になると思い、自らモビリティデータサイエンティストに職種名を変更しました。
石川
石川
山本
山本
西澤の言う通り、モビリティデータの利活用市場はまだまだブルーオーシャンです。私もそこに魅力を感じました。前職は人材業界でマーケターとしてデータ分析など行ってきたんです。ただ、多くのプレイヤーで一つのパイを奪い合う人材業界にちょっと疲れを感じてしまいました。そんな時に石川から誘われて、取締役の元垣内(広毅氏)にモビリティデータの可能性や価値を聞いたんです。もともと車好きなこともあって、これは面白そうだし、これから広がっていく可能性のある市場だと思いました。
僕はもともとインターン時代インサイドセールスとして働いていて、当時から趣味でSQLを書いて営業活動やマーケティングの分析に活かせるデータを出していました。その後、事業開発のチームが立ち上がってそれをずっと隣で見ていて「みんなデータですごいことやっているな」と羨ましかったんです(笑)。「自分もこういう仕事に携わってみたい」と強く上長にアピールしていたところ、インターン2年目のときにいまのチームに加わることができました。
臼井
臼井

 

▲いまのチームにジョインしたきっかけについて皆さん各々の思いを語っています

データ利活用の新境地に挑む。モビリティデータコンサルタントの醍醐味とは

——仕事の中で、印象に残っているプロジェクトはありますか?

山本
山本
直近では、先程お話した「しずおかMaaSプロジェクト」が一番印象的でした。これは、プロジェクトに賛同してくれた方の自家用車数百台に、運転内容を診断する当社のIoTデバイスを設置し、移動データや安全運転スコアを収集します。このデータと公共交通の乗降履歴、交通系ICによる購買履歴などを統合し、交通網の策定・整備に取り掛かりました。

その結果「ここの路線バスがカバーできていないから、オンデマンド交通を整備しよう」「ここはみんながよく訪れるからバス停を増やそう」といった、様々な議論ができるようになりました。このような表に出ていないデータの力を用いて人の生活を変えていくのは、すごく面白かったですね。

僕はEV自動車関連のプロジェクトですね。今年の4月から、宮崎県国富町役場と連携をはじめました。公用車として使っているEV車の移動データを収集・分析・活用し、EVの稼働状況を予測した上でEV車の充放電計画を立てるプロジェクトです。国富町は「人と環境にやさしいまちづくり」として自然エネルギーの普及に取り組んでいて、エネルギーコストや環境負荷の提言、災害時に臨機応変な対応ができる体制を整えるため実証実験に取り組んでいるんです。

他には、EV向け給電システムを提供する企業と連携し、車両の移動データと充電スタンドでチャージした給電量や充電料金と統合可視化するプロジェクトにも参加しています。こうしたまだ誰もやれていないことに僕たちが一番に入り込むことができ、「前人未到」の挑戦をしていると実感しています。

石川
石川

 

▲スマートドライブ社を含めた3社と宮崎県国富町で実施したエネルギーマネジメントシステムの構築プロジェクト

——みなさんが思う、モビリティデータコンサルタントの醍醐味はなんでしょうか?

西澤
西澤
シンプルに我々のアウトプットに値段がつけられることでしょうか。頂いた金額以上の価値を顧客に届けないといけない状況下でアウトプットしていくという怖さはもちろんあります。ただ、自分のアウトプットで顧客の課題が解決できるかどうかが決まるので、良い意味でプレッシャーがかかり非常にエキサイティングです。また、自分たちが提案した分析基盤やダッシュボードを活用していただき、顧客のビジネスプロセスが変わったことを体感できるのも、この仕事ならではの魅力です。
一番燃えるのは、僕たちが提供するソリューションや分析データがどれも「歴史上はじめての発見」であるということ。モビリティデータをどう扱えばビジネスを最大化できるかなんて、誰も正解はわからないんです。我々はいまこの業界最先端の難題を解明しようと向き合っている——そこがどれだけ仕事をしても、モチベーションが途切れない理由ですね。
石川
石川
山本
山本
日常の仕事では、ベンチャーから大手企業、時には国を相手に仕事をしているんです。自分のアウトプットが机上の空論で終わらず、実際に企業や自治体の意思決定に繋がり、ビジネスや社会にインパクトを与えている。それを実感できるのはなかなかできない経験です。
私たちの提供している分析サービスは、顧客にとって自社の自動車データにどれほどの市場価値があるのか知るための試金石だと思います。その精度をより高くするために、短いスパンで改修やリリースを繰り返して、プロダクトをどんどん改善していけるのがおもしろいところですね。
臼井
臼井

——逆に、どういうときに大変だと感じますか?

西澤
西澤
私の担当する歴史の長いエンタープライズ企業はとくに、既存業務やデータの運用が細かく最適化されていることが多いんです。1カ所変えるにも影響範囲が大きすぎてなかなか変えることができなかったり、細かなことまで要望をいただいたりすることも。クライアントにしっかりと価値を提供しながら、限られたリソースを最大限活用して汎用的な分析基盤をつくっていくことが大事だと日々実感しています。
なにせ「モビリティデータサイエンティスト」という職種にはまだ明確な定義がないので、必要なスキルが何かすら定まっていないんですよ(笑)。だから、基本的にはプロジェクトごとにゼロからキャッチアップしなきゃいけない。そこがかなり難しいですね。

顧客からヒアリングしてプロダクトを設計するだけでなく、ときにはAWS のインフラ監視みたいなところまで踏み込むことも。クロスジャンルで新しいことにどんどん挑戦するので、キャッチアップ力とスタミナがかなり必要ですね。

石川
石川
山本
山本
クライアントからのときにはハードなリクエストに応えられるのは、プロジェクトの中ではモビリティデータコンサルタントの自分だけ。商談の場で数十人のプロジェクトメンバーに向き合う瞬間は、いつも良いプレッシャーを感じますね。
常に意識しているのは、自分たちの提供するソリューションは自社プロダクトでありながら、クライアント向けであるということです。数値フィルターのUIをわかりやすくしたり、アイコンの形を整えたりと、細かい配慮が必要。クライアントのユーザー目線でダッシュボードやUIをつくりこむことが僕にとっては、なかなかシビアなところです。
臼井
臼井

 

▲大変の中にこそやりがいがある。クライアントと直接向き合う立場で日々奮闘

それぞれの強みで助け合う。アベンジャーズのような最強チーム

——みなさんのこの仕事は他の会社にはない、オリジナリティの高い仕事だと思います。これまでの経験やスキルでは太刀打ちできないことに直面したとき、どのように乗り切っているんですか?

西澤
西澤
自分の力では太刀打ちできないと思った時は、いまいるチームのみんなや、他チームのプロフェッショナルの力を借りますね。私の場合、携わる案件によってはAWS Lambdaでプログラムを実行したり、Pythonを書いてETL処理をしたりすることが求められますが、前職では全然やってこなかったんですよ。そういう時、もちろんまずは自分で調べて、できる範囲を見極めます。自分1人でできるかぎりのことをやったうえで、どうしても難しい場合は、チームのみんなに頼って、アドバイスを求めるんです。これを繰り返すことが自分のスキルアップにもつながっています。
モビリティデータのような新しい領域で仕事をしていると、課題解決のために必要な「MUST」(やるべきこと)に対して、自分たちの「CAN」(できること)が伴わないことがあります。ここにいるメンバーとディスカッションしても「やっぱりわからんですわ……」って、答えが出ないことも。でも、同じ目線で真剣勝負してくれるチームのみんながいるから頑張れる。

そもそも仕事って、「CAN」が伴わなくて当たり前じゃないですか? だからこそ、目の前の一見乗り越えられなさそうな課題を解決するために、どれだけ本気で勉強する気になれるのかって話なんだと思います。

石川
石川
山本
山本
プロジェクトを担当した以上、それを良い方向に持っていきたいし、持っていかなきゃいけないと思っていて。キャッチアップできれば自分のスキルアップにもつながるので、壁にぶつかっても全然平気です。ただ、ハードな場面も多いので、僕にとってはこの4人が心を許せる相談相手になってくれるので、ありがたいですね。
このチームの先輩3名が経験もスキルも豊富で頼もしいので、仕事で壁にぶつかった時はすぐ相談しています。あとは3人から作った部品を再利用してなんとかやりくりすることも(笑)。このチームは、一人ひとりが独立してクライアントの課題に向き合いながらも、必要なときは力を合わせて難題に立ち向かう。こういうアベンジャーズみたいなところがかっこいいし、尊敬しているんです。

個人的には、これまで様々な案件でLookerを使ってきたので、Lookerに関してはかなり詳しくなってきたと思います。ただ、ETL処理(抽出、変換加工、書き出しという、データをDBから抽出しDWHに書き出すまでの一連のプロセス)周辺の知識に関しては、不十分です。できる案件の幅を広げるためにも、そこはこれから勉強が必要だと思っています。

臼井
臼井

——今後のキャリアについて、皆さんはどのように考えていますか?

石川
石川
僕は将来プロダクトを開発する側に入って、プロダクトオーナー兼スクラムマスターのような立ち位置になるのが理想ですね。正直、プログラムを書くことに関しては僕より優秀なエンジニアが社内にいっぱいいます。だからこそ、僕は何をつくればユーザーの課題解決になるのかを考えることにフォーカスしたい。自社の課題を明確に認識し、言語化できているユーザーは非常に少ない。それを僕たちが代わりに見つけて、「思いもよらなかったけど、業務が減った」「世界が変わった」と思えるような機能としてどんどんリリースしていきたいですね。
僕は、データの領域にとどまらないキャリアを築きたいですね。正直、データ分析だけしている人って、これから先、希少価値が薄れていくと思うんですよこれまでBIって、データを可視化し分析結果を表示させるダッシュボードだと思われてきたような気がするんです。だけど、僕たちのやりたいことはそうじゃない。BIをプロダクトに昇華させること。

そのためにはビジネスの知見やコンサルティング力、アウトプット力あるいは、プロダクト・サービス開発の目線も必要です。事業企画・事業開発のような、よりビジネスサイドの立場でデータを活用していきたいですね。データ分析という専門性を軸にしながら、その他のゼネラルな役割へと領域を広げていけたらと思っています。

西澤
西澤
山本
山本
私はそもそも、車もデータも大好きなんで、今の仕事がすごく楽しいんですよね。で、これからはデータを扱える人材としてスキルを上げつつも、データの価値を最大限に発揮できるように、データとデータを活用したい人の間をつなぐ役割を果たしていきたいと思っています。先ほどの話にもあったように、ビリティデータをうまく扱える人はまだ少ない。 データを軸に需要と供給の間をつなぎ、両方にとって最善の結果に導く仕事をしていきたいですね。扱うデータはモビリティデータに限らず、もっと広がっていくと思いますけど。
僕はこの4月で正式に新卒入社したばかりなので、正直なところまだキャリアについて深くは考えられていません。ただ、日本のすべての自動車データが集まるデータプラットフォームをつくることです。自分の開発したデータ基盤を多くの事業者のビジネスに活かしてもらえたら嬉しいですね。
臼井
臼井

執筆:王雨舟
取材・編集:石川香苗子

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