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最終更新日:2024年3月26日

インボイス制度が簡易課税制度に与える影響は?それぞれの特徴を解説

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「インボイス制度の開始は簡易課税制度の適用に影響があるのか」

このような疑問を持つ方も多いと思います。
このコラムでは、インボイス制度と簡易課税制度についてそれぞれ紹介した後、インボイス制度が簡易課税制度に与える影響を解説します。

また、簡易課税制度の適用条件や注意点についても解説するため、制度の活用を検討している場合は参考にしてください。

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インボイス制度と簡易課税制度

インボイス制度とは、課税取引においてインボイス(適格請求書)の発行や保管が必要になる制度です。簡易課税制度とは、対象となる事業者が任意の申請をすれば、消費税納付額の計算を簡単にできる制度です。

インボイス制度の施行は簡易課税制度の適用者にも影響する場合があるため、それぞれの特徴やどのような影響があるのかを把握しておきましょう。ここでは、インボイス制度と簡易課税制度の定義やそれぞれの関係性について解説していきます。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、課税事業者の取引において、インボイスの交付や保管が必要になる制度を指します。インボイスとは、課税取引の品目ごとの正確な税率や消費税額が記載された請求書であり、別名を適格請求書といいます。

インボイス制度の目的は、軽減税率の導入に伴い、複数の税率に対して適切な消費税額を把握可能にすることです。

インボイス制度の開始は2023年10月1日を予定しており、制度開始後は、買手が仕入税額控除を受けるためには売り手から交付されたインボイスを保管しておく必要が生じます。また、売り手は買い手からインボイスの交付を求められた場合はインボイスを交付する義務が生じます。さらに、売り手は交付したインボイスの写しの保存が必要です。

なお、インボイスを発行するためには事前に手続きを行い「適格請求書発行事業者」になる必要があります。

関連記事:インボイス制度の概要をわかりやすく解説|事前準備や制度開始後の影響とは

簡易課税制度とは

簡易課税制度とは、特定の条件を満たす事業者を対象に、納税事務の負担を軽減するための制度です。具体的には、基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々年事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の事業者を対象に、消費税の納税額を売上にかかる消費税額を基準として、より簡単に消費税額の算出が可能になります。なお、簡易課税制度は対象事業者であれば任意で選択可能です。

本来、課税事業者は課税売上で受け取った消費税から、課税仕入で支払った消費税を差し引いた金額(仕入税額控除)を納税する必要があります。しかし、簡易課税制度では、特定の事業区分に該当する場合は、対象事業ごとに定められているみなし仕入率をもとに仕入れ控除額を算出することが可能です。

これにより、納税すべき消費税額の算出が簡単になるだけでなく、一般課税方式と比較して節税効果に繋がる場合もあります。

簡易課税制度の仕組み

なお、事業区分ごとに定められているみなし仕入率は以下の画像の通りです。

出典:国税庁 「No.6505 簡易課税制度」

簡易課税制度の適用を受けるには、所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。ただし、簡易課税制度は一度選択した場合2年間は継続適用となります。そのため、今後の事業計画を踏まえ、自社が簡易課税制度を選択すべきかどうかは伸長に検討することが大切です。

インボイス制度が簡易課税制度に与える影響

インボイス制度の施行後、簡易課税制度の適用を受けた事業者は、自社の該当する仕入率を用いて納税すべき消費税額を算出します。そのため、簡易課税制度の適用事業者は売り手からインボイスを発行してもらう必要がありません。つまり、取引相手が適格請求書発行事業者かどうかに関わらず、仕入れ税額控除の適用を受けることが可能です。

ただし、自身が売り手となる課税取引においては、買い手から依頼があればインボイスの交付を行わなければなりません。課税事業者との今後の取引では、インボイスの交付を求められることが増える可能性があります。自社が簡易課税制度の適用を受けていても、必要に応じてインボイスを発行できる適格請求書発行事業者の登録を済ませておきましょう。

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簡易課税制度を利用するための2つの条件

簡易課税制度を利用するには2つの条件を満たす必要があります。簡易課税制度の活用を検討している場合はそれぞれ把握しておきましょう。

規定期間における課税売上高が5,000万円以下である

簡易課税制度の適用を受けられる事業者は、規定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。規定期間とは、簡易課税の適用を受けたいと考えている課税期間の2年前です(個人の場合は前々年、法人は前々事業年度)。

例えば、令和5年の課税期間において簡易課税制度の適用を受けたいと考えた場合、2年前の課税期間である令和3年の課税売上が5,000万円以下である必要があります。

簡易課税制度適用の条件

事前に所轄税務署に届け出をする

簡易課税制度の適用を受けるためには、所轄税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出する必要があります。規定期間における課税売上高の条件を満たしていても、届出をしなければ制度の適用を受けられないため注意しましょう。

なお、届出が可能な期間は、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。制度の適用を受けたい期間が、事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中に届出が必要になります。

参考:国税庁「[手続名]消費税簡易課税制度選択手続」

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簡易課税制度のメリットとデメリット

簡易課税制度を利用する際、制度のメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。それぞれきちんと把握したうえで、制度を活用すべきか検討しましょう。

メリット

簡易課税制度を利用するメリットは「消費税納税額の計算に必要な事務負担の軽減」「場合によっては節税効果も期待できる」といった2点があります。

まず事務負担の軽減について解説します。通常、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、課税期間に発生した課税仕入れ額にかかる消費税額の計算が必要です。この際、品目ごとに異なる消費税額の計算を行わなければなりません。また、インボイス制度の開始後はそれぞれの取引で交付をうけたインボイスの保管も必要です。

しかし、簡易課税制度の適用を受けた場合、仕入税額控除額の計算は、課税期間の課税売上額に一定のみなし仕入れ率をかけて簡単に算出ができます。さらに、交付されたインボイスの保管も必要ありません。そのため、簡易課税制度では消費税納税額算出のための事務負担の軽減が可能です。

次に節税効果についてです。実際に支払った消費税額よりも、簡易課税制度のみなし仕入れ率を用いて算出した仕入税額控除額の方が金額が大きくなる場合、節税効果に繋がります。

デメリット

簡易課税制度を活用することで、事務処理が複雑になってしまう場合もあります。複数の事業を運営している事業者の場合は、対象事業ごとに異なるみなし仕入れ率を用いた計算が必要です。そのため、簡易課税制度の対象事業ごとに消費税を分けて管理する必要があります。

なお、対象事業ごとに課税売上を区分していない場合は、対象となるみなし仕入れ率の中で最も低いみなし仕入れ率が適用されます。これにより、仕入れ税額控除額額が低くなってしまうリスクには注意しましょう。

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簡易課税制度はいつから適用される?

簡易課税制度は、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に提出します。

なお、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に、適格請求書発行事業者の登録を受け課税事業者となった場合でも、その期間から簡易課税制度の適用は可能です。

ただし、この場合は基準期間における課税売上高が5,000万円以下であり、適格請求書発行事業者となった登録日の属する課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。その際、届出書には登録日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載しておきましょう。

参考:国税庁「お問合せの多いご質問(令和5年2月28日掲載)」

簡易課税制度は2年間継続適用に注意

簡易課税制度は一度適用を受けるとその後2年間は継続適用になるため注意しましょう。

一般課税の場合、課税取引において受け取った消費税額よりも支払った消費税額の方が多い場合は差額の還付を受けられます。しかし、簡易課税制度を適用している場合は、受け取った消費税額に指定のみなし仕入れ率をかけて仕入れ控除額を算出するため必ず消費税の納付は発生します。

例えば、課税期間中に大型の設備投資が発生する場合、一般課税では売上にかかる消費税額を仕入れにかかる消費税額が上回り、還付が発生するケースがあります。しかし、簡易課税制度では必ず消費税を納付しなければなりません。

簡易課税制度の適用には、今後の投資計画なども踏まえ制度の適用をうけることで本当に自社にとってメリットの方が大きいのかを十分にシミュレーションしましょう。

関連記事:インボイス制度で法人が対応すべきことは?制度開始前と開始後それぞれ解説

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