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最終更新日:2024年11月8日

特定派遣の廃止でなにが変わった?廃止の背景や廃止後の対応について解説

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特定派遣は、2015年の派遣法改正で廃止となりました。IT業界では比較的メジャーな働き方でしたが、廃止となったあとは一般派遣や請負契約にシフトチェンジする企業が多く見られます。

しかし、安易に代替策を実施すると気づかないうちに違法行為となることも。特定派遣とはなんだったのか、今後も派遣を実施する場合の注意点などを、このコラムで確認していきましょう。

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特定派遣とは

特定派遣とは、労働者が派遣元となる派遣会社と雇用契約を交わしたうえで、派遣先で働く制度のこと。案件やプロジェクトごとに自社の社員を派遣する形態のため、派遣先が見つからなかったり派遣先と契約が満了したりしても、労働者と派遣元の雇用関係は継続されるのが特徴です。

特定派遣と一般派遣の違い

一般派遣とは、「派遣元会社に登録して、派遣先企業が見つかったら派遣される」働き方。多くの方が「派遣」と聞いて想像するのは一般派遣でしょう。

一般派遣と特定派遣では、雇用形態が異なります。前述したように、特定派遣は派遣元に採用された時点で雇用契約が締結されているので、派遣先がなくても雇用関係は終了しません。

一方、一般派遣は登録した時点では派遣元と労働者間で雇用契約は締結されておらず、派遣先が見つかってはじめて雇用契約が結ばれます。派遣先との契約期間が満了したり、派遣先が見つからなかったりすれば、雇用契約も終了。そのため、常時雇用である特定派遣のほうが安定した働き方といえるでしょう。

また、派遣元事業者側から見た違いとしては参入の難度。一般派遣を行うためには、国が定めた基準や条件をクリアして許認可を得る必要があるのに対し、特定派遣は基本的に届け出だけで実施が可能でした。

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2015年に特定派遣が廃止された

必要な期間、必要な人材を確保できた特定派遣は、派遣先のIT企業にとってもメリットのある雇用形態でした。しかし、2015年の派遣法改正により廃止が決定となり、2018年に経過措置も終了して完全廃止となっています。

廃止の背景

「雇用の安定につながらなかった」ことが、特定派遣が廃止になった背景として考えられます。

特定派遣は常時雇用となるので、労働者にとっては派遣でありながら安定した雇用が期待できる制度でした。しかし、実際には特定派遣の常時雇用のルールを守らず、数ヶ月など短い期間で有期雇用とする事例もあったようです。結果として登録型派遣と同様に短期間で契約終了となってしまい、特定派遣のメリットである安定した雇用につながらないことも多かったようです。

また、特定派遣は届け出を出して受理されれば実施できたため、登録型派遣に比べて実施のハードルが低く、資金力の乏しい派遣会社の参入も見られました。しかし、資金力がない会社のなかには、労働者が派遣先で勤務しない間に発生した賃金の支払いを逃れるために安易に労働者を解雇する事業者もいたといわれています。

このような事態から、結果として不安定な雇用を生み出す制度になってしまい、廃止になったようです。

廃止の影響

特定派遣が廃止となったことで、特定派遣に頼っていた業界の働き方にも変化が見られました。

まず挙げられるのは、特定派遣が廃止になり「労働者派遣事業」に一本化したため、一般派遣との差がなくなったこと。もちろん、特定派遣の特徴であった常時雇用も廃止となり、派遣として働く場合は派遣期間のみ雇用契約を結びます。

また、正社員雇用が活発化した例もあるようです。

そもそも、労働者の正社員雇用の促進が、特定派遣廃止の目的の1つだったと考えられます。改正された派遣法では「業務種別に関わらず、同じ事業所・同じ課における派遣労働者の受け入れ上限は3年」というルールができました。これにより、同一事業所や同一課で3年以上派遣就業することができなくなり、かわりに派遣労働者への雇用安定措置が設けられ、その結果、正社員雇用への転向が積極的に行われやすい環境が整ったようです。

関連記事 : 特定派遣廃止がIT業界に与えた影響

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廃止後の対応は?

これまで特定派遣を行っていた派遣元会社は、廃止に伴ってどのような対応を行ったのでしょうか。

一般派遣の許認可を取得した

引き続き派遣事業を行うために、一般派遣の許認可を得た事例です。

一般派遣の許認可を得るには、厚生労働省が定める要件を満たす必要があります。要件の中にはキャリアコンサルタント(有資格者)の配置や相談窓口の設置、事業所の広さ、基準資産額や負債額の具体的な金額などが盛り込まれており、より要件が厳しくなりました。

準委任契約に切り替えた会社も

特定派遣から、準委任契約や請負契約に切り替えた会社もあるようです。準委任契約や請負契約は派遣ではないため、前述の一般派遣許認可を得る必要はありません。

しかし、派遣と準委任/請負では運用ルールが異なり、認識を間違えると偽装請負などの違法行為に該当する可能性があります。派遣の代替策として準委任契約や請負契約を検討している場合は、それぞれのルールを十分に確認しましょう。

参考:厚生労働省 – 労働者派遣事業の許可の要件

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派遣事業を行う企業の義務

派遣法改正により、派遣事業を行う事業者には「雇用安定措置の実施」「キャリアアップ措置の実施」「均等均衡待遇の推進」が義務として課せられるようになりました。

雇用安定措置の実施

同一企業の同じ課に継続して3年間派遣される労働者に対して、派遣元となる事業者は、派遣期間の終了後も「雇用安定措置(雇用を継続させるための措置)」を行う義務が生じます。「雇用安定措置」は以下4点です。

  • ・派遣先へ直接雇用の依頼
  • ・新たな派遣先の提供
  • ・派遣元での、派遣労働者以外としての無期雇用
  • ・安定した雇用の継続を図る措置(雇用を継続した教育訓練や紹介予定派遣など、省令で定めるもの)

ただし、派遣期間が1年以上3年未満見込みの労働者に対しては、上記の措置は義務ではなく努力義務となります。

キャリアアップ措置の実施

派遣として働く労働者のキャリアアップ支援を目的に、段階的かつ体系的な教育訓練の実施が義務付けられています。
また、希望者に対しては上記に加えてキャリアコンサルティングを実施。無期雇用派遣労働者(期間を定めずに雇用契約を結んだ派遣労働者)には、長期的なキャリア形成を目的とした教育訓練の実施が求められます。

均等均衡待遇の推進

派遣元の事業者には、派遣労働者の待遇(賃金や福利厚生など)について、派遣先の正社員とのバランスを考慮する義務があります。

また、派遣元事業者は「賃金の決定」「教育訓練の実施」「福利厚生の実施」に関して、「均等均衡待遇(働き方に応じた待遇)」の確保のために検討した内容を説明する責任があります(労働者が希望する場合のみ)。

参考:厚生労働省 – 派遣元事業主の皆さまへ

関連記事 : 特定派遣廃止後エンジニアを活用したい企業の選択肢は?

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IT業界における派遣の展望

一定のスキルを擁する人材を必要とするIT業界において、特定派遣はピンポイントに自社ニーズに合ったエンジニアを確保できる手段の1つとして確立していました。しかし、廃止となった今、IT業界における派遣はどのように変化しているのでしょうか。

派遣として働くIT技術者の数

厚生労働省の2017年の調査によると、IT業界が含まれる情報通信業のうち、派遣労働者が就業している事業所は全体の30.1%でした。

また、派遣労働者として働く人は、全労働者数のうち1割。総務省が調査した情報通信業の就業者数は2,233,600名なので、およそ22.3万人の方がエンジニア派遣として働いていると予想できます。

※上記のデータは特定派遣制度の廃止経過措置期間中のものです。

特定派遣廃止後も派遣労働者は増加傾向に

一般社団法人日本人材派遣協会が発表したデータでは、2017年時点で特定派遣として働いていた派遣労働者は、全派遣労働者の13%ほどでした。翌2018年には経過措置も終了となり、特定派遣として働いた人は2017年のおよそ半数に減少。しかし、2019年には特定派遣の制度がなくなったにも関わらず、派遣労働者として働く人の数は2017年よりわずかに増加しています。

以上のことから、特定派遣廃止後も、一般派遣として派遣事業を行っている派遣元会社がIT業界に多く存在していることが分かるでしょう。同時に、一般派遣として働くIT技術者も一定数いることが予想できます。

参考:厚生労働省 – 平成 29 年派遣労働者実態調査の概況
参考:総務省統計局 – 平成29年就業構造基本調査
参考:一般社団法人日本人材派遣協会 – 派遣の現状

関連記事 : 特定派遣廃止と専門26業務が適用外だった「3年ルール」変更について

※本記事は2020年06月時点の情報を基に執筆しております。

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