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最終更新日:2024年3月28日

人件費の計算方法は?適正値の算出方法や業界ごとの目安も紹介

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企業の健全な経営には人件費の適切な設定が鍵となります。人件費が高すぎると経営圧迫を招き、低すぎると従業員一人ひとりの負担が増大するおそれがあります。

人件費を適切に設定するには、売上高人件費率や労働分配率、一人当たり売上高を計算し、経営状況に合った人件費の額を知ることが大切です。この記事では、人件費の概要や計算方法、適正化に向けた対策を解説します。

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人件費とは何か

まずは、人件費の概要と種類を確認しましょう。

人件費の概要

人件費とは企業の経費のうち、従業員の労働対価として支払われる給与や、各種手当を指します。人件費が何を指すのかを正しく知ることは、経営判断において重要です。人件費の種類を複数挙げるので、それぞれの内容を見てみましょう。

人件費の種類(勘定項目)

人件費には、次のような種類があります。

給与手当・賞与 

給与手当は、従業員に支払われる給与や手当です。基本給のほか、賞与や歩合給、残業手当、扶養家族手当、通勤手当(交通費)などがこの項目に含まれます。パートタイムやアルバイトの従業員の給与は「雑給」に分類される場合もありますが、基本的には給与手当として扱って差支えないとされます。

役員報酬・役員賞与

役員報酬とは、取締役や監査役といった企業役員に支払われる給与や賞与のことです。一般従業員の給与手当とは区別されるのが特徴です。役員報酬は損金(収益から差し引ける費用)にできるものの、役員賞与は基本的には損金にできないとされます。

法定福利費・福利厚生費 

企業が負担する社会保険や労働保険の費用も人件費の一種であり、法定福利費と称されます。また、健康診断の費用や冠婚葬祭、新年会・忘年会費用といった福利厚生として出される任意の費用は、福利厚生費と呼ばれます。

退職金・役員退職慰労金

退職金は、従業員または役員が企業を退職するとき、それまでの勤務に対する慰労として支払われる人件費です。一般従業員の退職金は規定に則って決定されますが、役員の退職金は「役員退職慰労金(役員退職金)」と呼ばれ、株主総会の決議などで別途定めることとされます。また、一般従業員と役員では、退職金を損金として算入する時期が異なるのもポイントです。

関連記事 : 人件費が上がる理由

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人件費の計算方法

人件費の合計は、紹介したすべての項目を足すことで算出できます。人件費の計算式は、以下の通りです。

人件費=給与+役員報酬+各賞与+法定福利費・福利厚生費+各退職金

人件費が適正な数値か確かめるには

人件費を算出しても、それが適正な数値であるかを確認しないと、経営状態を確認するうえで無駄になってしまうでしょう。人件費が適正であるかを知るには、売上高人件費率、労働分配率、一人当たり売上高などが関係してきます。

それぞれを算出するための計算式を紹介します。

売上高人件費率の計算方法

売上高人件費率とは、企業の売上に対し人件費が占める割合です。人件費率が高いときは、人件費により利益が圧迫されている可能性あります。人件費率は現状の人件費が適切かを判断する目安となり、人件費率が高い企業は経営の見直しが必要であると考えられます。

人件費率の計算式は、以下のとおりです。

人件費率=(人件費÷売上)×100

売上高人件費率は、おおまかな業種で分けられ調査されており、比率が大きく違うという結果が出ています。自社の属する業種の人件費率を確認すれば、一つの目安となるでしょう。東京都中小企業業種別経営動向調査報告書から代表的な業種の比率をまとめたので、参考にしてください。

売上高人件費率_目安

なお、企業支援サービス業にはクリーニングや理美容、旅行、飲食業など7業種が、生活支援サービス業にはソフトウェアや情報処理、映像情報制作、運送、デザイン、職業紹介といった14業種が含まれます。

関連記事 : 人件費率の適正は?計算方法や改善策もわかりやすく解説

労働分配率の計算方法

売上高人件費率とともに、人件費が適切かどうかを考慮する際に重要な指標となるのが、労働分配率です。一般的に労働分配率は、粗利(売上総利益)に対して人件費が占める割合を表します。労働分配率の計算式は、下記のとおりです。

労働分配率=(人件費÷粗利)×100

経済産業省が発表した2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-によると、労働分配率の目安は以下となっています。

労働分配率_目安

一人当たり売上高の計算方法

一人当たり売上高とは、年間の売上高を従業員数で割ることで、従業員一人当たりがどの程度の売上高を生み出しているのかを図れる数値です。計算式は以下のとおりです。

一人当たり売上高=売上高÷従業員数

従業員数一人当たりの売上高についても、業種別で目安となる数値を確認しましょう。中小企業庁が発表した小規模事業者の構造分析によると、以下のようになっています。

一人当たり売上高_目安

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人件費の適正化に向けた5つの対策

人件費は、高すぎるのも低すぎるのも好ましくないとされます。高すぎれば経営が圧迫され、人件費削減で従業員を減らしすぎると、一人ひとりの業務負担が重くなる懸念があるためです。各人件費割合を正確に計算したうえで、企業ごとに適した人件費を導き出す必要があるでしょう。

人件費率適正化のためにできることは、給与減額や従業員数削減だけではありません。業務の見直しで生産性を向上させたり、人事評価内容を見直したりといった取り組みも、各企業に合った人件費率を実現するのに有効であるとされます。以下で、主な取り組み例を見ていきましょう。

1.作業内容や進め方の見直しにより業務効率化を図る

生産性向上を図るには、まず従業員の能力と業務成果を分析します。分析結果をもとに、各人に適した業務に割り当てることで、リソース活用の最適化が叶うでしょう。

また、そもそも作業内容や進め方に無駄がないか、たとえ数分でも作業を短縮できる要素がないか業務内容や手順の見直しも行います。各業務において数分ずつでも作業時間を短縮できれば、その分人件費を削減できます。人件費が増える要因となる残業も、減っていくでしょう。

さらに残業を減らしたいときは、ノー残業デーを設けたり、残業を許可制にしたりといった取り組みが有効です。定時退社しやすい環境に変えるのも効果的で、定刻になると自動で消灯するシステムがあります。このようなシステムを導入すれば、タイムマネジメントがしやすくなり、周囲に気を遣って退社しづらいと感じる従業員も少なくなるでしょう。

2.設備の整備やツールの活用により工数削減を図る

オフィス機器やITシステムを使ってできる作業があれば、ツール導入により業務効率化と人件費削減が実現できるケースがあります。たとえば、社内システムをクラウドにすれば、サーバー保守・管理に要する人件費の削減につながることが予想されます。長く使用していたオフィス機器を最新の設備にすることで、処理速度の向上や多彩な機能による作業効率化が期待できるでしょう。

3.業務委託やリモートワーク制度などを導入する

業務委託は、必要なタイミングに限定して人材を確保できます。正社員を雇用すると退職まで常時一定の人件費がかかりますが、業務委託であれば期間を絞って費用が発生するため、「繁忙期以外は人件費を抑えたい」といった場面で有効です。

また、リモートワーク制度を導入すると通勤手当を抑えられます。在宅勤務社員に対してリモート手当を支給する企業もありますが、企業全体で見れば通勤手当を払うより費用を少なくできる可能性は高いでしょう。

4.人事評価制度の見直しをする

「正当な評価を受けている」と社員が感じられる人事評価制度を整備するのも、人件費削減につながります。自分が行った作業や、上げた成果が正当に評価されていると感じられれば、モチベーションのアップにつながり生産性が向上する可能性が高いからです。

対して、人事評価に納得がいっていなければモチベーションは低いままで、作業効率を上げる意欲はわかないでしょう。

5.エクセルなどで計算シートを作成し費用を把握する

人件費が適正かを把握する際、毎回複数の書類や作業シートで計算していると手間がかかります。前月や前年と比べたい場合にも不便で、人件費の適正化対策が必要なのかどうかも分かりにくいです。

各項目の計算結果やそこから導き出される人件費の適正度を簡単に確認できるよう、エクセルなどで計算シートを作成し、そのシートを使って計算をすると良いでしょう。

関連記事 : 人件費を抑える方法とは?ポイントやメリット・デメリットも解説

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人件費の計算に関するよくある質問

人件費を算出する上でよくある疑問を解消します。

Q.人件費の計算式は?

人件費の計算式は、以下の通りです。

人件費=給与+役員報酬+各賞与+法定福利費・福利厚生費+各退職金

Q.人件費は給与の何倍が目安?

人件費の目安は、手取り給与の1.5倍程度とされています。しかし、企業がどの程度福利厚生や各種手当などに費用をあてているかにもよるため、場合によっては2倍近くになる企業もあるようです。

Q.人件費に含まれるものは?

人件費には、給与や賞与のほかに社会保険料、退職金、福利厚生費、法定福利費などが含まれます。人件費はこれらすべてを足していくと算出できます。人件費は高くても低くても経営に少なからず影響が出てきてしまうため、適切な数値を維持しましょう。

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