【さくらインターネット】日本のデジタルインフラを支えるエンジニアの共通点とは【採用担当者の本音】

2023年9月6日

さくらインターネット株式会社 ES部 採用グループ マネージャー

武村 宙

メーカーの営業・企画職、リクルートの人材紹介事業営業職を経て2022年6月にさくらインターネットに入社。新卒・中途採用のマネジメントと実行を担当。

さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部 SRE室 部長

長野 雅広

MIXI、livedoor、メルカリを経て、2021年1月にさくらインターネットに入社。2022年夏にSRE室を立ち上げ、室長を務める。「さくらのクラウド」を中心としたサービス開発を担当。サーバーパフォーマンス向上コンテスト「ISUCON」創設者の1人。

エンジニアの採用担当者に選考のポイントや求める人物像について尋ね、現場のリアルな声を届ける「採用担当者の本音」シリーズ。第15回は、全国3カ所のデータセンターを運営し、クラウドコンピューティングサービスやIoTサービスを展開しているさくらインターネット株式会社。

1996年のインターネット黎明期に創業し、時代のニーズに応えながら日本のデジタルインフラを支え続けてきた同社には、どんなエンジニアが集まっているのでしょうか。社内全体の採用マネージャーである武村さんと、エンジニア採用責任者である長野さんにお話を聞きました。

エンジニアなら「技術が好き」は最低ライン

Q1. さくらインターネットのエンジニア組織について教えてください。

武村:会社全体では社員が約650人、うちエンジニアは約300人です。職種はソフトウェア開発やインフラ開発など、全部で10種類ほどあります。

会社の事業ドメインがWebサービスなので、いわゆる「リンク・フラット・シェア」というインターネット的な文化が根付いています。働き方はコロナ前から、リモート勤務を推進してきました。

長野:トップダウンではなく、ボトムアップ文化なのも組織の特徴です。開発や改修については事業サイドから指定するのではなく、現場のエンジニアが考えて進めるスタイルです。

Q2. 採用はどういうふうに行われていますか?そのプロセスを教えてください。

武村:一般的には書類選考・一次面接・最終面接・オファー面談と進みます。希望者の方には書類選考の前にカジュアル面談も実施しています。

長野:書類選考は所属する予定のチームが担当し、チームにマッチしているかを確認します。書類には単なる経験の羅列ではなく、どう考えて動いたかまで書いてあると、当社でどう活躍いただけそうか想像しやすくてありがたいですね。次の一次面接もチームメンバーが行います。技術の話を中心に一緒に働けるか・働きたいかを見ています。

武村:最終面接には、私や各部長、場合によっては役員が出ることもあります

入社した方にはできるだけ長く働いてほしいという思いから、最終面接では、候補者さんの志向性と当社の事業戦略のマッチングを重視しています。長く働いていると、担当プロジェクトが変わったり、別の部署へ異動したりもありえます。そうなっても変わらず活躍いただくためにこの方式をとっています。

いくら技術力が高くても、志向性や価値観が当社とマッチしない場合は、候補者さんのためにも泣く泣く採用を見送ることもありますね。

Q3.社内のエンジニアにはどんな人が多いですか?

長野:基本的にみんな技術が好きですね。エンジニアなら「技術が好き」は最低ラインだと思います。当社には技術そのものが好きな人と、その技術で何かを成し遂げることが好きな人の両方がいて、総じて技術力は高いですね。

武村:自宅にサーバーラックがある方もいらっしゃいますし、個人開発でアプリなどをつくっている人もいますよね。

長野:趣味の一環として、プライベートでも技術に触れている人が多いです。どんな企業で働いていても、業務で使う技術を自分1人で選んだり、何かしらのサービスを1人でイチからつくったりする機会は少ないでしょう。でもプライベートでの開発なら、業務では担当しきれない領域も、全て自分自身で考えて実践できます。スキルアップにもつながりますし、単純に「楽しいからやっている」という人もいますよ。

武村:技術一辺倒ではなく、バリューにあるような温かいコミュニケーションを円滑にとれる人ばかりなのも、特徴のひとつかもしれませんね。

バリューはコミュニケーション面に言及しているものが多く、「肯定ファースト」「リード&フォロー」「伝わるまで話そう」の3つ。まずは肯定した上で建設的に議論することが大事ですし、プロジェクトの推進にはリーダーシップ・フォロワーシップどちらも発揮できるバランス感が必要。そして、これらを体現する基礎として、伝わるまで話す・わかるまで聞く姿勢が不可欠だと考えています。こういった「チームで成果を出すために必要なコミュニケーション能力」が高い社員ばかりなので、話しづらいと感じたことはないですね。

Q4. 技術力が高いエンジニアには、どんな特徴がありますか。また、どういった観点でそれを見極めていますか?

長野:技術力の高い人の特徴として「インプットの量と深度を両立している」という点が挙げられます。

今だとTwitterをメインにインプットする場合が多いですが、Twitterで得られる情報に留まっていては、情報量は多くても、質や深度は不十分なように思います。知識が深い人は皆、新しい情報に触れたとき、本を買ったりオフィシャルドキュメントにあたったり、できるだけ原点に近い情報を集めに行っていますね。

最近の若いメンバーは英語に抵抗が少なく、海外の論文まで遡って読む人も多い印象があり、素晴らしいことだと思います。やはりインプットで知識量を増やせれば、仕事の中でも引き出しが増えますから。

武村:また、情報収集の目的が明確で、目的を果たすために必要な情報を集めるという動き方も、技術力が高い人の特徴かもしれません。そういった動き方を知るために、面接では「どんな目的で、どんな情報を集めたのか」と、情報収集の背景まで聞くことが多いですね。

活躍できるエンジニアは「課題を発見し、技術で解決する力」を持っている

Q5:高く評価するエンジニアの条件は何でしょうか?

長野:課題を見つける力、解決に向かって行動する力と、高い技術力・深い知識を、両方持ち合わせていることが重要だと考えています。

当社は企画から開発までエンジニアが主導するスタイルだからこそ、エンジニア1人1人の「課題発見・解決能力」が不可欠です。だからと言って、エンジニアなら誰もがサービスの課題を発見・解決できるような環境にいる、というわけではありませんよね。でも、課題を見つける力と、解決に向かう行動力を持っていれば、どんな環境にいても身の回りの課題を自然に見つけ、解決に向かって動けるだろうと思います。

さらに、高い技術力と深い知識を併せ持っていると、見つけた課題に対して適切な技術や知識を使えます。これができる人には、影響範囲や責任が大きく難しい課題でも安心して任せられます。さくらインターネットは日本のデジタルインフラを支える会社である分、大規模なプロジェクトがたくさんあるので、技術力や知識もより高いレベルで求められる環境だと思います。

武村:「課題を発見し、その解決のためにインフラからソフトウェアまでいろいろな切り口で技術を使う」ことは、まさに当社の事業であり、日々の業務で取り組んでいることです。そういった力を持っていると感じられる方は、面接での評価も自ずと高くなると思います。

長野:面接では、課題発見から解決までの動きやその時考えていたことを、時系列に沿って1つのストーリーとして話してもらえると、当社でどう活躍してもらえそうか想像がつきやすいですね。結果的にチームやプロダクトがどうなったか、全体がどう変わったかという話まで展開してくれると、非常に優秀な方だなと思います。

Q6. 「良いエンジニア」を見極めるために、どんな質問をしていますか?

長野:過去の失敗について聞くことが多いですね。というのも、「良いエンジニアさん」の共通点として、「好奇心を持って物事に向き合えること」「新しいものをポジティブに捉えられること」が挙げられると思っていて、そういった資質を持っているかどうか確かめたいからです。

「なぜ失敗したのか」を突き詰めて考える人は、「なぜそうなったのか知りたい」という好奇心が強いんだと感じます。また、失敗したことをどう捉えているかに、ポジティブさが現れます。過度に落ち込まず「この教訓を生かせば次はきっとできる」とポジティブに捉えられる人は、成長も速いように思いますね。

ほかには、技術選定の話もよく聞きます。業務としてでなく、プライベートでの開発においても、使いたい技術は何か、使う技術を選んできた経験があるか。こういった話には、好奇心の強さが如実に現れると思います。面接でも「自分が学んでいる技術のここがおもしろい」とか「本当はこの技術を使いたいけれど、今の環境だと難しい」といった技術選定の葛藤についてのお話は聞いていて楽しいし、ぜひ話してほしいですね。

日本のデジタルインフラを支える責任が、働く楽しさになっている

Q7.さくらインターネットを希望するエンジニアに伝えたいことは何ですか?

武村:当社は日本のデジタルインフラを支える会社なので、ともすればプレッシャーも感じる仕事です。ただ、当社のエンジニアは「世の中を支える責任ある仕事」だと自負し、大きな課題に向き合うことを楽しんでいる人が多いと思います。そんなポジティブな心持ちで働いてもらいたいですね。

長野:「日本のデジタルインフラとして、安定稼働する」と口で言うのは簡単ですが、実現するのは本当に難しいです。インフラの開発者たちは、その大きな責任を果たすことにプライドを持って働いています。当社の中でも「プロダクトを開発する人」は社会と向き合っているし、「運用する人」はユーザーと向き合っていて、どちらも責任は等しく大きいです。

今、会社のフェーズも変わりつつあります。ガバメントクラウドへの挑戦やGPUクラウドサービスへの新規投資など、社会や世界の課題解決のための新たなプロダクトをつくっていくチャンスがあり、非常に魅力的なフェーズにいます。日本国内でここまで大きなプロジェクトに携われる会社はそうありませんし、私自身もその挑戦を楽しんでいます。

取材・執筆:古屋 江美子
撮影:赤松 洋太

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