イベント登壇は質よりも場数。セリフは全部紙に書いて読み上げていた私が、50回登壇するまでの記録

2023年12月6日

フロントエンドエンジニア

鹿野 壮

九州大学芸術工学部音響設計学科卒業。現在はUbie株式会社に勤務している。とくにTypeScript・CSSが好きで、暇があればコードを書いている。勉強会・技術SNS・Twitterなどで積極的に技術情報を発信中。
CSS Nite 2017〜2019ベストセッション受賞。
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こんにちは、フロントエンドエンジニアの鹿野壮(かのたけし)といいます。

私はこれまで、約8年間で社内外あわせて50回以上登壇してきました。私の登壇を見ている人からは、次のようなことを度々言われます。

  • ・全然緊張しているように見えない
  • ・どうしてそんなにスラスラと喋ることができるのか

しかし、私も最初のころは喋ることに対して全く自信がなくて、次のような不安を感じていました。

  • ・間違ったことを言ってしまったらどうしよう
  • ・頭が真っ白になってしまったらどうしよう
  • ・時間が足りなかったらどうしよう・余りすぎたらどうしよう

そういった私が、どうやって人前で喋れるようになったのか、登壇初期のエピソードを交えながら解説します。

初めての登壇では、セリフを全部書いたカンペを読み上げていた

初めての登壇は2015年頃で、約80人が参加したフロントエンドのイベントでした。私は5人ほどいる登壇者のうちの一人で、7分のライトニングトークをしました。

初めての社外での登壇だったので、多くの不安がありました。この不安を解消するため、挨拶・スライドごとの一言一句のセリフからクロージングのトークまで、自分が喋ることをすべてメモしました。業務の合間を塗りつつ、準備には1ヶ月以上をかけ、スライドの作り込みとセリフの丸暗記に必死でした。

直前まで心臓が止まりそうなほど緊張し、何度も何度もセリフを必死に読み返していました。「可能なら、今すぐこの登壇が中止にならないか?」と願っていたことを今でも強く覚えています(笑)。

▲ 初めての登壇の様子。参加したのは2015年CreateJS勉強会(第5回)

必死の準備のおかげで、登壇は無事に終わりました。登壇後の懇親会では、参加者の人と交流することができ、好意的な声もいただき、登壇にチャレンジしてよかったと感じました。「登壇は、やってみればなんとかなる」という小さな勝利感を得ました。

その後も登壇の募集があったときには、積極的に手を挙げ、何度か5〜10分ほどの短いLTで登壇しました。登壇の回数を経るにつれ、「なんとかなる」という小さな勝利感が積み重なっていきました

登壇の数をこなせば、「小さな勝利感」はアップデートする

何度かLTの経験を経て、今度は30分ほどの勉強会登壇の機会を得ました。これまでと同じく、セリフを一言一句覚えようとしましたが、さすがに30分となると全てのセリフを覚えることは不可能です。そこで「このスライドではこれを言う」という要点だけをメモし、後は頑張って喋ることにしました。

▲ 2016年 第22回HTML5+JS勉強会 in 代々木

登壇するのは私を含めて2人のイベントでしたが、最終的に220人ほどの集客がありました。

  • ・わかりやすかった
  • ・やってみようと思った
  • ・一週間でデモを作ったのすごい

という温かい声をいただき、多くの人から話しかけていただきました。ここでは、「200人規模で30分ほどの登壇でも喋ることができる」という勝利感も得ました。

30分級の登壇イベントを何度か繰り返し、技術記事でのアウトプットも続けていくと、今度は単独で登壇の声がかかるようになりました。

初めての単独イベントは、レバテックLABの運営でもあるレバレジーズ株式会社のイベント「ヒカ☆ラボ」でした。登壇時間は2時間、参加者は300人を超えていました。

▲ 2016年 【 ヒカ☆ラボ 】Webデザイナーが今覚えておくべきFlexboxとレスポンシブイメージ

イベント登壇に必要なのは「場数」

アウトプットの良いところは、アウトプットを見た人から仕事をもらえることです。この頃になってくると、登壇・学習サイトでの授業・オンラインメディアでの連載・雑誌での連載など、各種媒体での発信を依頼されるようになり、「アウトプットがアウトプットを呼ぶ」という状態になっていました。

登壇自体も慣れてきて、メモの量が減り、即興で発表できるようになってきました。メモをただ読み上げていた時代から比べると、会場の反響を見ながら柔軟に話す内容を変えていけるようになっていました。

登壇である程度喋れるようになったのは、「場数」をこなしたからだと感じています。何度も恥ずかしい思いをし、緊張し、練習を繰り返した経験の量があったからこそ、登壇で喋れるようになりました。

今でも緊張や恐怖は消えないが、「なんとかなったことがありる」という経験がある

ある程度登壇で喋れるようになったとは言え、私の場合は「緊張」や「恐怖」といった気持ちは消えていません。今でも、登壇の直前になると、たくさんのネガティブな思いに駆られます。

  • ・逃げ出したい
  • ・本当にこの内容は人の役に立つのかな?
  • ・どうして登壇をすると言ってしまったんだろう
  • ・明日中止にならないかな

しかし、登壇の数をこなしたことで、その先に達成感があることも理解できるようになりました。登壇が終わった後、私は次のような気持ちになりました。

  • ・登壇してよかった
  • ・役に立ったと言われて嬉しかった
  • ・なんとかなった

「なんとかなった」という気持ちが何よりも大事で、積み重ねることで「あのときはなんとかなったな」「だから今度もなんとかなるだろう」という自信になっていくのです。

▲ 2023年 CSS Nite「脱IE時代のイマドキCSS 2023」

不安や恐怖に目をつむり、まずは一歩飛び込んでみよう

アウトプットには緊張や不安が伴います。私の場合はそれは今でも消えません。しかし、「なんとかなったことがある」という経験を重ねることで、「今回もなんとかなるだろう」という自信が生まれてきます。

目先の不安や恐怖に目を瞑り、まずは一歩飛び込んでみましょう。アウトプットの内容や質や反応がどうであれ、「アウトプットをした」という経験だけは必ず残りますそしてその経験が、必ず将来の自分へ生きてきます。一緒に頑張りましょう!

次回は、アウトプットにありがちな「マサカリ」の対策についてお話します。

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