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最終更新日:2024年9月12日

ジョブ型雇用とは?デメリットや導入の注意点を解説

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ジョブ型雇用とは、ジョブディスクリプション(職務記述書)で職務内容を明確にし、人材を採用する雇用形態です。最近は大手企業が導入を開始しており、優秀な人材を確保し、グローバル化に対応する雇用方法として注目を集めています。

このコラムでは、ジョブ型雇用と日本で一般的なメンバーシップ型雇用の違いを解説します。ジョブ型雇用のメリット・デメリットも紹介するので、導入に迷っている企業はぜひ参考にしてください。

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ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、職務内容を明確に定義し、該当の職務を遂行するスキルを持った人材を採用する手法です。従来は欧米で一般的な雇用形態でしたが、最近は日本でも大手企業が導入を開始して注目を集めています。

ジョブ型雇用においては、企業はジョブディスクリプション(職務記述書)に職務内容や必須スキルを明記して募集を行います。また、勤務時間や勤務地なども採用前に明示し、合意のうえで雇用契約を締結します。

成果主義とジョブ型雇用は異なる

ジョブ型雇用では、年功序列は適用されず職務を遂行するスキルによって評価が決まります。そのため、成果主義とジョブ型雇用は混同されがちですが両者は異なるものです。

成果主義とは、仕事の質や成果によって給与が決まる考え方です。対して、ジョブ型雇用では採用時点でスキルに対する評価は決まっており、報酬は成果の有無に関わらず一律です。

年齢や勤続年数が評価を左右しない点は成果主義・ジョブ型雇用に共通しますが、成果が報酬に反映されるかどうかで両者は異なります。

派遣やアルバイトはジョブ型雇用に近い概念

ジョブ型雇用を近年新しく広まった雇用方法として捉える方は多いでしょう。ただ、派遣やアルバイトは、もともと職務内容や勤務地が限定された働き方であり、ジョブ型雇用の概念に近いといえます。

今までは、職務が限定される派遣やアルバイトに対して、正社員は職務内容が限定されないことが特徴でした。今後は、正社員においてもジョブ型雇用の導入で多様な働き方が広がっていくでしょう。

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日本はメンバーシップ型雇用が主流

ジョブ型雇用は近年注目を集める雇用方法ですが、日本では従来「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。

メンバーシップ型雇用は、職務内容や勤務地を限定しない雇用の方法で、新卒一括採用を中心とする定期採用で人材を集め、入社後に担当業務を決めていきます。両者の主な違いは以下のとおりです。

ジョブ型雇用 メンバーシップ型雇用 違い

メンバーシップ型雇用では、担当の職種を決めずに採用を行い、入社後に適性を見て業務を割り振るのが特徴です。ジョブ型雇用は仕事内容に合った人材を採用するのに比べると、メンバーシップ型雇用は会社に合った人材を採用する方法だといえるでしょう。

日本でメンバーシップ型雇用が普及している大きな要因は、終身雇用制度の存在です。多くの企業は、人材の長期育成を前提に職務を定めず新卒一括採用を行い、ジョブローテーションで社員を育成してきました。

ただ、近年は「労働人口の減少で新卒一括採用が難しい」「グローバル市場で戦うために専門性の高い人材を確保したい」といった企業側の事情から、ジョブ型雇用が着目されるようになっています。

関連記事:ジョブ型とメンバーシップ型雇用の違いは?メリットとデメリットを解説

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日本でジョブ型雇用が注目を集めている理由

ジョブ型雇用が注目される背景には、いくつかの要素があります。なぜメンバーシップ型からジョブ型への転換を考える企業が増えているのか、その理由を確認していきましょう。

リモートワークの普及

新型コロナウイルス感染症をきっかけにリモートワークを行う企業が増えたことは、ジョブ型雇用が注目される理由の一つです。リモートワークでは社員同士が離れて作業するため、「誰が何をするか役割分担がわかりにくい」という状態になりがちです。

しかし、ジョブ型雇用ではあらかじめ各自の業務範囲が明確になっているので、リモート下でも社員が自律して動けます。

専門職の人手不足

AIやIoTといった新たな技術が登場する中で事業を運営するには、高度な専門性を有する人材が欠かせません。特に、日本ではエンジニアをはじめとするIT系の人材が慢性的に不足しています。

そんな中で、即戦力となる人材を確保するには、業務内容やスキルを明確に定義して採用を行うジョブ型雇用が最適です。そのため、スペシャリスト人材を求める企業では、ジョブ型雇用の導入が進んでいます。

グローバル化への対応

ビジネスがグローバル化する中で、専門性の高い人材を確保し国際競争力を高めようとする企業が増えたことも、ジョブ型雇用が注目される背景です。

年功序列のメンバーシップ型雇用では、能力が高い社員に対して必ずしも十分な報酬を出せませんでした。そこで、一部の企業はスキルに見合った対価を支払うジョブ型雇用を導入することで、優秀な人材の確保を図っています。

大手企業によるジョブ型雇用の導入

市場をリードする大手企業がジョブ型雇用の導入を開始したことからも、ジョブ型雇用の注目度が高まっています。日本国内では、すでに有名大手化粧品メーカーや総合エレクトロニクスメーカーがジョブ型雇用を導入し話題となりました。競合他社がジョブ型雇用を導入したことで、雇用方法の見直しを検討する企業が増えています。

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ジョブ型雇用のメリットとデメリット

ジョブ型雇用は即戦力となる人材を採用できる雇用方法ですが、デメリットも存在します。ジョブ型とメンバーシップ型のどちらをとるか迷う場合は、メリット・デメリットの両方を把握しておきましょう。

メリット

ジョブ型雇用は職務内容を明確にして採用を行うため、必要なスキルを持った人材を確保しやすくなります。事前に条件を明示し採用を行うので、入社後のミスマッチも起こりにくいでしょう。

また、役職や勤続年数ではなくスキルに対して評価を行うため、社員を正当に評価でき、モチベーションの向上も期待できます。

デメリット

ジョブ型雇用の社員は異動が難しく、柔軟な人材配置ができません。また、職務内容の変更も難しいため、新たな業務が発生した場合は別の人材を採用する必要があります。

加えて、同じ職務内容で条件の良い企業があった場合に社員が転職する可能性が高く、人材が流出しやすい問題もあります。

ジョブ型雇用に失敗するパターン

ジョブ型雇用はスペシャリストを確保するのに有効な方法ですが、事前の準備が十分でないと導入に失敗する恐れがあります。よくある失敗例としては、以下が挙げられます。

  • ・現状の職務を前提にした職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成
  • ・業務内容を把握していない人事による制度運営
  • ・年功序列の昇給/昇進システムを刷新しないことによる制度の形骸化
  • ・社員の理解を得られない

ジョブ型雇用では職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成して採用を行います。この際、現状の職務を見直さず余計な業務を含んでしまうと、社員のスキルアップを阻害する恐れがあります。

また、ジョブ型雇用は仕事に人をつける雇用方法のため、人事制度の運用は職務内容に詳しい管理職を中心に行う必要があります。それにも関わらず、現場の業務を把握していない人事部員が制度を運用すると、人材のスキルを正しく評価できません。年控序列の昇給/昇進システムを刷新しないまま運用を行い、制度が形骸化する失敗例も少なくありません。

さらに、既存の社員にジョブ型雇用に関する周知を行わないと、「成果が出ないと解雇されるのでないか」といった誤解が生まれ現場が混乱してしまうので注意しましょう。

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ジョブ型雇用導入を考えるときの注意点

ジョブ型雇用はすべての企業に同じやり方で導入できるとは限りません。まず、職務内容を限定するジョブ型雇用を導入できるのは、専門分野の業務が安定して存在する大企業に限られる傾向があります。

また、専門分野の業務が安定している場合でも、一律にジョブ型雇用を導入するのが最適とは限りません。メンバーシップ型雇用が社風として定着している企業では、全面的にジョブ型雇用を導入すると社員の反発をまねく恐れがあります。また、ジョブ型雇用には、ゼネラリストを育成しにくい問題点も存在します。

そのため、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の二者択一で考えるのではなく、状況によっては一部の業務にジョブ型雇用を適用するといったやり方をとると良いでしょう。組織全体をジョブ型雇用に転換する場合でも、まずはマネジメント層からジョブ型を段階的に取り入れるやり方があります。

ジョブ型雇用導入に向けて行うこと

ジョブ型雇用の導入を決めたら、具体的な手順を確認し十分な準備を行うことが重要です。ジョブ型雇用をスタートするまでに必要な準備をまとめたので、チェックしていきましょう。

新卒一括採用の見直し

ジョブ型雇用を導入する際は、まずは新卒一括採用を見直しましょう。具体的には、新卒一括採用を全面的に廃止し通年の採用に切り替えるのか、採用人数を減らして新卒一括採用を続けるのかを決定します。新卒一括採用を全く行わない場合は、ゼネラリストをどのように育成するのかも検討しましょう。

職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する

ジョブ型雇用で人材を採用するには、ジョブディスクリプションを作成する必要があります。ジョブディスクリプションは、以下のような項目で構成されます。

    • ・ポジション名
    • ・所属部署やチームについて
    • ・責任や権限の範囲
    • ・職務の目的
    • ・具体的な職務内容、範囲
    • ・必須の能力や資格
    • ・歓迎される能力や資格
    • ・給与、待遇

ジョブディスクリプションを作成する際は、人事部門と現場の社員が話し合い、職務の内容や範囲に認識の齟齬が起こらないようにしましょう。

関連記事:ジョブディスクリプション(職務記述書)とは?具体的な記載例や作成の3ステップ

求人募集のポイント

求人を募集する際、企業側は自社の魅力を中心に強調する傾向があります。しかし、ジョブ型雇用を希望する求職者が最も注目するのは、職務内容や応募資格についてです。

ジョブ型雇用において求人を出す際は、企業のPRばかりにせず「実際にどんな仕事をするのか」「どんなスキルを持った人材を求めているのか」「どんな待遇で働けるのか」なども重視しましょう。

給与体系や評価制度の見直し

ジョブ型雇用は給与体系や評価制度がメンバーシップ雇用とは異なるため、既存の人事制度を見直す必要があります。年功序列の要素は入れず、スキルに対する明確な評価基準を定めましょう。

また、報酬額が市場価値に見合わなければ応募者が集まらないため、市場の相場を確認したうえで給与を決定することが大切です。

既存社員への説明

ジョブ型雇用の社員とメンバーシップ型雇用の社員の間で不公平感が生まれないよう、既存の社員に十分な説明を行いましょう。不満が解消されないまま制度を運用すると、社内のチーム形成に支障が出たり、早期退職につながったりする恐れがあります。

ジョブ型雇用を導入する際は、既存社員が納得できる客観性・透明性のある説明が必要です。

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