最終更新日:2025年10月3日

DX戦略とは?策定の5ステップと成功のポイントを解説

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「DX戦略を立てたいけど、何から始めればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、DX戦略の本質的な意味や実施するメリット、具体的な策定手順、成功のポイントなどを解説します。さらに、DX戦略においてフリーランスを活用した成功事例も紹介するので、自社のDX戦略立案にぜひお役立てください。

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DX戦略とは

DX戦略とは、デジタル技術を活用して新たな価値を創造し、競争優位性を確立するための経営計画です。具体的には、デジタル技術を用いて、業務プロセスの効率化や組織構造の最適化、ビジネスモデルの革新を図り、企業の持続的な成長の実現を目指します

そもそもDXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略であり、経済産業省では以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

DXとはどのようなものか改めて確認しておきたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【簡単に解説】DXとは?企業が推進すべき理由と実際の進め方

【DXの現状】レガシーシステム刷新を行う企業は5割

DXは、レガシーシステムからの脱却を起点としています。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、2025年までにDXが実現できない場合、国内全体で年間最大12兆円(2018年時点比で約3倍)の経済損失が生じる可能性が指摘されています。

しかし、レバテックの調査によると、レガシーシステムを保有する企業のうち、刷新を「一部進めている」と回答したのは2025年時点で約5割にとどまりました。これは、半数近くの企業がレガシーシステムの刷新に取り組めていない現状を示しています。

レガシーシステムの刷新状況

引用元:レガシーシステムの刷新、約5割が進行中と回答、 一方で先行き不透明な企業も|レバテック株式会社

なお、レガシーシステムに起因する主な問題点として、「保守運用・維持コストの増加」を挙げた企業は47.7%で最多となりました。

レガシーシステムに起因する問題

引用元:レガシーシステムの刷新、約5割が進行中と回答、 一方で先行き不透明な企業も|レバテック株式会社

DXの遅れは、すでにコスト増といった形で企業に影響を及ぼしていることが明らかです。

DXを推進に向けて人材を確保したい場合には、フリーランスの活用が有効です。以下のページから、DX先進企業のフリーランス活用例が載っている資料をダウンロードできるので、ぜひ参考にしてください。

DX人材の確保を実現する「フリーランス活用」とは?
フリーランスとDXを進めるための具体的なステップを紹介!
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DX戦略の重要性

DXは「デジタル技術の導入さえすれば良い」と思われがちですが、実際には失敗のリスクを伴う複雑な取り組みであり、効果的な推進には戦略策定が不可欠です。

たとえば、システムの導入を急ぐあまり、社員の理解や業務との適合性を軽視すると、さまざまな問題が発生します。社員が新システムを使いこなせない、あるいは業務に不適合なシステムを導入してしまうなど、多額の投資が無駄になるリスクが生じるでしょう。

このような課題に対応するため、経済産業省は「デジタルガバナンス・コード」を策定し、このコードに沿ったDX推進施策を展開しています。デジタルガバナンス・コードは、企業がDXを推進する際の基本指針として機能し、経営者のビジョン策定や戦略的投資判断を支援する重要な枠組みです。
この記事でも、DX戦略の手順や成功させるポイントを分かりやすく解説しますが、戦略策定で悩んだ際は経済産業省の資料も参考にすると良いでしょう。

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DX戦略の4つのメリット

DX戦略を適切に実行すると、企業はさまざまなメリットを享受できます。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。

1. 生産性が向上する

DXによる業務プロセスの自動化は、作業の効率化と生産性の向上をもたらします。

たとえば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入により、これまで人の手で行っていた定型作業を自動化できます。これにより、作業時間の短縮とヒューマンエラーの削減を実現し、結果として生産性の向上が期待できるのです。
さらに、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになるため、組織全体の生産性向上にもつながる可能性があるでしょう。

2. 顧客体験が改善する

DXによって顧客接点やサービスの提供方法を抜本的に見直すことにより、顧客体験を向上させることができます。

たとえば、ECサイトへのレコメンド機能の導入は、購買履歴や閲覧履歴に基づいて商品を提案するため、顧客のニーズに合った商品を見つけやすくし、購買意欲を高めます。また、AIチャットボットは24時間365日問い合わせに対応できるため、顧客の利便性の向上と迅速な問題解決につながるでしょう
こうした取り組みは顧客ロイヤリティの向上につながり、ひいてはリピート率や顧客単価の向上といった成果に結びつくことが期待されます。

3. レガシーシステムによるリスクから脱却できる

DXのメリットの一つとして、老朽化したシステムを使い続けることで生じるさまざまなリスクからの脱却が挙げられます。

先述したレバテックの調査の「レガシーシステムに起因する主な問題点」を見ると、レガシーシステムを使い続けるのにはコスト面以外にも深刻な問題が存在することが分かります。
たとえば、「システム機能や詳細がブラックボックス化している」「システムが肥大化して改修や機能追加ができない/困難になっている」などは、業務の進捗やセキュリティ面などに重大な支障をきたす可能性があるでしょう。

DX戦略に基づくシステムの刷新により、効率的で持続可能な業務基盤を構築することが可能となります。

4. 従業員のエンゲージメント向上につながる

DXは、従業員のエンゲージメント向上にも貢献します。DX推進によりリモートワークが可能になる場合があり、こうしたケースでは柔軟な働き方を実現しやすくなるからです。

レバテックの「リモートワークに関する実態調査」によると、リモートワーク未経験者の約4割が「今後リモートワークを希望する」と回答しています。また、コロナ禍以降にリモートワークを始めた層では、「出社回帰がキャリアプランに影響し、転職を検討する」と答えた人が約4割に達しました。

リモートワークの希望割合

引用元:出社回帰で約4割のITエンジニアが同職種での転職を検討、根強く残る“リモート希望”の声|レバテック株式会社

出社回帰がキャリアに与える影響

引用元:出社回帰で約4割のITエンジニアが同職種での転職を検討、根強く残る“リモート希望”の声|レバテック株式会社

これらの結果から、リモートワークの導入は従業員の満足度を高め、人材の定着や優秀な人材の獲得につながる可能性が高いといえるでしょう。

DXを行うメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
DXとIT化、デジタル化の違いは?メリットや推進のポイントを解説

DX人材の確保を実現する「フリーランス活用」とは?
フリーランスとDXを進めるための具体的なステップを紹介!
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DX戦略の策定・実行の5つの手順

DX戦略を成功させるためには、計画的なアプローチが重要です。ここでは、DX戦略の策定・実行における5つの手順を解説します。

1. 企業の目指すビジョンを明確にする

DX戦略の策定においては、まず自社がデジタル技術を活用して「何を実現したいのか」「顧客あるいは従業員に対してどのような価値を提供したいのか」といった将来像を明確にすることが重要です。なぜなら、明確なビジョンがないとDX推進のための施策が場当たり的なものになり、効果的な投資やリソース配分ができず、結果としてDXの成功につながらないからです。

ビジョンが明確になったら、社内全体に共有しましょう。全従業員が変革の方向性を理解し、共通の目標に向かって行動できるようになります。

2. 自社の現状と課題を把握する

目指すべき姿を明確にした後は、現状分析を行い、DX推進における課題を抽出します。どの業務領域でどのようなDX推進が必要かを具体的に把握するには、現在の業務プロセスやシステム環境、組織体制、人材スキルなど詳細に分析する必要があります。

分析する際は、社内アンケートや顧客からのフィードバック、業務パフォーマンスデータなどを活用し、現状の把握と課題特定を行うのが一般的です。

3. 課題を解決するための実行計画を立てる

現状と課題を把握した後は、具体的なDXを推進するための実行計画を策定します。この計画は、DX推進の道筋を示すロードマップとなるため、実現できる可能性を慎重に検討しながら作成することが重要です。
実行計画の策定にあたっては、以下の要素を明確に定める必要があります。

  • プロジェクトの優先順位
  • スケジュール
  • 導入する技術やツール
  • 必要な予算と人材
  • KPI

4. DX戦略を推進するための組織体制を構築する

実行計画の策定後は、施策を実行するための組織体制を構築していきます。施策に応じて適切な人員を配置することで、効果的な遂行が可能となります。

組織体制の構築では、社内からDX推進に適性のある社員を選定し、育成することが重要です。

DX推進に適性のある人材像や育成ロードマップについては、以下の記事を参照にすると良いでしょう。
デジタル人材とは?不足する理由と育成・採用を成功させる方法
DX人材育成のロードマップ!人材の選定や具体的な学習方法について解説

社内に適切な人材が不足している場合は、後述の「DX人材を確保する」で紹介する方策もご検討ください。

5. 実行と評価を繰り返す

DX戦略においては、定期的な進捗・成果の評価と、必要に応じた計画修正が重要です。

具体的には、事前に設定したKPIを定期的に測定・分析し、期待値とのギャップを検証します。効果的な取り組みは拡大し、期待した成果が出ていない施策は内容を見直します。
この「実行→評価→改善」のサイクルを繰り返すことで、DX戦略の精度向上を図ることができるのです。

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DX戦略を成功に導くポイント

ここでは、DX戦略を成功させるためのポイントを紹介します。どのような取り組みが効果的なのか確認していきましょう。

ビジョンの明確化や戦略立案は経営層に主導してもらう

DXは単なるデジタル技術の導入ではなく、企業の変革を促す経営戦略そのものであるため、経営層のコミットメントと主導が不可欠です。特に、DXのビジョンの明確化や戦略策定においては、経営層が積極的に関与し、全社的な方向性を明確に示す必要があります。
トップダウンで発信される明確なメッセージと具体的な行動は、組織全体のDX推進を加速させ、変革への意識統一を促すでしょう。

スモールスタートで徐々に拡大する

大規模なシステムの刷新や組織改革はリスクやコストが高くなるため、比較的取り組みやすい小規模な業務領域でスタートし、小さな成功体験を積み重ねるのが効果的です。

たとえば、社内のDXを実現するツールやシステムを特定の部署で試験的に導入し、その効果を検証します。成果を確認できた後、段階的に対象部署を拡大していくと良いでしょう。
社内DXにおすすめのツールやシステムの例を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
社内DXとは?具体例や推進に向けた4ステップ

失敗もノウハウとして醸成していく

DX戦略は計画通りに進まないことが多いため、失敗の原因を詳細に分析し、組織のノウハウとして蓄積・共有していくことが重要です。

具体的には、失敗事例を組織全体で共有するために、データベース化による情報共有基盤の整備が有効です。失敗の状況や原因、対策を記録し、誰でもすぐにアクセスして確認できるようにすることで、同様の失敗の再発防止につなげます。
たとえば、プロジェクト管理ツールや社内Wikiなどを活用し、検索しやすい形で情報を整理・蓄積することが効果的です。

DX人材を確保する

DX推進には専門スキルを持つ人材が不可欠なため、社内に適性のある人材がいない場合、採用や業務委託といった方法でDX人材を確保する必要があります

DX人材を確保する方法としては、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用が有効です。
ダイレクトリクルーティングは企業が直接候補者にアプローチできるため、求めるスキルや経験を持つ人材にピンポイントで接触できます。
リファラル採用には、社員から社風に合い必要なスキルを持つ人材を紹介してもらえるメリットがあります。

また、フリーランスへの業務委託もDX人材を確保する選択肢の一つです。フリーランスは自ら案件を獲得する必要があるため、特定の分野におけるスキルを深く追求している傾向があります。そのため、DX戦略の策定や実行といった専門的な業務において、その能力を発揮してくれることが期待できます。

フリーランスへの依頼を検討する際は、IT分野に特化したエージェントであるレバテックフリーランスを活用すると良いでしょう。レバテックフリーランスは約45万人の登録者データベースを保有(※)しており、各企業のプロジェクトに最適なスキルを持つ人材を紹介しています。相談だけでも無料で受け付けているため、まずはお気軽にご利用ください。

DX人材を確保する方法については、以下の記事でも紹介しています。
DX人材が不足している企業は6割以上!具体的な状況と解消法を解説

※2023年7月時点

DX人材の確保を実現する「フリーランス活用」とは?
フリーランスとDXを進めるための具体的なステップを紹介!
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DX戦略でフリーランスを活用し成功した事例

ここでは、フリーランスを活用してDXに成功した企業の事例について2つ紹介します。

以下の記事でも、フリーランスを活用したDXの成功事例を複数紹介しているため、より多くの事例を確認したい方はぜひご覧ください。
【中小企業向け】DX事例から学ぶ!業務改革を成功させる5つのコツ

丸紅株式会社

総合商社である丸紅株式会社は、全社的にDX推進に取り組んでいます。

その取り組みの一環として、EV配車・充電最適化サービス「おまかせEV」が誕生しました。開発チームは、社内の人材とレバテックフリーランスから参画した複数名のエンジニアを含め、約10名で構成されています。

開発過程において、レバテックフリーランスから紹介されたフリーランスエンジニアから「このデータベースは扱える人材が限られるため、運用性を考慮して刷新すべき」との提案があり、別のデータべースへの移行を実施しました。移行作業も同エンジニアが担当し、現在は安定稼働を実現しています。
これは自社社員だけでは発想が難しく、たとえ構想できたとしても人的リソースの制約から実現は困難だったといいます。

ほかにも、レバテック経由で参画している人材は変化に柔軟で新しいことに意欲的なため、開発要件の変更にも柔軟に対応し、迅速な実装を実現できているとのことです。

このような成功事例を踏まえ、同社では第二、第三の革新的な事業創出を目指しています。

丸紅株式会社がどのようなフリーランス人材を確保し、どう稼働してもらったのか、より詳細な情報を知りたい方は、以下のページをご覧ください。
“柔軟で迅速” 商社・丸紅がフリーランス活用で実現したスタートアップのようなデジタルサービス開発

株式会社朝日新聞社

株式会社朝日新聞社は、新聞やデジタルメディアコンテンツ事業を展開しています。中でも、Webニュース配信サービス「朝日新聞デジタル」は、同社のDX戦略の中核を担う事業として、急速な成長を遂げてきました。

しかし、急速な事業成長により、これまで外部委託していたシステム開発において、新機能の実装やサービス改善に時間を要する課題が出てきます。そこで同社は、フリーランスの常駐体制を導入し、開発体制の内製化を推進しました。

この体制変更により、小規模な機能追加や改善も迅速にリリースできるようになり、リリース頻度の大幅な向上が実現したといいます。

朝日新聞社がフリーランスを確保し、どのように開発体制を整えていったのか、より詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
変革期を迎える朝日新聞社のDX戦略 フリーランスエンジニアの採用に活路

DX戦略に関するよくある質問

ここでは、DX戦略に関するよくある質問に回答します。

Q. DX戦略とは何?

DX戦略とは、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織体制、業務プロセスを変革するための具体的な計画です。単なるシステムの刷新ではなく、ビジネス全体を見直し、競争力を高めるための総合的な戦略となります。

Q. DX戦略を実行するメリットは?

DX戦略を実行する主なメリットには、生産性の向上や顧客体験の改善、レガシーシステムがもたらすリスクからの解放、従業員のエンゲージメントの向上などが挙げられます。これらの効果を総合的に見ると、DX戦略は企業の収益向上と持続的な成長に貢献することが期待できます。

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