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最終更新日:2024年11月8日

DX推進の4つの課題とは?課題の解決方法や成功事例も紹介

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DXを推進するうえで、企業が抱える代表的な課題は次の4つです。特にDX推進の人材不足が課題の企業は88.5%と非常に高くなっています。

・DXを推進する目的やビジョンが明確ではない
・DXを推進できる専門人材の不足
・事業部門との連携が進まない
・DXの推進に積極的な投資ができていない

これからDXに取り組む場合は、自社の課題となり得るポイントを把握して活かせるようになりましょう。

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日本のDX推進の現状とは?

DXに取り組む日本企業の数は増加傾向にあるものの、米国と比較すると遅れをとっている状況です。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「DX白書2023」によると、日本企業のうち、DXに取り組む企業の割合が69.3%となっています。一方、米国におけるDXに取り組んでいる企業の割合は77.9%となっており、日本は米国と比較してDXへの取組の浸透が遅れていることがわかります。

出典:IPA「DX白書2023」

また日本では、大企業の4割強がDXに取り組んでいるのに対し、中小企業でDXに取り組んでいる割合は1割程度です。あわせて、同調査によると企業の売上規模が大きくなるほど、DXに取り組んでいる企業の割合も高くなる傾向が指摘されています。

さらに、DXの取り組み状況は売上規模だけではなく業種によっても異なり、「情報通信業」「金融業、保険業」では比較的DXの取組が進んでいます。

出典:総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究(2021年3月)」

このように、日本ではDXに取り組む企業には企業規模や業種によってばらつきがあることがわかります。

DX推進で成果が出ている企業は約6割

IPAの調査では日本企業の約7割がDX推進に取り組んでいるのに対して、そのうち成果が出ている企業は58.0%です。一方、米国のDX推進企業のうち成果が出ている割合は約89.0%となっており、DXの取組状況、その後の成果創出において日米での差が大きくなっています。

出典:IPA「DX白書2023」

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DX推進における企業の4つの課題

DXを推進するうえで、企業には様々な課題があります。中でも共通して多い課題が下記の4点です。特にDX推進に関わる人材不足を課題とする企業は88.5%と非常に高くなっています。

  • ・DXを推進する目的やビジョンが明確ではない
  • ・DXを推進できる専門人材の不足
  • ・事業部門との連携が進まない
  • ・DXの推進に積極的な投資ができていない

ここでは、一般社団法人日本能率協会が行った調査結果『日本企業の経営課題 2021』を参考にそれぞれの課題を解説していきます。

1.DXを推進する目的やビジョンが明確ではない

会社全体として、何のためにDXを推進するのかといった目的やビジョンを明確にできていないことは大きな課題の1つです。調査では、「ビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」の回答が66.2%となっています。

そもそもDXとは、単なる業務プロセスのデジタル化にとどまらず、データやデジタル技術を活用することでビジネスモデルや企業文化、組織などを変革し、環境の変化に柔軟に対応しながら競合優位性を築くことを指します。

このDXの定義を理解せずに、「とりあえずDXを推進したい」と考えているだけではDXは成功しません。

DXは非常に多くの関係者を巻き込みながら推進する必要があります。そのため、会社としてDXで成し遂げたい目的やビジョンを明確にしなければ、DXを推進していくことは難しいでしょう。

2.DXを推進できる専門人材の不足

DXを推進するうえでの課題として最も多かったのが、専門人材の不足です。調査では88.5%もの企業が「DX推進に関わる人材が不足している」と回答しています。

なお、DXを推進する人材の代表としてあげられるのは下記の6職種です。いずれも市場に人材が少なく採用難易度が高いため、企業は獲得に苦戦しています。

出典:IPA「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」

さらに、経済産業省の発表によれば、上記のDX人材を含むIT人材の需給ギャップは2030年には最大で79万人に達する予測です。このことから、企業におけるDX人材の不足は今後もますます大きな課題となることが考えられます。

3.事業部門との連携が進まない

「具体的な事業への展開が進まない」と回答した比率は67.1%と高く、事業部門との連携が課題となるケースも多いようです。

事業部門との連携が進まない要因として、現場からの強い抵抗やDXへの理解不足、新しいシステムが事業部門の要求を満たしていないなどがあります。

DXを実現するためには、DX推進部署やシステム担当部署だけではなく、事業部門も一丸となった推進が不可欠です。そのため、事業部門との橋渡しができる人材をDX推進にアサインしたり、小さなプロジェクトから成功体験を積んでいったりと、地道な取組を重ねていく必要があります。

4.DXの推進に積極的な投資ができていない

DXを推進するにあたり、積極的な投資ができていないといった課題を持つ企業は61.6%にのぼります。これには、「日本は攻めのIT投資に消極的な傾向がある」「老朽化したシステムの保守運用コストが高い」という大きな2つの背景があります。

下図は、日本と米国で何にIT投資を行っているかを比較したものです。図からは日本は米国に比べて「攻め」のIT投資が進んでいないことがわかります。

出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」

また、日本企業のIT関連費用の約8割は、既存システムの維持管理に使用されていることもわかっています。これは、老朽化・複雑化・ブラックボックス化したシステムが残存し続けていることによる影響が大きく、日本が戦略的なIT投資を進められていない要因の1つです。

これまで短期的な観点でシステム開発を続けた結果、本来必要無かったはずの費用がかかり続ける技術的負債を抱えてしまい、長期的にみて保守・運用費が高騰しています。これによって投資領域のIT関連費用を確保できていない状態です。

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DX推進の課題を解決するためにすべきこと

DXを推進していくためには様々な課題を1つずつ解決していかなければなりません。ここでは、代表的なDX推進における課題に対して、企業が取り組むべきことを解説します。

経営層からDXにおける目的やビジョンを共有する

DXを推進するにあたり、まずはDXの目的やビジョンを共有しましょう。またこの際、経営層が主体となって目的やビジョンを定め共有することが重要です。

DXを通じていつまでに何を実現したいのかが明確になれば、現状とのギャップも可視化され、取り組むべきことが明確になるでしょう。

また、DXを実現するには、様々な利害関係者を巻き込み全社でDXを推進する必要があります。そのため、経営層のDXに対する理解や、一部トップダウンで強いリーダーシップを持って改革を進める姿勢が非常に重要です。

DXに必要な専門人材を確保する

DXで実現したいビジョンが明確になった後は、それを実現できる人材の確保が不可欠です。人材を確保する方法は、「採用」「育成」「外注」の大きく3つの手段に分かれます。それぞれのポイントを把握して、自社にあった方法で必要な人材を確保しましょう。

外部から採用する

専門的なスキルを持つ人材の採用は、DXを推進するうえで非常に有力な手段です。優秀な人材を採用できれば、社内で人材を育成するよりもスピード感のあるDX推進や、ナレッジの蓄積が可能です。

ただし、DX人材をはじめとしたIT関連職種の採用難易度は非常に高くなっているため、簡単に採用できるとは限りません。求人を出したとしても、採用までに数か月以上かかることもあるでしょう。

DX人材の採用を成功させるためには、求職者にとって魅力に感じる就業環境を整えたり、様々な手法を活用して企業が積極的に採用活動にリソースを割いたりすることが大切です。

当社調べ(※)では、ユーザー企業で働くDX人材の入社の決め手は「事業内容への興味」や「柔軟な働き方」「福利厚生などの待遇が良い」などが上位です。また、DX人材が自社に魅力を感じる点はリモートワークの有無や働き方の柔軟性、福利厚生などの待遇面などが上位でした。

DX人材の中途採用に注力する場合は、まずは自社の就労環境や待遇を魅力に感じてもらえるように整えることから始めると良いでしょう。

※参考:レバテック株式会社「DX人材の転職理由、第1位は「事業内容への興味」」

関連記事:DX人材の採用が難しい理由|採用成功に必要な6つのポイントを解説

自社で育成する

外部からの採用だけでなく、自社内でも並行してDX人材を育成するのもおすすめです。DX人材を自社で育成するメリットは、事業や組織の理解が深いDX人材を確保できることです。これにより、育成後活躍するまでのスピードの早期化も期待できます。

しかし、イチから育成するとなるとどうしても時間がかかってしまう点はデメリットです。そのため、短期的には採用や業務委託などで即戦力人材を確保しつつ、長期的な観点で社内育成も行うと良いでしょう。

DX人材の社内育成を行う際は、まずDX人材に必要な素質を持った人材を選出し、座学やOJTなどを通じて体系的・実践的な知識を習得してもらいます。実践では、最初は小さなプロジェクトからはじめ、少しずつ成功体験を積ませていく形が良いでしょう。

関連記事:【企業向け】DXエンジニアに必要なスキルとは?育成方法も解説

アウトソーシングを活用する

採用にかけるリソースが無かったり、育成できる人材が社内にいなかったりする場合はアウトソーシングも1つの手段です。アウトソーシングのメリットは、社内のリソースをかけず外部の専門家のスキルや知識を活用できることです。一方で、自社にノウハウが蓄積されにくかったり、場合によってはスピード感に欠けてしまったりすることには注意が必要です。

また、アウトソーシングを活用する場合でも、ベンダーやパートナー企業にシステムの要件定義を丸投げをしてはいけません。必ず自社が求める要件を把握したうえでアウトソーシングを行いましょう。もし、自社に必要な要件を理解せずにアウトソーシングした場合、現場が求めるものとは異なるシステムが納品されてしまうリスクもあります。

DXを推進しやすい組織体制に変更する

DXを実現するには、組織や事業部を超えてDXを推進しやすい組織体制の構築が欠かせません。具体的には、DXを推進する部署を立ち上げ、そこに事業部門からのメンバーや責任者をアサインします。なお、DXを推進する際は、現在の業務と兼務ではなく、極力専任でDX推進を担当してもらえるように調整を行いましょう。

DX推進では、まず組織体制を整えたうえでDXの目的や実現できた際のメリットなどを繰り返し社員に伝えながら、少しずつ理解や協力を得ていく必要があります。。

ITシステムの見直しを行う

既存のITシステムの見直しも、DXを実現するうえで必須です。

DXでは、環境の変化に応じて柔軟に対応できるITシステムが欠かせません。そのため、既存のシステムが柔軟な環境変化に対応できない場合は、システムの改修や入れ替えの検討が必要です。

その際、まずは今あるシステムがどのような機能や情報を持っているのかを見える化します。DXの実現に向けたデータ活用基盤が整っているのか、どのような技術的負債があるのか、システム刷新に必要なプロセスや体制などを洗い出し、DXにおけるITシステムの課題を明確にしていきましょう。

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DXを推進するメリットとデメリット

「DXを推進すべきということはなんとなくわかっているが、具体的にどんなメリットがあるのかわからない」このような悩みを持つ方もいるのではないでしょうか?

DXを実現できれば、データやデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの確立が実現し、市場での競合優位性を築けるでしょう。デジタル領域の最新技術の台頭や顧客ニーズの変化のスピードは早まっており、多くの企業は変化にあわせた柔軟な対応が求められる時代です。

このような状況では、DXを実現した企業が市場での競争を勝ち抜いていく可能性が高くなります。

また、DXに取り組むプロセスでデジタル技術の活用や、既存の業務プロセスのIT化などにより必然的に生産性が向上することも期待できます。

しかし、DXを実現させるにはそれ相応の手間やコストが必要です。DXはすべての企業にとって必要というわけではありませんので、メリットとデメリットを把握したうえで自社が取り組むべきかどうか判断しましょう。

DXを成功させた事例

実際にDXを成功させた企業はどのような課題があり、それをどうやって乗り越えたのでしょうか?ここでは、実際にDXを成功させた企業の事例を紹介します。

朝日新聞

株式会社朝日新聞社が運営する「朝日新聞デジタル」は、1995年に開設されたasahi.comを前身とするニュースサイトです。同社は、インターネット黎明期から顧客(読者)接点の変化をいち早く捉え、読者ニーズにあわせて生活を豊かにする情報を届けるため、Webでのニュース配信に取り組んできました。

しかし、サービスを提供するためのシステム開発を外部に委託することが多かった同社では、事業拡大にともなう新たな機能の実装や細かなサービス改善に時間がかかってしまうことが課題に。

読者に新しい価値を提供し続けるために、事業部門の要求に柔軟に応え、サービス改善のスピードを早められる開発体制の内製化を成功させた事例です。

詳細はこちら:変革期を迎える朝日新聞社のDX戦略 フリーランスエンジニアの採用に活路

JUKI

JUKI株式会社は、世界No.1シェアの工業用ミシンを筆頭に、家庭用ミシン、電子・産業装置など幅広い事業を展開する1938年設立の老舗機械メーカーです。同社では、近年のDXの流れをうけ、IT分野の技術を活用した新規事業の開発に取り組むことになりました。

しかし機械メーカーである同社は、ITソフトウェアの開発経験はなく、これまでに付き合いのあった人材派遣会社や開発会社ではなかなか必要な人材を確保できない状況。そんななか、ハイスキルな人材が多い点に魅力を感じ、フリーランスの活用を開始されました。

開発を牽引するPMやテックリードの獲得をはじめ、複数のエンジニアやデザイナーがプロジェクトに参画。フリーランスから社員へ様々なノウハウ共有もあり、フリーランスがプロジェクトの推進や社員育成などで活躍している事例です。

詳細はこちら:老舗機械メーカーはなぜ、副業フリーランスを新規事業開発の推進役に選んだのか

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