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ジョブディスクリプションとは、職務内容や必要なスキルを明確に定義した文書です。ジョブ型雇用への移行やエンジニア採用の激化に伴い、今多くの日本企業が注目しています。
この記事では、その定義や具体的な記載例を紹介します。作成のポイントも分かりやすく説明するので、初めてジョブディスクリプションを作成する人事・経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
ジョブディスクリプションとは、特定の職務(ポジション)における業務内容や責任範囲、必要なスキル、期待される成果などを詳細に記述した文書です。日本語では「職務記述書」と呼ばれます。
「募集要項と同じ?」と思うかもしれませんが、両者は異なるものです。募集要項は、職種や給与、勤務地、勤務時間などの基本的な雇用条件を記載したものです。一方、ジョブディスクリプションでは、具体的な業務内容、責任範囲、必要なスキル、期待される成果など、より詳細な職務内容に関する情報を示します。募集要項が雇用条件の概要を示すのに対し、ジョブディスクリプションは職務内容の詳細を明らかにする文書です。
精度の高いジョブディスクリプションを作成するには、社内の要望を書き出すだけではなく、他社の給与水準や候補者が重視する条件を知る必要があります。IT人材の採用を検討している方は、IT人材の市場動向をまとめたレバテックの「IT人材白書2026」をご覧ください。
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近年、日本国内でジョブディスクリプションの導入や活用に踏み切る企業が増えています。その背景を確認していきましょう。
ジョブディスクリプションに注目が集まる理由の一つは、ジョブ型雇用の普及です。日本においては、メンバーシップ型雇用が主流でしたが、近年はジョブ型雇用を取り入れる企業が増加しつつあります。両者の特徴は以下の通りです。
| メンバーシップ型雇用 | ・業務内容や勤務地を限定せずに採用する ・入社後はジョブローテーションで幅広い経験を積ませる ・勤続年数を踏まえて評価を行う |
| ジョブ型雇用 | ・従業員が特定の業務を行うことを前提として採用する ・職務内容や技能に応じて評価を行う |
ジョブ型雇用が注目されるようになった背景には、DXの進展に伴う専門人材の不足や、リモートワークの普及で成果重視の評価が必要になったことがあります。また、年齢に関係なく高い成果や専門性を評価することで、優秀な若手や即戦力の流出を防ぐ狙いもあります。
このジョブ型雇用を成立させるために不可欠なのが、ジョブディスクリプションです。ジョブ型雇用では、業務範囲や必要なスキルをあらかじめ明文化する必要があるため、ジョブディスクリプションの重要性が高まっています。
エンジニア(専門職)の採用競争が激化していることも、ジョブディスクリプションが重視されるようになった要因の一つです。
近年、IT需要の高まりやDXの推進に伴い、ITエンジニアやデータサイエンティストといった高度専門人材の不足が深刻化しています。市場価値の高い優秀なエンジニアは、自身のスキルを最大限に活かせる環境を求めるため、曖昧な求人では人材を集められません。専門職の募集においては、使用する技術や業務内容をジョブディスクリプションで明示することが、採用成功の戦略の一つとなっています。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いについて、より詳しいメリット・デメリットを知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
ジョブ型とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリットを解説

ジョブディスクリプションの活用は、企業にとってどのような点が効果的なのでしょうか。企業がディスクリプションを導入する主なメリットをまとめました。
ジョブディスクリプションはスペシャリスト人材の確保に役立ちます。ジョブディスクリプションには、そのポジションにおいて任せたい業務内容と必要なスキルが明記されているからです。求職者にとっては、自身のスキルや経験を活かせそうか、自分の得意分野と業務内容が合っているかをイメージしやすく、企業側と求職者双方のミスマッチを避けられます。
また、ジョブディスクリプションで業務範囲やスキルを明らかにすれば、採用したい人材の基準が明確になり、選考でのマッチングを効率化できます。明確な採用基準を設けることで、担当者による採否の判断のばらつきを防げるでしょう。
従業員のマネジメントにもジョブディスクリプションは役立ちます。ジョブディスクリプションには遂行すべき業務が明記されているため、社員は専門外の仕事を担当する必要がなく、自分のコア業務に取り組めます。自分の専門分野に集中できることで社員のモチベーションが向上し、結果的に生産性も高まると期待できるでしょう。
最近はリモートワークを導入する企業が増えましたが、リモートワークの課題は上司が部下の働きぶりを見て評価を行うことや、対面での指導が難しい点です。そこで、ジョブディスクリプションであらかじめ業務範囲や評価基準を示しておけば、従業員と会社の間でやるべきことの認識がずれにくくなり、円滑なマネジメントにつながります。
ジョブディスクリプションには、入社後のポジションにおいて遂行すべき業務や責任範囲、達成基準、評価基準などが記載されます。そのため、人事評価の際も、ジョブディスクリプションに記載された達成基準を満たしているかどうかに着目することで、公正な人事評価が可能になります。
従業員の視点で考えても、評価基準が「入社時に提示された業務内容や求められる基準を達成できているか」というシンプルな内容になるため、納得感を得やすいでしょう。
ここでは、ITエンジニア職におけるジョブディスクリプションの記載例を紹介します。

以下では、各項目を記載する際のコツを解説するので参考にしてください。
求職者が働き方をイメージできるように具体的に記載しましょう。内容を読んだ求職者が、自分のスキルや経験を活かせるか判断できる記述内容を意識します。業務には部下の育成や顧客対応が含まれるのか、といった範囲を明示することもポイントです。部署やチームの体制、人数も具体的に記載しましょう。
取り扱う商品やサービス、顧客について記載しましょう。職務を通して実現して欲しいことを示すため、職務の目的も記載します。単なる作業内容だけでなく「その職務を通してどのような事業目標を達成してほしいか」というミッションを示すことがポイントです。期待する成果や組織の方向性を事前に共有することで、採用後のミスマッチや認識のズレを未然に防げます。
職務の遂行に必要なスキルや資格、経験を具体的に記載します。経験であれば、職種経験やマネジメント経験、業界経験といった種類に加えて、必要年数を記載します。特に、該当のスキルや資格がないと業務に支障が出るものに関しては、必ず明記しましょう。
必須要件ではないものの、備えていると高く評価するスキルや親和性の高い他言語の経験、役立つ資格を記載します。すべての要素を必須スキルとして記載すると応募のハードルが上がるため、入社後に習得すれば問題ないスキルに関しては、歓迎条件として記載しましょう。
スキルや経験に見合った想定年収や基本給に加え、諸手当や福利厚生といった待遇を記載します。エンジニアは自分の技術がどう給与に還元されるかを重視するため、資格取得時に手当の支給があるといった場合は、その旨も記載しましょう。
勤務地や勤務時間を記載しましょう。特にIT業界では、リモートワークやフレックスタイム制の導入といった働き方の柔軟性が志望度に大きく影響します。そうした働き方を認めている場合は、その旨を記載しておくと良いでしょう。
レバテックでは、エンジニアがリモートワークをどれほど重視しているのかアンケート調査を行いました。以下のページでデータを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
出社回帰で約4割のITエンジニアが同職種での転職を検討、根強く残る“リモート希望”の声

ジョブディスクリプションを作成するには、募集する職種の情報を集め、情報を精査する過程が必要です。求める人材を確保するため、適切なステップを確認していきましょう。
個別の必要スキルを検討する前に、経営戦略に基づき自社にどのような人材が必要なのか、広い視野で確認しましょう。単に現場が必要とするスキルだけでなく、企業のバリューや組織カルチャーに合致する「求める人物像」を定義するのがポイントです。採用したい人材の方向性を決めておくことで、候補者が会社の風土や成長ベクトルに合っているかを見極めやすくなります。
ジョブディスクリプションを作成する前に、実際に募集する職種に就いている社員に話を聞きましょう。具体的には、以下のような内容をヒアリングします。
ほかの部署では必要ない能力であっても、現場では重要である可能性があります。ジョブディスクリプションに記載する内容と実際の職務に差が出ないよう、必ず現場スタッフの話を参考にしましょう。
集めた情報から、ジョブディスクリプションの作成に必要な情報を精査します。ジョブディスクリプションに記載するうえでより優先度の高い業務内容や必要スキルは何かを、人事側と現場のマネジメントですり合わせましょう。この際、「なぜその業務が必要なのか」「どのようにその業務を行うのか」を一つひとつ明確にして整理することが大切です。職務の目的や範囲の記載が不明瞭だと、採用後のミスマッチにつながる原因となるので注意しましょう。
精査した情報をジョブディスクリプションに落とし込みます。A4サイズ1枚に収まるくらいのボリュームを意識し情報を盛り込みます。作成後の書面には、会社の事業方針や経営方針により、業務内容が変更になる可能性がある旨を記載しましょう。作成後は、公開前に一度現場のマネジメントや責任者などに内容を確認してもらいます。
一度ジョブディスクリプションを作成した後も、半期単位や1年単位で見直しをしましょう。特に、事業の拡大・縮小後は職務目的が変化することもあります。経営戦略の変更も含めて、社内の経営環境が変わった際は都度見直しを行いましょう。見直す際は、人事担当だけではなく現場の担当者の協力を得ると、より精度の高い内容に整えられます。
ジョブディスクリプションは従業員の評価基準にもなるため、不備があると従業員の不満につながります。一度できあがった後も、定期的な更新を意識しましょう。
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ジョブディスクリプションの導入は、ジョブ型雇用を進めたい企業にとって欠かせませんが、注意点もあります。注意点も理解したうえで、自社の方針と照らし合わせてジョブ型雇用・ジョブディスクリプションを導入するか決めましょう。
ジョブディスクリプションを活用することで、ゼネラリストの育成が難しくなるリスクがあります。
ジョブディスクリプションは、ポジションごとに専門スキルを持つ人材を採用し、特定の業務内容に従事させるため、スペシャリストの確保や育成に役立ちます。一方で、さまざまなポジションの業務を幅広く経験したゼネラリストが育ちにくくなる側面もあるのがデメリットです。
会社を運営していくうえでは、幅広い業務や組織を把握する人材も必要です。そのため、ジョブディスクリプションを活用する際は、ゼネラリストを育成するための方針も別途検討しましょう。
ジョブディスクリプションを活用して採用した場合、入社後の部署異動の柔軟性に欠ける点は注意が必要です。
ジョブディスクリプションをベースに入社した従業員は、特定のポジションにおける業務を遂行する契約であるため、ほかの部署への異動が難しくなります。たとえば、ほかの部署で欠員が生じた場合でも、社内異動による欠員対策ができません。また、部署がなくなる際に、任せる業務がなくなる可能性もあります。
ジョブディスクリプションにもとづく人事評価制度を運用するには、現場スタッフや各部門の責任者、経営層などさまざまな人たちの意見をまとめる必要があります。さらに、ジョブディスクリプションは一度作成しても定期的な見直しが必要であり、その度に工数がかかります。
また、ジョブ型雇用では年功序列の概念がないため、年上の部下、年下の上司、といった社員の関係性も生じやすくなります。仕事がやりにくいと感じる社員が出る可能性もあるでしょう。こうしたことから、ジョブディスクリプションを導入して円滑に組織を運営できるのかは、慎重に判断しなければなりません。
ジョブディスクリプションは業務内容とその範囲を明確に示すものです。その性質から、定義されていない職務は誰の担当にも当てはまらず放置される可能性が出てきます。
こうした事態を防ぐには、職務内容の項目に「上記に付随する関連業務」といった幅を持たせた記載をするのが効果的です。ただし、この対応によってなし崩し的に職務範囲が広がり続けないように注意しなければなりません。臨時業務の割合が一定を超えた場合は、速やかに書面の見直しや報酬の再交渉を行うルールもセットで明文化しておきましょう。

ジョブディスクリプションの作成や運用には手間がかかるため、すぐに導入するのが難しい企業もあるでしょう。専門職の確保を目的にジョブディスクリプションを検討する場合は、フリーランスを活用するのがおすすめです。
ITフリーランス案件に関するレバテックの調査によると、近年はDX関連のフリーランス向け案件が増加しており、多くの企業がフリーランスを活用する動きが見て取れます。案件の種類別だと、「プロジェクトマネージャー(PM)/プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)」「ITコンサルタント」といった高度な専門性を持つ職種の募集が継続的に増加しています(2025年12月現在)。

引用元:ITフリーランス案件発生数は昨年比149%で過去最高 DX/AXの加速に伴いPM・ITコンサル需要が拡大|レバテック
さらに、ChatGPTの一般公開(2022年11月)以降、生成AI関連のフリーランス案件も急速に増加しました。IT人材の採用競争が激しさを増す中、正社員採用だけではなくフリーランス人材を活用する企業の動きが広がっているといえるでしょう。
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ここでは、ジョブディスクリプションに関するよくある疑問を解消します。
日本では、入社後に配属や職務内容を決定するメンバーシップ型雇用が主流だったため、個別の職務を定義するジョブディスクリプションが一般的ではありませんでした。しかし、現在は入社前に職務内容やその範囲を規定するジョブ型雇用が広まりつつあり、ジョブディスクリプションを導入する企業も増加しています。
基本的には、人事部門と配属先の現場マネージャーが共同で作成します。作成手順のイメージとしては、まず現場が求める具体的な実務要件や経験をマネージャーが洗い出します。それを人事が全社的な評価制度や給与レンジとすり合わせ、フォーマットに落とし込みます。どちらか一方だけで作成すると実態とズレるため、両者の連携が必要です。

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