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特定派遣事業、通称「特定派遣」とは、IT技術者やエンジニアが派遣元の会社に常用雇用され、派遣先の企業に派遣される働き方です。派遣先企業での派遣期間が終了したあとも、派遣元会社で雇用は続いているので、派遣元会社に雇用されながら次の派遣先企業を探せる仕組みでした。ただしこの「特定派遣」は、2015年9月をもって廃止されました。本記事では、特定派遣の概要や廃止の背景、派遣先企業への影響を解説していきます。
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IT業界における特定派遣とは、派遣元会社が技術者・エンジニアと期間の定めの無い雇用契約を結び、クライアント企業へ派遣するものです。
派遣先企業での派遣期間が終了しても、エンジニアと派遣元会社の雇用を継続しながら新たな派遣先企業を探すことができます。派遣元会社で業務を行う場合もあったようです。
そのため、金額に変動はあるものの、継続して報酬を得られる働き方としてエンジニアに広く利用されていました。
法改正前の派遣事業には、特定派遣のほかに、もう一つの働き方がありました。それが「一般派遣事業」通称「一般派遣」です。2015年特定派遣廃止をもって、派遣事業はこの「一般派遣」のルールの多くを受け継いで「労働者派遣事業」に一本化されました。
IT業界における一般派遣ではIT人材が派遣元会社の派遣スタッフとして登録し、派遣先が見つかった場合のみ労働契約を結び、派遣先企業で就労する働き方です。仕事が見つかった際だけ就業し、派遣期間が終了した場合、その時点で派遣元会社との契約関係も終了します。特定派遣とは異なり、仕事が見つかっていない間の報酬は発生しません。
お伝えしているとおり、特定派遣は2015年9月29日に廃止されました。
先ほど述べた特定派遣と一般派遣の違いからも分かるとおり、特定派遣は一般派遣に比べて
安定した雇用が保証されていました。しかし、特定派遣に参入した派遣元会社の中には、「常時雇用」のルールを守らず、有期雇用契約を繰り返しているルール違反も横行していたようです。こうした違反行為が特定派遣事業者で広がったことにより、派遣スタッフやエンジニアの不安定な雇用が拡大していったといわれています。特定派遣事業者のルール違反も一つの要因となり、派遣社員のさらなる雇用の安定を図る目的で特定派遣は廃止されることとなりました。
関連記事 : 特定派遣と一般派遣の違い
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特定派遣事業にはどのようなメリットとデメリットがあったのでしょう。以下で確認していきましょう。
派遣元企業側から見た特定派遣のメリットは、一般派遣に比べた事業参入ハードルの低さです。一般派遣は厳しい条件をクリアした事業者のみ参入できる許認可制でした。それに比べて特定派遣は届出制を取っていたので、一般派遣よりは容易に派遣事業を開始することができたのです。ちなみに現在は法改正により、届出制で派遣事業を行うことはできません。
また、特定派遣事業を利用していたする派遣先企業のメリットは、現行の派遣制度と同様に「自社のニーズ・人材要件に合ったエンジニアをピンポイントで確保できる可能性が高かった」という点でしょう。
IT分野が発展していくなかで、時流に合ったエンジニアを都度採用し育成していくと、どうしても時間・金銭的コストがかかってしまいます。
派遣を利用すれば、必要な期間のみ、必要な人数のエンジニアを派遣してもらえることが多いので、コストダウンが見込めます。
特定派遣のデメリットは、先述したように、届出制であることから派遣元会社が参入しやすく、常時雇用を守らないルール違反が起きてしまうこともあった点です。
派遣先企業側のデメリットとしては、特定派遣の派遣労働者と向き合ううえで配慮が必要なこともあった、というところでしょう。特定派遣は派遣元会社と派遣労働者が雇用契約を結んだうえで派遣される形のため、勤務時間や契約期間、仕事内容を自由に選べず、派遣労働者が納得した形で働けないケースもあったようです。そのため、派遣元会社と派遣先企業では納得した契約ができていても、実際に働く労働者にとって適した環境でなかった場合も考えられました。
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2015年9月29日に特定派遣事業が廃止され、(※)経過措置として設けられれていた2018年も過ぎ、特定派遣は完全廃止となりました。では、特定派遣の廃止が、時流に合ったエンジニアの確保を求められる現在のIT業界に与えた影響とはどのようなものだったのでしょうか。以下で具体的な内容を見ていきましょう。
※経過措置とは…特定派遣事業は2015年9月29日に廃止され、2015年9月30日から事業は「許認可制」のルールに一本化されました。しかし、特定派遣を行っていた派遣元会社は、3年後の2018年9月29日まで引き続き特定派遣事業を行うことができたのです。ただし、2018年9月30日以降も派遣事業を続けたい場合、新たに許認可をもらう必要がありました。
特定派遣事業が廃止された影響で、「SES」を利用するIT企業が増えたといわれています。
SES契約とは、「システムエンジニアリングサービス」の略称で、明確な定義はないものの、基本的には準委任契約等を締結してシステム開発等の業務をを遂行してもらうものです。
SESでは、ユーザー企業にエンジニアを送り、ユーザー企業に常駐して働くことも多いです。特定派遣事業に代わるエンジニアの獲得方法として、SESは今後より主流になっていくと予想されています。
関連記事 : 特定派遣と一般派遣の違いとは?
※本記事は2020年07月時点の情報を基に執筆しております。
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