2023年6月6日
執筆者
TechCrunchのシニアレポーター、特に人工知能分野に関心を持っている。VentureBeat、Digital Trendsのほか、Android Police、Android Authority、Droid-Life、XDA-Developersなどのガジェットブログに寄稿している。
マイクロソフトは企業が独自の人工知能(AI)搭載の「コパイロット」を構築できるようにしたいと考えている。もちろん、Azure上のツールと同社の親しいパートナーであるOpenAIの機械学習モデルを使ってだ。
5月23日、マイクロソフトは年次開発者向けイベント「Microsoft Build 2023」でAzure OpenAI Serviceの新機能「Azure AI Studio」を発表した。
この機能では、OpenAIのChatGPTやGPT-4のようなモデルを自社データ(テキストや画像など)と組み合わせ、企業独自で内部データを「推論する」チャットアシスタントや他タイプのアプリを構築することができる(Azure OpenAI ServiceはAIの開発を行うOpenAIの技術に企業がアクセスできるように設計され、そこにガバナンス機能が加わったマイクロソフトの企業向けフルマネージド製品であることを思い出してほしい)。
マイクロソフトは「コパイロット」を、一般的には文章生成や画像生成のAIを使って、セールストークの作成やプレゼン用画像の生成といったタスクを支援するチャットボットアプリと定義している。同社はBing Chatなどの同類アプリをいくつかつくってきた。だが、AIを搭載したそれらのコパイロットは、Azure AI Studioを通じて作成されたコパイロットとは異なり、必ずしもタスクを実行するのに企業の専有データを利用することはできない。
マイクロソフトのAIプラットフォーム担当CVPであるJohn Montgomery(ジョン・モントゴメリー)氏は「Azure AI Studioでは、開発者が簡単にAzure OpenAI Serviceモデルを自分のデータに基づくものにできるようにしている。そして、そのデータを見たり、データでモデルを訓練したりすることなく作業を安全に行うことができる」とTechCrunchに電子メールで語った。「顧客は非常に迅速に独自のコパイロットを構築できるようになる」とも指摘した。
Azure AI Studioでコパイロットを構築するにはまず、GPT-4のような生成AIモデルを選択することから始まる。次に、コパイロットに「メタプロンプト」、つまりコパイロットの役割や期待される機能についての基本的な説明を与える。
Azure AI Studioで構築したAIコパイロットには、ユーザーとの会話を記録し、適切な文脈と認識で応答できるよう、クラウドベースのストレージを追加することができる。コパイロットはプラグインで拡張され、サードパーティーのデータやその他のサービスへのアクセスが可能になる。
マイクロソフトは、Azure AI Studioの価値提案により、顧客が組織の方針やアクセス権を遵守し、なおかつセキュリティやデータ方針、ドキュメントランキングなどを損なうことなくOpenAIのモデルを自社のデータで活用できるようになると考えている。顧客は構造化・非構造化・半構造化のデータなど、組織が所有またはアクセスできる内部データ、外部データの統合を選択できる。
Azure AI Studioの導入でマイクロソフトはクラウドホスティングのツールを使って構築されたカスタマイズモデルを推し進めている。Azure OpenAI Serviceは成長し続けており、儲けの多い収益源となり得る。同社によると、Azure OpenAI Serviceは現在、Coursera(コーセラ)、Grammarly(グラマリー)、Volvo(ボルボ)、IKEA(イケア)など4500社超に提供されている。
Azure OpenAI Serviceの採用をさらに促進するために、マイクロソフトは大企業顧客の能力を高めることを目的としたアップデートを展開している。
プロビジョンドスループットSKUと呼ばれる新機能により、Azure OpenAI Serviceの顧客は月単位または年単位でモデル処理能力を予約・展開することが可能だ。顧客はプロビビジョンドスループットユニット(PTU)を購入して決めた期間に予約した処理能力でGPT-3.5-TurboまたはGPT-4などのOpenAIのモデルを展開することができる。
OpenAIはこれまでAPIを通じてChatGPTの専用能力を提供していた。だがプロビジョンドスループットSKUはこれを大幅に拡張し、企業向けに展開していく。
マイクロソフトの広報担当者は「予約された処理能力により、顧客はプロンプトサイズ、完了サイズ、同時APIリクエスト数などの一貫した特性を持つワークロードに対して、一貫したレイテンシーとスループットを望める」と電子メールでTechCrunchに語った。
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元記事:Microsoft’s Azure AI Studio lets developers build their own AI ‘copilots’
By:Kyle Wiggers
翻訳:Nariko
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