チューリングテストに代わる、AIの能力を評価できる新フレームワークが登場【テッククランチ】

人工知能（AI）がテクノロジー分野に変革をもたらすようになっている今、新しいツールやテクニックの能力を評価する共通の基準が不可欠だ。基準があることで、すべての関係者が理解を深め、導入を増やし、コラボレーションを促進、進捗を比較・分析し、またイノベーションを推進することができる共有の知的空間がつくり出される。

今のところ、AIを比較・分析するための最も広く知られたツールはチューリングテストだ。

AIの分野は1950年にチューリングテストが始まって以来、大きな発展を遂げた。そのため、チューリングテストは現在ある、あるいは将来出現する可能性のある、あらゆる種類のAI能力を評価するには不十分なことがますます明白になってきている。

チューリングテストは単純に合否判定に運用されるもので、人間の知能の一つの側面にすぎない会話・言語能力に大きく焦点を当てている。このように言語に焦点を絞っているため、問題解決や創造性、社会的認識など知能のほかの重要な側面が無視されてしまっているのだ。さらにチューリングテストは、AIを評価するのに適切でない、あるいは有用でない可能性のある、人間に近い知能レベルを前提としている。

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こうした限界に対処するために、知能の複数の側面にわたってAI能力を評価するための、微妙な違いを認識する包括的なフレームワークの開発が喫緊かつ重要なニーズとなっている。

これを受け、筆者は「AI Classification Framework（ACF）」を開発した。ACFとは「多重知能理論」に基づく、AI能力を評価する新しい手法のことだ。

多重知能理論は、1983年に心理学者のHoward Gardner（ハワード・ガードナー）氏が初めて提唱した理論である。ガードナー氏は、知能とは単一のものではなく、さまざまな形で表現される異なる能力の集合体だと主張した。ガードナー氏はここで8つの異なる知能を特定した。同氏によると、人はこれらの知能の1つまたは複数に秀でている可能性があり、各知能はそれぞれに独立しているという。この理論は知能を一つの固定された存在とみなす従来の考え方に疑問を投げかけ、人間の認識力の多様性を探求する新しい道を切り開いた。

多重知能理論については長年にわたり批判や議論が展開されてきたが、心理学や教育の分野、特に教えることや学習の代替アプローチの開発に大きな影響を与えた。

これは、ACFの基礎として最適だと思われた。この理論に基づき、ACFは言語知能、論理・数学知能、音楽的知能、空間的知能、身体・運動知能、対人知能、内省知能など多面的にAIツールを評価する。

ACFは各知能を1～5段階に分ける。1は「能力なし」または人間の幼児と同等で、5は「区別できる認知力」または人間の能力を超えた「超知能」とみなされる可能性のある能力だ。

ACF自体はこちらにあるように詳細に記述された表になっている。また、参照を容易にする視覚的に理解しやすいものも作成した。以下の例はChatGPTとDALL-E 2の一部の機能を表している。

AIのスタートアップを立ち上げる創業者にとって、ACFは新分野に踏み出して差別化する機会を見つけ、（潜在的なユーザーと投資家の両方に）アピールするための手段となる。

自社製品にAI機能を追加しようとしている事業者は、社内要件に合致するベンダーを見つけて評価するのにACFを活用できる。

AIスタートアップへの出資を検討している投資家にとってACFは情報として役立ち、可能性のある知能と能力レベルの分野で情報に基づいた賭けをすることを保証する。

エンドユーザーにとって、ACFは生産性向上に役立ちそうな製品を探して選択するのに使えるツールとなる。

ACFの初版は今後につなげることを目的としている。コミュニティからのフィードバックを受けながら更新していく予定だ。

また、友人のBen Parr（ベン・パー）氏とJeremiah Owyang（ジェレミア・オウヤン）氏の有益なフィードバックに感謝する。両氏の意見と、幅広いAIコミュニティからの意見があれば、ACFは現在および将来出現するあらゆるAIツールや能力を評価するための貴重なツールになり得ると筆者は確信している。

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元記事：The AI revolution has outgrown the Turing Test: Introducing a new framework
By：Chris Saad
翻訳：Nariko