【ChatGPT活用事例】一部の投資家は日常業務にChatGPTを活用。ただし、導入に慎重な声も【テッククランチ】

2023年1月30日

執筆者

Christine Hall

TechCrunchのレポーターでVC分野を担当。Daily Crunchの共同執筆者。

執筆者

Natasha Mascarenhas

TechCrunchのシニアレポーター。アーリーステージのスタートアップやベンチャーキャピタルの動向を担当。Boston Globe、San Francisco Chronicle、BostInnoにも寄稿している。

執筆者

Kyle Wiggers

TechCrunchのシニアレポーター、特に人工知能分野に関心を持っている。VentureBeat、Digital Trendsのほか、Android Police、Android Authority、Droid-Life、XDA-Developersなどのガジェットブログに寄稿している。

常識ある回答をする能力で瞬く間に広まったChatGPTは、確かに人々の心を打った。2022年12月に一般公開されたばかりのこのツールは、奥深いテーマに関する真面目な質問にもくだらない質問にも答えるほど賢く、作家や教育者、芸術家などによる討論の場にも登場するようになった。

しかし投資家にとって、ChatGPTの出現は次なる大きなAIツールへの投資を刺激するだけのものではない。この技術を自分のワークフローに組み込んで、より効率的に、より賢く、そしてよりコストをかけずに仕事をする方法を考えている人もいる。

面白いことに、多くの投資家は自分たちの仕事の単調な部分を人工知能に任せることには乗り気でなかった。結局のところ、付加価値と個性で動くビジネスにおいて、自分の仕事はAIによって代替できると誰が認めるだろう。

思い込みはさておき、多くのVCファームは案件発掘や投資支援など、長年にわたって業務の自動化を試みてきた。テキストベースの支援ツールであるChatGPTの登場は、出資断り書や市場マップ、デューデリジェンスの一部にまで自動化をもたらすことが示唆されている。変化するベンチャー業界の中で生き残るためにChatGPTができることはなにか。

VCファームにおけるChatGPTの導入事例

サンフランシスコを拠点にするテクノロジー分野のVCファームBaukunst(ボーカンスト)のゼネラルパートナーであるKate McAndrew(ケイト・マックアンドリュー)氏は、AIが「スニペットの自然な進化」であることから、ChatGPTを使用していない社員がいたら「ショック」を受けると話した。一方で自分自身については、グーグルのAIオートコンプリートすら使わず、メールはすべて一から書いていることを認めている。それは時間がかかるやり方だが「自分にとって重要な方法という意味で正しいと感じる」という。

投資家の中には、ChatGPTは市場の希望や成長可能性など、事実確認に使えると言う人もいる。ただそれなら、Googleも同様に使えるのではないだろうか。もちろん、Googleの一般検索を使った場合、検索者による掘り下げとつなぎ合わせが必要なのに対して、AIならオリジナルコンテンツを使って質問により的確な答えを用意できるかもしれない。

Hustle Fund(ハッスルファンド)のゼネラルパートナーであるEric Bahn(エリック・バーン)氏もChatGPTの支持者であり、昨年12月に投資家に向けた年末所感を書くのにChatGPTを使用したという。バーン氏は使用したプロンプトとChatGPTの回答を共有し、投資家の反応は上々だったと述べた。

バーン氏は出資決定の返事にはChatGPTを使用していないが、同僚が使用することは理にかなっていると考えている。

「出資決定の理由はほとんど標準化されていて、いくつかのパターンに分かれてまとめられる」とバーン氏は説明した。「ChatGPTで同じ答えの組み合わせをいくつかつくれば多くの時間を節約することができる。フィードバックが創業者にとって実用的で且つありふれた定型文でない限り、私はこのアプローチに何の問題もない」とも語った。

一方、Maveron(マヴェロン)のプリンシパルであるJerry Lu(ジェリー・ルー)氏の同僚には、ChatGPTを使う人はいないという。「出資先の創業者は出資決定のメールに目を通せばわかるため、曖昧で汎用的な文言であれば、向こうの企業の発展に寄与できない上に、VCファームの評判を下げることになる」と語った。

ただ他社から伺った事例だと、アソシエイトがパートナーに変わって出資決定メールを送る必要があるものの出資先のスタートアップに関する情報がほとんど与えられていない場合、ChatGPTなどのAIツールを使用して空白を埋めていることもあると指摘した。

Hoxton Ventures(ホクストンベンチャーズ)のパートナーであるRob Kniaz(ロブ・クニャージ)氏は、投資家がプレゼンを通すためにChatGPTを使っているという話は聞いたことがないが、個人的には投資メモを書くためにこのツールを使っていると述べた。

「ChatGPTは文章を書くのに行き詰まったときにとても便利だと思う。投資メモというのは、おそらくある程度自動化できるものだろうが、本当は取引の実態を反映したものであるべきだ。とはいえ、ChatGPTは言い回しに困ったときに役立つ」クニャージ氏は、ChatGPTを取引パイプラインの他の部分に適用することも検討している。例えば、説明に基づいて企業のカテゴリーを生成すること(「オンライン広告」、「アドテク」、「投資アプリ – フィンテック」、「フライトサーチ – 旅行」など)。

「あるイベントを見て、ChatGPTを使って企業にタグ付けしたり、ロケーションを確認したりするなど、非常に迅速に多くのことを行うことができる」とクニャージ氏は述べた。「欠点はもちろん、データが古いため時間的制約のある市場調査などには向いていないことだ」と、ChatGPTが2022年以前のインターネットデータによって訓練されていることに言及した。「競合他社を見つけるのも困難だ。初期段階であれば、メインコーパスの一部となるには新しすぎるでしょうから」と語った。

ChatGPTは取引に支障をきたすものにもなりうる

Slow Ventures(スローベンチャーズ)の投資家であるYoni Rechtman(ヨニ・レヒトマン)氏は、ChatGPTをスタートアップへの出資決定メールに使ってみたが、あまり良い印象を受けなかったという。レヒトマン氏は、なぜ出資するのかを箇条書きで説明し、自分からのメッセージであるかのようにトーンを変えることに時間を費やさなければならなかった。結局のところ、自分でメールを書くのに比べて時間の節約を感じなかったし、最終的にそのメールも送らなかったという。

レヒトマン氏は投資家が仕事でChatGPTを使うことについて「現実のことというより、冗談のように聞こえる」と述べた。

TechCrunchの元編集長でSignalFire(シグナルファイア)のJosh Constine(ジョッシュ・コンスティン)氏は、仕事にAIを使うことに抵抗はない。SignalFireは社内技術のBeacon AIを使ってどのスタートアップと話をするのか選別している。それでも、コンスティン氏はChatGPTを利用することにはまだ慎重だ。

例えば、収益や成長率、定着率など、アーリーステージのスタートアップの最も重要な情報は開示されていないため、ChatGPTは投資メモを作成するのに向いていないとコンスティン氏は指摘した。これは、例えばAIがジッパーの歴史について書くのとは異なる。なぜならジッパーの歴史は、既出のデータ、ストーリー、出願書類に目を通せば通すほど、うまく書けるようになるからだ。

そして、投資判断もAIに任せるには微妙すぎるとコンスティン氏は主張した。

「出資断り書を書くことは、VCで最も難しく感情的に消耗する業務の1つだが、それゆえChatGPTにアウトソースしようとする投資家がいるのはわかるが、我々は創業者に敬意を表してそうしない」とコンスティン氏は述べた。

Worklife Ventures(ワークライフベンチャーズ) の創業者である Brianne Kimmel (ブライアン・キンメル)氏は、創業者向けの業務では ChatGPT を使わないと明言した。

「特に現在のような市場では、誤送信や汎用的だと思われるような表現があると困るから」。評判がすべてだとキンメル氏は指摘する。

おまけ

業務では ChatGPT を使わないと話したキンメル氏だが、実はTechCrunchのジャーナリストとのメールで、ChatGPTを使っていた。彼女は「AIに仕事を奪われることはない」と主張するメールに「ChatGPTを使って送信した」と署名した。このフレーズに食らいついたジャーナリストもいただろう。

「ジャーナリストとの重要な会話を自動化するものではない。しかし、かなり単純なものには十分だと思う」とキンメル氏は語った。

From TechCrunch. © 2023 Verizon Media. All rights reserved. Used under license.

元記事:Some investors are (cautiously) implementing ChatGPT in their workflows
By:Natasha MascarenhasChristine HallKyle Wiggers
翻訳:Nariko

 

関連記事

人気記事

  • コピーしました

RSS
RSS