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2025年11月6日
![宿題をメモしない長女に伝えた、「覚えていられる」ことをあえて書き出すメリット[レバテックLAB]](https://levtech.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/251106_LTlab_346.jpg)
こんにちは、しんざきです。
なんだかいきなり寒くなってきましたね。秋が2週間くらいしかなくって、夏から秋キャンセルで即冬になってしまったような気がするんですが、最近の秋はちょっと根性がなさすぎなのではないでしょうか。せめて3ヶ月くらいは秋であり続ける気概を持っていてほしい。
この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。
以上です。よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。
4月から新社会人になった皆さん、仕事でメモとってますか?何書いてますか?面倒ですよね、メモ書き。
しんざき家の長女と次女は、双子ではあるんですがお互い全く性質は違います。ざっくり言うと長女が「普段は大雑把だけど集中するとすごいパフォーマンスを発揮する瞬発力タイプ」、次女が「一気に何かをやるのは苦手だけど、こつこつ積み重ねられる持久力タイプ」です。競馬でいうとスプリンターとステイヤーでしょうか。どっちもそれぞれの強みがあって良いですよね。
とはいえ、学校生活をしている分にはこつこつ型の方が強みが大きい側面はありまして、長女は特に「宿題をちゃんと片付ける」ことが苦手でした。いざ始めたらすぐ終わるんですが、なかなか手がつかなかったり、あるいは宿題の存在自体を忘れちゃったりすることがしばしばあったんですよね。
長女のタスク忘れ対策は、親としても昔から色々やっていて、刺さるものも刺さらないものもあったんですが、比較的有用だったものの一つに「メモをとる時の考え方」というものがあります。
長女、面倒くさがりということもあるんですけれど、以前はとにかくメモをとらなかったんですよ。先生がちゃんと宿題の範囲を教えてくれているのに、それをメモらない。なんで?と聞いてみると、
「だってメモとらなくても覚えてられるもん」
と言うわけです。実際、長女の記憶力ってかなり良くって、聞けばちゃんと「○○ページから××ページ」って答えられることは答えられるんですけどね。
ただ、その時見ていて感じたのは、
・覚えている、というだけでも脳の容量を一定以上食ってしまってもったいない
・文字にしないことで、頭の中で宿題の量のイメージが曖昧になって、着手のハードルが上がってしまっている
ということでした。
実際問題、宿題忘れ・タスク忘れはちょくちょく発生してしまっているわけで、タスクなんてきちんと書き出して整理した方がいいに決まっています。
とはいえ、長女は「何をやるか」「何のためにやるか」をちゃんと納得しないと物事を進められない性質なので、「メモをとるメリット」を長女にわかりやすく伝えられないかなーと思いました。
これ、一般化してしまっていいと思うんですけど、メモって「覚えておくため」じゃなくて「忘れるため」にとるものなんです。
大抵の人類はマルチタスクが苦手なので、頭の中に「これ、やらなきゃ」というタスクを複数意識していると、ただそれだけでタスク処理の効率がダダ下がりします。これについては色んなところで論文が出ていますが、最近は明治大学でも、マルチタスク遂行時の能力低下について研究されてました。
「2つのことを同時に行おうとしてうまくいかなくなる状態」、いわゆる二重課題干渉について、そのメカニズムを明確にするという研究ですね。
本来なら簡単なタスクなのに、「えーと、あれとあれとあれをやらなきゃ」って思ってると、それだけで「めんどくさ……」ってなりませんか?私はこの傾向が特に強くって、「風呂入ってご飯つくって寝なきゃ」だけでも機能不全になったりするんですけど。
「覚えておかなきゃ」と思っていると、それだけで頭の中のタスクが増えて、マルチタスクの状態になってしまうわけです。
けれど、これをどこかにアウトプットしておけば、「一旦放っておいていいや」になりますよね?メモだけ見れば「何をしなければいけないか」がわかるから、覚えておく必要がない。頭の中のタスクを一旦外に出して、「忘却可」という枠組みにしてしまう、という話です。これによって擬似的にシングルタスクの状態をつくることが、どんな場合でも極めて有効なんですよ。
私のようなメモリが小さいものにとっては、覚えておかなくても大丈夫、っていう安心感が、作業の生産性自体を上げる、という側面もあると思います。「アウトプットすることで、頭の中のタスクリストから一旦削除することができる」んですよね。
ただ、メモには「忘れるため」以上に重要な役割がもう一つあって、それは「言語化を経ることで、タスクの解像度を上げること」です。つまり、たとえそのメモを見返さなかったとしても、「メモを書く」ということ、それ自体にも意味がある。
誰でもそうだと思うんですが、「これ、何をしなきゃいけないんだっけ?」というのが曖昧なタスクって、滅茶苦茶着手しにくいですよね?
ゴールがわからない仕事ほどやりにくいものってないので、あらゆるタスクは必ず、「何を/どれだけ/いつまでにやればいいのか」を明確にしなくてはいけません。これがないとタスク表はつくれませんし、マネージャーはこの情報なしでタスクを振ってはいけません。
で、タスクをアウトプットする時って、必ず「このタスク、中身なんだっけ?」と確認しながら書くことになるので、上記の「何を/どこまで/いつまでに」を必然的に脳内で言語化することになるんですね。
これはとても大事で、もし「あれ?このタスク、いつまでにやればいいんだっけ?」というような情報の抜け漏れがあればそれに気付くことができるし、そもそも「ああ、このタスクってこれくらいの規模のタスクなんだな」ということが脳内で理解できるので、タスクに着手するためのハードル自体も下がるんですよ。
だから、「タスクをメモ書きする時は、必ず『何を/どれだけ/いつまでにやればいいのか』だけは明確に書いた方がいいし、書くようにしようね」と言っています。
これは、子どもだけではなく、仕事の上で部下に対してもそう言っていますし、もしそこが明確になっていなければそれは仕事を振った側の責任なんで、上司(私)を叱り飛ばしてください、とも言ってあります。実際たまに叱り飛ばされます。部下に。
当然ながら、メモを書くにしても、書き方もツールも人それぞれです。長女には一旦昔ながらのメモ帳にシャーペンで、「期限・内容・作業量」だけとにかく書くように勧めたんですが、もちろんこれには色んな方法があって、将来的には自分に合った方法を見つけられるといいな、と思っています。
その一例として、しんざき自身が使っている例を紹介しますと、pomeraというテキスト作成ツールをここ数年使っています。
しんざきは古い人間なので、何かを書くとき、メモ書きする時は物理キーボードで叩きたくなっちゃいますが、PCだとあまりにもできることが多くてすぐに脇道にそれてしまいます。
pomeraって、「本当にテキストを書く機能しか持っていないガジェット」でして、Webにも繋げませんしSNSの閲覧もできません(USBでテキストをPCに出力することはできますが)。その上メモ帳とほぼ変わらない感覚で持ち歩けるし、開いたら即テキストが書ける。気が散りやすいしんざきにとっては、テキスト作成に集中する上でこれを使うメリットがとても大きくって、今この記事もpomeraで書いていたりするんですが、ちょっとタスクが発生した時にさっと開いて「タスク一覧」に雑にメモっておくだけでも、あとから整理する上で大変便利です。
最近だと、生成AIとタスク管理ツールを連携させるのが便利だなーと思っています。例えばChatGPTに「○○と××をいつまでに」って雑に投げるだけでタスク管理表をつくってくれますし、Backlogみたいな一部のタスク管理ツールは、既存の生成AIと連携させて、タスク内容を勝手にカレンダーに登録してくれたりもします。こうした連携、タスクを投げるだけでAIがスケジュールまで組んでくれて、個人で使うだけじゃなく、組織のタスク管理でも凄く便利なんですよ。
まあ、ただ「タスクを書きだす」だけならメモ帳に鉛筆でも全然問題はないんですが、時代に沿ってタスク管理自体も随分楽になってるよなあ、ということは言えると思います。
ちなみにこの辺の話って、職場でもしょっちゅう部下や後輩に伝えています。やっぱりメモってとりなれてない人にとってはハードル高いので、「覚えていられれば良くないですか?」って人は結構いるんですよ。
そこで、頭の容量を空けてシングルタスクの状態をつくること、タスクを言語化することでタスク内容を自分の中で明確化することの有用性を、なるべく納得してもらえるように説明しないとなーというのは、昔から私の中の課題でもあり続けています。「忘れるためにメモをとれ」って言い続けてきました。
長女の場合は、何が一番刺さったかって、「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」でした。
長女は発売当初からの「あつ森」ヘビーユーザーでして、現在のしんざき家の島の管理は長女が一手に担っています。持ってる衣装の量も凄いです。あれ、どうやって集めてるんでしょうね。
で、脳のメモリがどうのこうのという話よりも、
「あつ森で手持ちのアイテムが多すぎると作業しにくいでしょ?」
「後で使うものでも、一旦家においといてアイテム枠空けてから作業するでしょ?」
と説明したら、「それは確かに」となりました。やっぱり、自分が普段からやってることにたとえると納得感はありますよね。まあ、ついでに「パパ、家の掃除全然しないから、部屋にGが出てるよ!」って怒られもしたんですが。
もちろん、これだけで劇的にメモがとれるようになったかというとそんなわけはなくって、その後もあの手この手でメモの習慣を定着させようとしているわけなんですが、最近は以前よりずいぶんマシになりまして、宿題の出し忘れも減ってきました。たまに「タスクノート」というToDoリストも見せてくれるんですが、昔よりは遥かにちゃんとタスク整理ができるようになってきたようです。
まあ、親が子どもに及ぼせる影響なんてほんのちょっぴりで、大体は成長に従って自分で習得したところではあるんだろうと思うわけですが。とはいえ、口酸っぱく「忘れるためにメモをとれ」と言い続けた効果も多少はあったかもな、とは思う次第なんです。
今日書きたいことはそれくらいです。
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