素数に新定理?特定条件で「pとqも素数となるp² + nq² の形の素数」が無限に存在、数学者ら論文発表【研究紹介】

2024年10月25日

山下 裕毅

先端テクノロジーの研究を論文ベースで記事にするWebメディア「Seamless/シームレス」を運営。最新の研究情報をX(@shiropen2)にて更新中。

英オックスフォード大学のBen Green氏と米コロンビア大学のMehtaab Sawhney氏が発表した論文「Primes of the form p² + nq²」は、特定の条件を満たす素数の組み合わせが無限に存在することを証明した研究報告である。

▲論文のトップページ

研究背景

素数は、1と自身以外では割り切れない数であり、整数の数学的な構成要素である。数学者たちは何百年もの間、素数の性質や組み合わせについて探求してきた。

素数に関連した最も有名な問題のひとつに、1640年に数学者Pierre de Fermatによって提案された命題「フェルマーの最終定理」がある。長い年月を経て、1995年に当時米プリンストン大学にいたAndrew Wiles氏が、フェルマーの最終定理の証明を発表した。この証明は、素数に関連する数学の他の分野でもブレイクスルーをもたらした。

その数年後の1998年、数学者のJohn Friedlander氏とHenryk Iwaniec氏は、x² + y⁴の形で整数を足すことで表される素数が無限に存在することを証明した。彼らはその後、「ガウス素数予想」として知られる研究を進めた。ガウス素数予想とは、x² + 4y² という形式で組み合わせたときに素数となるような、それ自身が素数のペアx, yが無限に存在するというものだ。

研究内容

今回の研究では、より一般的に、n ≡ 0 または n ≡ 4 mod 6の場合に、p² + nq² の形で表される素数が無限に存在し、そのpとqも素数であることを示している。これは、先述のガウス素数予想を含む、より広範な結果である。

数学者らは、素数の分布を理解するのに役立つ「Type II sums」や、数の集合がどの程度カオス的または構造的であるかを明らかにする「Gowers norms」など、最先端の数学的手法を駆使してこの予想を証明した。これらの手法は、数論と組合せ論という異なる数学分野からのものであり、その組み合わせが新しい可能性を開いたといえる。

Source and Image Credits: Green, Ben, and Mehtaab Sawhney. “Primes of the form p^2+ nq^2.” arXiv preprint arXiv:2410.04189 (2024).

関連記事

人気記事

  • コピーしました

RSS
RSS