2024年9月18日
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カナダのモントリオール大学などに所属する研究者らが発表した論文「Non-invasive electroencephalography in awake cats: Feasibility and application to sensory processing in chronic pain」は、特別に編まれたかぎ針編みの帽子を使用し、覚醒している猫の脳の電気活動を記録した研究報告である。
この研究の背景には、成猫の25.6%が変形性関節症(OA)による慢性的な痛みを抱えているという現状がある。この症状は年齢とともに増加する傾向にある一方、既存の治療法は限られており、多くの場合で深刻な副作用を伴う。
脳波検査(EEG)は、痛みや感覚刺激に対する脳の反応を測定できるため、新しい治療法の効果を評価するのに有用である。しかし、これまで猫の脳波は、主に皮内電極を用いて、鎮静下でしか測定できなかった。研究チームは、非侵襲的な表面電極を用いて、変形性関節症の成猫11頭を対象に、覚醒状態での脳波記録を試みた。
表面電極による測定では、猫が頭を振ることで電極が外れてしまうという問題が生じ得る。
そこで、特別に作成した猫用の編み帽子が役立つ。この帽子により、電極を安定して固定でき、猫がワイヤーで遊んだり噛んだりすることもなくなった。2つの追加電極(グラウンドと参照用)を含む、10個の金メッキ表面電極を使用して、EEG検査を実施することに成功した。
研究では、機械的刺激(RMTS)、嗅覚刺激(グレープフルーツの精油)、視覚刺激(異なる波長の光)に対する脳の反応を記録した。得られたEEGデータは事象関連電位(ERP)とスペクトル解析を用いて分析された。
この新しい方法で、EEG記録が得られることが示された。特に、視覚刺激については多くの場合で使用可能なデータとなった。ただし、一部の猫では頭の動きによるアーティファクト(意図せず生じるノイズ)が大きすぎる問題があり、手順の標準化にも課題が残った。
とはいえ、研究チームは特定の刺激に特異的な脳活動を特定することができた。それはやがて、猫の痛みのレベルを示すマーカーになる可能性を秘めている。
論文によると、これは意識のある猫に表面電極を使用してEEGを実施し、感覚刺激を与えながら脳活動を記録することの実現可能性を示した最初の研究である。
Source and Image Credits: Aliénor Delsart, Aude Castel, Guillaume Dumas, Colombe Otis, Mathieu Lachance, Maude Barbeau-Grégoire, Bertrand Lussier, Franck Péron, Marc Hébert, Nicolas Lapointe, Maxim Moreau, Johanne Martel-Pelletier, Jean-Pierre Pelletier, Eric Troncy, Non-invasive electroencephalography in awake cats: Feasibility and application to sensory processing in chronic pain, Journal of Neuroscience Methods, Volume 411, 2024, 110254, ISSN 0165-0270, https://doi.org/10.1016/j.jneumeth.2024.110254.
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