最終更新日:2025年10月17日

社員の副業を許可する企業側のメリットとは?制度導入時のリスクも解説

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「社員から副業したいとの相談が増えている」「採用面接で副業可能か質問される」といった状況に直面していませんか?

この記事では、企業側から見た副業許可のメリットについて解説します。長時間労働や情報漏洩などのリスクや、バランスの取れた副業制度を設計・運用するための具体的なステップについてもまとめたので、ぜひお役立てください。

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企業の副業解禁が増えている理由

この章では、副業を解禁する企業が増えている背景について解説します。

働き方の多様化に対応するため

多様化する働き方に対応するため、副業を解禁する企業が増えています。近年、働き手は一つの仕事に留まらず、複数の活動を通じて自身のキャリアを築きたいと考える傾向が強まっているのです。

ITエンジニアやクリエイターといったデジタルスキルを持つ専門人材の間では、キャリア形成に対するこのような考え方が顕著に見られます。この変化に対応できなければ、優秀な人材の確保は困難になるでしょう。多様な働き方を許容することが、現代の企業に求められているのです。

政府が副業・兼業を推進しているため

副業解禁の動きは、政府の政策にも後押しされています。厚生労働省は平成30年1月にモデル就業規則を改定し、副業・兼業を原則容認する規定を新設しました。

これは、副業を働き方改革の柱とし、労働者のスキル向上やイノベーションの創出を促す狙いがあるためです。政府の方針転換が、企業の副業に対する考え方に影響し、解禁の動きを加速させているといえるでしょう。

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社員の副業を許可するメリット

この章では、副業を解禁することで企業が得られるメリットについて紹介します。

優秀な人材を獲得しやすくなる

副業の許可は、企業の採用市場における競争力を高めます。専門性の高い人材、中でもITエンジニアやクリエイターといった職種は、自身のスキルを多様な形で活かしたいと考える傾向があるからです。レバテックの調査では、約7割のITエンジニアやクリエイターが副業に関心を持っているというデータがあります。

副業を考えているITエンジニア・クリエイターの割合

引用:約7割のITエンジニア・クリエイターが副業を考えている – レバテック

市場価値の高い専門職にとって、「副業OK」は採用のアドバンテージとなるでしょう。さらに、副業で多様な経験やスキルを培った人材が集まることで、組織全体の創造性や課題解決力の向上にもつながります。

社員のスキルアップが促進される

副業を許可することで、社員は本業とは異なる環境で新しいスキルや知識を習得できます。この経験は、本業に新たな視点をもたらし、結果的にパフォーマンスの向上につながるでしょう。

具体的な例として、IT企業の社員がスタートアップで副業を行い、そこで学んだアジャイル開発の手法を本業に持ち帰るケースがあります。マーケティング担当者が副業でライティングスキルを高め、本業の企画力を底上げする事例も生まれています。

社員のエンゲージメントと定着率が高まる

社員の副業を認めることは、企業へのエンゲージメントを高め、結果的に定着率の向上にもつながります。会社が個人の成長や多様な働き方を尊重しているという姿勢は、社員の満足度や帰属意識を育む要因となるからです。

これまで副業を希望していた既存社員にとって、制度の解禁は会社への信頼を高めるシグナルとなります。「会社が自分を信頼し、成長を後押ししている」という実感が、社員のロイヤルティ(忠誠心)を強化するのです。

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副業制度による企業側のデメリットとリスク

副業解禁のメリットを最大化するために、人事部門や法務部門が対応すべき具体的なデメリットとリスクを事前に把握しましょう。

社員の長時間労働につながる

副業解禁で懸念されるのが、社員の長時間労働による健康リスクです。本業と副業の労働時間を合算すると、過度な長時間労働となり、社員の健康状態を悪化させる可能性があります。疲労の蓄積や睡眠不足は集中力を低下させ、本業でのミスやパフォーマンスの低下を招くかもしれません。

副業に積極的なIT人材層を例に、実際の労働時間を見てみましょう。レバテックがIT人材を対象に行った調査によると、副業を行っている人の週あたり作業時間は「5時間以上10時間未満」が多いとされています。

副業に関する実態調査のグラフ

引用:IT人材が副業を行う目的、収入アップのため」が約6割 / IT人材の副業に関する実態調査(後編)|レバテック株式会社

本業の業務に加え、このような副業時間が発生することで、労働時間の通算管理という新たな負担を負う可能性もあるでしょう。

情報漏洩や技術流出のリスクが高まる

副業解禁は、企業の機密情報やノウハウ流出という重大な法務リスクを伴います。副業先のメンバーとの交流や業務遂行中に、意図せず社内の情報が外部に漏れる可能性があるのです。

たとえば、副業先のメンバーに本業について聞かれた際、本来外部には漏らしてはならない情報まで伝えてしまう可能性があります。
また、本業で得た知識を副業先で活用してしまい、技術流出につながる懸念があります。

勤怠管理や健康管理が複雑化する

副業を許可すると、社員の勤怠管理と健康管理が複雑になります。労働基準法第38条第1項に基づき、複数の事業場での労働時間は通算して管理しなければなりません。

企業は副業の労働時間も考慮して残業時間を適切に管理しなければならないため、人事部門の負担が増える原因となります。さらに、副業による疲労の蓄積がないか、社員の健康状態を継続的にモニタリングする体制も求められます。

副業制度のリスク対策は、優秀な人材を確保し、定着させるための環境整備の一環でもあります。特にエンジニアやクリエイターといった専門職は副業志向が強い傾向にあるため、うまく制度を運用すれば採用成功につながるでしょう。

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副業制度を導入するための3ステップ

ここでは、リスクの少ない副業制度を設計するための具体的な導入ステップを解説します。

1. 副業の目的と許可範囲を定義する

副業解禁の第一歩として、自社が副業に期待する目的と許可範囲を明確に定義します。経営層で「人材獲得の強化」「社員のスキルアップ」など、期待する効果を共有することから始めましょう。

競合他社での就業禁止、労働時間の上限、業種・職種の制限など、具体的な許可基準も設定しなければなりません。法務部門や人事部門などの関係部署を交え、リスクとメリットのバランスを考慮した明確な基準を作成しましょう。

2. 就業規則やガイドラインを整備する

許可範囲が定まったら、就業規則の改定と詳細なガイドラインの整備に移ります。制度の法的根拠と運用の透明性を確立しましょう。

就業規則では、従来の副業禁止条項を削除し、許可条件や事前申請の必要性、情報管理・秘密保持に関する規定を新たに盛り込みます。ガイドラインには、申請手続きや可否判断の基準、禁止される副業の具体例、労働時間の管理方法などの詳細な運用ルールを記載します。いずれも必ず法務部門のチェックを受け、労働法規への準拠を確認しましょう。

3. 申請・承認フローを構築する

最後に、副業の申請から承認までの具体的フローを構築します。適切な審査を行いつつ、効率的な運用ができる仕組みが理想です。

フローには、社員による申請書提出後、上司による本業への影響チェック、人事部門による規則との整合性確認、法務部門によるリスク検証、最終決裁といったプロセスを含みます。
フローを電子化し、ワークフローツールで管理すれば、手続きが効率化し、記録の一元管理が可能になります。

承認後も定期的な報告制度を組み込み、副業の状況や本業への影響を継続的に把握できる体制を整えるべきです。

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副業制度の導入で失敗しないための注意点

ここでは、労務管理と法的なリスクを回避するための注意点を挙げます。

労働時間の通算ルールを正しく理解する

制度導入の際には、労働基準法で定められた労働時間の通算ルールに注意しましょう。同一の労働者が複数の企業で働く場合、その労働時間は通算して管理する義務が企業にあります。

企業は、社員の副業時間を正確に把握し、本業と合わせた労働時間が法定労働時間を超えないよう管理する責任を負います。社員が雇用型の副業をする場合、副業先の労働条件も定期的に確認しなければなりません。

管理の仕組みを透明化し、社員側にも適切な申告を促すことで、企業と社員双方で通算管理のルールを遵守することが不可欠です。

社員の健康状態を把握する仕組みを整える

副業による労働時間の増加は、過労やストレスによる健康リスクを高めます。企業は安全配慮義務に基づき、社員の健康状態を適切に把握・管理する仕組みを整えなければなりません。

副業を行う社員には、本業への影響や疲労の蓄積を確認するための定期的な面談を実施すべきでしょう。その面談で健康状態に関する懸念が確認された場合、産業医との連携強化や面談の実施を促すなどの対策が必要です。こうした健康状態の管理は、外部の人材を活用する際にも重要な視点となります。特にエンジニアやクリエイターといった外部人材は複数の案件を掛け持ちしていることがあります。契約時には業務内容や稼働時間などを考慮し、無理のない範囲で業務を依頼しましょう。

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副業制度についてよくある質問

ここでは、副業制度に関してよくある質問に答えます。

Q.副業を許可する企業が増えている理由は?

企業が副業解禁へと動く背景には、主に2つの要因があります。1つは、「社員の多様なキャリア志向に対応し、優秀な人材を確保したい」という企業の思惑です。IT人材のような専門職は副業を通してキャリア形成したいと希望することが多く、副業を認めることが採用における強みとなっています。もう1つは、政府による働き方改革の推進です。厚生労働省がモデル就業規則を改定し、国の方針が企業の副業解禁の動きを強く後押ししています。

Q.副業を許可する企業側のメリット・デメリットは?

企業側のメリットとしては、まず採用競争力が高まり、専門性の高い人材を獲得しやすくなる点が挙げられます。次に、社員が副業を通じて新たなスキルや知見を獲得し、本業に還元することで、組織全体のスキルアップが促進されます。会社が個人の志向を尊重する姿勢を見せることで、社員のエンゲージメントが高まり、結果として定着率の向上にもつながるのです。

一方、デメリットやリスクも存在します。懸念されるのは、本業と副業の労働時間を通算することで生じる、社員の長時間労働とそれに伴う健康リスクです。これらのリスクに対応するため、勤怠管理や健康管理が複雑化し、人事部門の負担が増えることになります。

さらに、競合他社での副業などによる機密情報やノウハウの流出リスクもあります。この情報流出リスクに対処するためには、ルールの整備や申請時の審査体制の構築が必要となるでしょう。

Q.副業制度の導入方法は?

リスクの少ない副業制度を設計・運用するためには、以下の3つのステップを順序立てて実行することが求められます。

まず、副業を許可する目的(人材獲得、スキルアップなど)を明確にし、競業避止や労働時間の上限といった許可範囲を具体的に定義することが第一歩となります。

次に、制度の法的根拠と運用の透明性を確保するため、就業規則を改定し、具体的な運用ルールを定めたガイドラインを整備しなければなりません。

そして最後のステップとして、副業内容を審査するための申請・承認フローと、労働時間を通算管理するための定期報告体制を構築することが不可欠です。これらのプロセスを丁寧に実行することで、企業と社員の双方にとって有益な制度設計が可能になるでしょう。

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