最終更新日:2025年8月1日

エンジニアの離職防止対策|退職の原因や兆候についても解説

IT人材の採用に関わるすべての方へ

「IT人材白書 2024」をダウンロードする

効果的なエンジニアの離職防止策が打てず、「優秀なエンジニアが突然退職を申し出た」「IT人材の流出が止まらない」という悩みを抱えていませんか?
この記事では、エンジニアの離職を防ぐための具体的な6つの対策と、退職の兆候を早期に察知する方法をまとめました。給与アップだけに頼らない、持続可能なエンゲージメント向上策を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

【最新版】IT人材白書2025 を公開!

激化するIT人材の獲得競争を勝ち抜くための「最新データ」がここに。
IT人材白書2025は、貴社の採用戦略をデータで裏付け​加速させるためのレポートです。IT人材採用のリアルな課題と、成功への具体的なヒントを数字で示します。

・採用目標、55%の企業が未達という厳しい現実​
・採用手法は「待ち」から「攻め」へ。スカウト媒体の活用が急増中
・​64%のIT人材が企業選びにおいて「給与」を最も重視している
・生成AI出現により、IT人材に求めるスキルや採用活動に変化が生じている

最新のIT人材採用市場について詳しく知りたい方は以下より無料でダウンロードし、採用活動にお役立てください。

【最新版】IT人材白書2025 を公開!

「レバテック」は業界歴20年のIT人材専門エージェントです。中途採用、フリーランス(業務委託)、派遣、新卒採用など、採用ニーズに合わせて70万人を超える登録者の中から最適な人材をご紹介します。

レバテックについて詳しく知りたい方は、こちらからサービス資料をダウンロードしてください。

エンジニアの離職率

厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果」によると、情報通信業の離職率は12.4%でした。

令和5年雇用動向調査結果の図3-1 産業別入職率・離職率(一般労働者)(令和5年(2023))を引用

引用:-令和5年雇用動向調査結果の概況-|厚生労働省

さらに、レバテックがIT人材を対象に行った調査では、「転職活動を始めている」と回答した人は7.9%、「検討している」と回答した人は30.7%に上り、約4割ものエンジニアが転職を視野に入れていることが明らかになっています。このデータは、多くの企業がエンジニアの潜在的な離職リスクを抱えている現実を示唆しています。

エンジニアの離職を防ぐためには、まず退職を決意する背景や要因を把握することが重要です。退職理由を分析することで、状況に応じた効果的な施策を立てることができるでしょう。
次の章では、エンジニアが退職を決意する具体的な理由について掘り下げていきます。

最新のIT人材の採用市場動向を知りたい方へ
IT人材白書2025は他社の採用人数や予算の動き、エンジニア未経験者の採用、生成AIの活用状況などIT人材採用に関わる方が知りたい情報を一つにまとめた資料です。
⇒「IT人材白書2025」を無料でダウンロードする

エンジニアが退職を決意する6つの理由

この章では、エンジニアの主な退職理由を6つ紹介します。

1.正当な評価や報酬を得られない

エンジニアが退職を決意する主な理由の一つは、自身の技術力や貢献が正当に評価されず、市場価値に見合った報酬を得られないと感じることが挙げられます。
近年、転職サイトやSNSの普及により、他社の求人情報や待遇を簡単に比較できるようになりました。その結果、現在の経験年数や対応している業務内容に対して報酬が市場水準を大きく下回ると判断した場合、転職を検討するケースがあります。

2.スキルアップや成長機会を感じられない

エンジニアは継続的なスキルアップを重視する傾向があるため、新しい技術を学び、成長できる環境がないと感じると、離職を考え始めるケースが少なくありません。これは、将来のキャリアのために常に新しいスキルを身につけ、技術の進化に適応したいという思いが背景にあると考えられます。

キャリアアップや自己成長のためには、挑戦的な課題に取り組むことが必要です。同じ業務の繰り返しや古いの技術だけを使い続ける環境では、スキル向上の機会が限られてしまうため、不満が蓄積されがちです。

エンジニアがスキルアップや成長の機会を求める理由についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
約6割のITエンジニアが「急速な技術変化に脅威を感じる」と回答、将来のキャリアに対する不安も明らかに

3.将来のキャリアパスを描けない

明確なキャリアパスを描けないことも、エンジニアが退職を検討する理由となります。技術専門職としてスペシャリストを目指すのか、マネジメント職へ進むのか、あるいは別の専門分野へ移行するのか、その先の道筋が不透明だと、将来に対する不安が生じます。そして、より明確なキャリア展望を示してくれる企業へと目を向けるのです。

多くのエンジニアは、単に今の仕事を続けるだけでなく、5年後、10年後の自分の姿を思い描きながら働いています。しかし、会社からキャリアの選択肢や成長プランが提示されないと、自分の将来に不安を感じ始めるでしょう。

4.開発環境に不満を感じる

エンジニアの離職理由として見過ごせないのが、開発環境への不満です。古い開発ツール、非効率なワークフロー、技術的負債の蓄積などが日々の業務を妨げると、エンジニアのモチベーションは低下します。最新の開発環境や効率的なプロセスを求めて、他社への転職を考え始めるケースが増えるのです。

たとえば、動作の遅いPCや不十分なメモリ環境での作業、形骸化したレビュープロセスやテスト体制は、業務効率が低下するため大きなストレスの原因になります。

5.チームや会社とのカルチャーが合わない

組織文化とエンジニア個人の価値観が合わないことも、離職の要因の一つです。エンジニアの中には、オープンなコミュニケーションやフラットな組織構造、自律性を重視する人も少なくありません。新しいアイデアや意見が通りにくい組織、あるいはルールや承認プロセスが厳しすぎる環境では、創造性が発揮できず、不満が募りやすいでしょう。

また、個人が尊重されない雰囲気や、ハラスメントが放置されている環境も、エンジニアの離職につながることがあります。人間関係のストレスは、技術的なやりがいや報酬だけでは補えないほど、働く意欲を低下させることがあります。

6.過度な業務負荷や長時間労働に疲弊する

慢性的な長時間労働や過剰な業務負荷もエンジニアを離職に向かわせる要因です。納期のプレッシャーや人員不足による負担増加が続くと、心身の健康を守るために転職を選択するエンジニアが増えます。ワークライフバランスを重視する傾向が強まる中、持続不可能な労働環境は今や大きなリスク要因なのです。

特に近年は、柔軟な働き方への意識が高まっており、エンジニアの間でもワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。。過剰な残業や休日出勤が常態化している環境では、優秀な人材の流出リスクが高まるでしょう。

エンジニアの退職理由についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
IT人材の早期離職が「増加した」と約4割の採用担当者が回答、 AI活用によるミスマッチ防止も

エンジニア・クリエイターの採用にお困りではありませんか?
業界最大級のIT人材特化型データベースなら求めていた人材がきっと見つかる!
⇒「3分でわかるレバテック」のダウンロードはこちらから

エンジニアの離職を防ぐ6つの対策

エンジニアの離職を防ぐには、一つの施策に頼るのではなく、複合的なアプローチが不可欠です。ここでは、効果が期待できる6つの対策を紹介します。

1.成果と貢献を正当に評価する制度を整える

エンジニアの離職防止において、公平で透明性のある評価制度の構築は基本的な施策といえます。多くのエンジニアは、自身の成果や貢献が適切に評価され給与や昇進などの処遇に直接反映されるかを重視しているためです。

評価制度を改善するには、技術力や成果を客観的に測る指標を設定することが有効です。たとえば、コードの品質については単体テストのカバレッジ率や静的解析ツールのスコアを指標とします。プロジェクトへの貢献度については、コミット数やレビュー対応時間が基準となるでしょう。技術的な問題解決能力については、障害対応時間やナレッジ共有数など、具体的な数値指標を用いた評価方法が考えられます。

また、四半期ごとの目標設定と達成度レビュー、月次の1on1ミーティングなど、定期的なフィードバックの機会を設けると、エンジニアの成長を支援できます。

評価制度改革の際には、エンジニア自身の意見を取り入れることも重要です。彼らの視点から見て公平だと感じられる制度でなければ、いくら制度を変えても効果は限定的なものになるでしょう。

2.定期的な1on1でキャリアプランを支援する

定期的な1on1ミーティングは、エンジニアの離職防止に効果的な取り組みです。キャリアプランについて深く話し合うことで、エンジニアの将来への不安を軽減し、成長意欲を高めることができるでしょう。また、上司との信頼関係構築にもつながり、組織への帰属意識を強化する効果も期待できます。

1on1では、エンジニアが描くキャリアパスをヒアリングし、それを実現するための具体的なステップを一緒に考えます。たとえば、エンジニアからは「3年後にどのようなエンジニアになりたいか」といった目標を共有してもらい、それに対し管理職からは「その目標達成のために、会社としてどのようなスキル習得機会やプロジェクト参加を提供できるか」といった具体的な提案をしましょう。このように、キャリア目標を明確化し、会社として支援することで、長期的に会社に残る動機づけになるはずです。

1on1を形骸化させないためには、管理職のコミュニケーションスキル向上も必要になります。傾聴力やコーチングスキルを身につけることで、より実りある対話が可能になるでしょう。

3.学習支援制度でスキルアップを後押しする

学習支援制度を充実させることで、エンジニアの技術力向上と離職防止の両方を実現できるでしょう。

具体的な支援策としては、書籍購入費の補助、オンライン学習サービスの法人契約、社外セミナーや技術カンファレンスへの参加支援などが効果的です。また、「学習のための時間」を業務時間内に確保する制度も、エンジニアから高く評価されます。たとえば、Googleが提唱した週の20%を自己啓発に充てられる「20%ルール」が有名です。

学んだ知識を実践できる環境も重要なポイントです。新技術を取り入れたプロジェクトや、技術検証のための時間を設けることで、学習効果を高め、仕事への満足度も向上させられるでしょう。

4.裁量権を与えて主体性を引き出す

エンジニアの離職防止において、仕事に対する裁量権と主体性の確保は重要な要素となります。多くのエンジニアは、自身のアイデアを形にしたい、創造性を発揮したいという強い欲求を持っています。そのため、過度な管理や細かな指示は、モチベーションの低下を招く原因となりかねません。

裁量権を与える際は、評価の対象を明確にしつつ、達成するための取り組み方は本人に任せるのが効果的です。技術選定や問題解決の手法について、エンジニア自身が決定できる範囲を広げることで、仕事への当事者意識と責任感が高まります。

また、チーム内での改善提案や新しい取り組みを積極的に支援する姿勢も重要です。エンジニアが「この会社では自分のアイデアを実現できる」と実感できれば、帰属意識が強まり、離職リスクの低減につながるでしょう。

5.心理的安全性の高い組織文化を醸成する

エンジニアが安心して働ける環境を作るには、心理的安全性の高い組織文化が不可欠です。心理的安全性とは、意見を述べたり、質問したり、失敗を報告したりしても否定されない環境のことを指します。こうした文化がないと、エンジニアは萎縮し、本来の力を発揮できなくなってしまいます。

心理的安全性を高めるには、管理職が失敗を受け入れ、学びとして共有する姿勢を見せることが重要です。また、意見の対立があっても、人格の攻撃にならないようなコミュニケーションルールを設けることも効果的でしょう。さらに、定期的なレトロスペクティブ(振り返り)の場を設け、改善点を率直に話し合えるようにすることも大切です。

このような環境では、エンジニアがチームへの帰属意識を高め、「この会社で働き続けたい」と感じる可能性が高まります。職場の人間関係が良好であれば、他の条件において多少の改善点があったとしても、踏みとどまるケースも少なくないのです。

6.柔軟な働き方を導入して労働環境を改善する

エンジニアの離職防止には、柔軟な働き方の導入が効果的です。リモートワークやフレックスタイム制度は、エンジニアのワークライフバランスを支援する重要な要素となっています。

柔軟な働き方を実現するには、成果を主体とした評価体系への移行が前提となります。「いつ、どこで働くか」よりも「何をどれだけ達成したか」を重視する文化が必要です。また、リモートでも円滑にコミュニケーションができるツールやプロセスの整備も欠かせません。

さらに、適切な休暇取得の推進や、長時間労働の是正も重要です。たとえば、週に一度のノー残業デーの設定や、連続休暇取得の奨励などが考えられます。エンジニアがプライベートの時間を大切にできる環境は、長期的なパフォーマンス維持と離職防止につながるでしょう。

エンジニアの離職防止対策についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
第二新卒のIT人材採用が拡大、採用後の早期離職を防ぐための取り組みも

IT人材白書2025

離職の兆候を見逃さないためのポイント

エンジニアの離職を防ぐためには、退職の兆候を早期に察知し、適切に対応することが重要です。退職の意向が固まってからでは、引き止めが難しくなるためです。この章では、退職のサインとその対応方法について解説します。

まず注目すべきは業務への姿勢の変化です。以前は積極的だった人が急に消極的になる、長期的なプロジェクトへの関与を避けるなどの変化が見られることがあります。

また、コミュニケーションパターンの変化も重要なサインです。これまで活発に意見交換をしていた社内の勉強会で発言が減るケースが考えられます。任意参加のランチ会・飲み会といったチームイベントへの参加が減る、上司や同僚とのコミュニケーションが減少するといった行動が見られた場合も注意が必要です。さらに、急に休暇を取ることが増える、これまで残業が多かった人が定時で退社するようになるなど、勤怠に関する変化も退職の兆候かもしれません。

こうしたサインを見逃さないためには、日頃からエンジニア一人ひとりとコミュニケーションを取り、状況を把握しておくことが大切です。変化に気づいたら、早めに1on1の機会を設け、懸念事項がないか確認すると良いでしょう。

詳細なターゲティングと高い返信率で求める人材から応募獲得! IT人材特化型のスカウト求人メディア「レバテックダイレクト」にお任せ!
⇒IT人材特化型のスカウト求人メディア「レバテックダイレクト」の詳細を知りたい

エンジニアの離職防止についてよくある質問

エンジニアの離職防止に関して、企業からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q.エンジニアが離職する主な原因は?

エンジニアの離職原因はさまざまですが、主な要因としては、キャリア成長の機会不足、適切な評価や報酬の欠如、技術的な挑戦の不足などが挙げられます。自身の技術力向上やキャリア発達を重視するエンジニアも少なくないため、これらの要素が満たされない環境では離職リスクが高まります。

さらに、過度な業務負荷や長時間労働も主要な離職原因です。慢性的な残業や無理なスケジュールで疲弊したエンジニアは、ワークライフバランスを重視して転職を考えるケースが少なくありません。また、企業文化との相性やチーム内の人間関係の不和も、離職を促進する要因となり得るでしょう。

これらの原因は互いに関連していることが多く、一つの問題が他の問題を引き起こす連鎖反応が起きやすいことも理解しておく必要があるでしょう。たとえば、評価制度の不備がモチベーション低下を招き、それが人間関係の悪化につながるといったケースも考えられます。

Q.エンジニアの離職を防ぐ方法は?

エンジニアの離職を防ぐには、単発の対策ではなく、総合的なアプローチが必要です。まず、適切な評価・報酬体系の構築が基本となります。エンジニアのスキルや貢献度を正確に測る指標を設け、それに基づいた評価と報酬を提供することで、不公平感を解消します。

次に、技術的成長を支援する環境整備が重要です。学習支援制度を充実させたり、チャレンジングなプロジェクトへの参画機会を提供したりすることで、エンジニアの成長意欲に応えます。同時に、明確なキャリアパスを示し、定期的な1on1で個々のキャリア目標に寄り添うことも効果的です。

働き方の柔軟性を高めることも離職防止につながります。リモートワークやフレックスタイム制の導入は、ワークライフバランスを重視するエンジニアにとって魅力的な条件となるでしょう。これらの施策を組み合わせることで、エンジニアの定着率向上が期待できます。

Q.エンジニアが辞める前兆は?

エンジニアが退職を考え始めると、いくつかの前兆が現れることがあります。まず注目すべきは、業務への取り組み姿勢の変化です。これまで積極的だった人が突然消極的になる、長期プロジェクトへの関与を避けるようになるといった変化が見られることがあります。

また、チーム活動への参加度合いの変化も重要なサインです。会議での発言が減る、社内イベントに参加しなくなる、同僚とのコミュニケーションが減少するなどの行動がみられたら注意が必要でしょう。さらに、勤怠の変化も見逃せません。急に休暇取得が増える、以前より定時退社にこだわるようになるといった変化も退職の兆候かもしれません。

これらのサインを早期に察知するには、日頃からエンジニアとのコミュニケーションを密にし、一人ひとりの「通常の状態」を把握しておくことが大切です。異変に気づいたら、1on1の機会を設け、懸念事項や不満がないか確認することをおすすめします。

IT人材白書2025

IT人材採用なら
レバテック

多様なニーズにマッチする人材をご提案

どんな人材をお探しですか?

最短当日にオンライン打ち合わせ
初めてのフリーランス活用のご相談もお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

お急ぎの方はお電話にてお問い合わせください (受付時間: 平日9:00 ~ 18:00)

phone050-5526-9835