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最終更新日:2025年2月17日

ジョブディスクリプション(職務記述書)とは?作成する目的や記載例

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ジョブディスクリプションとは、その企業で担当する業務内容や範囲、必要なスキルをまとめたものです。ジョブ型雇用を行う欧米では一般的で、採用活動や人事評価などで役立ちます。

記事では、ジョブディスクリプションの定義に加え、記載例や作成の流れを説明します。
ジョブディスクリプションを導入するか迷う方は、まずその役割や運用方法を確認していきましょう。

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目次

ジョブディスクリプションとは

ジョブディスクリプションとは、特定の職務(ポジション)における業務内容、責任範囲、必要なスキル、期待される成果などを詳細に記述した文書です。日本語では「職務記述書」と呼ばれます。ジョブディスクリプションは、担当業務の範囲や求められる能力を明確化することで、業務の効率化や人事評価の客観性向上に役立ちます。

ジョブディスクリプションの活用場面

ジョブディスクリプションの活用場面は大きく分けて「採用」と「評価」の2つです。

採用活動

ジョブディスクリプションを求職者に提示することで、入社後の具体的な業務内容や求められる役割を理解してもらうことができます。これにより、求職者と企業双方にとってミスマッチを防ぎ、入社後の早期離職リスクを軽減する効果が期待できます。また、明確な評価基準を事前に示すことで、求職者のモチベーション向上にも繋がるでしょう。

人事評価

ジョブディスクリプションには、求められるスキルを明確に記載します。そのため、ジョブディスクリプションに記載された職務内容や目標達成度を評価基準とすることで、主観を排した公正な評価を行えます。

募集要項との違い

募集要項は、職種、給与、勤務地、勤務時間などの基本的な雇用条件を記載したものです。一方、ジョブディスクリプションは、具体的な業務内容、責任範囲、必要なスキル、期待される成果など、より詳細な職務内容に関する情報を示すものです。

募集要項が雇用条件の概要を示すのに対し、ジョブディスクリプションは職務内容の詳細を明らかにする役割を担っています。

日本でジョブディスクリプションに注目が集まっている理由

日本では、人を採用した後に職務を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が一般的です。この雇用形態では、新卒一括採用を行い、ジョブローテーションで幅広い仕事を積んでもらうことに重きを置いています。

評価基準としては、個人の専門性よりもゼネラリストとしての能力開発が優先される傾向があります。また、終身雇用を前提に年齢や在籍年数によって給与が決まることからも、職務内容を詳細に定義するジョブディスクリプションの必要性は低いと考えられてきました。

しかし、近年は個人の専門性向上による国際競争力の強化や、ITエンジニアやデータサイエンティストなどの専門性の高い人材の不足により、「ジョブ型雇用」が日本でも広がっています。その結果、ジョブディスクリプションの導入が注目されているのです。

また、海外に拠点を置き外国人を採用する企業では、海外の評価基準を導入するためジョブディスクリプションを活用することがあります。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いについて、より詳しいメリット・デメリットを知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
関連記事:ジョブ型とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリットを解説

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ジョブディスクリプションを導入する目的

ジョブディスクリプションの活用は、企業にとってどのような点が効果的なのでしょうか?企業がディスクリプションを導入する主な目的をまとめました。

納得感のある客観的な人事評価を行うため

ジョブディスクリプションには、入社ポジションにおいて遂行すべき業務や責任範囲、達成基準、評価基準などが記載されます。そのため、人事評価の際も、ジョブディスクリプションに記載された達成基準を満たしているかどうかに着目し、適切な人事評価が可能になります。

従業員の視点で考えても、評価基準が「入社時に提示された業務内容や求められる基準を達成できているか」というシンプルな内容になるため、評価の納得感を得やすいでしょう。

業務遂行に必要なスキルを持つ人材を確保するため

ジョブディスクリプションはスペシャリスト人材の確保に役立ちます。ジョブディスクリプションには、そのポジションにおいて任せたい業務内容と必要なスキルが明記されているからです。求職者にとっては、自身のスキルや経験を活かせそうか、自分の得意分野と業務内容が合っているかをイメージしやすく、企業側と求職者双方のミスマッチを避けられます。

また、ジョブディスクリプションで業務範囲やスキルを明らかにすれば、採用したい人材の基準が明確になり、選考でのマッチングを効率化できます。明確な採用基準を設けることで、担当者による採否の判断のばらつきを防げるでしょう。

業務範囲を明確にして生産性を高めるため

従業員のマネジメントにもジョブディスクリプションは役立ちます。ジョブディスクリプションには遂行すべき業務が明記されているため、社員は専門外の仕事を担当する必要がなく、自分がやるべき仕事に集中できます。無駄な業務がなくなることで社員のモチベーションが向上し、結果的に生産性も高まると期待できるでしょう。

リモートワーク下での管理を円滑にする

最近はリモートワークを導入する企業が増えましたが、リモートワークの課題は上司が部下の働きぶりを見て評価を行うことや、対面での指導が難しい点です。そこで、ジョブディスクリプションであらかじめ業務範囲や評価基準を示しておけば、従業員と会社の間でやるべきことの認識がずれにくくなり、リモートワークでのマネジメントを円滑に行えます。

ジョブディスクリプションの記載例

ここでは、ジョブディスクリプションの記載例を紹介します。

ジョブディスクリプション 例

業務内容

求職者が働き方をイメージできるように具体的に記載しましょう。内容を読んだ求職者が、自分のスキルや経験を活かせるか判断できるレベルの記述を意識します。業務には部下の育成や顧客対応が含まれるのかなど、範囲を明示することもポイントです。また、部署やチームの体制や人数も具体的に記載しましょう。

業務の特徴

取り扱う商品やサービス、顧客について記載しましょう。職務を通して実現して欲しいことを示すため、職務の目的も記載します。職務の目的を共有することで、認識のずれをなくせます。

必要なスキル・経験・資格

職務の遂行に必要なスキルや資格、経験を具体的に記載します。経験であれば、職種経験やマネジメント経験、業界経験といった種類に加えて、必要年数を記載します。特に、該当のスキルや資格がないと業務に支障が出るものに関しては、必ず明記しましょう。

あれば歓迎するスキル・経験・資格

必須ではないものの、あると良いスキルや資格も書き出しましょう。記載したスキルや資格が必要な理由を添えておくと、求職者側も入社後のスキルアップやキャリアの方向性を掴みやすくなります。

給与

想定される年収や給与、福利厚生などの待遇について記載します。特定の資格やスキルを取得した際に昇給する場合、その旨も記載しましょう。

勤務条件

勤務地やリモートワークの有無といった内容を記載しましょう。

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ジョブディスクリプション作成の5ステップ

ジョブディスクリプションを作成するには、募集する職種の情報を集め、情報を精査する過程が必要です。求める人材を確保するため、適切なステップを確認していきましょう。

1.人事方針を確認する

個別の必要スキルについて検討する前に、もう一つ大きな枠組みで会社にとってどんな人材が必要なのかを確認しましょう。たとえば、保守的で安定的な考え方をする人材が欲しいのか、革新的で新しいことにチャレンジする人材が欲しいのか、といった方向性を決めておきます。

2.対象となる職種の情報収集を行う

ジョブディスクリプションを作成する前に、実際に募集する職種に就いている社員に話を聞きましょう。具体的には、以下のような内容をヒアリングします。

  • 職務内容
  • 職務範囲
  • 必要スキル、経験、資格
  • 必須ではないがあると良いスキルや経験、資格

ほかの部署では必要ない能力であっても、現場では重要である可能性があります。ジョブディスクリプションに記載する内容と実際の職務に差が出ないよう、必ず現場スタッフの話を参考にしましょう。

3.情報を精査して職務範囲を決める

集めた情報から、ジョブディスクリプションの作成に必要な情報を精査します。ジョブディスクリプションに記載するうえでより優先度の高い業務内容や必要スキルは何かを、人事側と現場のマネジメントですり合わせましょう。この際、「なぜその業務が必要なのか」「どのようにその業務を行うのか」を一つひとつ明確にして整理することが大切です。

4.ジョブディスクリプションへ落とし込む

精査した情報をジョブディスクリプションに落とし込みます。A4サイズ1枚に収まるくらいのボリュームを意識し情報を盛り込みます。作成後の書面には、会社の事業方針や経営方針により、業務内容が変更になる可能性がある旨を記載しましょう。

作成後は、公開前に一度現場のマネジメントや責任者などに内容を確認してもらいます。

5.定期的に見直す

一度ジョブディスクリプションを作成した後も、半期単位や1年単位で見直しをしましょう。特に、事業の拡大・縮小後は職務目的が変化することもあります。経営戦略の変更も含めて、社内の経営環境が変った際は都度見直しを行いましょう。見直す際は、人事担当だけではなく現場の担当者の協力を得ると、より精度の高い内容に整えられます。

ジョブディスクリプションは従業の評価基準にもなるため、不備があると従業員の不満につながります。一度できあがった後も、定期的な更新を意識しましょう。

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ジョブディスクリプションを導入する際の注意点

ジョブディスクリプションの導入は、ジョブ型雇用を進めたい企業にとって欠かせませんが、注意点もあります。注意点も理解したうえで、自社の方針と照らし合わせてジョブ型雇用・ジョブディスクリプションを導入するか決めましょう。

ゼネラリストの育成が難しい

ジョブディスクリプションを活用することで、ゼネラリストの育成が難しくなるリスクがあります。ジョブディスクリプションは、ポジションごとに専門スキルを持つ人材を採用し、特定の業務内容に従事させるため、スペシャリストの確保や育成に役立ちます。

一方で、さまざまなポジションの業務を幅広く経験したゼネラリストが育ちにくくなる側面もあるのがデメリットです。会社を運営していくうえでは、幅広い業務や組織を把握する人材も必要です。そのため、ジョブディスクリプションを活用する際は、ゼネラリストを育成するための方針も別途検討しましょう。

部署の異動が難しい

ジョブディスクリプションを活用して採用した場合、入社後の部署異動の柔軟性に欠ける点は注意が必要です。

ジョブディスクリプションをベースに入社した従業員は、特定のポジションにおける業務を遂行する契約であるため、ほかの部署への異動が難しくなります。たとえば、ほかの部署で欠員が生じた場合でも、社内異動による欠員対策ができません。また、部署がなくなる際に、任せる業務がなくなる可能性もあります。

慎重に導入・運用する必要がある

ジョブディスクリプションにもとづく人事評価制度を運用するには、現場スタッフや各部門の責任者、経営層などさまざまな人たちの意見をまとめる必要があります。さらに、ジョブディスクリプションは一度作成しても定期的な見直しが必要であり、その度に工数がかかります。

また、ジョブ型雇用では年功序列の概念がないため、年上の部下、年下の上司、といった社員の関係性も生じやすくなります。仕事がやりにくいと感じる社員が出る可能性もあるでしょう。こうしたことから、ジョブディスクリプションを導入して円滑に組織を運営できるのかは、慎重に判断しなければなりません。

曖昧な業務の担当者が不在になる可能性を考慮する

ジョブディスクリプションは業務内容とその範囲を明確に示すものです。その性質から、定義されていない職務は誰の担当にも当てはまらず放置される可能性が出てきます。そうした事態を防ぐには、職務内容や範囲をできるだけ詳細にジョブディスクリプションに記載する必要があります。

専門職の採用はジョブ型雇用以外の選択肢もある

ジョブディスクリプションを用いたジョブ型雇用は、専門職の採用に向いています。ただ、
ジョブディスクリプションの作成や運用には手間がかかるため、すぐに導入するのが難しい企業もあるでしょう。

専門職の確保を目的にジョブディスクリプションを検討する場合は、フリーランスを活用する選択肢もあります。フリーランスは企業に属さず個人で活動しており、即戦力となるスキルが期待できます。決まった期間で契約できるので、社員を採用するのと比べて人件費が抑えられるのもメリットです。

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ジョブディスクリプションに関するよくある質問

ジョブディスクリプションは欧米では一般的ですが、日本ではそれほど広く普及していません。「耳にするけど、どのようなものか分からない」という方の疑問に答えて、ジョブディスクリプションの基礎的な知識を解説します。

Q.ジョブディスクリプションとは?

A.ジョブディスクリプションは日本語で「職務記述書」といい、その会社でのポジションや担当する業務内容、責任範囲、必要なスキルなどを明示した書類です。職務に応じて人を採用する「ジョブ型雇用」が主流の欧米では、採用や人材の評価にあたってジョブディスクリプションが欠かせません。

Q.日本でジョブディスクリプションが普及しない理由は?

A.日本では、人材を採用した後に職務を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が主流であり、あらかじめ職務内容を定義するジョブディスクリプションの必要性が低いからです。ジョブディスクリプションは最近になって日本企業も導入し始めましたが、まだそれほど広く普及しているわけではありません。

Q.ジョブディスクリプションの書き方は?

A.具体的な業務内容や職務の目的、必要スキル、経験、資格を記載します。給与や福利厚生などの待遇、勤務地やリモートワークの有無といった勤務条件も記載しましょう。作成する際は、該当の職種に就いている社員に実際の業務内容や必要スキルを確認し、現場の実態とジョブディスクリプションに差が生じないようにします。

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