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特定派遣は労働者派遣の一種でしたが、2015年の労働者派遣法改正により廃止となりました。これまで特定派遣でエンジニアを確保してきた企業は、SESや業務委託などに切り替える選択肢があります。
この記事では特定派遣の特徴と、廃止になった経緯について解説。特定派遣以外で、プログラマーをはじめとしたIT人材を確保する方法についても紹介しています。エンジニア採用担当者の方は、ぜひお読みください。
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まずは、2018年に完全廃止となった「特定派遣」の特徴を確認しましょう。
特定派遣は「労働者派遣事業」のひとつとして、2015年まで運用されていた派遣形態です。派遣会社がプログラマーをはじめとしたT人材等を自社で常用雇用し、派遣先企業へ派遣する事業でした。労働者派遣は法改正前は「一般派遣」と「特定派遣」の2種ありましたが、現在は「労働者派遣事業」として一本化されています。
特定派遣と一般派遣の大きな違いは、「常用型」か「登録型」かです。特定派遣の場合、人材は派遣会社で常用雇用され、派遣先企業へ派遣されていましたが、派遣期間が終了した後も派遣会社との間に雇用関係が継続していました。いっぽう一般派遣では、派遣先企業へ派遣される期間だけ、派遣会社と登録人材との間に労働契約が結ばれていました。
派遣期間が終了すると同時に労働契約が終了する一般派遣は、常用雇用の特定派遣に対して不安定な働き方です。そのため一般派遣事業を行う会社は、開業にあたり政府から「許認可」を受ける必要がありました。
関連記事 : 特定派遣と一般派遣の違い
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特定派遣では、人材が派遣会社に常時雇用の形態で雇用されるため、雇用が安定しており、人気のある働き方とされていました。にも関わらず、なぜ特定派遣は廃止されたのでしょうか?
そもそも特定派遣は、派遣事業の持つ「雇用が安定しづらい」特性を改善するために作られた契約形態とされていました。しかし「常用雇用」の定義が曖昧だったために、契約上は特定派遣としながら、数ヶ月単位での有期雇用を繰り返す事業者もあったようです。また特定派遣は一般派遣とは違い、開業にあたって許認可が不要だったため、誰でも事業をスタートすることが可能でした。
こうして「実態の伴わない常用雇用」が増えたことで、かえって雇用が不安定になったことが特定派遣の廃止の一因になったのではないかと考えられます。2018年までの経過措置期間も終了し、現在は「労働者派遣事業」として統一されています。
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特定派遣の廃止以前は、多くの企業が特定派遣エンジニアに頼っていました。同制度が廃止されたいま、プログラマーをはじめとしたIT人材をどのように確保すれば良いのでしょうか?特定派遣以外の手段をご紹介します。
まずは変わらず「労働者派遣」を利用する方法です。特定派遣の廃止は、労働者側や派遣元会社にとっては大きな変化でしたが、労働力の提供を受けるクライアント企業側にとっては、さほど変化はないようです。
ただし法改正で変わった点として、「3年ルール」を押さえておきましょう。かつては「専門26種」に関しては雇用期間に制限がありませんでしたが、現在は3年以上同じ事業所内で、同じ人材からの労働力提供を受けられません。3年以上同じ人材を確保したい場合は、派遣元会社へ直接雇用の申し出も検討するといいでしょう。
「二重派遣」とは、派遣先の企業が、派遣人材をさらに別の企業へ派遣し作業させることです。たとえば派遣会社A社からクライアント企業B社へ派遣されてきた人材を、クライアント企業B社がさらに別の企業C社へ派遣し、そこで就業させるケースが挙げられます。
また直接常駐しない場合でも、二重派遣に該当する場合があります。派遣会社A社からクライアント企業B社へ派遣されてきた人材を、クライアント企業B社がC社から受注している業務にC社の指揮命令の下であたらせる場合も、実質的にはC社の業務を行っているため二重派遣です。
二重派遣と判断された場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」などのペナルティが課されることも。労働者派遣を利用するときは、必ず「自社内」で「自社の指揮命令の下業務」にあたってもらいましょう。
※参考:電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]「職業安定法」第四十四条
次に、業務委託を利用する方法です。業務委託とは、外部人材に業務を委託することです。自社と外部人材は雇用関係を結ばず、対等な立場で業務を行います。
業務委託で扱う契約には「(準)委任契約」「請負契約」などがあります。成果物に関する取り決めなど、それぞれに特性がありますが、共通しているのは「IT人材に対してクライアント企業が指示を出せない」点です。専門性の高いプロジェクトなど、自社の社員がIT人材に対して指示を出す必要がないケースでは、高スキルのエンジニアに業務委託することで、プロジェクトを効率的に進められる可能性があります。
SESは「システム・エンジニアリング・サービス」の略称で、SES事業者が自社エンジニアをクライアント企業へ送り、技術提供する事業です。客先に常駐して作業する点では派遣契約と似ているため、特定派遣に代わるエンジニア確保の方法として多く利用さるようになったと考えられます。SESは、法律上「準委任契約」として行われることが多く、クライアント企業からIT人材への指示を行う事ができません。
上述のとおり、SESではクライアント企業がIT人材に指示を出せません。指示を出した場合は「偽装請負」となり、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」などのペナルティを受けることがあるので注意が必要です。
SESでの偽装請負は、現在IT業界で問題となっています。2015年に特定派遣が廃止されたことで、特定派遣事業を行っていた事業者は、一般派遣への切り替えを迫られました。しかし、許認可を受けるには厳しい審査基準をクリアする必要があります。そこで、許認可を受けられず事業をスタートできない会社の一部は、新たにSES事業を開始したようです。SESに切り替えることで顧客との取引を続けられます。
ただし、ここには注意点があります。労働者派遣の一種である特定派遣では、クライアント企業がIT人材に直接業務指示を出せましたが、SESは指示を出せません。この違いを把握せずにSES事業を行う事業者が増えたことで、偽装請負の増加が懸念されています。トラブルを回避するため、クライアント企業側も、契約時には契約内容についてよく確認しましょう。
※参考:電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」 第59条2号
※参考:電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]「職業安定法」第四十四条
※本記事は2020年8月時点の情報を基に執筆しております。
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