Web2.0戦略にWeb3ゲームを取り入れる方法【テッククランチ】

2022年9月12日

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寄稿者

Tom Fleetham(トム フリータム)

仮想通貨プラットフォーム「Zilliqa」のスポーツとゲームの責任者。次の成長段階におけるパートナーシップの拡大を支援している。

Web 2.0 企業からの関心が高まっているにもかかわらず、Web3 が爆発的に主流となり、その技術の複雑さが相まって、多くの企業が後手に回っている。正真正銘の、かつ顧客に付加価値を与え、既存の収益を減らさない方法で、Web2.0のビジネスモデルにWeb3の技術をどのように統合するかについては多くの混乱が生じている。その中で、もっともな疑念も多い。Web3は有意義な新しいユーザー体験を可能にしているのか。Web2.0ですでに可能だったことを複雑にした誇大広告のバブルにすぎないのではないか、といった懸念だ。

もちろん、ブロックチェーン技術には明らかな固有価値があり、とくにゲーム業界はこの技術が採用される中心的存在になると予想されている。

Web3ゲームの勝ちパターンが何であるかはまだ不明だが、ブロックチェーン導入の次の急激な成長は、ゲームとゲーム化体験によってもたらされる可能性が高まっているようだ。Web3ゲームの包括的なビジョンは、プレイヤーにさらなるコントロール権を、そして貢献した価値に比例して報酬を与え、ゲームを通じて生計を立てられるのが上位0.1%のプレイヤーだけでないようにハードルを低くすることだ。

Web3コンテンツへの移行に備えて、Web2.0の組織は従来のゲーム環境の中で、自分たちのブランドがどのように存在できるかを考える必要がある。

それが実現できれば、Web3ゲームは多くの人のキャリアの選択肢と、ほぼすべての人のためにエンターテインメント業界を根本的に変える。

このチャンスは非常に有望だが、Web3ゲームによってもたらされる利益を活用しようとする多くのWeb 2.0ブランドにとって、それは困難なものかもしれない。では、何から始めればいいのだろうか?

第一歩を踏み出す

ゲーム以外のブランドは若年層の間での認知度向上のためにゲームに可能性を見出している。最近の例でいうと、Fortnite(フォートナイト)とファッションブランドBalenciaga(バレンシアガのコラボは知名度向上の良い例である。

しかし、ブロックチェーンゲームにおける重要な違いは、商業活動がすでにゲームの中核に組み込まれていることだ。したがって、同様の活性化は、従来のゲームプレイよりもダイレクトに、プレイヤーをブランド認知からコンバージョン(利益につながるアクション)まで導くことができる。

このような試みをしようとするブランドの多くはまず小規模で始め、Web3という出口のないトンネルに迷い込んでいくにつれ、時間をかけて体験を拡大する必要がある。

  • ・第1段階:人気のあるWeb3ゲーム内の広告スペースを購入する。おそらく広告をクリックすると、そのブランドのeコマースストアに移動する。
  • ・第2段階:リンクから非代替性トークン(NFT)コレクションに移動する。
  • ・第3段階:NFTにリンクしたゲーム内アセット(資産)を含め、ゲーム自体にブランド体験がある。
  • ・第4段階:広告をクリックすると、メタバース内のブランドに直接アクセスできるポータルとして機能する。

ブロックチェーンゲームがフォートナイトのような文化的意義のあるレベルに達すると、Web3ゲームの企業間取引(B2B)の機会は膨大なものになるだろう。これはおそらく、マイクロトランザクションがゲーム体験の固有の一部となり、またゲームから利益を得ているプレイヤーは自分たちの収益に貢献する可能性のある商業活動を受け入れる可能性が高いためだ。

Web3コンテンツへの移行に備えるため、Web2.0組織は従来のゲーム環境の中で自分たちのブランドがどのように存在しうるかを考える必要がある。惹きつけたいオーディエンス、そうした人々が現在プレイしているゲームを見極め、プレイヤー体験に付加価値を与える(あるいは少なくとも損なわない)ようなデザインができれば、難しい部分はクリアしたことになる。

その後、ゲーム内で役立つ補完的なNFTコレクションやブランドの主力製品の購入オプションを通じて商品化するのは比較的簡単なはずだ。

物理的なものをデジタルで補強

ゲーマーやeスポーツファン、Web3 の熱狂的支持者に共通しているのは、純粋にデジタルなものに具体的な価値を見出すという点だ。多くのWeb2.0ブランドにとって、ゲーム戦略を立てる際の重要な問題は、本質的にデジタルメディアを通じていかに物理的な製品の認知度と需要を生み出すかを明確にすることだ。

Web3ゲームは金融インフラをゲームに直接統合し、同じNFTマーケットプレイスを物理的なアイテムの販売とゲーム内アイテム販売の両方に活用することで、ユーザーがデジタルから物理的なアイテムへと簡単に移行できるようにする。

Web3の消費者がブランドとの関わりをデジタルから物理的なものへとうまく移行させるために、Web2.0ブランドは体験、サービス、物理的アイテムという形で、実世界の役に立つNFTコレクションを設計する必要がある。NFTに実世界の価値を結びつけることはブランドによっては容易な場合もあるが、この戦略を明確に定められないことこそが、従来のWeb 2.0ブランドによるNFTコレクションでの初期の試みの主要問題の一つだった。

結局のところ、ブランドが現実世界の価値をデジタルNFTに結びつけることができなければ、往々にして誰も欲しがらないJPEGの塊にしかならない。

「スキル・トゥ・アーン」のゲームモデルを導入する

現実には「遊んで稼ぐ(プレイ・トゥ・アーン、P2E)」のプレイヤーに支払うお金はどこからか調達しなければならない。ゲームが常に新しいプレイヤーを受け入れていれば、トークンやデジタルアセットの販売を通じて安定した経営状態を保つことができる。ただ、プラットフォームに参加する新規プレイヤーの数が頭打ちになると、必ずトークンの価値が下がり、結果としてプレイヤーが大量に離脱することになる。

これを避けるために、ブロックチェーンゲームを手がけるスタジオは、正しい前提から始めるべきであり、持続可能なゲームの基礎を形成する「スキルを磨いて稼ぐ(スキル・トゥ・アーン)」モデルで運営する必要がある。参加報酬を配る代わりに、ゲームはプレイヤーにスキルを磨くインセンティブを与え、真の達成にのみ報酬を与えるようにすべきだ。

20%というごく一部のプレイヤーが利益を上げ、その他のプレイヤーは経済への純貢献者となるようなモデルを構築する。これは現在のモデルからの革命的な転換を促すものでありながら、報酬がスキルに基づくものである限り、多くのプレイヤーはこれを受け入れるだろう。

反感への注意

ブランドはブロックチェーンゲームに関わるにあたり、ブロックチェーンの環境にもたらす悪影響に関連した反発があることを認識しておく必要がある。そこでブロックチェーンの選択、明確なコミュニケーション、教育が重要になる。

環境への影響に加え、ゲームの過度な商業化も懸念される。ネイティブのブロックチェーンゲーマーはこの傾向にあまり敏感ではないが、従来のゲームコミュニティーの多くは、最近のゲームに採用されている収益拡大の戦略に憤慨している。

ゲームの「フリー・トゥ・プレイ(F2P)」ビジネスモデルが誕生したときにも同じような批判が見られた。多くのプレイヤーが少額取引に腹を立て、ゲーム内広告を従来の有料プレイモデルに代わる搾取的なものとして見ていた。F2Pと同様に、Web3ゲームの動きもいずれプレイヤーに優しいバランスに焦点を合わせ、Web3ゲームに反対するゲーマーの数は減少していくだろう。

最終的には、優れたゲームから利益を得る持続可能な方法があれば、大多数のプレーヤーがそれを受け入れるはずだ。Web 2.0ブランドがゲーム体験全体を盛り上げ、少なくともそれを損なわないような魅力的なゲーム内活動をデザインできれば、テックに敏感な若いオーディエンスにアプローチする最良の方法となる。

適切なブロックチェーンを選択する

性能や拡張性、セキュリティ、環境への影響、取引コスト、分散化など、良好なUXをつくるうえで、多くの重要要素を鑑みてブロックチェーンを決める。

さまざまなブロックチェーン間の技術的トレードオフや、それがUXやブランド認知にどのような影響を与えるかを評価することは、Web3インフラの初歩的な理解しかないWeb2.0組織にとっては圧倒的に難しく感じられるだろう。ブロックチェーンを統合したゲームの大部分では、高速で低コスト、かつ拡張性の高いブロックチェーンによってUXが向上しています。

また、ブロックチェーンの既存コミュニティを考慮することも重要だ。ゲームに参加してWeb 2.0の動きに触れる最初のプレイヤーは、そのブロックチェーンの成功に情熱を注いでいる(そしておそらく投資もしている)ハードコアコミュニティから来る可能性が高い。

大規模なコミュニティを持つブロックチェーンは当然の選択に思えるかもしれないが、中規模で熱心なコミュニティを持つブロックチェーンを選択するのも悪くない。それは、コミュニティが支持するゲームという点において、大規模コミュニティに比べ競争が少なくなるという大きな利点がある。例えば、Polygon(ポリゴン)やSolana(ソラナ)はブロックチェーン上に多くのゲームを抱えているため、コミュニティの各メンバーが単一のゲームのみをプレイする可能性は低くなる。

UXが改善されれば、プレイヤーや主要なWeb3採用者はどのブロックチェーンを使用しているかを気にしなくなる。一般的に、ブロックチェーンを選ぼうとしているWeb2.0ブランドは、技術的なニュアンスよりも、熱心なコミュニティ、マーケティング、技術サポートの良い組み合わせを提供する本物のパートナーを見つけることに焦点を当てるべきだろう。

未来への準備

ゲーム業界は現在、巨大なWeb3実験の真っ只中にある。何百ものブロックチェーンゲームが開発されており、そのすべてがこの新しいテクノロジーを最大限に活用するゲームプレイとトークノミクスを最適化するために少しずつ異なるアプローチを取っている。今後5年間は新しいゲームが発売され、市場が勝利モデルを決定していく魅力的な期間となる。

この過渡期はブロックチェーンユーザーの次の指数関数的な成長を牽引する。ブロックチェーンゲームが現在の主要なゲームと同等以上の文化的意義を持つようになれば、ブランドとプレイヤーの双方にとって商機は莫大なものになる。

たとえ小さな一歩であっても早期に実験を開始すれば、消費者行動における次の大きなシフトを最大限に活用するための最良の準備を整えることができる。

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翻訳:Nariko

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