2022年7月29日
寄稿者
Sarah Perez
Webテクノロジーブログ「ReadWrite」を経て、2011年8月よりTechCrunchの記者として勤務。銀行、小売、ソフトウェアなど、さまざまな業界のITに関わる。
TikTok(ティックトック)がグーグルのビジネスに与えている脅威は何もユーチューブに限った話ではないようだ。若いユーザーが何かを検索する過程で最初にアクセスするものとして、ソーシャルメディアや動画を好む傾向が強まっており、検索やマップといったグーグルの中核的なサービスもこうした影響を受けているという。グーグルの幹部が7月12日、業界イベントでの講演で認めた。
グーグルのナレッジ&インフォメーション部門を率いる上級副社長Prabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏は、米フォーチュン誌主催のテックカンファレンス「FORTUNE Brainstorm Tech」で、グーグル製品の将来と人工知能(AI)の利用について話をする中で、人気のソーシャルアプリに言及した。
検索の進化に関する議論の中でラガヴァン氏は、若いユーザーが何かを探すのにグーグル検索やマップではなく、インスタグラムやティックトックのようなアプリを利用することが多くなったことをさりげなく指摘した。
「新しいインターネットユーザーは、私たちが慣れ親しんできたような予想や考え方を持っていないことを私たちは繰り返し学んでいる」とラガヴァン氏は述べ、「彼らが投げかけるクエリは全く異なる」とも指摘した。
こうしたユーザーはキーワードを入力するのではなく、より没入感のある新しい方法でコンテンツを発見しようとする傾向があると同氏は語った。
「私たちの調査では、若者の40%近くがランチの場所を探すときに、グーグルマップや検索を利用しない。彼らはTikTokやインスタグラムを使う」と続けた。
この数字は少しショッキングであることを認めざるを得ない。グーグルはテッククランチに、ラガヴァン氏の発言は内部調査に基づいていて、米国の18〜24歳のユーザーを対象に実施した調査も含まれていることを明らかにした。このデータはまだ公開されていないそうだが、競争力についてまとめているグーグルのサイトに他の統計データとともに後に追加されるかもしれない。他の統計とは、例えば製品検索の55%がどのようにアマゾンで始まるか、といったものだ。
年配のインターネットユーザーは、レストランを探すためにソーシャルビデオアプリを利用することに抵抗があるかもしれない。だが、ソーシャルビデオアプリを活用する傾向は、そうした種のクエリで表示される広告はもちろん、グーグルの検索と発見という中核ビジネスに影響を与える可能性がある。このデータは、若いユーザーたちは最終的にはナビ目的で地図アプリのようなものを開くかもしれないが、必ずしもグーグルから検索を始めるとは限らないことを示している。つまり、グーグルが長年にわたって行ってきた、ローカルのレストランなどさまざまなビジネスに関する情報の取りまとめやキュレーション、推奨、そしてグーグルマップに導入した発見ツールは、こうした若いインターネットユーザーにとっては「なきもの」になる可能性があるということだ。
ラガヴァン氏はまた、若いユーザーたちは一般的にもっと「視覚に訴える方法」での検索や発見に関心があり、それは食事場所探しに限ったことではないと説明した。
同氏は、ネットを利用する若いユーザーは紙の地図を利用したことがないが(自分が歳をとったと実感させられる表現だ!)、マップ系のアプリは「携帯に貼り付けられた」紙の地図のように見えてしまうと指摘。これでは若いユーザーの期待に応えられず、提供すべき体験として間違っているという。
「全く新しい期待を抱かせ、そして新しい技術基盤を採用しなければならない」とラガヴァン氏は話した。
例えば、グーグルマップでは、画面上で点滅する青い点をもとに進むべき道を探すのではなく、ユーザーが自分の位置を周囲の環境に置けるよう拡張現実(AR)を取り込んでいる。同社は最近、開発者会議Google I/Oでグーグルマップの改良を発表し、新しい3Dモードや没入型ビューなどを披露した。これらもマップを紙の地図のデジタル版とは違うものにするのだ。
ラガヴァン氏はまた、若いユーザーたちの視覚的なコンテンツへの需要がグーグル検索を変えるとも示唆した。しかし、これは検索の継続的な評価の一部だと同氏は考えている。以前は、ウェブユーザーが検索エンジンにいくつかの基本的なキーワードを入力すると、青いリンクのリストが表示されていた。その後、検索エンジンは自然言語を理解できるようになり、さらに音声によるクエリに対応する機能が追加された。新しいインターネットユーザーは文字入力すら面倒になったため、一部の国では現在、音声がクエリ全体の30%を占めるようになったと同氏は指摘する。
グーグルは現在、ユーザーが携帯電話をかざすか、ARメガネをかけて見たものに基づいて検索を開始できるような未来を見据え、画像とテキストの組み合わせに注目している。
その一方で、グーグルは新しい場所や情報を見つけようとするユーザーが最初に訪れる場所ではなくなっていることに対処しなければならない。
実際、この傾向は顕著になってきており、昨年秋にはインスタグラムやティックトックの動画を検索でインデックスできるように取り組んでいることをグーグルは認めた。キーワードに続いて「TikTok」という単語を入力して検索すると、グーグルは標準的なウェブページを表示する前に、関連するTikTok動画をずらりと並べる。
それと同時に、グーグルはAIを活用してウェブ上の動画を分析し、より豊富な検索結果にユーザーを誘導することも始めているとラガヴァン氏は話した。
例えば、グーグルで「タイヤ交換の方法」を検索すると、動画が表示されるようになった。そして今、グーグルはAIを使って動画の内容を分析できるようになり、ユーザーはホイールボルトの緩め方やジャッキアップの方法を教える場所にジャンプできるようになった。動画の解析と理解を文書上でのものと同等にするために取り組んでいるとラガヴァン氏は述べた。
しかし、「理解をそのレベルまで深めるには時間がかかり、我々はまだ道半ばだ」とも語った。
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元記事はこちら:
Google exec suggests Instagram and TikTok are eating into Google’s core products, Search and Maps
By:Sarah Perez
翻訳:Nariko
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