【Lookerハッカソンで世界2位】好きこそものの上手なれ。モンストの凄腕データエンジニアがハマる「データで遊ぶ」醍醐味とは

2022年3月8日

株式会社ミクシィ モンスト事業本部 ゲーム運営部 解析グループ 解析チーム

北島 祥伍

金沢大学大学院修士課程を修了後、2019年4月ミクシィに新卒入社。データエンジニアとして『モンスターストライク』のデータ分析やデータ基盤構築を担当する。

世界累計利用者数5,600万人を超える大人気ゲーム『モンスターストライク(モンスト)』。そのヒットを支えるデータ解析チームの北島祥伍さんは、2021年11月にLookerが主催するオンラインイベント『JOIN2021』のハッカソンに参加。データ可視化技術で世界2位の栄誉を勝ち取った凄腕データエンジニアだ。

データエンジニアの仕事について「やってみたら楽しかったんです」と柔らかく話す北島さんだが、実は幼少期から「数字」に親しみ、中学生の頃はグラフを描くのが好きだったほどだという。データの可視化や分析に抗えない魅力を感じると話す北島さん。データ基盤の改善や分析業務に携わる魅力、大ヒットゲームに携わるやりがいを聞いた。

▲「モンスターストライク」

気軽に参加したハッカソンで世界第2位

──Lookerが主催する年次イベント『JOIN2021』で行われたハッカソンに参加され、世界第2位を獲られたそうですね。どのような内容のハッカソンだったのですか?

私が参加したのは『JOIN2021』の中でも、「Hack@Home」と呼ばれるハッカソンです。このハッカソンは、Google Cloud Platformが提供する「Looker」という BI(Business Intelligence)ツールを使い、データの可視化技術を競うもので、昨年は17チーム、50名が参加したと聞いています。

──参加されたきっかけを教えてください。

Looker側の営業担当者から「こんなハッカソンがあるんだけど」と、教えてもらったのが参加するきっかけでした。実は以前、業務でLookerのCustom Visualization機能を使おうとして、時間が足りず諦めたことがあって。それをその営業担当の方が覚えていたようですすめてくれました。解析チームのメンバーからも「出たほうがいいよ」と後押ししてもらったこともあり、今回初めて挑戦してみることにしました。

私は学生時代からデータセキュリティ関係のコンテストにたびたび参加してきましたが、何よりほかのエンジニアと競争したり、一定期間、普段やらないような取り組みに集中したりするのが楽しいんです。好きだという気持ちがハッカソンや技術イベントに参加する原動力になっています。

──実際にハッカソンに参加した感想を聞かせてください。

当日を迎えるまでは、自分でも「いい線までいけるのでは?」と、ちょっと自信がありました。それでもいざ取り組んでみると、期間が2日しかなかったこともあり、想像していた以上のプレッシャーがありましたね。

参加して感じたのは、オンライン開催のため、どれくらいの技量を持った参加者がいるかわからず、ライバルの動きが見えなかったということです。誰がどんな作品をつくろうとしているかは、参加者と運営者が書き込むオープンチャットの内容から推察するしかありませんでした。

──孤独な戦いですね。

そうですね。ただ周りの動きが見えない分、どんな作品をつくれば勝てるのかよりも、自分はどんな機能を実装したいか、あくまで自分主体で最善を尽くそうと決めました。

──こちらが北島さんが世界2位を受賞した作品ですね。解説していただけますか?

▲Hack@Home2021で世界2位を獲得した北島さんの作品。

データの見せ方を自由にカスタマイズできるLookerの機能「Customer Visualization」を利用して、棒グラフが時間経過とともに刻々と変化する「バー・チャート・レース(bar chart race/動くグラフ)」を実装しました。「バー・チャート・レース」については、Lookerを触りはじめた頃から気になっていて、『モンスト』のデータで小さな試作もつくっていましたが、正式に実装したのは今回が初めてです。

最近だと、動画やインフォグラフィックなどで「バー・チャート・レース」をよく見かけますが、審査員の皆さんには、Lookerで動くグラフを実現できたのはこれまでにはなかったことのようで、そこを評価していただきました

──開発は順調だったのでしょうか?

不甲斐ない話なのですが、思いのほか環境構築に手間取り、情報収集と試行錯誤で結構な作業時間を溶かしてしまったんです。昼頃から作業を始めて、Lookerのエンジニアのサポートで環境構築が完成したのはその日の21時くらい。そこから夜中までに、使いたいライブラリの調査をなんとか済ませ、精度はともあれ予定していた作業を終えました。でも、残り1日の規定時間内に目標とするところまでやりきれるかとても不安でしたね。

──それでも2位を獲得したのはすごい成果です。

開発に入ってからは順調でした。最終的には自分で見て楽しめるバー・チャート・レースを実装することができたので満足しています。

──バー・チャート・レースを実際『モンスト』にも実装する計画はありますか?

ハッカソンでつくったのはあくまでもプロトタイプで、実際のマーケットプレイスで提供するにはまだ多くの要件を満たす必要があると思います。

ハッカソン後の懇親会では「円グラフや折れ線グラフ、散布図を動かせたら楽しいでしょうね」とコメントをもらい「なるほど」と。まだまだ、できることがありそうだと感じました。

Customer Visualizationのみならず、さまざまな可視化の手法を身につけて、今後もデータ活用の推進に貢献できればと思っています。中長期的には、データ集計のスピードをさらに上げられるよう、インフラの改善にも挑戦をしていきたいです。

好きだからこそ、本気で仕事にのめり込める

──北島さんはなぜ新卒でミクシィに入ったのですか?

就職の時、面接を通じて出会った社員さんの雰囲気がよかったから選びました。あと、少し分野は違いますが、大学院で学んだデータセキュリティに関する知見もここなら活かせると思ったんです。

とはいえ、最初からデータエンジニアを希望していたわけではありません。ゲーム周りのデータ分析にしても、データ分析基盤の構築にしても、「やってみたら楽しかった」というのが正直なところです。配属の際に、私の適性をじっくり見極めてくれたんでしょうね。

──本当にデータ周りのお仕事がお好きなんですね。

ええ。思い返せば、幼稚園に通っていた頃から電卓で遊ぶのが好きで、両親によると電卓を抱えながら寝ていたこともあるそうです(笑)。中学生の頃も自由研究のグラフを描くのが大好きで、率先して取り組んだ記憶があります。キャリアの選択については、偶然に任せた部分が大きかったのは確かです。でも、結果的にデータエンジニアという天職に出会えました。ずっと好きだったことを仕事にできて本当によかったと思っています。

ゲームも好きなんですよ。以前から『モンスト』を始めいろいろなゲームを楽しんできました。ただ、この仕事に就いてからは、担当以外のゲームをやっていると、つい、どんな分析をしているのだろうかとか、こんなデータを集めてみたら面白い結果が出るんじゃないかとか、仕事のことを考えるようになってしまいました。純粋にゲームを楽しめないのは、もはや職業病ですね(笑)。

──北島さんにとって、データエンジニアとして一番楽しいのはいつですか?

大規模なデータと向き合った結果、それまで見えなかったものがハッキリと露わになる瞬間です。その瞬間に立ち会えるのが、何より大きな魅力ですね。好きで取り組んでいる仕事が、ユーザーを含む大勢の皆さんにいい影響を与えている手応えがあるからこそ、抽象的なデータをもっとわかりやすく可視化したいという探究心が湧きます。データを活用したコンテンツや機能が『モンスト』に実装され、実際ユーザーに使ってもらえるなんて、これほど嬉しいことはないですね。

──データエンジニアの仕事はどんな人に向いていると思いますか?

私自身、高校時代から、好きなことしか取り組めないタイプだという自覚があるので、そう思うのかもしれませんが、データを扱うことが好きだと言い切れる人だと思います。もちろん、ユーザーのために頑張れること、周囲のために努力できることも同じぐらい重要なマインドです。ただ、仕事ですから大変な局面はつきもので、そこを乗り切るためには「好きな気持ち」に勝るものはないと思います。

これまでも、興味を持って体得したスキルが回り回って別の仕事に役立ったことが何度もありました。好きであること、知的好奇心を持ち続けられる対象であることは、長く続ける以上とても大事だと思います。

データエンジニア、アナリストとして事業に貢献

──北島さんは普段どんな業務を担当しているのでしょうか?

日ごろはデータアナリストとデータエンジニア、両方の仕事をしています。アナリストとしては、ユーザーの属性データやゲーム内でのアクションデータ、ユーザーアンケートなどを集計し、見やすく可視化したりする機会が多いです。『モンスト』は、世界累計利用者数が5,600万人を超え、ユーザーによる莫大なプレイデータがあるんです。それらを分析して、過去に実施した取り組みの振り返りや、新規のゲームイベントの企画立案に活かしています。

エンジニアとしては、新しい企画が走り始める前段階で今後どんなデータが必要になるのか先行調査を行い、よりスムーズに欲しいデータを取得できるように、データ基盤の整備やデータパイプラインの改善を行っています。

──データを扱う際に気をつけていることは何ですか?

企画部門やマーケティング部門からデータ取得を依頼されたとき、いつも「このデータで本当にいいのか?」を考えるようにしています。依頼を受けた際は、依頼されたデータのみならず、その周辺のデータも一緒に集計して分析します。実際、「指定されていないけど、こっちのデータの方が重要なんじゃないか」と当たりをつけて取得したデータのほうが、仮説を裏付けられたり、知りたかったユーザーのインサイトが得られたりするんです。

また、基本に忠実であることも大切にしています。同じ集計を何度繰り返しても同じ結果が得られることを、データエンジニアリングの世界では「冪等性(べきとうせい)がある」と表現します。でも、データソースの選択や処理を誤ると、本来同じであるはずの結果が大きくズレてしまうことがあるんです。うっかりするとそうしたミスが起こってしまうので、基本的な準備を疎かにしないよう心がけています。

──ハッカソンや技術コンテストは、普段のお仕事にもいい影響を与えているのではないでしょうか?

たしかに、習得した技術やノウハウは、仕事にも積極的に活かしたいと思っています。ただ、こうしたイベントに参加するのは、スキルを磨くためというより、純粋に好きだからですね。そもそも普段の仕事も同じ気持ちで取り組んでいます。

──というと?

「データで遊んでいる」といったら語弊があるかもしれませんが、本音でいうとそんな感覚です(笑)。業務の合間に興味の赴くまま、『モンスト』が抱えているデータを用いていろいろなデータ加工や集計に好きなように取り組んでいるんです。もちろん、やるべき仕事をやったうえで、求められる成果を出したうえでのことではあるのですが。

ハッカソンも普段の仕事も、私自身は同じ延長線上にあるものだと思っています。新しいデータの可視化を実現したら楽しいだろうし、皆に喜んでもらえると思うと、ワクワクが止まらないんですね。

幸いミクシィは、エンジニアの好奇心を大切にしてくれる会社ですし、自発的な取り組みや成果に対して前向きに評価してくれます。しかも、SQLを叩けばすぐにデータを取り出せるデータ環境も整っています。データエンジニアにとって、これほど楽しい環境はありません。

取材・執筆:武田敏則(グレタケ)
撮影:若子jet

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