「イマジナリー○○さん」がチームを強くする。メンバーの技術力をブーストする「自己開示」の力

2024年9月26日

株式会社カケハシ エンジニアリングマネージャー

小田中育生

大学院修了後、外資系半導体企業に就職。テストエンジニアとして経験を積んだ後、乗換案内・地図・ナビゲーションサービスを提供する会社に転職。研究開発部門のエンジニアを軸足にUX改善やアジャイル導入推進、プロジェクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーを経験し、2019年にVP of Engineeringに就任。2023年10月、カケハシにジョイン。新規プロダクト開発チームのEMとして働く。著書に『アジャイルチームによる目標づくりガイドブック』(翔泳社)、『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(共著・インプレス)

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株式会社カケハシ ソフトウェアエンジニア

椎葉光行

大学時代のアルバイトをきっかけにエンジニアとしてのキャリアをスタート。大手ECサービスの開発リード、組織サポート、CI/CDサービス開発のIndividual Contributorとして従事。2023年4月にカケハシに入社し、現在はフルスタックエンジニアとして新サービスの開発に従事している。 著書に『Jestではじめるテスト入門』(共著・PEAKS)

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チームづくりに必要な心理的安全性を効果的に高めるための手段として、自分の考えや人となりを伝える「自己開示」が挙げられます。

しかしメンバーにとって、仕事における自分の考えをマネージャーや周囲に伝えるのは、ハードルが高く感じる場面もあります。また、仕事と関係ない自分のプライベートの話や、人となりを伝えることに、意義を見出しづらいと思う人もいるでしょう。

逆にマネージャーも、メンバーに何か提案してもあまり響かなかったり、思いを率直に伝えてもらえなかったりして、自己開示をしてもらうにはどうしたらいいかと悩むシーンもあるはずです。

カケハシのエンジニアリングマネージャー(EM)である「いくおさん」こと小田中育生さん、そして同じチームのソフトウェアエンジニア・椎葉光行さんが所属する開発チームでは、立場は違えどお互いに敬意を払いつつ、仕事に関することもそうでないことも伝え合い、活発に「自己開示」をしているといいます。

カケハシの開発チームで、積極的な自己開示に力を入れるのはなぜなのか。また、自己開示によって信頼関係を構築できるようにするために、メンバー/マネージャーの立場から、それぞれ何ができるのか。小田中さんと椎葉さんにうかがいました。

自己開示によって生まれる「イマジナリー○○さん」がチームを強くする

――お二人ともX(旧Twitter)など、社外から見える場所でも、率直に仕事観などを語りあっていますよね。社内での自己開示も、かなり活発なのでしょうか。

小田中:そうですね。フルリモートですが、一般的にはSlackのtimesに書くようなことも、チームのチャンネルに何でも書いています。真面目な技術の話から、プライベートな、それこそ「ラーメン食べたい」とかまで。timesは他チームとのつながり用で、チームのチャンネルが最もアクティブです。

週次の1on1では、個人的なことから組織のことまで何でも話しますし、ネタを切らさないよう必死に準備したことも、「話すことがないからスキップしよう」となったことも、一度もないですね。

椎葉:1on1の内容は、外に出さないでほしいと希望した部分以外は全て、チームに共有しています。メンバーである僕からしても、共有されるからといって話しづらく感じることはないですね。

▲「1on1で話しやすいといってもらえると、マネージャーとして安心しますね」と笑顔を見せる小田中さん

――メンバー同士がすごく活発に、自己開示し合っているのですね。こうしたチームの雰囲気をつくる目的は何でしょうか。

小田中:プロダクトの価値をアジャイルに高め続けるために、心理的安全性が高く、意思決定がぶれない強いチームをつくりたいからです。

価値あるプロダクトを提供するには、いつでもフラットに質の高い議論ができ、円滑にコミュニケーションが取れるような、心理的安全性が不可欠です。そして、議論を重ねながらもスピードを落とさないためには、例え誰かがいなくても、意思決定がブレないようにしていきたい。子育て中のメンバーが多いこのチームでは、急な離席や休暇はいつだって発生しうるし、長期休暇もフレキシブルにとれるようにしておきたいですからね。

これらに「お互いをよく知る」、すなわち「自己開示」が効いてくるのです。

椎葉:メンバー同士がお互いの考えていることを、中にはどうでもいいような私的な話でも、継続的にシェアしていると、お互いをよく知り、深く理解し合えるようになっていきます。すると、議論の中で自分と全く異なる意見を言った人がいても「たしかにあなたなら、そう考えるだろうな」と、フラットに受け入れやすくなる。これが心理的安全性の構築につながっていくんです。

小田中:互いへの理解が深まっていくと、課題にぶつかったとき「あの人ならこう言いそうだな」と想像できるようになる。チームメンバー全員の脳内に共通の「イマジナリー○○さん」が生まれるんです。

すると、誰かがその場にいなくても、チームとしての意思決定がブレなくなっていきます。実際に先日、椎葉さんの長期休暇中、チームでの議論のなかで「もし椎葉さんがいたら、ここもう少し慎重にやるよね」と、急進的な意思決定を踏みとどまれた瞬間がありました

お互いの理解が深まるほど、自分の中にある「イマジナリー○○さん」が、「リアルな○○さん」に近くなりますね。

椎葉:そんなことがあったんですね。なんだか気恥ずかしいですが、僕がいないときもそんな風に話してくれていてうれしいです。

小田中:チームとしての意思決定がぶれなければ、その場にいない誰かの意見を待つためのリードタイムが発生しないから、スピードを落とさず開発を進められます。

それに、議論の参加者が少なくても、全員が納得できる着地点を見つけられる可能性が高まるから、その場にいなかったメンバーにとっても納得感のある意思決定ができている実感があります。もし納得できなくても、静かに不満を溜め込むのではなく「自分はこういう意見です」と表明してくれるので、マネージャーとしても安心して意思決定することができますね。

椎葉:そうですね。アジャイルに協力し合って良いものをつくっていく流れが、滞ることなく加速していく実感があります。

小田中:ただ同時に、「イマジナリー○○さん」に頼りすぎないようにも注意しています。大きな意思決定を行う場合はもちろん本人に確認したほうがいい。それに、人は日々変わっていくものですから、メンバーそれぞれの中にいる「イマジナリー○○さん」のアップデートは、常に行っていく必要はあります。

椎葉:そのアップデートは、普段コミュニケーションを積み重ねる中で、自然と進んでいっているような気がします。また、積極的に自己開示して深いコミュニケーションをとり続けていくと、お互いの良いところを真似し合うようになるのも、いいところですよね。

小田中:まさに。良い影響を与え合うことで、チームの雰囲気が良くなり、相互理解が深まる流れが生まれています。

外資系企業で「自己開示はスキルだ」と肌で学んだ

――自己開示に意義を感じづらい人もいると思います。椎葉さんは社内外問わず積極的に自己開示を行っていますが、なぜ臆さずできるのでしょうか。

椎葉:外資系企業で働いた経験が大きいですね。そこで、自己開示もスキルの1つだと思うようになりました。

その会社には世間話が上手なメンバーがたくさんいました。彼らは相手の話を広げたり深掘りしたりするのが上手で、そのスキルによって、マネージャーとの関係をよくしたり、強いチームをつくったりしていました。国籍や人種など、バックグラウンドが大きく異なる人と働く環境では、察してもらうのが難しいこともたくさんあります。だからこそ、自己開示して初めて理解してもらえて、仕事を前に進められる。そう気づいて、能動的な自己開示は、仕事を円滑に進めるうえで重要なことだと強く感じました。

また、かつてマネージャーとして働いていたときの経験からも、大きな影響を受けています。やっぱり、個人の技術力で難題を突破しても再現性がないし、その場限りだと思うんです。難しい課題を解き続けられる強いチームとは、チームメンバーがフラットに協力し合えて、そのうちの誰かがいない日も、パフォーマンスが大きく低下しない状態のことだと思います。こうした状態をつくるためにも、自己開示は非常に重要です。

小田中:社会に出て初めて、意識的な自己開示が必要になって、戸惑っている人も多いと思います。学生時代の友人のように、ずっと同じコミュニティにいた人とは「○○先生、いたよね」みたいな共通の話題があったり、長期間にわたって相手と接し続けて、これまでの変化やその背景をよく知っていたりする。だから、意識的に自己開示しなくても、信頼関係を構築しやすいのです。

しかし、社会に出ると、そうした共通のバックグラウンドを全く持たない人同士で、一緒に働くことになる。今までなんとなく互いを理解し合えていたのとは違う、理解し合うために努力しなくてはならない環境に、初めて身を置くことになります。この差にピンときていなければ、自己開示を戸惑うのも当然だと思います。

まずは「自分の考えを伝えるのがうまい人」の真似をすること

――では、自己開示にあまり慣れてない人は、どのように一歩踏み出していけばよいでしょうか。

小田中:まずは、自分の人となりについて伝えること。分報でちょっとだけプライベートの話をしてみたり、雑談する機会を増やしたりしてみてほしいです。

「自分の個人的な話には、誰も興味ないんじゃないか」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。チームの誰かは必ずあなたに興味を持っているし、少なくとも、マネージャーは知りたいと思ってるはず。だってマネージャーは、チームの成果を最大化するために、メンバーがどんな人なのかを知っておかなくてはなりませんから。

椎葉:もし、わざわざ話しかけるのは気が引けると感じるなら、テキスト化して、分報に固定しておくなど見えるところに貼っておくだけでもいいでしょう。そうしておくと、興味を持った人が見てくれたり、話しかけてくれたりするはずです。

小田中:あと、仕事についての考え方を伝えるには、上手な人の言葉遣いを真似してみるといいですよ。例えば椎葉さんの伝え方の素敵なところは、I(アイ)メッセージで伝えてくれることですね。議論になったときに「一般的にはこうだ」とか「それは違いますよ」と断定するのではなく「僕はこう考えてるんだけど……」という言い方をする。だから他のメンバーにも、受け入れてもらいやすいんだと思います。

椎葉:昔、とがっていた頃は「こうあるべき」と断定的な言い方をしていたこともあります…(笑)。でも、そういう言い方をしても誰もいい気持ちになりませんよね。プラスな反応も返ってこないし、そうなると言った自分もつらく感じてしまいます。

それに、これまでに色々な経験を積み、僕が思う「こうあるべき」がいつだって絶対に正しいとは言い切れないな、と気づきました。だから今は、自分を含め誰も嫌な気持ちにならずに建設的な議論ができるように、また、他の人の意見が正しい可能性も認めて、「自分はこう思う」という言い方をするように心がけています。

あと、話を聞いてくれる人への配慮として、仕事における個人の好き嫌いや単なる感想はあまり言わないようにしています。相手に何か行動を求めていないのなら、言われた相手も「それを聞いて、自分はどうしたらいいんだろう」と困ってしまうだろうから。

「話してもいいかも」と思われるマネージャーは、“一貫性”がある

――小田中さんは、マネージャーという自己開示を受ける立場として、気をつけていることはありますか。

小田中:まずは、積極的に人となりを開示しようと思ってもらうために、メンバーの話に本気で興味を持つようにしています。初対面のメンバーの趣味を聞いたら、それに関してひたすらインプットする。単なる話のネタではなく、自然に会話の中で出てくるくらい理解を深めるんです。そこまでしてようやく「自己開示をすればちゃんと興味を持ってもらえる」と実感してもらえると思います。

また、自分の考えを伝えようとメンバーに思ってもらうために、嘘を言わない、つまり発言に一貫性を持つことにも気をつけています。言ってることがコロコロ変わったり、都合がいいことしか言わない人に、自分の考えを伝えようとは誰も思いません。話す価値がある人だと思ってもらうために、「一貫性」は必要不可欠です。

具体的には、たとえば技術選定でAさんとBさんの意見が分かれた時、1on1でそれぞれ個別に「あなたの意見のほうがいいね」と言うような、人として不誠実なことは当たり前ですがしてはいけない。もちろん考え方は変わっていくものだから、結果的に違うメッセージを伝えてしまうこともあります。そういうときは必ず「誤解を与えてごめんなさい。こういう経緯で考えが変わりました」と説明しています。

椎葉:主語が抜けていると危うい場合もありますよね。「そうだね」という一言にしても、単なる相槌なのか、「私もそう思う」のニュアンスを含んだ同意なのか、どちらにも受け取られる可能性がある。いくおさんの場合は、「あなたはそう思っているんですね」と主語を明確にして伝えてくれるので、勘違いは少なそうだなと思います。

小田中:それはマネージャーとしての防衛本能もあるかも。マネージャーの言葉は一人歩きしがちですから。それこそ、相槌のつもりで言ったことが「同意」と受け取られてしまうこともあります。でも、そうして誤解を招くということは、本当に伝えたいメッセージを伝えられていないということだから、僕の責任です。誤解なく伝えるために、主語はハッキリさせます。

――もし、メンバーが自分の考えを素直に言えるようになったとしても、意見がぶつかってしまうなど、信頼関係の構築につながらないパターンもあるんじゃないでしょうか。

小田中:あると思いますね。価値観がぶつかって衝突してしまうのでしょう。自分だけの価値観に囚われていると、相手がNG行動をした時に「これは悪意があるに違いない」と思い込んでしまったりします。

自分と全く違う価値観とぶつかると、一瞬びっくりはするんですよ。でもそもそも価値観がまったく同じ人はいないし、その違い自体に善悪も優劣もないんですよね。

まずはびっくりした気持ちをグッと飲み込んで、「そういう意見もあるんですね」と一旦受け止める。その上で「私はこう感じたけれど、あなたにその意図はないと思うので、なぜその行動をしたのか教えてほしい」と聞いてみてほしいです。すると往々にして、自分が予想していたのとは違う言葉が出てきます。

そうして相手の考え方をしっかり聞く経験を積んでいくと、予想外の行動や意見に思わずムッとしてしまう場面も減っていくでしょう。

椎葉:いくおさんとの1on1では、「でも」を言われたことがないんですよ。何を言ってもまずは「椎葉さんはそう思うんですね」と受け止めた上で、「その理由は?」「じゃあこれに対してはどう思いますか?」と対話を続けてくれる。否定されないので反発することもなく、深い話ができます。

マネージャーがこうした姿勢でいてくれるとチームの雰囲気も良くなるし、その姿をメンバーが見習っていくから、コンフリクトが発生しづらくなっている部分もありますね。

自己開示が足りないサインは「わかってくれない」 マネージャーは死ぬ気で、気を遣われない体制をつくるべし

――自己開示がうまくいっていないサインは、チームのどんなところに現れるのでしょうか?

小田中:よくあるのは、メンバーが「マネージャーは自分のことを分かってくれない」と感じてしまうシーンです。

マネージャーは、メンバーの行動やモチベーション状態に常に目を光らせてはいます。でも、普段の様子から読み取れる情報にも限界があります。マネージャーが持っている情報が十分でない状態で、メンバーに何か提案すると、メンバーに「そうじゃないのに」と感じさせてしまいがちです。

この状況に陥る原因のひとつは、メンバーの自己開示が足りないことでしょう。もちろん、マネージャーから情報を取りに行く努力が足りないともいえます。しかしメンバーからも、自分の考えや思いを明示的に伝えて、マネージャーの情報量を増やしてあげることで、期待通りの行動を引き出しやすくなる面もある。もし言いづらいと感じるなら、関係性の改善が必要ですね。

ただ「言ったのに」というパターンもありますね。伝わらない言い方になっていたり、マネージャー側がその思いを受け止められる状態になかったり……。

「言ったのに」というパターンの背景には、「マネージャー側の余裕が足りない」「メンバー側の伝える頻度が足りない」の2つが主に考えられます。この状況の改善のためにメンバーから働きかけるとしたら、マネージャーが受け止められる状態になるまでじっと待つか、伝わるまで根気強くコミュニケーションを取り続けるか、でしょうか。

――とはいえメンバーにとっては、多忙なマネージャーを呼び止め、自分のために時間を割いてもらうのは、心理的なハードルもありそうです。

小田中:そう感じちゃいますよね。でも、私は一人のマネージャーとして、メンバーには気を遣ってほしくないと本気で思っているし、そのために実は色々と工夫しています。

マネージャーである私にとっての最優先事項は、メンバーがパフォーマンスを最大限発揮することで、それより大事な仕事はありません。だからメンバーに遠慮されては本末転倒。いかにメンバーから気軽に声をかけてもらえるかが、私の成果に直結するのです。

だからメンバーに遠慮せず声をかけてもらうために、忙しそうに見せないようにしています。例えば、自分のカレンダーには、資料作成など自分でスケジュール調整できる作業の時間はあえて載せません。MTG以外はブロックせず常にスカスカにしておくことで、メンバーが「調整しづらいな」と感じないようにしているのです。これは椎葉さんにも伝えていなかったですね。

椎葉:初めて聞きました。でも僕はいくおさんと話したいとき、カレンダーを見ずにそう伝えているから大丈夫です(笑)。忙しいなら断ってくれるはずだと思っているので。

小田中:それくらいがやりやすいです(笑)。とにかく、メンバーに気を遣われない体制を死ぬ気でつくるのが大事です。やっぱりマネージャーという役割を持つ以上、こちらがどう工夫しても、メンバーにとっては「話しかけづらい存在」になりがちですから。積極的にマネージャーから情報を取りに行くべきだと、私も改めて肝に銘じておきます。

――信頼関係がまだ充分に構築されていない組織においては、マネージャーとメンバー、どちらが先に動くべきでしょうか。

椎葉:どちらからでもいいと思います。良い流れが一度生まれれば、それが広がっていくので。メンバーなら積極的に自己開示をしてみたり、マネージャーといい関係を築いて、それを他の人に伝播させていったり。

小田中:とはいえ誰も自己開示できていない時に、いきなり「自己開示してくださいね」と伝えたところで、メンバーは戸惑うだけです。マネージャーからのアプローチは必須でしょう。

私なら、人となりの自己開示においては、偏愛マップなど一定の方法論に沿って「メンバー同士が、自分のことを話す会」を企画します。

また、仕事における考え方の自己開示においては、場をつくっても口に出しづらい部分もあるはずですから、まずは一人一人に話を聞く。すると「隣の人が何をやっているかわからない」など、チーム共通の課題が見えてくる。その課題をチームに共有したうえで、「この課題を解決したいので、思っていることがあったら教えてください」と伝え、合意を得ます。言い出しづらいことだからこそ、どうやって自己開示をするかというHowではなく、自己開示してもらう目的を明確にすることが大切です。

椎葉:いくおさんは、チームのゴール設定をしているんですよね。クオリティが高いプロダクトをつくるためにはこういうチームでありたい、という理想像を持っています。それを実現するために自己開示が必要なんですよ、と伝えてくれるからこそ、目的が明確になり、メンバーも積極的に、自分の考えや思いを伝え合えるんだと思います。

小田中:そうですね。ただ、チームが目指すものと個人が目指すものは必ずしも一致しないので、設定されたチームのゴールに対して、モヤッとする人もいるはず。でもそのモヤモヤもまた、自己開示の流れをブーストしてくれる側面もあります。

モヤッとした理由を掘り下げる中で、自分の価値観を理解することができれば、うまく言葉にして伝えられるようになる。そしてマネージャーが、そういった話をしやすい雰囲気を本気でつくっておけば、きっと話してくれるはず。その一歩がチームに伝播して、思っていることを言い合えるチームに育っていくのです。

自己開示はそれ自体が目的ではなく、チームのゴールを明確にして、そこへ向かう手段として使っていけたらいいなと思っています。

取材・執筆:古屋江美子
編集:光松瞳
撮影:赤松洋太

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