Chrome“一強”、Webの進化は停滞した?「ブラウザの母」が語る、閉塞感を打破する鍵【フォーカス】

2024年9月26日

一般社団法人 WebDINO Japan 代表理事

瀧田 佐登子

国内大手IT企業でUNIX・インターネット事業に携わった後、米 Netscape 社でブラウザ製品の国際化・日本語化に従事。その後、 Netscape のソースコードを引き継ぐかたちで誕生したオープンソースブラウザ Firefox のリリースを機に、米 Mozilla 財団 ( Mozilla Foundation )が設立されたのを受け、その日本支部として、2004年に Mozilla Japan を設立。代表理事として、 Mozilla の製品・技術の普及のみならず、Web標準技術やオープンソースの推進、Webの新たな可能性の探求や人材育成などにも取り組む。2017年7月より、社名を一般社団法人 WebDINO Japan へと変更。メディアでは「ブラウザの母」とも呼ばれる。
一般社団法人 WebDINO Japan

一般社団法人 WebDINO Japan CTO

浅井 智也

学生時代に Mozilla コミュニティでWeb技術文書を翻訳し、 Firefox 1.0 から Mozilla 製品の日本語リリースを担当。利益ではなく人々のためインターネットを発展させるミッションに共感し、 Mozilla Japan (現 WebDINO Japan )でエバンジェリストとして技術と製品の普及活動に従事。家電・組込製品でのブラウザエンジン採用支援などを経て、現在はWebとブラウザを新領域に広げる開発と共に、Webとオープンを軸に産官学とOSSコミュニティを繋ぐ研究開発と人材育成に注力。
X

かつて、 Internet Explorer や Mozilla Firefox などが覇権を争った「ブラウザ戦争」。苛烈なシェア争いを経て、現在の各ブラウザはWeb標準技術への準拠が進み、ユーザーにとってより便利な環境が実現しています。

他方で、ブラウザ環境の多様性や健全な競争による技術の進化が失われることへの懸念の声も聞こえてきます。デスクトップにおいては2010年代後半より Google Chrome が圧倒的なシェアを握り、主要Webクライアントのひとつである Microsoft Edge は2020年から Google Chrome と同じく Chromium をベースに動作するようになったためです。

Web標準技術やオープンソースの推進に取り組んできた WebDINO Japan (旧 Mozilla Japan )の代表理事・瀧田佐登子さんは、「ブラウザの革新は、技術の成熟により、ある意味行き着くところまできているのでは?」と語ります。なぜそう言えるのか?瀧田さんと、同社CTOの浅井智也さんに、Webを健全に利用し続けるためにユーザーが持つべき視点と、Webの未来についてお話を聞きました。

「自分が使っているブラウザ」を気にしなくなった

――長年、オープンソースコミュニティを支え、Firefoxと共に歩まれてきた皆さんは、昨今のブラウザの進化をどのように見ていますか?

瀧田:ブラウザの革新という点では、どちらかというと今は停滞している気はします。これまでもブラウザ技術の進化の歴史は、停滞している時期と活発な時期とが繰り返されてきました

瀧田:私が最初にブラウザ開発に携わったのは1990年代半ば。画像の埋め込み表示に初めて対応した NCSA Mosaic の実質的な後継だった Netscape ( Netscape Navigator )が、Webの代名詞となるほどの人気を博していました。そこに、 Microsoft 社の Internet Explorer が登場し、熾烈なシェア獲得競争が繰り広げられます。後に、第1次ブラウザ戦争と呼ばれる時代です。

この時は、どちらのブラウザも独自の仕様を多数実装した囲い込み戦略を取ったため、Webコンテンツの相互運用性の低下を招きました。

しかし、 Netscape は JavaScript や Cookie などの動的なWebページを実現する技術を開発し、 Microsoft は JScript や ActiveX コントロールを開発するなど、Webページの表現力やインタラクティブ性の進化はどんどん進みました。

競争の過程で徐々にシェアを落とした Netscape は、1998年に起死回生をかけて、最新版 Netscape の開発段階のソースコードを公開し無償配布。世間を驚かせましたが、最終的にブラウザ戦争には敗れ、残念ながら Netscape 社は経営難によって姿を消すことになります。

そして、 Windows 標準搭載という強みを持つ IE が2000年前後に市場を掌握し、シェア争いは Microsoft の勝利で決着します。決着後、 IE の開発リソースは縮小され、ブラウザ技術の進歩は一時停滞しました。

その後2004年に、 Netscape のソースコードをもとにした Firefox が、オープンソースコミュニティ Mozilla Project によって誕生。 IE の開発も再び活性化して、新たなシェア争いが生じ、第2次ブラウザ戦争といわれる時代に突入します。タブブラウジングやブラウザ拡張機能といった、ユーザー目線を強く意識した技術が確立されたのはこの時期です。

そして2008年に Google Chrome がブラウザ市場に参入。2012年ごろには、 IE も Firefox も抜き去り、いまでは Chrome 一強という状況になっています。競争が特に激しかったこの時期には、 Mozilla が WebGL などの、よりリッチな表現や高速な処理を可能にする技術を開発。かたや Google は V8 ( JavaScript エンジン)などを手がけ、Webアプリケーションのパフォーマンス向上を牽引しました。

しかし、ブラウザの競争が落ち着いた2010年代後半以降は、拡張機能の導入やレスポンシブデザインの誕生といった、誰もがわかるほど大きなイノベーションは頻繁には起きなくなっています

ただ、現在の停滞の原因は、単に Chrome が市場を「独占」しているからではないような気がします。ブラウザ間の互換性を確保するために、各ベンダーが標準化プロセスを尊重した上での競争を行うようになり、また、過酷なシェア争いを経て、各製品の性能が成熟したことで、製品ごとの差異は少なくなり、横並び状態ともいえるようになったからではないか、と思います。

だから現在、ユーザーは自分がどのベンダーのブラウザを使っているのか、その中身がどのように動いているかはあまり意識しなくなっているように感じます。購入したデバイスにあらかじめインストールされた標準ブラウザをそのまま使い続ける方や、これまで使ってきたブラウザを、何気なくそのまま惰性で使っている方が大半なのではないでしょうか。

それは、「ユーザー側に特に大きな不満がない状況」になったともいえるだろうと思います。

▲ブラウザ業界の年表。ベンダーごとにさまざまな技術が確立されていった( WebDINO Japan の提供資料より一部抜粋)

――たしかに、そのような傾向はあるかもしれません。

瀧田:ただし、私としては、ブラウザベンダーが現状に甘えてしまうような状況ではいけないと思っています。「現在ならではのブラウザ技術の革新」のため、ベンダーとしてはもっと違う側面で貢献できることがあるのではないでしょうか。なにせ、昨今は技術の発展によってできることが増えたぶん、AI技術を背景とした悪意のあるサイトの巧妙化、ディープフェイク、新種のサイバー攻撃など、ユーザーを惑わす新たな脅威増え続けています。

現代において、ユーザーはあらゆる活動をブラウザに依存せざるを得ない状況でしょう。仕事やコミュニケーション、買い物、銀行取引など、生活の重要な側面がブラウザを介して行われており、ブラウザはもはや社会インフラの一種でもある。その影響範囲の大きさを考えると、ブラウザベンダーにはユーザーを守る責任があるはずです。

今後、Web技術がどのように発展すれば、ユーザーを危険から守り、健全な社会が実現できるかについて、もう一度原点に立ち戻って話し合うべき時なのですが、なかなかそうした状況にまで至っていないのが実情です。

浅井:例えば、ユーザーの行動履歴や興味関心を利用したターゲティング広告は、プライバシーの侵害だけでなく、フィルターバブルによる情報の偏りや、差別的な広告表示による社会の分断を招く可能性もはらんでいます。これは、ブラウザ側でトラッキングを防ぐ技術や、広告表示の仕組み自体を見直すことで、ある程度のリスク軽減が可能となるはずです。

また、ディープフェイクのような高度な偽情報も、ブラウザ上で真偽性を検証する技術や、信頼できる情報源を判別可能とする仕組みを取り入れることで、ユーザーが騙されるリスクを減らせるのではないでしょうか。

しかし、 Mozilla ( Mozilla Foundation )(※1)にしても Google にしても、こうしたユーザーへの悪意に対する対策の責任を果たしきれていない印象もあります。それどころか、「現在の仕様が限界で、これ以上の対策は難しい」との思い込みにとらわれている節があるかもしれません。

(※1) Mozilla Foundation : Firefox の開発を支援するために2003年に設立された非営利団体。 Netscape Navigator のソースコードをもとに開発された Firefox の成功と普及を目指し、 Mozilla 製品のマーケティングを行う Mozilla Corporation を子会社として擁する。 Mozilla 財団とも。

――いちユーザーとしても、「インターネットとは自己責任で利用するもので、自衛するしかない」と感じるときもあります。ではこれまでずっと、ベンダー側は何もしてこなかったのでしょうか?

浅井:当然、そんなことはありません。例として、瀧田も日本法人に身を置いていた Netscape 社( Netscape Communications 。設立当初は Mosaic Communications )」は、信頼できる相手を区別し、第三者に傍受されることなく通信や商取引ができる世界をつくるため、SSL技術を1994年から自社のブラウザとサーバに実装しています。今の時代のブラウザでも、SSLの後継技術であるTLSによる暗号化通信をしなければ、当然のように「保護されていない通信です」などと警告が表示されるようになっています。

世間の情報セキュリティやプライバシー保護への意識が現在ほど高くなく、一方で技術に詳しく自衛手段を持つコアなユーザーが多かった時代でさえ、ブラウザベンダーは将来あるべきインターネットを想定して技術開発に取り組んできました。

しかし、TLSにおいては、当初目指していた「信頼できる相手を識別可能にする」という本来の目的意識は弱まり、単にドメインに対応するサーバの識別と暗号化のためだけの機能となってしまっています。こういった点は、ブラウザベンダーと業界が改めて解決していくべき課題です。

いまでは技術に詳しくない一般ユーザーも当たり前のようにブラウザを使うようになったわけですから、なお一層ブラウザ業界はユーザー保護に力を入れるべきではないかと思うのです。技術的には、不可能な課題じゃない。できるはずだし、やらなきゃダメではないかと。

瀧田それができたベンダーのブラウザが今後生き残っていく、そんな気がしています。

ユーザーの声がWebの歴史を紡ぐ

―― Google Chrome が圧倒的なシェアを誇る現状を、どう見ていますか? Statcounter によると、デスクトップ、スマートフォン、タブレット全体で24年8月のブラウザの世界シェアは Chrome 65.2%、 Safari 18.57%、 Edge 5.24%、 Firefox 2.74%です。

浅井:たしかに、 Chrome のシェアがかなり大きい状態が続いています。ただ、よく耳にする批判のように「 Google が不当にWebを独占し続けている」とは言い切れないと思います。

もちろんユーザーデータの寡占による影響を懸念する向きはありますし、 Google が持つ影響力は過大かもしれません。でもWebというのは1社だけで「独占」し続けられる狭い世界なわけがないと思うのです。

そもそもブラウザの歴史は先ほどの通り、独占と競争の繰り返しです。移り変わりの中で、現在はたまたま Google が「独占」しているかのように見えるだけだと考えています。本当にユーザーにとって必要なものを提供し続けられなければ、Webの歴史に鑑みてもいずれは状況が変わっていくはず。今は Google がユーザーに必要とされているから、ひとまず、 Chrome のシェアが安定している。それだけの話かなと。

瀧田: Google のブラウザ市場への参戦が、さらなる技術革新につながった面もありますしね。初期の Firefox 開発メンバーが Google の開発チームに移籍し、後にWeb標準化に関する国際会議の現場で連携して活躍するケースもありました。

でもやはり、Webの歴史は、ブラウザベンダーというよりは、むしろ「ユーザーが変えてきた」のだと思っています。

――ユーザーが変えてきたとは、どういう意味でしょうか?

瀧田:開発者には、新たな機能をどんどん追加したくなる習性があると思っています。

そのため、90年代のソフトウェア開発の現場では、エンジニア自身が「良い」と思うような多機能な製品をつくり、世に出す傾向にありました。中には、必要以上に多機能でリッチなものも少なくなかった。しかし、2001年ごろからのブロードバンドの普及で情報技術に詳しくない一般ユーザーも急増。こうした方々からの製品への意見も、フィードバックとして得られやすくなりました。

すると、ユーザーが本当にほしいものや、モバイルへの移行、リッチコンテンツへの対応、プライバシーの問題など、ユーザーが抱える課題や社会のニーズに沿うかたちで、ブラウザは進化していくようになったのです。

Firefox の誕生も、当時ユーザーから「 Netscape / Mozilla Suite (※2) のような多機能路線よりも、軽量でシンプルで速くて使いやすいものを」という声が噴出していたのを受け、それに応えられる新たな選択肢を目指して開発が始まった経緯があります。

浅井:一方で、ユーザーの選択だけに任せっきりにしてしまうと、現在 Chrome がシェアの大半を占め続けているように、1つの選択肢に人気が集中してしまいがちです。なので、ユーザーの行動や選択だけが、パラダイムシフトに必ず直結するとは限りません。

それでも Chrome を含めて、もしも自分が使用しているソフトウェアに疑問や不満があるのならば、SNSや自分のブログ、ベンダーの公式フォーラムやコミュニティサイトなどでどんどん声を上げていくべきでしょう。

本当に利用者に害をもたらすような深刻な問題が起きている場合は、こうしたユーザーの声や要求が業界団体や国家政府を通じて法規制という公的な力へと形を変え、 EU での  GDPR (一般データ保護規則)、 DMA (デジタル市場法)、 DSA (デジタルサービス法)や、日本の「スマホソフトウェア競争促進法」の制定のように、ベンダーに対応を強いることができますから。

(※2): Firefox のリリース前、 Mozilla プロジェクトではブラウザやメールクライアントなどを含む多機能ソフト Mozilla Suite が開発されていた。経営難により米AOLに買収されて以降のNetscape社は、Mozilla Suiteのコードをベースに、多機能ブラウザ「Netscape 6.0」「7.0」などをリリースしていた。

瀧田:ブラウザの動向について「どこそこのブラウザが覇権を握った。あ、今度は違うブラウザが優勢だ」と論じるのは、Webの歴史を鑑みると些細な話です。

もちろん意味がないとはいいません。でも、ブラウザは、あくまで「道具」に過ぎません。本当にユーザーにとって不利益な状況が続いたならば、過去の例にもあるように、全く新たな選択肢が生まれる可能性もあるでしょう。

ブラウザ技術が多くのサービスやモノ・コトのプラットフォームともいえる状況となったいま、重要なのは、ユーザーもベンダーも、デスクトップやモバイルブラウザのシェアにばかりこだわらないことです。

ベンダーの動きに変化があるたび、「ブラウザのシェアがどうなるか」と、ユーザーらは一喜一憂するかもしれません。また、ベンダーは今後も、「シェアを伸ばすぞ」とやっきになることは多々あるでしょう。しかし、それだけに終始していては、今後、社会の大きな変化に対応できません。Webやインターネットとのかかわり方は、社会とともに変わっていくはずですから、道具だけでなく、もっと根本的な部分から考えるべきではないかと思います。

浅井:そうですよね。ベンダーとしてトップシェアを獲らなければ、社会にいい影響を残せないわけではありません。また、ユーザーが、欲しい道具を形にしたり、アイデアを見せたりしていくことにも大きな意味があると思っています。オープンソースコミュニティの一員である私たち自身も、そうしたマインドのもとに活動をしています。

はるか未来へのオープンソースマインド

——2004年に Mozilla Foundation のアフィリエイトオフィスとして Mozilla Japan を立ち上げ、2017年、現在の WebDINO Japan に組織名を変更しています。どんな理由があったのですか?

瀧田:Mozilla という特定のブランドのマーケティング活動にこだわらず、オープンウェブプラットフォームの領域拡大やWeb技術による相互接続環境などの可能性をより模索していきたいと思ったからです。また、そしてソフトウェアの領域に留めることなく、物理的な領域でもWebの可能性を模索する活動にも力を入れていきたいという気持ちもありました。

Mozilla の名を冠している以上、基本的にはFirefoxというブラウザに関する活動が中心になります。でも、ブラウザはインターネットを可視化するツールであって、「ネットのすべてではない」と考えています。

ブラウザというと、モニター画面に浮かぶ「四角い窓」を思い浮かべるじゃないですか。でも、その形式に終始する必要はないと思うのです。未来は、現実におけるあらゆるモノがWebにつながり、「デバイスを開いてブラウザでWebを見る」という概念すらなくなっているかもしれない。

フィジカルな世界を舞台に幅広い実験的な取り組みも行っていって、Webとは何か、未来はどうなるかを問いかける機会をつくりたいのです。改組を機に、こうした幅の広い活動にさらに注力するようになりました。

――Webのあり方が、いまでは想像もつかないような形式に変化していく、と?

瀧田:はい。

最近、大学で担当している授業などの関係で、高校生や高専生に、「100年後の世界」をテーマとして絵を描いてもらう機会がありました。

それぞれが思い描く未来を語り合うことに意義を感じているので、「これを描こう」という指針はありません。私の場合は、「一見、どこにでもあるような田舎町だけれど、山の中や田んぼの地下など見えないかたちで、あらゆる場所に便利なテクノロジーが埋め込まれネットワーク化された農村」…という風景をイメージしました

いずれは情報技術が自然風景に溶け込み、「デバイス」として意識されなくなるのでは、と感じているのです。

——学生のみなさんは、どんな反応をするんですか?

瀧田:抽象的なアイデアなので、もちろんぽかんとされることもありますよ(笑)。でも、私と同じようなことを考えている人もちらほらいるんですよ。いかにもSF的な未来社会を思い描く子がいる一方、私と同じように、むしろ緑豊かな田園風景を描く子もいる。

瀧田:こうした突拍子がないように思えるファジーなアイデアだろうと、よい未来につながると思うならば、どんどんと形にして示してほしいのです。例えば、アニメ『鉄腕アトム』(1963~66年放送)だってそうじゃないですか。自律し、感情を持ち、人間と対話できるロボット。あの作品を観て心を奪われた世代が、ロボット工学を推進してきた側面もあります。

浅井:そうですよね。どんな形だろうと、世に示されたアイデアは時を経ていずれは他のユーザーやソフトウェアベンダーに影響し、やがて大きな変化を生んでいくかもしれない。

瀧田:こうしたマインドって、やっぱりオープンソースの理念から来ていて。オープンソースの意義のひとつは「イノベーションを止めないこと」。ロボティクスでもソフトウェア開発でもそうですが、クローズドでいると、そのプロジェクトが活動を終了し関係者がいなくなったとき、そこですべての取り組みは途絶えます。

しかしオープンでさえいれば、極論「終着」は無いじゃないですか。いちどは終わったように見えても、未来の誰かが受け継ぐこともできるし、変えていくこともできる。そのアイデアの芽が、完全に潰えることはない。1998年、存亡の危機に立たされた Netscape がブラウザのソースコードを公開し、後の Firefox につながったように。

オープンソースへの参加はハードルが高いと思われがちかもしれませんが、何気なく不具合報告を行うだけでも、そのプロジェクトで活躍しているエンジニアに新たな気づきを与えたり、後に何か大きな流れを変えたりするきっかけになるかもしれません。また、既成概念にとらわれずオープンに大胆にWebの未来を描く人が増えていくことで、新たなイノベーションが起きることだってあるでしょう。

やはりユーザーの存在は、Webが進化を続けていくうえで大きな力となります。ブラウザという枠にとらわれずに、ユーザーとともに進化を続けるオープンな「Web」であってほしいと願っています。

取材:武田 敏則(グレタケ)
構成・編集:田村 今人、光松 瞳
撮影:赤松 洋太

関連記事

人気記事

  • コピーしました

RSS
RSS