最新記事公開時にプッシュ通知します
2026年2月18日

2月に入りましたが、まだまだ寒くて雪まで降っちゃってますね。皆さんお風邪などひいていないでしょうか?
この記事で書きたいことは、大体以下の通りです。

以上です。よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。
皆さん、「新しい分野のスキルを身につける」って得意な方でしょうか?例えば仕事の配置転換で、それまでと畑違いの部署に配属された時、スキルのキャッチアップってスムーズにできますか?
しんざきには、自分が配置転換になって新しい分野に放り込まれた経験も、一方全く畑違いの分野から誰かが送り込まれてきてその人を指導した経験もそれなりにはあるんですが、自他問わず「スキル習得」には毎回苦労していました。
人によって程度の差こそあるものの、「新しい知識」「新しいスキル」を身につけるのは大変なことです。
ひと昔前なら、「とにかくまず実務、経験!」「経験を積んでいるうちにスキルはついてくる」というような意見が支配的でしたし、私自身そういった力技で諸々のスキルを身につけてきた側面はあるのですが、最近では「ただ学習をするだけではなく、きちんと意味や他の分野との関連づけを理解しながら学習する」いわば「納得感」が大事、という認識も、ある程度広がってきているように思います。
アメリカの心理学者オーズベル(Ausubel)が、1960年頃、「先行オーガナイザー」という概念を提唱しています。要は「これから学ぼうとする内容について、概略を先に提示すると、すでに知っている情報に関連づけて、理解を促すことができる」という考え方なんですが、例えば応用心理学研究のこちらの論文なんて参考になります。
新谷しづ恵(2018)「中学生における化学変化の学習に及ぼす先行オーガナイザーの効果」応用教育心理学研究, 35(1),17-27頁.
事前テストと事後テストの基本問題テスト結果を比較して,学力低群の学習者が学力高群の学習者より学習効果が高い傾向が見られる。このことから,先行 O を活用する有意味受容学習は,学力低群の学習者に対してより学習効果が高いように思われる。
Oというのは「オーガナイザー」の略です。要するに、ただ機械的に反復練習するよりも、既に自分が知っていること、あるいはスキルの全体像について概要を理解・納得していた方が学習効果が高かった、という話ですよね。
とはいえ、この「関連づけと納得感」という言葉について、私自身がまだ表層的な理解、文字通り「納得感」のない理解になってしまっていて、部下や後輩を教える時に活かしきれていないなあ、と思うところではありました。
ここ数年、その「スキルを身につけるために必要な『納得感』って何だ?」ということを、子どもの勉強を見る過程で自分なりに考える機会があったので、ちょっとそれについて書かせてください。
しんざき家には子どもが3人います。長男、高校生。長女次女は中学生の双子。
しんざき家の双子の長女次女はいずれも中学受験を経験しておりまして、幸い2人そろって「行きたい!」と主張していた中学に合格することができたのですが、受験勉強にはずいぶん苦労していました。
「中学受験は親と二人三脚」とはよく言われますが、独力で学力を身につけることができる小学生って極めて稀少でして、私も妻も色々フォローしました。おかげでてんびん算や旅人算のような、方程式を使わない系の受験算数に強くなりました(私が)。
長女と次女では得意科目も違いまして、長女は算数が得意で国語も好きだけど理科・社会が苦手、次女は国語と社会は大得意だけど算数が大の苦手、という状況でした。
特に次女の算数嫌いはそこそこ深刻でした。
長女次女の塾では、毎週「カリキュラムテスト」という試験があるのですが、次女が毎回低空飛行な点をとってはへこんで帰ってくるので、私が本腰入れて算数を見ることになりました。家に帰ってテストの間違い直しをするところに、何度か付き合いました。
私が見た感じ、次女の算数の学習には、以下のような問題があるように思えました。
・図形問題、中でも複数の図形を組み合わせた角度の問題が苦手で、他の問題を解くときより明らかにモチベーションが低い
・そもそも図形問題になかなか手がつかず、後回しにしがち
・ある問題の解き方を学習しても、角度や辺の長さがちょっと違うだけの別の問題で同じように間違える
→ただ「こなす」ことだけが目的になっていて、表層的な理解しかできていないように見える
・一方、パズル的な読解力が必要とされる問題は得意なようで、数字が一部隠された旅人算や、ベン図を利用するような問題を割とサクサク解ける
→国語が得意なこともあり、文章題の読解は苦にしていない様子
ふむふむと思いまして、ちょっとヒアリングしてみました。
私「○○(次女の名前)ちゃん、てんびん図使った計算簡単にできて偉いなー。パパ知らなかったよこれ」
次女「でしょ!最近習ったの(得意げ)」
私「でも図形問題はちょっと苦手?」
次女「苦手……」
私「立体とか、図形がイメージしにくいのかな?実際どういう形してるのか、とか」
次女「それもあるけど、何の役に立つのかわかんなくてあんまりやりたくない……」
私「役に立つのかって、例えば仕事で使うか、ってこと?」
次女「うーん、それもそうなんだけど、それだけじゃなくて」
私「なくて?」
次女「計算とかならまだ役に立ちそうって思うんだけど、角度とか体積とか、この問題以外でどこで使うのってなる」
大体想定通りです。
つまり次女は、
「図形問題をやる意義が納得できないため、学習自体に身が入らない」
「算数のある分野が次の分野につながっている、という意識が薄く、前後のつながりを意識しない、場当たり的な理解になってしまっている」
という、2つの問題を抱えているようでした。
次女、小さな頃から、「納得できないことはやりたくない」傾向が強い子なんですよね。片付けでもお手伝いでも、「何故やるのか分からない」となると途端にモチベが下がる。今回もその傾向が出ているように思いました。
まず、算数、数学というのは純然たる積み重ねの学問であって、「途中の段階を飛ばして次の分野に進む」ということが、基本的にできないようになっています。四則演算が曖昧なまま方程式を学ぶことはできませんし、場合の数を知らない状態で確率論を学ぶこともできません。
冒頭に上げた「先行オーガナイザー」の論文にも記載がありますが、スキルとスキルがどうつながっているかを理解しておくことって、学習の上ではすごく大事なんですよね。
一方で、子どもが「この勉強何の役に立つの?」という疑問を持つことは、非常によくある話です。昔補習塾でバイトをしていた時代から、何百回も聞いてきました。
これは私の個人的な考えなんですが、大人は、なるべく子どもの「この勉強、何の役に立つの?」という疑問から逃げずに、正面から相対するべきだと思うんですよ。
もちろん、子どもが「何の役に立つの?」と言う時は、大体の場合、単にその勉強を面倒がっているだけで、実際にそのスキルの利用シーンを知りたいわけではありません。また、「勉強して知識を身につける」というノウハウはそれ自体が重要で、ただ「できないことができるようになる」経験を積めるだけで十分役に立っている、という話もあります。
ただ、その前提を置いた上でも、「今してる勉強、こういうことに役立つよ!」という、直接的に「勉強の有益さ」を示すイメージモデルを、大人はできる限り提示してあげるべきだと思うんですよ。「ゴールがどこにある」「こういうゴールもある」ということを、真剣に考えて、示してあげたい。
「この学問って、こういうところで活かされてるんだよ」ってイメージが具体的であればあるほど、子どもの「社会」に対する目的意識ってクリアになるし、「大人が真剣に勉強について考えている!」って姿を見せてあげられますしね。
そこで、まず啓林館さんのこの図を見せてみました。
算数・数学のどの分野がどこにどうつながっているのか、という関連図ですよね。「なにこれ?」と言われたら、ゲーム好きの次女には「世界樹の迷宮のスキルツリーと同じような感じ」で通じました。
まず「できているところ」から指摘しました。
私「〇〇ちゃん、さっきてんびん図使った計算できてたろ?それは、この辺の四則演算ができた上で、こっちの数と数の関係ができるようになったってこと。算数って色んなのがつながってるから、前のやつがちゃんとできてないと次のができない。〇〇ちゃんはしっかり積み重ねられてるってこと」
次女「えへへ」
私「でさ、今やってる図形の問題って、こっちの空間図形につながって、そこから三平方の定理とか、三角関数とかにつながってるだろ?今やってること、近いうちにめちゃくちゃ役立つんだよ」
次女「三角関数って、たまに聞くけど、そんなに使うの?」
私「使う。めちゃめちゃ使う。ストレートなとこだと建築とか測量だけど、プログラミングとかCGとか、天文学とかロボット工学とか、あとデータ分析とか音響工学とか、もうとても言い切れないような色んな分野につながる」
次女「うーん」
私「それに、今もう三角形の面積とか、垂直と平行とか、ちょっと前にやったことはできてるだろ?だからちゃんと積み重ねられてるし、前に習ったことの続きーと思ってやるといいと思う」
そんなことを話してから、具体的な解き方について色々アドバイスをしてみると、さっきよりは若干モチベも上がって、結局その時の勉強はある程度スムーズに終わりました。
もちろん、こういう話が1回で定着するわけはありませんし、「これで算数が好きになりました!」なんてとても言えませんし、言いません。
子どもは昨日できたことが今日はできなくなっているものですし、親が子どもに残せる影響なんて、ひどく限定的なものです。100話して、そのうち2,3残れば御の字でしょう。この後もしばらく、次女は算数で低空飛行な点をとり続けましたし、相変わらず算数の宿題でぶーぶー言いながら大苦戦することもありました。
とはいえ、何度か話していれば、ほんのわずかでも頭に残るところはあるかなあとも思っており、その影響なのかどうか、中学に入った今では「前より数学楽しい!」と言ってくれるようになりました。この先どういう知識を身につけるかはまだ分かりませんが、楽しく学んでくれればいいなあと考えるばかりなのです。
次女との話を通じて、納得感って、要は「Why」と「Where」を理解することなのかな、と思いました。
つまり、
・「Why(なぜ学ぶのか)」
→その学習が将来どんな場面で役立つのか、具体的なイメージを持つ
・「Where(全体の中でどこにいるのか)」
→ その学習が他の知識とどうつながっているのか、全体像の中での位置づけを理解する
の2つ。この2つは、勉強だけではなく、仕事上のスキルを身につける上でも重要だと考えています。
スキルを学習して身につけようとするその前に、「Why(そのスキルを学ぶ目的)」と「Where(全体の中でのそのスキルの位置づけ)」をきちんと理解する、理解してもらう。
どんなプロジェクトでも、まず最初にゴールまでのロードマップを考えて、タスクを細分化しますよね?「これをやるとどうなるんだ?」「このタスクはどこにつながっているんだ?」ということが分からないと、どんな人でも身が入りにくい。だからこそ、最初に「何故それをやるのか」「今どこにいるのか」をきちんと説明する。そして、できるだけ具体的に、「これをやると将来どんなことができるようになる」という例を挙げてあげる。
例えば、これはただのコーディングに見えるかも知れないけれど、将来的にデータ構造の理解につながってデータサイエンティストになるにも必須の知識になる、とか。あるいは、単にネットワークの知識を身につけるだけでなく、顧客に合った要件のアーキテクチャ組成を学ぶことで、自分で実際に顧客に提案できるようになる、とか。
自分がスキルを身につける時にも、新人さんにスキル学習の指導をする時にも、そういった「具体的なゴール・位置づけ」を説明するのは大事だよなあ、と。
以前からなんとなく認識していたことではあるのですが、子どもの勉強を通じてようやくちゃんと言語化できた気がするので、今回書かせていただいた次第なのです。よろしくお願いします。
今日書きたいことはそれくらいです。
関連記事
![宿題をメモしない長女に伝えた、「覚えていられる」ことをあえて書き出すメリット[レバテックLAB]](https://levtech.jp/media/wp-content/uploads/2025/11/251106_LTlab_346.jpg)


人気記事