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2025年12月24日
![『モンハンP2G』で学んだ、初学者を「沼」に沈める方法[レバテックLAB]](https://levtech.jp/media/wp-content/uploads/2025/12/251118_lab.jpg)
こんにちは、しんざきです。
モンハンでは主に大剣使いですが、弓やハンマーも使います。好きなモンスターはラージャンで、嫌いなモンスターはガララアジャラ亜種です。極限化ガララアジャラ亜種だけは絶対に許さない。繰り返す、絶対にだ。
この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。
以上です。よろしくお願いします。
さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。
モンスターハンター(以下モンハン)、皆さん遊んでますか?楽しいですよね。
まずしんざきのモンハン歴の話をすると、初めて遊んだモンハンはPSPで発売された「P2G(ポータブル2ndG)」で、それ以降のシリーズは大体遊んでいると思います。一番遊んだのは「MH4G」で、ギルドクエストで極限化ラージャンを一生狩り続けていました。モンスターハンターというよりはラージャンハンターを遊んでいた感があります。
最新作の「ワイルズ」では、ついにゴグマジオスが実装されます(記事執筆時点では未実装)。楽しみですね。ブレスで即死する予感しかありませんが、頑張って真溜めを当てていきたいと思います。
皆さんご存知の通り、モンハンは「ポータブル」以降、「みんなでわいわい遊ぶアクションゲーム」として人気を博しました。「ひと狩りいこうぜ!」というのは確かP2GのCMが初出のキャッチコピーだったと思いますが、これを合い言葉に、色んな人が集まってモンハンを遊ぶようになりました。私自身、モンハン会を何度か開催した記憶があります。
ただ、歴戦ハンターの方には今更の話だと思いますが、モンハンって案外難易度高くって、「みんなでわいわい楽しめるアクションゲーム」というイメージとはちょっと隔たりがあるんですよね。「みんなで遊べるパーティゲーム」的な側面と「ソロで強力な敵との戦い方を突き詰める高難度ゲーム」の二面性がある。
モンハンのメインコンテンツはもちろん、大型モンスターとの戦いなのですが、見た目と異なり、かなり厳密な「ターン制バトル」です。つまり、「自分が攻撃できるターン」と「相手の攻撃に対処しなくてはいけないターン」が明確に分かれています。
例えば、シリーズを通して序盤の代表的なモンスターである「リオレイア」辺りですら、「何も考えずにとにかく攻撃」とかやってると、尻尾をぶん回されてどかーんと吹っ飛ばされたり、火球を吹かれてこんがり焼かれたりします。戦闘のダメージバランスはかなりシビアで、「多少ダメージを受けても気にせずごり押し」という方針では、回復薬が何十個あっても足りません。
序盤のリオレイアですらシビアなのだから、終盤のモンスターとなると「何をかいわんや」です。テオ=テスカトルのノーモーション突進にひかれたり、ディアブロス亜種の突き上げでずどーんと宙を舞ったり。体力ゲージの8,9割があっさり吹っ飛ぶような攻撃がばんばん飛んできて、ハンターは攻撃の予備動作を必死で観察することになります。
つまり、モンスターを倒すためには、「モンスターをよく観察して、攻撃していい時と攻撃してはいけない時をちゃんと見極める」「モンスターの攻撃行動の前兆と、それに対する対応方法をちゃんと覚える」必要がある。ちゃんと攻略するなら、きちんと学習して、適応しないといけないんですよね。これ、爽快感重視の万人向けアクションゲームとは、明らかに壁があると思うんですよ。
その辺、普通の導線なら、初心者ハンターたちは序盤のクエストを少しずつこなしていって、徐々に「モンスターの攻略ノウハウ」を身につけていくことになります。
ただ、マルチプレイの場合、そのシビアさがかなり緩和されます。ただ人数が多いだけで「モンスターに狙われる回数」は減りますし、みんなで攻撃すればそれだけモンスターを早く倒せます。特にMHW以前のモンハンは、参加人数によってモンスターの体力が変わるというシステムがなかったので、人数が多ければ多いだけ単純に有利でした。これが、それなりにシビアなバランスであるはずのモンハンが「みんなでプレイするゲーム」として定着した、一つの理由でもあったと思います。
ただ、物事には良い側面もあれば悪い側面もあるもので、ソロプレイとマルチプレイの難易度差が大きいために発生している問題、というものも昔からあります。
上手い人に先導してもらうと、自分の本来の実力よりも遥かに強力な敵を倒すことができる。自分のプレイヤースキルが追いつかないうちに、強力な武器を手に入れたり、ハンターランクを上げまくって難しいクエストに挑戦できるようになってしまう。結果、人によっては「一人では遊べない」ゲームになってしまう。
ちょっと昔の記事になるんですが、「はてな匿名ダイアリー」に投稿されていた記事が一つの典型例かなーと思ったので引用させてください。
■私はこうやってモンハンが嫌いになりました
1:やりこんでいる友達に誘われて一緒に遊ぶ
2:ハンターランクが低いと一緒に遊べないからと言われて、色んなクエストに引っ張り回されてハンターランクを上げる
3:十分にハンターランクが上がる
4:友達のやりたいクエストに参加するも、装備が全然整ってない&相手の動きがよく分からないので、ひたすら敵の攻撃をよけて、即死しなかったら回復するだけのゲームになる。友達だけが楽しそう。
5:この状態からひとりで遊ぼうと思っても、未着手のことが多すぎて何をやったら良いのか分からなくなる←いまこここの状態をどうにかしようと思っても、ひとりではどうにもならなくなっているので、結局その友達にお願いしないと進めないゲームになっている。本来何十時間かけて進むはずのところを数時間で強行されたツケを支払うの俺かよ。
(<https://anond.hatelabo.jp/20131009090006>より引用)
2013年なので、シリーズで言うと「MH4」の頃の記事でしょうか。「上手い人に先導された結果、必要なスキルを身につけられないまま高難度のステージまで進んでしまって、本来楽しめるはずの機会を失ってしまった」という、不幸な事例ですよね。
別に珍しい話じゃなくって、自分の観測範囲でも、こういう例はしばしば見ました。以前のモンハン程ではないですが、現在のシリーズタイトルでも起きる可能性がある話だと思います。
もちろん、「じゃあ改めて村クエ(村クエストの略。一人用に調整されたクエスト群)を最初から進めればいいじゃないか」とか、「上手い人から少しずつでもスキルを学べばいいじゃないか」と思う人もいるかも知れません。それも間違いだとは思いません。
ただ、本来ゲームって楽しく遊ぶものですし、みんながみんな、一から地道な努力を積めるものでもありません。最初に最強武器を手に入れてしまった人が、改めて一からゲームを遊び直してノウハウを身につけられるかっていうと、やっぱりできる人、できない人がいるでしょう。
ゲーム開始時から「おうじゃのけん」を持っているドラクエ3は、果たして面白いでしょうか?自分一人スキル不足で足を引っ張りまくるマルチプレイオンラインゲームは、果たして楽しいでしょうか?
上級者がもう少し気を遣っていれば沼に沈められたはずの人を逃がしてしまう、というのも、ちょっとばかりもったいない話だと思うんですよ。
「本来なら楽しめたはずのゲームを、上級者の行きすぎたサポートのために楽しめなくなってしまった」あるいは、「プレイヤースキルが身につかないまま不相応なクエストに挑戦して、周囲の足を引っ張ってしまう」みたいな状況、モンハンに限らず、マルチプレイ可能なゲームでは昔からあったように思うんですよ。いわゆる「パワーレベリング」、高レベルのプレイヤーが低レベルプレイヤーを手伝って、通常よりもずっと効率的にレベルを上げることによる問題ですよね。オンラインRPGなんかでもよくある話だったと思います。
この辺、じゃあしんざきはどうだったのかというと、正直かなり恵まれた境遇にあったと思っています。というのも、当時しんざきに「MHP2G」を勧めてくれた人が、今思うとめちゃくちゃ「わきまえた」人だったんです。
・クエストが先行していても急かさず、しんざきが試行錯誤しながら村クエを進めるのを待ってくれていた
・時折一緒にプレイする時も、わざわざ弱い武器に持ち替えてくれて、討伐をあっさり終わらせるようなことをしなかった
・一方、例えばモンスターの前兆行動とか、「相手の動きに対応するためのテクニック」は実戦を通して教えてくれた
・時々、私が行きたがった場合に限り、高難度クエストに連れていってくれた
この辺、今から考えると、私がモンハン沼に浸かることになったのって8割くらいこの人のおかげだなーと思うんですよね。
第一に、ちょっとずつ手探りで自分のスキルを上げていくという、上達の楽しさを邪魔しないでいてくれた。「さっさとハンターランク上げて高難度クエ遊ぼうぜ」なんて急かそうともしなかったし、私が村クエをちまちま遊んでる時は口出しもしようとしなかった。
P2Gって、初見でプレイする場合、序盤で採集だけやる平和なクエストをこなしていたら、突如強力なモンスターである「ティガレックス」に襲われてトラウマになったりするんです。そういう「手探りをしながら段々モンハン世界に馴染んでいく」という体験については、ネタバレなしにほぼ100%楽しむことができたんですよね。
一方、マルチプレイでわいわい話しながらモンスターを討伐する楽しさ、というものも教えてくれた。これ、もちろんシンプルに「みんなで協力して狩りをする」という楽しさ、という話でもあるんですが、同時に「テクニックの提示」と「目標地点の提示」という側面もあったと思うんですよね。
例えば、前述の「ティガレックス」で言うと、突進後の振り向きに溜め切りを合わせるという、大剣使いにとっての必須のテクニックがあるんですが、これを初めて知ったのって、その上級者のプレイを見た時です。当時はゲーム攻略動画もそこまで一般的ではなく、しかも同じような装備で攻略に出てくれるので、「他人のプレイを観察してテクニックを学ぶ」という余裕もあったんですよね。ああ、こうなりたいなーという憧れっぽいものも原動力になったと思います。
で、今でも覚えているんですが、ハンターランクが7に上がったばかりの頃、P2Gでも屈指の高難度クエストである「双獅激天」に連れていってもらったことがあるんです。モンハンでも屈指の強敵、「ラージャン」が同時に二体出てくるという狂気のクエストで、当時の私なんて駆け出しに毛が生えてるようなものだったんでもちろん何もできるわけもなく、ただぎゃーぎゃー言いながら逃げ回ってるだけだったんですが、「極めていくとこんなとんでもない敵と戦えるのか……!!」という思いは鮮烈でした。
つまり、「試行機会」と「ロールモデル・目標地点」を同時並行で提示してくれていた、ということですよね。下積みをしながら、ゴール地点も見せてもらえる。これって、「初心者の沼への沈め方」としては、一つの理想形だったと今でも思うんです。
その結果、私は無事にモンハン沼にはまり、MH4Gでは500体近くラージャンを倒したし、ワイルズではスナック感覚でアルシュベルド討伐に向かっているわけなんです。
「初心者をどうすれば沼に沈められるか」って結構汎用的な話でして、上記のような経験を、私は仕事の上でも何度も思い出しました。
私は立ち位置的にはマネジメントをすることが多く、当然新人さんや、他部署から異動してきた人の面倒を見ることもあります。そういう時、「この人にはどういう順番、どういう難易度曲線でタスクをこなしていってもらえばいいだろう」と考えます。
もちろんゲームと仕事は別物です。それでも「上手く誘導すれば、しっかりその世界にハマってくれる人」というのはどんな職場にもいるもので、じゃあ、どうすればいいだろう、と考える時、「そういえば俺ってあんな感じでハメられたな」って思い出すんですよ。
つまり、
・スパンが長く、テクニックをじっくり下積みできるタスク
・すぐ近くに目指すべきロールモデルがあって、その人のテクニックを間近で見ることができるプロジェクト
を並行して担当してもらって、もちろん無理がない範囲で成果物を考えてもらうとか。あるいは、ペアで開発を進めていくにも、「これこれこうするといいよ」という回答をあっさり提示するのではなく、自分も相手と同じくらいのスキルレベルであると想定して、相手目線で解決法を一緒に試行錯誤するとか。
こういう色んな「沼への沈め方」の根底には、間違いなく、私の中の「P2G」での体験があると思います。
ちなみに、これはあくまで余談なんですが、上記のような「上級者としての初心者引率のスタンス」以外にも、モンハンからは色んなことを教わったなーと思っています。
例えば、冒頭書いたような、「一見ターン制に見えないけれど、実はターン制を意識しないと勝てない」という場面での立ち回り方。会議でも交渉ごとでも、「あ、今はじっくり相手を見ないといけないターンだな」ということを考える時、私の頭の中では大抵ティガレックス希少種が大咆哮の予備動作をしています。
あるいは、「タスクを片付けるために、まずそのタスクに対応するための前提タスクを達成しなければいけない時の手順整理」。モンハンでは、モンスターを討伐するための有効な属性というものがあります。その属性に合わせた武器を用意したりするんですが、「あるモンスターを退治する武器をつくるために、他のモンスターを退治する必要がある」というのが複数連なっていて、どういう順番で片付けるかあれこれ悩むのがこれまた楽しいんですよ。
テオ=テスカトルを倒せる水属性武器をつくるために、タマミツネ素材を集める炎属性武器をつくる、とか皆さんやりません?楽しいですよね、ああいうプランニング。
長々書いてきてしまいました。
本記事で言いたいことを一言でまとめると、「モンハンはめちゃ楽しいですが、上級者が初心者を導く時には結構気を遣う必要があるので、皆さん頑張って沼に沈めていきましょう」ということになります。よろしくお願いします
今日書きたいことはこれくらいです。
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