【企業向け】派遣と業務委託の違いをわかりやすく解説|メリットとデメリットも

派遣と業務委託の最大の違いは、指揮命令権の有無と報酬を支払う対象です。
派遣では、派遣先企業から労働者への指揮命令権があり、報酬は作業時間に対して支払います。一方で、業務委託は委託者と受託者は対等な関係であり、業務の進め方や働き方に指示は出せません。報酬は作業時間又は成果物に対して支払います。

このコラムでは派遣と業務委託の違いやメリット・デメリット、それぞれおすすめの活用シーンを解説しています。

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派遣とは

派遣は、労働者派遣法第2条第1項では下記の定義が記載されています。

「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」

つまり、自社が雇用する労働者を、他の企業の指揮命令下で労働させることを派遣いいます。派遣労働者は、派遣先企業から業務上の指示を受けますが、給与の支払いや社会保険などを負担するのは雇用元である派遣元企業です。なお、労働者派遣は、厚生労働大臣の許可を得た事業者のみが運営することができ、許可なしに労働者派遣事業を行った場合は違法行為となります。

派遣には、「一般派遣」「紹介預定派遣」「特定派遣※」の3種類があり、それぞれの詳細は以降で解説します。

※特定派遣は2015年の法改正によって現在は廃止されています

一般派遣

一般派遣は、派遣元会社が自社へ派遣スタッフとして登録した労働者を派遣先企業へ派遣する契約です。労働者は、定められた期間派遣元会社と労働契約を結び、契約期間が終了すると同時に労働契約も終了します。労働者は登録先の派遣元会社に対し、職種や雇用期間の希望を伝えることが可能です。

関連記事 : 特定派遣と一般派遣の違いとは?

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、将来的に派遣先企業の社員として雇用されることを前提に派遣契約を結ぶことをいいます。紹介予定派遣では、最長で6ヶ月間の派遣契約の後、企業と派遣労働者間で合意があれば、派遣契約から雇用契約に切り替わります。なお、何らかの理由で当該派遣労働者を雇用しない場合は、企業はその理由の明示が必要です。

一般派遣では、派遣契約前に派遣労働者に対して面接の実施は禁止されていますが、労働者派遣では、候補者に対する事前の面接が可能です。紹介予定派遣を活用することで、事前に働きぶりや組織へのフィット感などを確かめたうえで採用できます。

※レバテックでは紹介予定派遣サービスは行っておりません

特定派遣

特定派遣とは、派遣元企業と派遣労働者が期限なしの雇用契約を結び、派遣先企業への派遣期間についても制限が無い形態です。特定派遣は、ITエンジニアや広告デザインなど、専門性の高い職種において多く取り扱われていました。

なお、特定派遣は2015年の法改正に伴い現在は廃止されています。現在の一般派遣では、一部の例外を除き3年を超えて派遣労働者を同じ業務や組織で従事させ続けることはできないため注意しましょう。

関連記事 : 特定派遣と一般派遣の違い

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業務委託とは

業務委託は、委託者と受託者(企業や個人)が雇用関係を結ばず、対等の立場で受発注する契約です。ただし、業務委託は法律で定められた契約ではなく、通称である点を押さえておきましょう。

業務委託の特徴は、契約相手に対して業務管理や指揮命令ができない点です。委託者は、自社で対応できない業務を外部の人材に委託することで、業務を効率化できます。業務委託には主に、「請負契約」と「委任契約」、「準委任契約」の3種類があります。

請負契約

請負契約とは、委託者が受託者にある業務の完成を委託し、受託者は業務の完成を約束する契約です。委託者は、納品された成果物に対して報酬を支払います。なお、契約で示した期日までに成果物が納品されない場合は、委託者は損害賠償請求が可能です。

委任契約

委任契約とは、委託者が相手方に法律行為の遂行を委託する契約です。法律行為には、弁護士による訴訟や税理士による申告業務などが該当します。

委任契約では業務の完成や成果物の納品義務はなく、あくまで契約期間中に委託された業務を遂行することを目的としています。そのため、報酬は成果物に対してではなく、委託した業務の遂行にかかった時間や工数に対して支払います。

準委任契約

委任契約が法律行為の遂行に関する契約であるのに対して、準委任契約は法律行為以外の業務遂行を委託する際の契約です。

例えば、特定期間の営業活動を委託したり、システムの開発業務を委託したりすることは準委任契約に該当します。報酬の支払いは委任契約と同じで、業務遂行にかかった時間や工数に対して報酬が支払われます。

関連記事 : 請負契約と準委任契約の6つの違い|それぞれの特徴と選ぶ基準を解説

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派遣と業務委託の違い

派遣と業務委託の違いは、「指揮命令権の違い」「報酬の対象の違い」の2点です。

指揮命令権の違い

まず「指揮命令権の違い」について解説します。派遣契約では、派遣労働者は派遣先企業の指示に従って仕事に従事します。つまり、派遣においては雇用主である派遣元企業と派遣先企業の双方に指揮命令権がある状態です。

派遣契約

しかし、業務委託では委託者に指揮命令権はありません。そのため、委託者は受託者や受託企業の労働者に対して業務の進め方に関する細かい指示をしたり、業務時間や休日、作業場所の指示をしたりすることはできません。

業務委託契約を結んでいるにも関わらず、指揮命令をしてしまうと、違法行為となる場合があるため注意しましょう。これはフリーランスや個人事業主との直接契約においても同様です。

業務委託契約

報酬の対象の違い

派遣と業務委託では、それぞれで報酬の対象が異なります。

派遣では、派遣労働者の作業時間に対して報酬が支払われますが、業務委託契約では成果物や作業時間に対して報酬が支払われます。

業務委託契約 派遣契約 違い

派遣契約のメリットとデメリット

ここでは派遣契約のメリットとデメリットを解説します。それぞれの特徴を理解したうえで派遣の利用を検討しましょう。

派遣契約のメリット

派遣契約を結ぶメリットは、契約締結時の手続きが業務委託に比べてシンプルな点です。労務関係や保険関連の手続きも派遣会社が行うため、派遣先企業が対応する必要はありません。

また派遣では、派遣契約に基づき派遣労働者に直接指揮命令できます。そのため、業務委託に比べて急な業務の変更への対応や、現場で指示を出しながら柔軟に業務を進められるのが特徴です。

派遣契約のデメリット

派遣契約のデメリットは、まず派遣可能期間に制限がある点です。派遣労働者を受け入れられる期間は3年間と決まっており、3年間を超えて同じ人材を同一部署や課内で派遣社員として受け入れることはできません。

また派遣先の事業所単位についても基本的には3年間を超えて同一の事業所内で派遣労働者を受け入れることはできません。派遣先が受け入れ期間を延長したい場合、過半数労働組合等から意見聴取をする必要があります。意見聴取をした場合でも、対象の派遣労働者が同一部署や課内で既に3年間派遣されている場合、延長は不可能です。

業務委託のメリット・デメリット

業務委託のメリットは、主に「契約期間や確保できる人材の職種に制限がない」「業務管理や教育のコストがかからない」の2点です。一方デメリットは「契約締結時の取り決めが煩雑」「業務内容によっては委託料が高額になる」の2点です。

業務委託のメリット

業務委託では指揮命令はできませんが、細かい指示を出さずとも業務を遂行してもらえたり、成果物を完成してもらえたりする点はメリットです。また、個人事業主に業務委託を行う場合は、スキルの高い人材を確保できる可能性が高く、教育の手間を省きつつ業務の円滑化やクオリティの向上を狙えるでしょう。

また、人材を確保しておける期間に限りがある派遣契約と異なり、契約期間の制限がありません。そのため、相手方との合意さえ取れれば長期契約も実現できる点はメリットといえます。

業務委託のデメリット

業務委託のデメリットは、受託者や労働者に対して直接指揮命令ができない点でしょう。実際に指示を出しながらより柔軟に業務を進めたい場合は派遣の方がマッチしているといえます。

また、契約締結時に相手方と契約内容の取り決めが必須となるため、その調整の対応が手間になる点もデメリットです。さらに、業務上の線引き以外にも、労働者がクライアント企業内で業務を行う際は、設備の使用に関する賃貸借契約を別途結ぶ必要がある場合もあります。

さらに、業務委託では専門性の高いハイスキル人材を活用できるが故に、業務委託に依存しすぎてしまうと、自社にノウハウが蓄積されなくなってしまうので注意が必要です。

派遣と業務委託を活用する際は違法行為に注意する

派遣や業務委託を活用する場合、「二重派遣」と「偽装請負」に注意が必要です。これらが発覚した場合、違法行為として罰則が科される場合もあるため、それぞれについて理解しておきましょう。

二重派遣

二重派遣とは、派遣元企業から受け入れた派遣労働者を、更に別の企業に派遣することをいいます。例えば、下図のように派遣元A社からB社に派遣された派遣労働者を、B社がさらに別の企業C社に再派遣している場合は二重派遣です。

この場合、B社は自社と雇用関係にない労働者を他の企業に派遣していることになり、これは労働者供給に該当します。

二重派遣

労働者供給は、一部例外を除き職業安定法にて禁止されています(職業安定法第44条)。そのため、二重派遣が発覚した場合は、労働者供給を行った企業と労働者供給を受けた企業の双方に「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科される場合があるので注意が必要です(職業安定法第64条第9号)。

二重派遣 労働者供給

また、二重派遣において再派遣を行った企業が手数料を受け取っている場合は、労働基準法第6条「中間搾取の排除」に抵触していると判断され、再派遣を行った企業に「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科される可能性もあります(労働基準法第118条)。

関連記事:SESで二重派遣にならないためには?違法のケースと罰則、対策について

偽装請負

偽装請負とは、形式上は業務委託契約を締結しているにも関わらず、その実態は労働者派遣契約や労働者供給契約などに該当することを指します。

本来、業務委託契約では委託者は受託者に対して指揮命令権を持ちません。しかし、実態として委託者から受託者に対して業務に関する細かい指示が行われていたり、作業時間や場所の強制的な指示が行われていたりする場合があります。このような実態が発覚すると偽装請負と判断される可能性があります。

偽装請負と判断された場合、「労働者派遣法」や「職業安定法」、「労働基準法」のいずれか又は複数に基づき罰則が科されます。

罰則には懲役や罰金のほかにも、厚生労働大臣からの業務改善命令や社名の公表などもあり、今後の事業運営に大きな影響を与える可能性があるため、偽装請負には十分に注意しましょう。

関連記事:偽装請負とは|4つのパターンや判断基準、罰則についてわかりやすく解説

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派遣と業務委託、どちらを利用すべきか

派遣と業務委託はどちらを活用すべきでしょうか?最後に、それぞれを利用するメリット・デメリットについて、ケース別に検討してみましょう。

まず、年末処理などの定型業務や、社内での通常業務については派遣契約が利用されることが多いようです。背景としては、業務委託では指揮命令・教育・業務管理などができないため、上記のような業務では派遣契約を結んだほうがスムーズなためです。

また、契約時の法定が複雑な業務委託にくらべ、派遣契約の法定は「派遣個別契約」のみなので、社外に持ち出したくない業務の依頼がスムーズという側面があります。

逆に案件単位で人員を補充したい場合は、業務委託が利用されることが多いようです。例えば、システム開発のプロジェクトでは、IT人材が一定のスキルを持っていれば、指揮命令や教育をする必要がないケースがあります。

IT人材の裁量にある程度任せられる業務は、業務委託で「請負契約」を結び、確実に納品してもらうほうがメリットが大きいといえるでしょう。

関連記事:フリーランスと派遣の契約の違い|使い分けのポイントや注意点とは?

※本記事は2022年12月時点の情報を基に執筆しております。

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