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最終更新日:2025年2月21日

同一労働同一賃金はエンジニアの雇用に影響する?導入メリットや注意点

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同一労働同一賃金は、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消するルールです。対象職種に決まりはなく、エンジニアも該当します。見直しが必要な待遇には、基本給や賞与だけではなく、各種手当や教育訓練が含まれます。

この記事では、同一労働同一賃金の概要を解説します。導入のメリットや注意点、企業が行うべき対応にも触れているので、ぜひご覧ください。

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エンジニアの雇用にも関係する同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金は、正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を解消するためのルールですどの雇用形態で働いても納得のいく待遇が得られ、労働者が多様な働き方を選択できるようにする目的があります。

同一労働同一賃金の詳細は、厚生労働省が策定した「同一労働同一賃金ガイドライン」で確認できます。

対象となる労働者の範囲

同一労働同一賃金の対象は、パートタイム労働者や有期雇用労働者、派遣労働者です。職種に関する決まりは無く、エンジニアをはじめ、どの職種においても同様の業務を同じ責任範囲で行う労働者なら、同一労働同一賃金の対象となります。

対象となる待遇の範囲

基本給や賞与、各種手当、福利厚生施設の利用病気休職の取得などが同一労働同一賃金の対象です正社員・非正規社員を問わず労働者が同じ業務を同じ責任範囲で行っている場合、企業は同じ待遇にしなければなりません。

同一労働同一賃金での基本給の扱いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
同一労働同一賃金で理解すべき基本給の3要素

同一労働同一賃金の策定で規定・改正された法律

同一労働同一賃金の策定に伴い、規定・改正された法律があります。

パートタイム・有期雇用労働法

パートタイム・有期雇用労働法とは、通常の労働者(※)とパートタイム労働者・有期雇用労働者の間に、不合理な待遇差を設けることを禁止する法律です。2020年4月1日より施行されました(中小企業は2021年4月1日より施行)。

対象となるパートタイム労働者は、「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」です。対象となる有期雇用労働者は、「事業主と期間の定めがある契約を結んだ労働者」になります。

※正社員など正規型の労働者、無期雇用フルタイム労働者

労働者派遣法

労働者派遣法とは、派遣労働者を保護するための法律です。パートタイム・有期雇用労働法と同じく、2020年4月1日に同一労働同一賃金の実現を目的とした改正がありました。

改正では、不合理な待遇差を解消する手段として、派遣事業主は「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のいずれかにもとづいて派遣労働者の待遇を決めることが義務付けられました。

<労使協定方式>
派遣元において、過半数労働組合もしくは過半数代表者と使用者が労使協定を結び、待遇を决定する方式です。このときの待遇は、厚生労働省が提示する同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準をもとに設定する必要があります。

<派遣先均等・均衡方式>
派遣先の労働者と派遣社員の職務内容などが同じ場合、自社社員と派遣社員の待遇を同等にしなければならないというルールです。派遣社員の職務内容や責任が自社社員と変わらない場合、派遣社員への差別的取り扱いが禁止されています。

参考:
同一労働同一賃金ガイドライン|厚生労働省
パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために|厚生労働省
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov
同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和7年度適用)|厚生労働省

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ガイドラインを守らなくても罰則はないがリスクはある

同一労働同一賃金はガイドラインが策定されていますが、法的拘束力はなくルールを守らなくても罰則はありません

しかし、不合理な待遇格差があると従業員の不満が募りやすく、訴訟のリスクがあるでしょう。訴訟されると企業のイメージダウンにつながるほか、金銭的な負担がかかるおそれもあります。

関連記事として、以下の記事も参考にしてください。
同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金における企業側のメリット

同一労働同一賃金の導入には、企業イメージの向上や社内の生産性アップといったメリットがあります。詳しい内容を確認していきましょう。

企業イメージと待遇面の良さから人手不足が解消できる

少子高齢化が進む日本国内では、人手不足が企業の課題となっています。特にエンジニアなど専門スキルが必要な人材が不足している状態です。企業側からの需要が高いため、ハイスキルな人材はより高待遇の条件を出している企業を選べます。

同一労働同一賃金を導入していれば、「公正な判断ができる会社」「待遇面を整えてくれる会社」とイメージが良くなるでしょう。企業イメージや待遇の良い魅力ある職場には、人材からの応募が集まります。

教育面と待遇面の格差解消により生産性がアップする

同一労働同一賃金では、非正規社員が同じ職務に就く正社員と同様の教育を受けられるよう制度・環境を整備しなければなりません。教育制度を整える手間はかかりますが、業務知識・スキル面の格差が解消されることで、生産性がアップするでしょう。

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同一労働同一賃金におけるエンジニア側のメリット

同一労働同一賃金は非正規雇用で働くエンジニアにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。企業側もエンジニア目線での利点を把握しておくと、同一労働同一賃金の意義を理解しやすくなります。

スキルアップできる

同一労働同一賃金のガイドラインには、教育訓練に関する規定があります。具体的には、事業主は通常の労働者と職務内容が同じ非正規社員に対して、通常の労働者と同一の教育訓練を行わなければなりません。

また、職務内容が一部異なっている場合も、事業主には違いに応じた教育訓練の実施が義務付けられています。このルールによってエンジニアが研修を受ける機会が増えれば、スキルアップにつながるでしょう。

モチベーションが上がる

正社員と同じかそれ以上の仕事をしているのに給与が低い状況では、仕事への意欲を保つのは難しいでしょう。しかし、同一労働同一賃金の導入で不合理な待遇差が解消されれば、「正当に評価されている」と感じ、仕事へのモチベーションが上がります。

経済的に安定する

同一労働同一賃金が導入されると、人によっては収入が増え、経済的に安定する可能性があります。通勤手当などの支給を受けられるようになれば、実質的な収入アップにつながるでしょう。スキルがある人は、昇給による給与アップの可能性も見込めます。

エンジニアに同一労働同一賃金を導入する際の注意点

同一労働同一賃金は企業とエンジニアの双方にメリットが多いものの、導入時には注意点もあります。あらかじめ注意点を確認し、対策をとれるようにしましょう。

人件費が増える可能性を考慮する

同一労働同一賃金を導入したら、正社員と職務内容や責任範囲が同じ非正規社員に対して、正社員と同様の給与・賞与・手当・福利厚生などの待遇を用意することになります。非正規社員の人数が多いほど人件費が増えることになり、人件費が利益を圧迫して事業の継続が難しくなるリスクがあるでしょう。

人件費が増えそうな場合の対策について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
人件費を抑える方法とは?ポイントやメリット・デメリットも解説

給与体制などの見直しや説明のための工数が発生する

同一労働同一賃金では、従業員が企業に対して給与体制や待遇、評価基準などに関する説明を求めることができ、要求された企業は説明をしなければなりません。説明が一度で済めばリソースは圧迫されないものの、複数人に別々のタイミングで対応しなければならない、何度も尋ねられるなどの状況になれば、時間を要するでしょう。

また、同一労働同一賃金を導入するにあたって給与や待遇の扱いをどうするのか、細かく決めなければなりません。各種体制・制度の見直しと整備には相応の時間がかかります

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同一労働同一賃金において企業が求められる対応

同一労働同一賃金を導入した際に企業が求められる対応を紹介します。合理的な待遇差がある場合の対応も説明するので、参考にしてください。

待遇差の理由を明確にする

同一労働同一賃金ルールでは、正社員と非正規社員の不合理な待遇差が禁止されています。正社員と非正規社員に待遇差がある場合は、「職務内容」「職務内容・配置の変更範囲」「その他の事情の客観的・具体的な実態」を照らし合わせた際に、その待遇差が合理的である必要があります。

どのような点が待遇差の合理的理由となっているのか、説明できるようにしておきましょう。

待遇差の理由を説明する

非正規社員から、正社員との待遇差の内容や理由について説明を求められた際、事業主(派遣の場合は派遣元)は説明を行う義務があります。説明を求められたら速やかに対応しましょう。

なお、正社員と非正規社員の待遇差について紛争が起きた場合、労働者・事業主は裁判外紛争解決手続(ADR)を無料で利用できます。トラブルのないよう従業員が納得のいく説明ができるのがベストですが、万が一の際の対応手段として覚えておくと安心です。

正社員の待遇が不利益になる変更は望ましくない

非正規社員の待遇を改善すると人件費が増えることから、両者の待遇をならすために正社員の賃金引き下げを考える企業もあります。しかし、正社員の賃金引き下げはモチベーション低下につながるなど、一定のリスクがあります。

また、ガイドラインにおいても、「正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消するに当たり、基本的に、労使の合意なく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえない」とあります。同一労働同一賃金の導入によって正社員が不利益を被る状況にならないようにしましょう。

参考:法的トラブル解決には、「ADR(裁判外紛争解決手続)」|政府広報オンライン

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同一労働同一賃金に関するよくある質問

同一労働同一賃金は2020年4月より施行された制度です。ここでは、制度の概要や導入のメリット、導入時の注意点などのよくある質問に回答します。

Q.同一労働同一賃金はエンジニアも対象?

A.同一労働同一賃金の対象はパートやアルバイト、派遣労働者などの非正規社員で、エンジニアなどの職種も対象です。職種に関する定めはなく、同業務を同責任範囲で行っている場合に対象となります。

Q.同一労働同一賃金を導入するメリットは?

A.同一労働同一賃金では、職務内容が同じであれば、教育についても正社員と非正規社員で同じ扱いをしなければなりません。公平な教育を行うことでスキルの格差が解消されれば、生産性がアップするでしょう。

Q.同一労働同一賃金の導入で注意すべきポイントは?

A.正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消するにあたって、給与・賞与・手当・福利厚生・教育などにかかる人件費が増える可能性があります。非正規社員数が多いほど人件費はかさむでしょう。また、給与や教育体制、待遇について具体的な改善内容を決め、従業員に説明する必要があるため、準備や説明に時間がかかります。

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