高橋 あおい

IT企業でオンライン学習サービスの現役SRE(Site Reliability Engineering)。日々Kubernetesをはじめとするサービスのインフラを運営しながら、開発者のサポートに努める。2026年Kubestronautの称号を得る。著書に『つくって、壊して、直して学ぶ Kubernetes入門』(翔泳社)など。技術同人誌も多数手がける。趣味は漫画を読むこと、イラストを描くこと、音楽を聴くこと、そして犬育て。

X:@_a0i Instagram:@aoi_tofu つくって、壊して、直して学ぶ Kubernetes入門

はじめに

こんにちは、あおいです。今回は、Kubestronautを取得するにあたって、不合格になったり失敗したエピソードをまとめてみました。Kubestronautおよび関連資格を取得する気が全く無い人でも面白く読めると思います。

そもそも、Kubestronautとは?

Kubestronautとは、Cloud Native Computing Foundation (以下、CNCF)のKubernetes関連資格5つ(CKS、CKA、CKAD、KCSA、KCNA)を取得した人に与えられる称号のことを言います。詳しくは前回の記事をご覧ください。

Kubernetes関連試験の得点数と合格/不合格結果

私の各試験の結果と得点数(合格点)です。

CKA2回目の点数はギリギリセーフですね。そして選択式であるKCSAとKCNAは合格点が高く、油断していると落ちかねません(KCSAギリギリセーフ……!)。

CKS、CKA、CKAD、KCSA、KCNA合格に向けた受験戦略

かつてCKAに合格していたので、まずは腕試しに……とCKAを受けたところ、あっさり落ちました。このときすでに受験期限まで半年を切っていたので、半年で5つの試験に合格するための戦略を練る必要がありました。1年かけて勉強するはずだったのに……と言っても時すでに遅し。とにかく先人の合格体験記を読み漁り、最短ルートで合格できるよう戦略を練りました。CKSはCKAに合格してからではないと受験ができないということもあり、CKAをなるべく早く取ることをまずは第一マイルストーンにすることにしました。

CKAに不合格だったのは2025年12月のこと。CKA不合格当初、以下のような順序での受験を理想としていました。

【理想】
・CKADを先に受けて、合格できる自信を付ける
・CKAを1月中に受ける
・CKSを余裕を持って2カ月ほど勉強期間を設け、4月の合格を目指す
・KCSAとKCNAはそれぞれ5月、6月に受ける

しかし、現実はこうでした。なかなか予定通りにはいかないものです。

【現実】
・CKADを先に受けて、合格
・CKAは1月中に合格
・3月にある『KubeCon + CloudNativeCon Europe 2026』の登壇準備
・気付けばCKSを受けずに4月末……

ということで、4月末から戦略を練り直す必要がありました。CKSは最低でも勉強に1カ月間は必要だという感覚があったため、以下のように計画を立て直しました。

【練り直した目標】
・5月中にCKS合格
・6月頭にKCSA合格
・6月中旬にKCNA合格

CKSとKCSAは試験範囲が似ているため、CKSに合格した記憶そのままにKCSAを受験しようと思いました。

最終的にCKSに合格できたのが6月頭だったため、その後の1週間でKCSAとKCNAを受験し合格するに至りました。

4月末に戦略を練り直す際、このままだとCKSを1カ月で取得するのも怪しいのではと思ったため、AIに力を借りました。AIに試験範囲を読み込んでもらい、1カ月で合格する勉強方法を考えてもらいました。おかげで、無事CKSに合格することができました。

CKAとCKS不合格分析。なぜ落ちたのか?

ではここからは、私がなぜ落ちたのか、自己分析をしていきたいと思います。落ちた人にとってはあるあるかもしれませんし、これから試験を受けようという方はぜひ私の屍を乗り越えていってください。

CKA:油断

前回の連載記事にも書きましたが、以前CKAに合格したことがあったということで、油断をしていたためあっさり落ちました。CKAの試験範囲が以前と違っていたというのもありますが、何より実技試験の受け方を忘れてしまっていたのです。

実技試験では、素早くコマンドを打ったり、マニフェストを書く必要があります。例え知識があったとしても、瞬時にコマンドを打ったりマニフェストを書けるようになるには、ある程度の練習が必要です。試験中に公式ドキュメントを参照できると言っても、普段私はGoogle検索から公式ドキュメントの欲しい情報を探していました。そのため、公式ドキュメント内の検索で欲しい情報を得るにも慣れが必要でした。

知識があり現場でも使えるのであれば、「素早くコマンドを打てる必要はないのでは?」と思うことがなかったわけではありません。一方で、こういう機会でもない限り、公式ドキュメント全体の構成を把握したり、公式ドキュメントにどのような内容が書かれているかを知るために読み漁る機会は無かったと思います。

そんなこんなで「フッ、おもしれえ」と思いながら試験を受け、そして合格点66点に対して69点というかなりギリギリで合格することとなりました。面白がっている場合ではなかった。冷や汗。

CKS:勉強不足

AIの力を借りながら1カ月で合格を目指しましたが、残念ながら1回目は落ちてしまいました。知識が足りなかったのももちろんですが、難しく考え過ぎて問題が解けなかったというのもあります。

Killer ShellというWebサービスには、無料で解けるCKSの練習問題がたくさん掲載されています。私はそれを知っていましたが、簡単過ぎるからとたかをくくり、Killer Shellを軽く一周しただけでした。Killer Shellに掲載されていたのは簡単で解きやすく、基礎的な問題ばかりです。しかし、この基礎が大事なのであって、本試験では難しく解きづらい問題ばかりではありませんでした。しかし、基礎を大事にしていなかった私はあえなく50点で落ちてしまいました

CKAとCKSに落ちた後のメンタルケア

インターネットを検索すると、CKAやCKSに1度落ちている人をたくさん見かけます。再試験は1度までなら無料なため、落ちたからといって即座にまたお金がかかるということではありません。それでもまた試験勉強を継続しなければいけないことや、試験を受けるための時間を思うとかなり凹みます。そして、「残り1回しかない」という焦りと重圧に押しつぶされそうになります

試験結果は24時間以内にメールで送られてくるのですが、この24時間がとても長く、何も手に付きません。個人的には早朝試験を受けることで、試験後は仕事に邁進して寝て起きたら結果が出る、という流れが良かったため後半の試験は早朝に受けるようにしました。夜、仕事の後に試験を受けると、試験後に寝るまでぐだぐだしてしまい、翌朝も仕事を開始するまで何度もメール・ボックスを見返すという何も手に付かない時間が長くなってしまっていました。

落ちた後はとにかく寝る、美味しいものを食べる、私の場合これに尽きます。人それぞれ落ち込んだときの回復方法があると思いますが、1つだけおすすめしたいことがあります。試験が終わったら、なるべくすぐ後にどんな問題が出たかをメモしておきましょう。これまで試験1回目と2回目で同じ問題が出ることがありました。試験直後は受かると信じていたいところではありますが、万が一落ちたときのことを考えて試験内容をメモしておきましょう。

私のように受験期限ギリギリに受けるのでなければ、再試験を受けるための十分な勉強期間を確保するのも良いでしょう。間違っても「こんな短い期間で受験できました!」とか「余裕で1回目受かった!」みたいな記事を検索するのはやめましょう。「私はこの人と比べて……」と落ち込むのは気持ちが落ち着いてからにした方が良いです。

逆に自分より悪い状況で受かった人を見て安心する……というのはあまり褒められたことではないかもしれませんが、1回落ちた人のブログを見て安心したりもしています(私はなんて小さい人間なんだ……)。代わりと言ってはなんですが、ぜひ私の点数を見て「この人よりは点を取れた!」とか笑ってやってください。